ゲートSAA彼の地にて斯く戦えり   作:素面ライダー

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 最近は冷え込みの厳しい日が多いため、実家に帰った時には猫を抱き枕にしようと思っているのですが……

 そ~……ガシッ!

 ビクッ!

 ……ヒョイ!

 ……イヤニャ~!

 バリバリバリ!!

 といったぐあいに猫を捕まえても、死に物狂いで抵抗されるんですよね………猫大好きなのに、猫の方に嫌われるっていうのは……正直、キツイです……。

 今回は“神代 利世”の秘密と核心に迫ります………と言うより、この設定を組み込むためにわざわざ過去編を書いた様なものなので………。

 それでは、本編スタート!!
 


~眼帯マスクの青年~ (4)

 亜門(あもん)一尉(当時)の報告書より抜粋

 

 不審に思った私は、件の屋敷における使用電力を調べてもらった。もし人間が隠れ住んでいるならば、全く電気を使わないなどという事は無いはずだからだ。

 

 そして調査の結果、大規模な医療設備並みの電力を、しかも地下で使用されているという事が明らかになった。

 

 事前に手に入れた資料には地下室の存在など無く、この事でこの屋敷を買い取った嘉納(かのう) 明博(あきひろ)という男が、真っ当な目的でこの屋敷を買い取った訳では無いという事が確実となった。

 

 上の屋敷が使われている様子が無いにも関わらず、大量の電気が使われているという事実がその事により真実味を持たせている。

 


 

 「ここまで辿りついた……という事は、今更色々と隠し立てする必要は無いのだろうね……」

 

 開き直った様子で嘉納は続けた。

 

 「………ヒトの身から始まった君が、今では強力な亜人種を相手にも引けを取らない…よく自分の足でそこまで上り詰めたものだ……君は私の最高傑作だよ………」

 

 心底感心したかの様に嘉納は述べる。

 

 「…先生……リゼさんを使って、あなたが亜人種を造り出しているというのは、本当だったんですね……」

 

 それはアオギリのアジトへ拉致された時、幹部の“タタラ”という男から聞かされた話である。青年はその実験台だったのではないか、と疑われたのである。

 

 青年自身は話を聞かされた時は半信半疑だったが、事ここに至れば信じざるを得なかった。

 

 しかし青年が聞かされたのはあくまで“事実”のみであり、その“目的”は不明のままであった。

 

 「一体……何のために……?」

 

 それは青年にとって“非日常”に足を突っ込む切っ掛けなのだから当然の疑問である。

 

 「……飼われた鳥は、何故自由に空を飛べないと思う?……“鳥籠”が自分のものではないからだ……」

 

 「?」

 

 嘉納は青年が怪訝な顔をしている事に構わず続ける。

 

 「……誰がこの世界に“鳥籠”をつくったのか……それが問題だ………」

 

 (何の……話なんだ……?)

 

 青年は嘉納の意図を図りかねる中、嘉納は更に続けた。

 

 「私は気付いたんだよ……“歪んだ鳥籠”が私たちの世界を絡め取っている事に……」

 

 嘉納は青年を諭す様に話している様だったが、青年には詭弁にしか聞こえない。

 

 それに気付いているのかいないのか、嘉納は続ける。

 

 「私はそれを壊したい……そのためには強力な手段が必要だった……そのための最初の手段が“亜人種”だった……」

 

 「……()()()?」

 

 「ああ…だが、亜人種は外見から容易に見分けが付かない上に数も少ない……彼らの同胞のコミュニティが東京の地下深くにあるとの話もあるが、確証が無い上に交渉へ赴くにはリスクが大きすぎる……」

 

 「……まさか!」

 

 「そう!()()()()()()()()()!そして亜人種(彼ら)の研究を続ける内に、彼らの世界に更なる上位の存在が実在していた事を知った!」

 

 嘉納の言葉に、徐々に力が入っていく。

 

 「……彼らは肉体を持ったまま現世へと干渉する“神”!…彼らの世界では“亜神”と呼ばれる我々の言う所の“現人神”の様なものだ!」

 

 「………」

 

 「伝承によれば亜神(彼ら)はいかなる重傷を負ってもたちまちの内に自然治癒し、世界において不都合なものをその強大な力で排除していったそうだ……私も昨年、目の当たりにするまで半信半疑だったがね……」

 

 「目の当たりにした?」

 

 「分からんかね……?」

 

 「ッ!!……まさか!!」

 

 青年はリゼの入れられているカプセルに視線を向け、嘉納は「正解だ」と言う様に頷く。

 

 「そう、彼女だよ……もっとも、彼女は「神の使命など知ったことか」と言わんばかりに、奔放に生きていた様だがね……」

 

 青年が絶句しているのを尻目に、嘉納は続けた。

 

 「彼女を見た時に、私は確信した!彼女の様な亜神達を造り出せば、この“歪んだ鳥籠”の世界を破壊する一筋の光明となり得ると!」

 

 「…………」

 

 「そのために、たくさんのものを犠牲にしたし、色々と試したよ……しかし、実験の成功率は一向に上がらなかったがね………」

 

 「“鳥籠”だの、“神”だの、“光明”だのと………」

 

 「?」

 

 青年は嘉納の言葉を遮る。

 

 その声には抑えきれない怒りと憤りに満ちており、嘉納への感情をぶつける様に更に続けた。

 

 「………そんな理由で、僕をこんな身体にしたのかッ……!?」

 

 「私は医者だ……命を救ってあげた事に違いは無いだろう?」

 

 「ッ!!」

 

 嘉納は悪びれずに平然と答える。

 

 「……あれから………あれから僕がどんな生活を送ったかも知らずにッ……!」

 

 青年は殺意のこもった目で嘉納を睨み付け、吐き捨てた。

 

 「……アンタは医者じゃない!!……ただの頭のイカれた人でなしだ!!!」

 

 「………それは認識の違いだ…何と思われても仕方がない……私のしている事は世間的には“悪”なのだろう……いずれ逃げ場所も尽きる……」

 

 そんな青年の罵倒に対し、嘉納は諭す様に話した。

 

 「……そうなる前に、君に会えて良かった…やはり私の実験は成功だった………逃げ回る生活は、もうお終いだ……」

 

 「……ッ!?」

 

 「……私はすでに、人間(ヒト)の世界で生きるつもりは無いんだよ……」

 

 嘉納は青年に振り向き、手を差しのべる。

 

 「私と“アオギリ”へ行かないか?」

 

 「!」

 

 「君も亜人種の世界で生きるのなら、亜人種同士で手を取り合えばいい……塀の外にいれば敵かもしれないが、内側に入ってしまえば心強い仲間だ……」

 

 「……なに…言ってるんだ……僕がそんな連中の仲間になんてなるわけない……ありえない……」

 

 「では言い方を変えよう……“私に”付いてきなさい……この世界の“本当の姿”というものを見せてあげよう……」

 

 「……“本当の姿”……?」

 

 「そうだ………君の知らない世界の裏側……隠された“真実”………“真実”を知らなければ“真理”は見えて来ない……そこから君の考えが変わる事だってあるだろう……」

 

 「……何ふざけた事を……」

 

 「君はいつだって、誰かの手のひらで踊るしかない……これまでずっと、そうせざるを得なかった……」

 

 嘉納は畳み掛ける様に説得する。

 

 「しかし、私について来れば見せてあげよう……世界のあるがままの姿を……そして、世界の在り方を……」

 

 だが、その言葉は青年の心に全く響かなかった。

 

 青年自身に自覚は無かったが、彼が戦っている根本的な理由は嘉納の言う様な“世界の真実”などという御大層なものではなく、もっと身近でそれこそ嘉納が“ちっぽけなもの”と言って切り捨てる様な、小さなものなのである。

 

 「……僕は……」

 

 青年が嘉納へ何か言いかけたその時……

 

 パアァァァァァアン!!

 

 「「「ッ!?」」」

 

 ……突如、何者かが天井近くからラボへ乱入し、一瞬でリゼの入れられているカプセルを破壊した。

 

 カプセルとその周囲が破壊された影響で粉塵が舞い上がり、煙幕の様になっているため襲撃者の姿は見えない。

 

 「何事だ…?リゼちゃん(ドナー)は……?」

 

 やがて舞い上がっていた粉塵が晴れ始めると、そこには猛禽類を思わせるマスクを着けた大柄な男がリゼを抱えて立っている。

 

 「……あの時…「自分(ひとり)で歩ける」と言ったな……」

 

 そう言って、その男はマスクを外した。青年にはその声に聞き覚えがある。

 

 「……お前の道だ……一人で歩いてみろ……」

 

 「……ヨモ……さん………?」

 

 青年に“ヨモ”と呼ばれたその男………“あんていく”のメンバーの一人“四方(よも) 蓮示(れんじ)”はそう言うと、リゼを抱えたまま天井近くの通路まで一気に跳躍し……

 

 「………………」

 

 「………………」

 

 ……一瞬、(シャチ)へアイコンタクトを送った後……

 

 「……気をつけろ……公安が来る……」

 

 ……そう言って、ラボから脱出して行った。

 


 

 一方、その頃……

 

 青年達が侵入した屋敷の地下フロアに、武装した複数の自衛官や警察官の姿があった。

 

 「……これは隠し通路に……アオギリの構成員か……?」

 

 「なるほど……()()()()()()()()、ただの隠れ家と言う訳では無さそうだね……」

 

 穴の空いた壁面と、その隠し通路の端で気絶しているテロリストを驚いた顔で見ている亜門(あもん) 鋼太郎(こうたろう)一等陸尉に、納得した表情で篠原(しのはら) 幸紀(ゆきのり)一等陸佐が言った。

 

 彼らはこの屋敷の強制捜査を行うために突入した、公安と自衛官の混成部隊である。他にも自衛隊と公安警察のメンバーが合わせて10余名参加している。

 

 近年、日本においてもテロを含めた犯罪が凶悪化の一途を辿っており、テロリストに対して警察だけでは対処が難しい事から、こういったテロリストが絡む可能性が高い案件では、自衛隊に協力を仰いで合同で事に当たる事が多かった………もっとも、警察庁と防衛庁の主導権争いが原因で警察と自衛隊の連携が上手くいっていない、というのが現状なのだが………。

 

 「しかし隠し扉が破壊された上にテロリストが気絶(おネンネ)してるってのは、こりゃあ穏やかではありませんなぁ……」

 

 この場に集まっている公安側の責任者である駒門(こまかど) 英世(ひでよ)警部補はそう言うと、部下に倒れているテロリストを拘束する様に指示を出す。

 

 「駒門警部補、少し待ってくれ。連行する前に何があったのかぐらいは聞いておきたい。」

 

 自衛隊側の参加者の一人、真戸(まど) (あきら)准陸尉が突入部隊の安全を考え、連行に待ったを掛ける。

 

 そして彼女は公安の協力を得ながら、テロリストを尋問していった。

 


 

 (何で……ヨモさんがここに……)

 

 いきなりの事態と「公安が来る」という話による混乱から、青年は考えが纏まらずにいた。

 

 (公安が……来てる……?みんなの所へ戻らないと……いや……!!)

 

 「嘉納……!!」

 

 緊急事態ではあっても、嘉納の身柄を押さえる千載一遇のチャンスである。

 

 青年は眼前の嘉納へ飛び掛かるが……

 

 「(カイ)ッッ!!」

 

 ドゴオォォォォオッッ!!!

 

 ……先ほどのお返し、とばかりに鯱が青年へローリングソバットを叩き込んで阻止する。

 

 ダァン!!ドシャッッ!!

 

 「ガハッッ!!……ハァッ…ハァッ……」

 

 青年は再び壁へ叩き付けられた。

 

 トッ!!

 

 「……今の貴様では儂には勝てん…人の世で武錬を積み上げ、亜人の肉体によりその(わざ)を昇華させた………貴様とは“(ちく)”が違うのだ……!!」

 

 そして、鯱は青年へ諭す様に語る。

 

 「………(わっぱ)……貴様の(しん)は“かたすぎる”……それでは“貫く”か“折れる”しか道は無し!!……己の弱さを知れ!!」

 

 そう言って先ほどのヨモと同じ様に、嘉納を連れてラボから脱出を図る。

 

 「ッ!!…待ッ……!!」

 

 青年が2人に追いすがろうとした、その時……

 

 「…………」

 

 カチッ!…バクンッ!!バクンッ!!

 

 ……嘉納が手に持っていたスイッチを押し、周囲のカプセルが全て開放された。

 

 「……ああ…あ……」

 

 「…うう……」

 

 「……ま…ま……」

 

 「……おなか……すいたよ………」

 

 (…クソッ!!……実験体か……!!)

 

 カプセルから、先ほど貯水施設で見た様な実験体が無数に出て来て、呻き声を上げながら青年へ襲い掛かる。

 

 「君の“弟たち”だ、仲良くするといい。不完全とはいえ、その数は君でも手を焼くだろう……また会える日を楽しみにしているよ。」

 

 「嘉納ッ!!」

 

 そう言って、嘉納は通路の奥へと姿を消した。

 

 「ッ!!」

 

 青年は実験体の群れ相手に応戦しつつ、先ほどの鯱の言葉を反芻していた。

 

 (僕が弱いだと……?自分が“化け物”だと自覚したあの日以来、大切なものを守りたくて弱さを切り捨てた…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 この世は弱肉強食  

 

 

 

 

 

 

 

 

 強者が喰う

 

 

 

 

 

 

 

 

 強者はだれだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 (それは僕だ!………この僕だ!!)

 

 「(オレ)の……邪魔をするなァッ!!!」

 

 青年は狂気に取り憑かれたかの様に………あるいは癇癪を起こしている子供の様に、実験体を手当たり次第に叩きのめしていった。

 


 

 一方、倒れていたテロリストへの尋問が終わった篠原達は、屋敷から通じていた地下通路を奥へ奥へと進んでいた。

 

 しかし……

 

 「篠原一佐。鈴屋(すずや)准尉が、爆走して行ったが。」

 

 ……アキラの言う様に、先ほど突入メンバーの一人である鈴屋 什造(じゅうぞう)准陸尉が、まるで獲物を見つけた犬の様に、あっという間に単独で走り去って行ったのである。

 

 「あの馬鹿……!」

 

 「通常運転……」

 

 亜門が苦い顔で吐き捨てる一方で、バディを組む篠原は諦めてた様に嘆息する。

 

 そして通路をしばらく進むと、道が別れていた。

 

 「ここで二手に別れよう。私と磯山(いそやま)さんと車谷(くるまたに)さんは横道に、残りはこのまま直進してくれ。」

 

 「「「「了解!」」」」

 

 あまり捜索に時間を掛けられないので、リスクを承知で篠原はメンバーを二手に分ける。万が一の危険を考え、突入メンバーはこの場にいないジューゾーを含め、全員SAAを着装していた。

 

 「篠原さん!…お気を付けて……」

 

 亜門はかつての上官でありアキラの父である、真戸 呉緒(くれお)一等陸尉が重傷を負わされた件が頭に浮かんだものの、そう語るに留める。

 

 「……ああ…お前達も……」

 

 篠原もそれを察してそう答え、磯山達を連れて奥へ進んで行った。

 

 「……行くぞ、アキラ。嫌な胸騒ぎがする…気を引き締めて行くぞ!」

 

 「言われなくてもだ。」

 

 そう言って、亜門·アキラ·駒門の3人も別方向の通路の奥へ進んで行った。

 


 

 一方、その頃……

 

 「……何で…」

 

 「…あのガキ……」

 

 ……青年を追っていた2人の少女は、足を止めて項垂れていた。先ほど、エトに指摘された事がよほど堪えたのであろう。

 

 当のエトは既に姿を消していた。

 

 「…!シロ…!パパが…!!行かないと…」

 

 「……う……ん……」

 

 そう言って、少女の片割れが嘉納の元へ戻る様に促していると……

 

 「あれえ…?……見た顔ですねぇ……」

 

 「!!」

 

 ……そんな声がその場に響いた。少女達はその声に聞き覚えがある。

 

 「クロナとナシロです?」

 

 「お前……(れい)ッ……!?」

 

 ピクリ……

 

 その声に少女達………安久(やすひさ) 黒奈(くろな)と安久 奈白(なしろ)が反応する。その反応に“玲”と呼ばれた中性的な少年が、僅かに眉をひそめた。

 

 「今は什造ですよ。鈴屋 什造准陸尉です。」

 

 「准陸尉って…自衛官!?」

 

 「お前が!?」

 

 おどけてそう答える少年………ジューゾーに、クロとシロが驚愕を露にしている。

 

 「………()()()()()()を使うなんて………」

 

 「………()()()()()()()、この国の連中はイカれてるよ……()()()()()()………」

 

 クロ達は侮蔑も露にそう言うが、ジューゾーはさして気に留めなかった。

 

 「クロナたちはこんなところでどうしたですか?自衛官辞めたですか?」

 

 「国なんて捨ててやったよ。」

 

 「歪んだ国の犬になることに未練なんて無い。」

 

 「そりゃ、けっこー。」

 

 ジューゾーは自身の質問に対してすげなく返されたが、やはり気に留めなかった。

 

 「僕ですね、昔から考えてたんです……双子の腸の長さをくらべてみたいって……どっちが長いかなあ…?ウフフフ……」

 

 ジューゾーはそう言って、着装している試作機動重装甲冑(SAA)………XAA-006R“修羅·壱式”を起動させ……

 

 「僕が自衛官で、キミ達はテロリスト……だったら殺しちゃっても問題ないですよねえ……」

 

 ……歪んだ笑みを浮かべつつ、支給されたばかりの試作武装“13,sジェイソン”を構えていた。

 


 

 オマケ その1

 

 バンジョーは青年に助力するため、少女達の後を追っていた。

 

 そして地下通路の途中にある、貯水タンクの並ぶ空間で少女達を発見したが……

 

 「……!?…なんだ……!?」

 

 ……隠れて様子を窺うと、少女達は負傷している様子も無いのに、地面に蹲っていた。

 

 見つかると面倒なので、バンジョーはその場を迂回して通路の先へ進むと、前方から何者かが走り寄って来て、あっという間にバンジョーの眼前までやって来る。

 

 「ッ!?…お前は!?」

 

 立ち止まったその男は、アオギリの外套とマスクを身に着けていた。

 

 バンジョーは、慌てて身構えるが……

 

 「待て、慌てるな!」

 

 ……そう言って、男はマスクを外す。

 

 「ッ!?アンタは!!」

 

 バンジョーは、その男に見覚えがあった。

 

 半年前にアオギリのアジトから脱出した時に会った、青年の仲間の一人である。

 

 たしか青年は彼の事を“ヨモさん”と呼んでいた事を思い出す。

 

 「何で、アンタがここに?」

 

 「俺の事はいい。それよりも……」

 

 四方はバンジョーに、青年の居場所を伝える……半年前のアオギリのアジトでの、青年の様子を教えた上で。

 

 「公安もここに来ている。早くアイツを連れて、脱出した方がいい。」

 

 「……わかった…アンタも気を付けてな……」

 

 そう言って四方は施設の外へ、バンジョーは青年の元へ向かって、それぞれ走り去って行った。

 


 

 オマケ その2

 

 「ウオォォォォオ!!眼帯ヤローはどっちだ!?」

 

 施設の奥へ向かって、ナキが爆走していた。その後ろでは“白スーツ”の彼の舎弟が追走している。

 

 ナキはしばらく月山と交戦していたものの、「眼帯ヤローがその場にいないのに、コイツとやり合っていても仕方ない」と思い直し、さっさとその場を離れて青年を探していたのである。

 

 しばらく走っていると、通路の奥からアオギリの外套とマスクを着けた男がやって来る。

 

 「オイ!!眼帯のマスクを着けたヤローを見なかったか!?」

 

 ナキはその男………変装している四方を、疑いもなく味方だと思い込み、聞いていた。

 

 四方は嘉納が脱出している方向を、青年の居場所と偽って教える。

 

 「オゥ!!ありがとよ!!」

 

 ナキはそう言って、舎弟を引き連れて教えられた方向へと爆走して行った。

 

 「……敵ながら心配になる程の純粋さだな……」

 

 走り去ったナキを見て、四方はそう呟いた。

 


 

 「……?…あんな奴、アオギリにいたっけ?」

 

 ナキは爆走しながらも首を捻ったが……

 

 「……まあいいか、眼帯ヤローの居場所を教えてもらったし……アイツはいい奴だな……」

 

 そう言って、ナキは深く気にする事なく施設を爆走していた。

 


 

 兵器解説

 

・XAA-006R 

 鬼神·壱式 高機動戦闘仕様“修羅·壱式”

 

 量産試作機であるXAA-006“鬼神·壱式”をベースに機体追従性と機動力を向上させた高機動試作機。

 

 この機体の戦闘データを元に、後の量産機である獄卒·弐式の高機動ユニットが開発された。

 

 ジューゾーは持ち前の身軽さを生かしたトリッキーな白兵戦を得意としているため、もっぱら高機動仕様の機体を好んで使用している。

 




 
 とりあえず、書き上がっているのはここまでです。

 ……えらく時間が掛かっているのに、まだ全部書き終えてないなんて……

 今回のラストに登場したSAAの様に、今後も過去編で試作SAAをちょくちょく登場させる予定です。

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