あ~……最近疲れが全ッ然取れない………
遠出は出来ない、酒も飲めない、飲食店に限らず店は早々に閉まる…何を楽しみにすりゃいいんだよ…
………まあ、愚痴はともかく………
んじゃ、本編スタートッス…あ~だリィ……
地下の探索を続けていると、いつの間にか
バディを組んでいる
(中略)
我々3人が先へと進み、貯水施設と思しき場所に差し掛かった時に首のない人と思しき死体を発見した。
“人”だと断言出来ないのは、その死体が異常なほど痩せ細り、まるで骨と皮だけのミイラの様な有り様だったからだ。
地下通路を進んだ先の貯水施設と思しき空間で、亜門達は困惑していた。
彼らは
「これは…死体か……?」
……亜門の言う様に、“人と思しきもの”の死体が進行方向の通路を塞ぐ形でうつ伏せに倒れていた。
“人”と断言出来ないのは、その死体には本来首から上にあるべきものが無く、その首から下も
「亜門一尉。少しばかり、この
「
亜門は何が起こるかわからない場所で、足を止める事に難色を示す。
「言いたい事はわかります。しかし
「……わかりました。でも、できるだけ早くお願いします。」
「わかってます。」
そう言った後、駒門は着装しているSAA………XAA-006FRec 鬼神·壱式
……ゴボ…ゴボゴボ……ザバァッ!
「……ま……ま……」
……水面から肥大した体躯の人型の“何か”が浮かび上がって来た。しかも……
「ッ!?」
「なッ!?」
ザバァッ!ザバァッ!ザバァッ!
「……あ…うう……」
「……おな…か…すい……たよ……」
「……うう…う……」
「……ああ…あ……」
……一体だけではなく、同じ様な人型が複数浮かび上がって来たのである。
気が付けばこの空間には謎の人型………
そして、最初に現れた1体が駒門に襲い掛かる。
パンッ!
駒門は反射的にH&K USPを抜き放ち、実験体に向けて発砲した。
しかし……
「オイオイ…こりゃ一体全体どうなってやがんだ?」
……駒門の放った銃弾は狙い違わず実験体の急所に命中したが、全く堪える様子がないどころか銃弾の命中した部分の傷が見る見るうちに塞がっていくのである。
パンッ!パンッ!パンッ!
アキラもコルト・ガバメントM1911………彼女はテロリストを一撃で無力化するパンチ力を優先して、9㎜拳銃ではなくこちらを予備の装備品から引っ張り出し使用していた………を抜き放ち、実験体に発砲したが結果は同じであった。
「一旦、通路まで退くぞ!」
着装しているSAA………XAA-006S 鬼神·壱式 重装備仕様“羅刹·壱式”を起動させて、手に持っていた大剣型試作武装“クラ”で応戦していた亜門は2人に後退を指示する。
実験体に囲まれる事を避けるため、亜門達は一旦通路まで後退して行った。
時を同じくして、篠原達も通路上に溢れかえる実験体を相手に交戦していた。
「やれやれ……まるで、お化け屋敷だね……」
篠原は着装しているSAA………XAA-004-02β アラタver.2βを起動させ、大鉈型試作武装“オニヤマダ”で実験体を斬り伏せながらそうぼやいた。
彼らは通路上の実験体を退けつつ、奥へ奥へと進んで行く。やがて通路を抜けたその先で、彼らは広大な部屋に出る。
「ここは……」
「わからん…ラボの様だが……」
篠原の言う様に、そこは広いスペースを持つ研究室と思しき場所であった。
しかし、その内部の状態はというと……
「何だ…この有り様は……?」
……壁や床は、まるで熊やゴリラの様な猛獣が暴れまわったかの様にあちこち破壊されていた。
また、部屋のそこかしこに……
「ッ!?死体?」
……篠原達も交戦していたものと同じものと思しき、実験体の死体が無数に散乱していた。
その死体は首や胴、手足など様々な部位が切断されていて、原型を留めているものは皆無である。
篠原達はしばし部屋の中を見回していると……
ドシャッ!
……突如、頭上に影が差したかと思ったら実験体の死体が眼前に落ちて来る。
その死体は上半身だけになっており、腹部から下は両断されたのか、どこにも見当たらない。
「だれ…ですか……?」
不意にそんな声が聞こえた。
篠原達は声の聞こえた方向に目を向けると、そこには眼帯と剥き出しの歯茎を模したレザーマスクを着けた白髪の青年が立っている。
その青年は身体のそこかしこに返り血を浴びており、この部屋の惨状は彼の仕業である事を匂わせていた。
「アンタが、こいつらのボスかい?」
「ボス?ここの連中と一緒にしないで下さいよ………」
篠原の質問に対し、青年はハッキリと否定する。
「……ということは、この施設を襲撃していたのはアンタかい?」
「襲撃って……まあ、この状況を見ればそう考えるのも無理はないですが……」
続く質問に、青年は歯切れ悪く答えた。
端から見れば、青年達の行動は立派な不法侵入である。
そう考えれば、施設の主である嘉納が青年に対して行っていた事は、不法侵入に対処していただけとも取れる………もっとも、普通に警察へ通報すれば済む所なのに、嘉納も嘉納で倫理を無視した非人道的な人体実験を繰り返していて、それが出来ないでいるのだからどっちもどっちなのだが………。
「何にせよ、アンタにはとりあえず重要参考人として、我々に同行………」
「わあぁぁーーーッ!!」
パパパパパパパパ……
篠原が言い終わる前に、手に持っていたH&K MP-5で今までの状況から半ば恐慌していた車谷が、青年に向けて苦し紛れに発砲した。
「バカモンッ!許可無く発砲するなッ!!止めろ!止めェいッ!!」
篠原はそれを止めようとするも、車谷はマガジン内の弾丸を撃ち尽くすまで発砲を続ける。
だが……
「うッ………ッく………!!」
ズグ……ズググ………
……青年は先ほどまで交戦していた実験体と同様、銃弾の撃ち込まれた部分が再生していた。
「……ッ!………化物ッ………!!」
「……化物…ね………好きで…こんな身体に……なった訳じゃ……無いん…ですがね………」
思わず漏れる磯山の言葉に、青年は自嘲気味に力無く反論する。
その言葉で篠原は察した。この青年は嘉納による人体実験の被害者なのだと………。
「……先ほどの発砲と発言に関しては詫びよう。その上でもう一度言わせてもらう………重要参考人として、我々に同行してもらえないか?」
篠原は青年に対して、できるだけ礼節を持って任意同行を促すが……
「……ご厚意は有難いのですが、僕の人権は保証出来るのですか?」
「ッ!!それは………」
……篠原は言葉に詰まる。
そもそも今回の強制捜査自体、混乱を避けるために一般には極秘で行われているものである。
更に今回の件で篠原達、自衛隊関係者にある権限はあくまでも“捜査中に予想される脅威の排除”のみであり、“逮捕·連行した者の身柄の保証”は公安に委ねられている。
先ほどの発砲と現在の磯山達の態度を見ても、公安が青年にマトモな扱いをするとは到底思えなかった。
ましてや国内外の医療系学会関係者にとって、青年は垂涎の的である。そんな連中が青年の人権を尊重するはずも無く、彼を“生きた研究資料”にする事は目に見えていた。
「……例え、こんな身体になっても……僕は“人”でありたい……“人”として生きたい………そう思って……そう考えて、生きて行く事自体が罪なんですか?」
「………フンッ!」
磯山は青年の問いに対して鼻で嗤い、手にしているソードオフモデルのレミントンM870を構える事で答える。
(やれやれ……これじゃあ、どっちが犯罪者なのか分からないね………)
とはいえ篠原も立場上、青年を捕らえない訳にはいかない。青年に対して気の毒な気持ちが無いわけではないが、何より彼にとって大事なものには優先順位がある。
「……済まないが、私にはそれに答える権限が無い……」
篠原にはそう答えるのが精一杯であった。
「……そうですか……ならば、仕方ありませんね……僕も、ここで捕まる訳にはいきませんから……」
青年はそう言って身構える。
「ッ!来るぞッ!!」
篠原が注意を促すと同時に、青年は正面から一気に間合いを詰める。
(正面から来る気か?バカめ!射程に入ると同時に散弾をありったけ喰らわせてやる!)
いくら傷が再生しても、ミンチになってしまえばどうにもなるまい……と、磯山は高を括る。彼は最初から青年を生かして捕らえるつもりなど無かった。
だが……
「なッ!?」
バッ!ドガァッ!!
「ぐくっ……ッ!!」
青年はショットガンの射程ギリギリから一気に跳躍し、篠原にラ◯ダーキックを叩き込む。篠原はそれを“オニヤマダ”で受け止めていた。
「……くッ!!………ぜあッ!!」
篠原は辛うじて、それを押し返す。
(危ねぇッ!……“アラタ”を起動させてなかったら、背骨がやられちまってた所だ……)
「こいつッ!!」
青年が篠原から離れた所で、磯山が慌ててショットガンを構えるが……
「遅いッ!!」
……青年は一瞬で間合いを詰め……
「だあッ!」
ズドンッ!!
……足指、足首、膝、股関節、腰、胴、肩、肘、手首の順に力を伝達させ、最後に両の掌底から磯山の水月(鳩尾)へと余すこと無く伝達した全ての力をぶつける。
拳法で言うところの“浸透勁”と言う技である。
それは、磯山が着装しているSAA………AAM-006J量産型SAA“獄卒·壱式”の装甲越しに、内臓へと直接ダメージを与える。
青年は手加減していたため、致命傷にはならないがそれで十分である。
「ガハッ!!」
磯山は堪らず、2~3歩下がった所へ……
「喰らえッ!!」
ドゴォッ!!
……ローリングソバットを叩き込み、ラボの入口近くまで蹴り飛ばした。
「ヒッ!!」
パパパパパ……
車谷は恐怖心から青年にMP-5の銃口を向けるが……
ガシッ!ドゴッ!!
……青年は一瞬で距離を詰め、銃身を掴んで射線を逸らし、車谷に膝蹴りを叩き込んだ後……
ドガァッ!!
……磯山と同じく、ローリングソバットでラボの入口へと蹴り飛ばした。
車谷の“獄卒·壱式”も、その二発の蹴りで機能不全に陥る。
(……こりゃあ、手加減してどうにか出来る相手じゃないな……)
篠原はそう考え、無線を手に取る。
「亜門、アキラ……応援頼めるか?……ちと、ヤバそうな奴に会った……」
そう言って、篠原は亜門達に応援を要請した。
「それが……!こちらも現在交戦中で……!!終わり次第すぐに……」
亜門が篠原にそう返答した、その時……
「……ま……ま……」
……実験体の1体が、亜門に掴み掛かって来た。
「このッ!!」
ザンッ!!
亜門は掴み掛かって来た腕を、“クラ”で叩き斬る。
「……あ……う……?」
実験体に痛みは無い様だが、突然腕が無くなった事に驚いたのか、動きが止まる。
ドゴォッ!!
亜門はその隙を付き、
(ここの化物の群れといい、篠原さんの所に現れた奴といい……一体どうなっているんだ……この状況は?)
本来彼らの目的は、テロリストである“アオギリの樹”のアジトである可能性が高いこの場所の強制捜査であった。
だが蓋を開けてみれば、現在は正体不明の化物の群れとの戦闘になっている。
万が一の危険を考え、装備をある程度整えた上で踏み込んだため、現在犠牲が出ていないが……
(ジューゾーは一人で大丈夫なのか?)
……亜門はジューゾーの安否について考えていた。
その頃、当のジューゾーはというと……
「よっ……ほっ……あははは!」
……クロとシロの猛攻を受けているが、全て回避していた。その表情には笑みがあり、余裕すら感じさせる。
「「この……!!」」
クロ達はその余裕の態度に苛立ちを隠せない。
「楽しいですねえ、同窓会って感じです~。お腹見せてく~ださい~。」
そう言って、挑発するジューゾーに……
「サイコ野郎……」
「腹を裂かれるのは……」
「「お前だッ!!」」
……クロ達は逃げ場を塞ぐ形で襲いかかる。
ギャリッ!!
「あちゃ……ッとっとっと…」
クロ達の連携を躱しきれず、SAAの腹部装甲に攻撃を喰らい、ジューゾーは思わず後ろへ数歩下がり13,sジェイソンを取り落とす。
「お前には“国の犬もどき”すら相応しくない!」
「悪く思うな!玲ッ!」
そう言って、クロ達はジューゾーへ同時に飛び掛かった。
いくらSAAで攻撃を防ぐ事が出来ても、着装している中の人間が同様に頑健になるわけではない。
クロ達は片方がジューゾーの動きを止めて、もう片方が首を撥ねるか、首の骨を折るつもりだったが……
トンッ!ドシュッ!!
「ッ!?……くッ!!」
「こちらこそ、悪く思わないでくださいねえ。」
……ジューゾーは、いつの間にか抜いていたナイフ………試作高周波ナイフ“サソリ”をクロの左目に突き立てていた。
オマケ
クロ達がいなくなって“白スーツ”の面子も青年を追って奥へと行ったため、残ったのは待ち伏せしていたアオギリの下っ端ばかりとなった。
だが……
「ojama!」
「クソッ!コイツら、キリが無え!」
「つーか、バンジョーさんは?」
「まさか…もう、やられ……」
……嘉納の実験体に行く手を阻まれ、思う様に進めずにいた。
クロ達と交戦する前に、青年が実験体を一撃で倒した前例があったために、対処の方法は分かっていたが数が多すぎるのである。
それでもどうにか実験体の群れを片付けて、月山達は再び先を急ぐ。しかし彼らがしばらく進んだ後、またしても実験体の群れが行く手を阻んでいた。
「またか…」と、月山達が半ばウンザリしつつも身構えたその時……
ヒュンッ!ズパパッ!!
「「「ッ!?」」」
「おや?彼は……」
……通路の奥から何者かが乱入して、実験体の首を次々に撥ねていく。やがて全ての実験体の首を撥ね終えた後、月山達の前で立ち止まる。
「月山……まだアイツと行動しているのか?」
そう言って、その男はマスクを外す。
「ッ!?アンタは……」
「フッ……友人と行動する事がそんなにおかしいかい?
イチミが驚くのを尻目に月山は平然と語った。
「お前達、アイツを捜しているのか?」
「あ……ハイ!……それと、バンジョーさん……ガタイのいい、大柄な男を見なかったッスか?」
ジロが四方の質問に答えつつ、続けてバンジョーの居場所を尋ねる。
「バンジョー?……ああ、アイツと行動している大男か?」
「ッ!!知ってるんスね?」
「ああ……ここに来る途中で会った。」
四方は青年の居場所と、そこへバンジョーが向かっている事を伝え……
「気を付けろ……既に公安が、この施設に突入している。」
「
「了解ッス!」
月山達と四方はそれぞれ施設の奥と外へ別れて移動を始める。
「では行こうか…待っていてくれよ我が友よ!」
「無事でいてくださいよ、バンジョーさん…」
「つーか、もうやられてたりとか……」
「バカッ!縁起でもない事言うな!」
それぞれの思いを胸に、月山達は施設の奥へ進んで行った。
兵器解説
・XAA-006FRec
鬼神·壱式
量産試作型SAA“鬼神·壱式”をベースに情報処理能力、無線の送受信機能を強化した上、各種探査機器を搭載し、前線における情報支援に特化した試作機。
車両が展開出来る場所においてはあまり意味を為さないが、建物内等の閉所、車両が入れない狭隘な場所においては非常に有用である………とはいえその場合であっても、後方の指揮所との連携が不可欠である。
開発の切っ掛けはSAAがようやく形になり始めた頃に模擬戦を行ってみた所、無線が入りにくい場所では後方の指揮所との連携が上手く取れない、と言った事態が頻発し“最前線における情報支援が必須”という問題が浮上したため。
・XAA-006S
鬼神·壱式 重武装仕様“羅刹·壱式”
量産試作型SAA“鬼神·壱式”をベースに重装備を施す事を想定して各種アクチュエーターの強化、重装甲を施し、パワーアシスト機能を強化したという“修羅·壱式”とは真逆のコンセプトで製作された試作機。
本来は重火器を持たせて部隊の砲台役を勤める事を想定していたが、SAA用の固定武装や重砲火器が開発されていない事もあり、亜門はそのパワーを生かし重量級の大型武器を振り回す白兵戦を得意としている。
・大剣型試作武装“クラ”
本編中に亜門が使用していた、長柄の大剣型試作武装。
日本刀型の“ユキヒラ”や“ツナギ”と違い、使用者の技量で“斬り裂く”のではなく、武器自体の重量を用いて“叩き斬る”事を想定した武器である。
また柄を半ばから分離させ、刀身の柄元にある穴に差し込み、左右に分割する事で片手1本ずつの2本の剣として使用する事が出来るギミックが組み込まれており、ギミックを組み込んだ大型武器の耐久性の検証用という側面も持つ。
この当時(今でもそうだが)は、白兵戦用の武器の基本型がまだ定まっておらず、様々な形の白兵武器が開発され試験が行われていた。
過去編はあと2~3話で終わる予定です。
このシリーズを始めてから一気に閲覧数が減ったな………そんなにつまんないのかな?コレ………
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