ッくしゅん!……ズズ……
あ~全く、毎年毎年この時期はイヤになります……目も鼻もムズムズするし………へっくしッ!
今回もおもいっきり手間取りました………パワハラ常習のクソ上司のせいで仕事から帰ってそのまま潰れる日が多かったですし………。
んじゃ早速、本編スタート…へ…へ…へッくしゅッ!!
実験体を全て仕留め終わった後、我々は
(中略)
その入口近くで
2人のSAAを強制脱着させ状況を聞き出そうとした時、部屋の奥から呻き声が聞こえた。
急いでそちらに向かうとそこでは篠原一佐が倒れており、その近くで眼帯と剥き出しの歯茎を模したレザーマスクを着けた男(以下眼帯)が呻き声を上げて立っていた。
「バンジョーさんッ!」
「無事だったんスね?」
「ああ、見ての通りだ!」
その場にいた実験体を片付けた後、バンジョーとイチミ達は一時の再会を喜んでいた。
「見ての通りって……結構、ボロボロじゃないッスか?」
「ウッセぇ!」
「ところでバンジョーさん……さっきまでどこで何やってたんスか?」
「まさか、隠れて……」
「バカ言え!」
イチミ達はバンジョーの無事が判ったとたんに彼をイジリ始める。
「黒白の2人を追い掛けてたんだよ!……したらヤツら2人途中で蹲ってて……見つかったら面倒だから、ヤツらに見つかんねえ様アイツを探してたら……」
「あー、なるほど……コイツらに出くわして追い回されてた…と……」
ジロはそう言って納得した。
「それよりアイツは?」
「今、まさに向かっているところさ……」
バンジョーが青年の事を尋ねると、
「急ぐぞ!」
「無論さ!」
バンジョーはそう言って急いで青年の元へ移動する様促して移動し始めると、月山も同意して後に続いた。イチミ達もそれに続く。
「なんつーか…背筋にビリビリくるんだ……」
バンジョーはえも言われぬ不吉な予感を抱えつつ、施設の奥へと進んで行った。
「眼帯ッ!!」
篠原が倒れ付している様子を目の当たりにした亜門は、周囲が止める間も無く“クラ”で青年に斬り掛かった。
ガキィッ!!
青年は傍らに落ちていた“オニヤマダ”でそれを受け止める。
ギャリッ!ギリリッ…ギィンッ!!
そして、青年はそのまま亜門を押し返した。
「くッ……!」
ズザザザザザッ……!!
亜門は吹っ飛ばされながらも、体勢を整えて着地する。そして、再び青年へ斬り掛かった。
ショットガンをアキラに渡していた磯山は、代わりにニューナンブM60で亜門を援護しようとしたが……
「待て。今、下手に撃てば篠原一佐に当たる。」
……射線上に篠原が倒れているため、即座にアキラから待ったが入る。
ガガガガッ!ガギィンッ!!
その間に青年と亜門は数度の打ち合いの末、鍔迫り合いになっていた。
「眼帯……お前とは、もう一度話をしてみたかった……何故
その時に死を覚悟していたのだが、亜門の言う通り青年は亜門にトドメを刺さず見逃したのである………『人殺しにはなりたくない』という青年の涙ながらの訴えと共に………。
「あの時……お前は泣いていたな……あれは……嘘かッ?」
「あの時?……何の事かしら?」
「ッ!?」
バッ!ザザッ!
(どういう事だ?……俺の知っている「眼帯」の声ではない?)
亜門はバックステップで青年から距離を取った。
「……まあ、どうでもいいわ……ようやく“表”へ出て来れたのだもの……」
タタッ!!
「ッ!?」
キイィィィィンッ!!
「くッ……!」
「久し振りに堪能させてもらうわ!」
青年……否、青年の身体を操る「何者か」は亜門に飛び掛かり、手に持っていた“オニヤマダ”を振り下ろす。
亜門はそれを“クラ”で辛うじて受け止めた。
“青年”は先ほどの様にそのまま押し切ろうとしたが……
ギャリッ!
「ッ!?」
……亜門はその力を左へ受け流して、“青年”の攻撃を逸らし……
パキィィン!ガシン!ガコォォンッ!
……“クラ”の長柄を半ばから分割し、刀身の柄元にある穴へ差し込み、刀身を左右に分割する。
そのまま左手の剣で“オニヤマダ”を押さえて、右手の剣で斬り掛かったが……
「ッ!…っと……危なかったわね……」
……“青年”は“オニヤマダ”を手放し、その一撃をバックステップで躱した。
ドバンッ!ドバンッ!
パパパパパパ……ッ!
パンッ!パンッ!パンッ!
“青年”が亜門から離れた所を見計らって、篠原を巻き込まない方向へ回り込んでいたアキラ達がそれぞれ手に持っていた銃で援護を始める。
「ッ!小煩いわねッ!」
“青年”は部屋の中心部にある巨大な装置の裏へ駆け込んで盾にし、銃撃が途絶えた一瞬の隙を突いて……
ドカァッ!!
……強烈な勢いで近くに倒れていた死体を、アキラ達に蹴り飛ばす。
ドゴォォッ!!
砲弾の様な勢いで死体が飛んできたため、アキラ達はたまらず銃撃を中断して回避する。
“青年”はその隙を突き、亜門を仕留めるために飛び掛かる。亜門は反射的に身構えるが……
「ッ!?」
……突如として、“青年”の動きが止まった。
「ッ!この期に及んで、まだ抵抗するの?」
「当たり…前だ……この身体は……僕のものだ……貴女のものでは…ない………ッ!」
「ッ!!」
“青年”の口から女性のものと青年のもの、2種類の声が聞こえた。しかも青年の声は亜門が知っている“眼帯”のそれであった。
亜門はその事実に驚愕する。
アキラ達もあまりに突然の事態に、銃を構えたまま茫然としていた。
「無駄な事を……そもそも、
「ッ!……ぐうッ!……ッく……」
「さあ!大人しく、その身体を私に明け渡しなさいッ!!」
「ガッ!……くウッ!………ぐくッ!」
“青年”はまるで何者かの洗脳から抵抗するかの様に、頭を抱えて苦しみだす。
亜門達はその様子を茫然と眺めていたが……
ヒュンッ!トストストス……ッ!!
「ッ!?」
……突如、無数の“サソリ”が青年の身体に突き刺さった。たまらず青年は後退る。
「な~んか……ピンチです?」
「
磯山が声の方向に目を向けると、部屋の入口近くで左手で“サソリ”を
「こんなにたくさんいて、みなさん役立たずですねぇ~……」
そう言って、ジューゾーは“青年”へ飛び掛かる。
「亜門さぁ~ん……おたすけ……」
ヒュオッ!ブゥンッ!
ジューゾーは13,sジェイソンで“青年”へ斬り付ける。“青年”は大振りのそれを余裕で躱すが……
「……しま~す……」
ヒュンッ!トスッ!!
「ッ!!」
……ジューゾーは“青年”の軸足に“サソリ”を投げて突き立てる。
たまらず、“青年”が一瞬動きを止める。
「えいっ!」
ザシュッ!!
「ッ!!ガハッッ!!」
そして、隙を晒した“青年”のボディを13,sジェイソンで斬り裂いた。
「ッ!……くウッ!」
ズグググ……ジュクジュク……
だが若干浅かったのか“青年”は傷口を押さえて再生させつつ、バックステップで距離を取る
「ッ!眼帯ッ!!」
ジューゾーは追撃を掛けようとしたが、それより先に亜門が“青年”へ飛び掛かった。
「……いいんだな……?」
亜門は“青年”に“クラ”を突き付けつつ尋ねる。
「……“只の化物”でいいんだなッ!!?」
その問いの意味は……恐らく亜門と“青年”にしか通じなかったであろう。他の面々には、亜門が何を言っているのか判らなかった。
「………僕は……僕は……“人”として……生きたい………」
「………そうか………」
ドガァッ!!
亜門はまるでゴルフスイングの様に、一本に戻した“クラ”の側面を“青年”に叩きつけて部屋の奥へ弾き飛ばす。
トッ!トッ!……タタタッ……!
だが“青年”はその勢いを利用して、壁を駆け上がって天井近くの通路から脱出して行った。
ジューゾーは後を追いかけようとしたが……
「追わなくていいッ!!ここから篠原一佐を連れ出すのが先だ!!」
……篠原を連れ出す事を優先するため、亜門はそれを止める。
「そんなこと後で……」
亜門は有無を言わせぬ圧力と視線で、それ以上の反論を封じた。
「………ちぇっ………」
コンッ
ジューゾーは不満顔で足元の小石を蹴飛ばしていた。
「…わかる……感じる…!“彼”が僕を呼んでいる!」
「…………」
月山達は青年と合流するために、実験体の妨害を受けつつも施設を進んでいた。
「広すぎて見つかんないッスよ…」
「これだけ時間が経ってる…何かあったに違いねえ……」
バンジョーとイチミ達は焦燥を募らせつつも、先へと急ぐ。
「ヒナちゃんがいれば、どこにいるのかわかったかも知れねぇけど…………ッ!」
そう言って通路を進んで行くと、通路の先で青年が蹲っているのが見えた。
「………ッ!!無事だったかッ!?」
「バンジョー……さん……?」
声をかけられた青年は、ノロノロと顔を上げると……
「バンジョーさん…みんな……よかったぁ………」
……焦点の合わない目でバンジョー達の姿を認めて、ヨロヨロと左手を振り上げ……
ゾブッ!
「…助けに来たよ……」
……貫手をバンジョーに突き立てていた。
「……かハッ……………ッ!?」
バンジョーはそのまま崩れ落ちる。
「「「バンジョーさんッ!」」」
イチミ達はバンジョーを助けに青年へ飛び掛かるが……
バキキッ!ドカッ!
「ぐッ!」
「ガッ!」
「クッ!」
ザザザッ!!
「ッ!」
「てェッ!」
……3人まとめて返り討ちに会い、弾き飛ばされた。
「………君ッ!!正気に戻りたまえッ!!」
月山も青年を取り押さえようとするが……
ドカァッ!!
「ッ!……ぐはッ!!」
……イチミ達と同様、弾き飛ばされた。
「……戦わないと……強くならないと、みんな殺される…僕は戦い続けないと……もっと、もっと、もっと、もっと、もっと………え?」
蹲っているバンジョーを見て、一瞬青年の目にわずかに正気の光が宿る………
「あ………あああアアアあアァァァぁぁ………ッッ!!!」
……そして、青年は先ほど誰を攻撃したのか悟る。
(何をやっているんだ、僕はッ!?何のために僕は“弱さ”を……“日常”を……“人間”を捨てたんだッ!!?“大切なもの”を守るためじゃなかったのかッ!!?それなのに……僕はッ!……僕はッ!僕はッ!僕はッ!僕はッ!僕はッ!僕はッ!僕はッ!…………)
「ああアアアアァァァァァアッッッ!!!」
「……………」
頭を抱え、蹲って絶叫している青年を月山は茫然とした顔で見ていた。
「バンジョーさんッ!」
「大丈夫だ…急所は外れてるッ!」
イチミ達はその隙に、バンジョーへ駆け寄る。
バンジョーはそれを制しつつ、傷口を押さえて立ち上がった。
「うウウぅぅゥ……アアあぁァァ……ッ!」
青年の様子を見て、バンジョーは
8ヶ月ほど前……
東京太田区 アオギリアジト内部
当時、四方はその行動を監視するために自分に同行させた月山と、四方の友人で
ドガガガガガァァァァッ!!
その時、四方達が向かう先で突如として凄まじい崩落音が鳴り響いた。
「ッ!急ぐぞッ!!」
四方はウタと月山を促して先へと急ぐ。
崩落音からしばらくして、進行方向から……
「うわぁぁぁッ!」
「ぎゃあァァァァッ!」
「撃てッ!撃つん…ガッ!」
「ヒィッ!」
「イヤだッ!イヤだぁァァッ!」
「馬鹿者ッ!逃げる…ぐベェッ!」
「ガッ!」
「アアアアァァッ!」
……突入していた自衛隊員のものと思しき、複数の悲鳴が聞こえた。
そして、悲鳴が聞こえた部屋で四方達が見た光景は……
「……………」
「……………」
……アオギリの幹部である“ノロ”という男と対峙している“青年と思しき者”の姿であった。
青年と断言出来なかったのは、その容姿はもちろんのこと、目付きに加えて身に纏っている空気や雰囲気までもが、拉致される以前のそれとはまるっきり豹変していたためだ。
月山は一瞬戸惑っていたが、四方は
部屋の中を観察すると、元は人間だったと思しきものの一部がノロの周囲に散乱している。恐らく、部屋の中にいた自衛隊員はこの男によって全滅させられたのだろう。
よく見ると、青年の足元には十代半ばの少年と思しき者が、気を失って倒れているのが見えた。よほどひどくやられているのか、その姿はボロ雑巾の様な有様である。
四方は青年の足元で気絶している少年の事をよく知っていた………その狂暴性と実力と共に……。
(これを……アイツがやったのか……?)
ノロと対峙している青年の様子と気絶している少年のやられ様から、四方は青年に何が起こったのかを凡そ察した……
ジャッ!
青年が身構えてノロと戦闘に入ろうとしたが……
「止めろ…」
……四方は青年の肩に手を置いて制止した。
青年が振り向き、四方達の姿を認めると驚愕して目を見開く。
「ヨモ……さん……」
「…………もういい…少し…休め………」
「やす…む……何で…?」
青年は驚愕している顔で、その場にへたりこむ。
「……僕は…僕は戦わないと………もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと………」
青年はそう言いながら、頭を抱え苦しんでいた。
「…………君、ここは任せてよ……」
ウタも気遣わしげに、青年の肩に手を置く。
月山は青年の豹変ぶりを興味深げに見ていた。
「……いくぞ……」
そう言って、四方達3人はノロに挑んで行った。
『アイツは今、“力”に囚われすぎている…今の状態が続けば、いずれその“力”が仇となる時が来る……アイツの支えになる人間が必要だ……』
バンジョーは青年の様子から、その言葉をまざまざと実感させられた。
『“何のために力を求めたのか”……その事を考え続けなければ、アイツは“力”を求め続けていく内に身に付けた“力”によって知らずに身内に牙を剥く事になり得る……その事実は、アイツを更に苦しめる事になるだろう……』
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい………」
頭を抱えて蹲り謝罪を続けている青年を見て、バンジョーは改めて決意した………真の意味で“青年の盾”になる事を………。
「……痛ぇよな……」
ビクッ!!
「……こんなケガの痛みなんざ、目じゃねぇ痛みを……お前は抱え続けていたんだな……」
「………?」
青年はその言葉にのろのろと顔を上げる。
「……お前は……みんなの分の“弱さ”まで背負って…もっともっと強くならなくちゃいけねぇ……」
「……バンジョーさん……ぼ…僕は……」
バンジョーはそんな青年に諭す様に続ける。
「……仲間に何かあったら、全部自分のせい……一人で全部抱えて…弱音のひとつも吐かねぇ……ツレェだろ……?そんな生き方は………」
バンジョーはそう言って、青年に歩み寄る。
「……頼りねぇかも知れねぇが、もっと俺を頼ってくれ……俺はお前の“盾”だ、言ったろ?……誰かを救う前に、お前が救われてくれ……」
そして、気遣わし気に青年の肩に手を置く………「もう自分は大丈夫だ」と青年に伝える様に。
その後、気絶した青年をバンジョーが背負って、月山達は施設を脱出して行った。
兵器解説
・AAM-006J “獄卒·壱式”スタンダード仕様
自衛隊初の制式量産型SAA。
量産試作型SAA XAA-006 “鬼神·壱式”の設計をベースにコストダウンを追及していった結果、どうにかスペックを落とさずに量産可能なコストまで落とす事に成功した。
本作に登場したのは、その先行量産分の初期ロットの機体である。貴重な機体だが突入する人間の安全を考慮し、自衛隊から特別に公安の職員に貸し与えられた。
嘉納の施設での戦闘データから、「操作そのものには特別な訓練を必要としないが、一定以上の実力がなければ戦力にならない」という事実が明らかになった。
そのため以後SAAはライセンス制となった。
ちなみに4話目にマスコミにお披露目したAAM-006JSとAAM-006JRは、この機体をそれらしく飾り付けた(しかも嘉納の施設で中破した機体を修理して再利用した)言わばハリボテの機体で、実機はまだ完成していなかった。
過去編は次回で終了……の予定です。
まさか、ここまで長編化するとは…ッくしゅん!
ご意見、ご感想をお待ちしております。