最近、仕事から帰った後にそのまま力尽きて寝てしまう事が多々あります……あ~しんど………。
お陰でなかなか執筆が進まなかったし……。
話を作る側になって、改めて「こち亀」の秋本治先生の偉大さがわかる今日この頃……。
何十年もの間に一回も休みを挟まず、しかも絵も一緒に毎週ネタを提供し続けた事には本当に頭が下がります……。
んじゃ、本編スタート!
急いでそちらに向かうとそこでは
どうやら正気を失っている様だが、こちらに被害が出ている以上は躊躇っている余裕はない。
私は“眼帯”との交戦に入った。
篠原一佐を戦闘不能にするだけあって手強い相手であったが、戦闘中にこちらに合流した
「医療班を要請してくれ!」
亜門は篠原に駆け寄りながら
それを受けて、駒門は即座に屋敷側で待機していた部下に通信を入れる。
「篠原さんッ!…篠原さん……ッ!!」
亜門は半ば祈る様な気持ちで篠原に呼び掛ける。
(頼む…どうか……)
「……う……」
「ッ!」
亜門の呼び掛けに応えたのか、篠原が呻き声を上げつつ目を開けた。
「……ッ……スマン…衝撃で意識がトんでた……大丈夫、無事だ……」
「篠原さんッ……!!」
篠原は、弱々しくも亜門の声に応える。
「……どうにか致命傷は免れたよ……肉はかなり抉られたがね…“アラタ”のおかげで…と、言いたい所だが……」
「?」
「どうも、ヤツは私を殺すまいと“何か”に抵抗していた様だった……何故かは分からんがね……」
「…………」
(……眼帯……)
亜門は一瞬目を閉じた後、ジューゾーに向き直る。
「ジューゾーッ!」
「何です?」
ジューゾーは面倒臭そうに答える。
「作戦中はチームで動け!篠原さんに何かあれば、お前は必ず後悔する事になる!」
「しませんよ?」
「……それは“冗談”か?」
「いいえ…僕は“そういうの”なんとも思いません、だから大丈夫です。」
ジューゾーは平然とそう答えた。
亜門は思わずジューゾーに掴み掛かろうとしたが……
「止せ!亜門!」
「篠原さん?しかし……」
「
「………」
亜門は篠原にそう言われて何も言えなくなる。
「あーあ……こりゃ完璧に始末書モノだな……まっ、お前よりマシだろうけどな!」
「言わないでくださいよ……テロリストへの無許可·無警告の発砲……一体、何枚始末書を書かされるんだろう……」
そこへ、擱座した“獄卒·壱式”を調べていた
「どうでした?」
「駄目ですね……人力じゃあ、どうにもできません。」
「そうですか……なら、一旦置いていくしかないですね……開発室から、また文句が出てくるでしょうが……」
そして亜門たちは増援を待って、全員で一旦施設から脱出した。
「あれ?……彼、眼帯くん逃がしてたね……いいのかな?自衛官なのに……」
施設内の資料室兼サーバールームで、監視モニターを見ながらエトが呟く。
傍らでは、
「あの様子だと、眼帯くんは
モニターに写っていた一部始終を見て、エトは興味深げに言う。
「…………」
その後ろの壁際では、
「全速力で突き進む人ほど、コケた時が見物だ……」
エトはまるでスポーツ選手の好プレーを期待しているかの様な口調で語った。
「……よし、これでいい……そろそろ出ようか?」
「あれ?結構な量の資料とかデータとかが残ってるけど、いいの?」
「ああ…あれはもう私には必要ないものだし、そろそろ彼らにも君たちの事を正しく把握してもらった方がいいだろうしね……」
そう言って、嘉納は座っていた椅子から立ち上がる。
「ありがとうね、先生。先生が来てくれれば、タタラさんも喜ぶよ。」
「私はヒトの身だが、目的は君たちと同じ……お互いの利点を有効活用しよう。」
嘉納たちがそう話していると……
「………パパ?」
「ッ!クロ!」
……シロを抱えたクロが室内に入って来る。
「酷い有様だ…すぐに栄養を取り、細胞分裂活性剤を注射しよう。」
クロの状態を見て、嘉納はすぐさま処置の準備を始める。
「それよりパパ…!シロを…シロをみてあげて!」
嘉納はクロに促されて、シロの状態を診るが……
「……うん…身体の損傷率が七割を越えている上、傷が『核』にまで達している……回復は不可能だ、置いて行きなさい。」
「!?」
……嘉納の淡々とした、感情を感じさせない冷徹な診断にクロは驚愕した。
「大丈夫、すぐに友達が出来る…たくさんね
……さあ、抜け道から外へ行こう。」
その言葉を背中で聞いていたクロは、その場で崩れ落ちた。
そしてここに来る前に、エトから聞かされた言葉がクロの脳裏に甦る。
『止まない吐き気と引き換えに手に入れたのは、愛してやまない愛された日々…』
『でも空いた穴をいくら塞いでも、空いた事実は決して変わらない…』
『あの日…ご両親を失って、さぞかし悲しんだでしょうね……でも、嘉納はあなたたちのパパじゃないよ…』
『たとえ、あなたたちの生家を買い取っても、あの家は帰ってこない……代替品は代替品でしかないもの…』
『本当の事から目を背けるのは、虚飾の世界の方がよっぽどマシだから?』
『人に愛される最も簡単で効果的な方法は、「その人のキズを見抜いて」「そっと寄り添う事」…』
『本当は、あなたたちの弱さにつけこんでいるだけなのに…』
『あの男は、過去の痛みをほじくり返して、痛みであなたたちを支配している……』
『あなたたちを本当に愛してくれるのは…本当のパパとママだけ……じゃあ、もうこの世では愛されないね…』
『そんな身体になってしまったら、もうヒトの世にも帰れない…』
『化物になるってどんな感じ?』
『あなたたちは何人殺した?』
『「元人間」が人間を殺した感想は?』
『……ねえ…きかせて……』
その話を聞いた当初はそれを頭から否定していたが、今はクロの中で急速に現実味を帯びていった。
「……………」
「ほらクロ…置いて行くよ……早く帰ろう。」
シロになんら未練を見せないその嘉納の態度が、クロの中の疑念を確信へ変えていく。
「……ク……ロ………おね…え……ちゃ…ん……」
シロの弱々しい声を聞きながら、クロは自分の信じていたもの全てが足元から崩れ落ちていった。
翌日……
「全く……どこから現れるかわからない、施設内の怪物の掃討と制圧って……バイ◯ハザードじゃああるまいし……」
……嘉納の施設内部でM26MASSを取り付けたM4カービンを構えつつ、愚痴をこぼす
『
「へいへい…」
現在彼の所属している部隊は、密命を受けて嘉納の施設の制圧に乗り出していた。
亜門の報告で彼らの用意した装備と人数だけでは施設の制圧は不可能と判断され、伊丹たちが駆り出されたのである。
伊丹の部隊には全員にSAA………AAM-006J“獄卒·壱式”や、XAA-007“鬼神·弐式”が配備されている。
しかも、今回の様な表沙汰に出来ない作戦は彼らにとって日常茶飯事であり、彼らにはまさにうってつけの役割であった。
「まあ、確かに……郊外の山の中にある屋敷の地下にある怪しげな研究施設に、得体の知れない化物って……伊丹の肩を持つ訳じゃないが、何気に共通点が多いよな……」
先頭で同じくM26MASS付のM4カービンを持って、ポイントマンを務める
『
「そう怒鳴るなよ…今まで前例のない任務なのは確かなんだから……」
そう言って、剣崎はオペレーターを宥めた。
「こちら
『HQ了解!後続部隊の到着後、ポイントE5に向かってください!送レ!』
「
XAA-006FRec“百々目鬼”を着装している、部隊の指揮官である
「聞いての通りだ!後続の部隊が来るまで、この場を確保!到着後補給を受け、ポイントE5へ向かう!」
「「「「「「「了解!」」」」」」」
こうして丸一日を掛けて、伊丹たちは施設内部を完全に制圧していった。
翌日……
「……何と…いう事だ……ッ!」
……嘉納の施設内の資料室で、亜門は思わず言葉を漏らす。その手元には、一枚のカルテと思しき書類があった。
(………この事を……今もなお“彼”の帰りを待っているであろう彼女たちに……何と話せばいいんだ………ッ!!)
そのカルテには、亜門が“眼帯”と呼んでいる青年のものと思しき顔写真が貼られてあった。おそらくそれは“眼帯”のカルテであろう事は間違いない。
そのカルテに書かれていた名前は……
……………………青年は同行を申し出て来たアオギリの内部協力者達、そして“あんていく”の面々と共に彼の救出に来ていた一人の青年………
“少女”の名は「
“医師”の名は「
そして青年の名は……………
………「
この日、施設内部にあった資料室から膨大な量のカルテや実験資料、そして量はおろかその内容すら常軌を逸する実験記録が押収された。
また、同時に行方不明になっていた防衛省の職員が死体で発見された。その死体に無事な部分は一つとして無く、壮絶な拷問が行われた事は容易に想像がついた。
更に、室内の端末内には世界各国に情報をリークした形跡が発見された。どうやらこの施設は嘉納の実験設備としてのみならず、情報収集·保管·発信のための拠点でもあった様である。
そして、警察庁と防衛省は、この時押収された資料から“アオギリの樹”のメンバー………正確にはその遠い祖先の出自を知ることとなる。
施設から押収した資料を調べていくと、驚くべき事実が明らかになった。この資料に書かれている事が事実である保証はないが、もし事実であるならばアオギリの行動目的も動機も全て辻褄が合う。
資料によれば、少なくとも邪馬台国が建国されるより以前から“我々の世界とは別の世界”………俗に言う異世界からやってきたらしい。
彼らが以前に住んでいた世界では“亜人種”と呼ばれ、身体能力には劣るが圧倒的に数の多い“ヒト種”……特にその支配階級から迫害を受けており、それらから身を潜める様に隠れ住んでいた。
信じ難い事ではあるが、その世界の“亜人種”には多種多様な種族がおり、大半が“ヒト種”とは異なる外見で、およそ半分以上の種族が半人半獣の種族であるという。
それらは全て、ヒトとしての知性と獣としての能力を併せ持っていた。おそらく、それ故に数だけは多いヒト種から迫害されていたのであろう。
彼らは迫害を受けるのみならず、隠れ里を滅ぼされる事すらあった。
(中略)
その様に、故郷を滅ぼされた亜人種たちが集まってコミュニティが形成されていき、その中から迫害を受ける事のない新天地を求めた者たちが、彼らが“アルヌス”と呼ぶ聖地から“こちら側”へやって来たという。
彼らは異世界にいた時から異種族間で交配を重ねる内に、ヒト種の見た目そのままに亜人種としての卓越した身体能力を持つ様に進化していった。
だが、外見的差異がなくなっただけで迫害は無くなる訳ではなく、それはこちら側に来ても同じであった。
(中略)
結局こちら側でも権力者に見付からぬ様に隠れ住んでいたが、戦国時代に突入するとそうも言ってられなくなる。
国家間は言うに及ばず、小規模の集落の間でも頻繁に争いが起こる様になったのだ。
よく知られる様に、戦争には莫大な資材や糧食が必用となる。糧食は集落のもので賄えるとしても、資材は集落だけでは賄えないため外から買い集める必用があり、資金が必用になってくる。
そのため、彼らは外貨を稼ぐ必用が出てきた。
だが、寂れた山村に大金になる様な売り物があるわけがなく、結果彼らは時の権力者に自分たちの力を売り込み、傭兵稼業で稼ぐ様になったのだ。
ここまで書けば、もうわかるであろう。つまり、彼らは忍者の末裔でもある。
(中略)
第2次大戦が勃発して、それ以前から諸外国との国力差からまともな方法では日本は勝てないと踏んでいた当時の科学者の一人が“亜人種”の存在を知り、その身体能力の高さや稀に出てくる特殊な能力に目を付けた。
彼は亜人種の里まで赴き、協力を求めたが亜人種側の返答は素っ気ないものであった。
粘り強く交渉を続ける彼だったが、その事実が軍の上層部に知られ「お国に非協力的な非国民」として当時の陸軍に糾弾され、里に攻撃を仕掛けられたのである。
軍部では“亜人種”など信じてはいなかったが、国内にその様な“非国民”がいるという事実自体が彼らにとって不都合だった。
結果“亜人種”の里は滅ぼされ、彼らは散り散りになった。
ある者たちは無人島へ流れてその島を開拓し、またある者たちは人里に紛れ、またある者たちは別の山中に新たな里を開拓した。中には「木を隠すなら森の中」と大胆にも当時の東京まで赴き、使われていない地下空間に新たなコミュニティを築く者たちもいた。
だが、迫害に次ぐ迫害で燻っていた不満が爆発する者がいないはずも無い。
戦国の世が終わって、里から何人か“抜け忍”が出て小規模の山賊となり、それから第2次大戦まで離散集合を繰り返していた集団がこの事件で大量に里にいた亜人種を吸収して、アオギリの前身となる組織ができあがったのだ。
3年後……
特地派遣部隊 出陣式前日 19:20頃
東京新宿区 防衛省本部 情報二課オフィス
「あれ?
帰り支度を整えた丸手の部下が、オフィスの出入口で丸手に声を掛けた。
「ああ…これを片付けたらすぐに出る……先に帰っていいぞ!」
「それじゃ、お疲れ様でした!」
そう言って、丸手の部下はオフィスから出ていった。
丸手はその場で部下を見送り、手元にあった資料に目を戻した。そして、少ししてから読み終えた資料を棚に戻して、自分も帰り支度を整える。
オフィスから出て、室内の電気を消す直前…丸手は先ほど棚に戻した資料の方を見て……
「………関係無ぇと思うがな………」
……そう言ってオフィスの電気を消して、帰路についた。
今回の共同任務において、公安の容疑者に対する態度はあまりに目に余った。
如何に我々自衛隊側に容疑者の身柄に対する裁量が無いとはいえ、度の過ぎた扱いに対しては抗議する権限ぐらいは在ってしかるべきであろう。
今後、今回の様な共同任務があった場合は、我々自衛隊側にも容疑者の身柄を保証する権限が付与される事を、切に願うものである。
20XX年XX月XX日
亜門
亜門はこの報告書を篠原の陳情書と共に公安本部及び警察庁に提出したが、一顧だにされなかった。
彼らにとって青年と篠原たちとの死闘も、嘉納の倫理を無視した非人道的な実験も数ある他の事件と同じものに過ぎないのだ。
そのまま処分されそうになった所を、駒門が密かに回収し、亜門を通して防衛省の資料室の片隅に保管されていたのである。
これは一般には見向きもされず、しかし当事者たちの記憶の中に確かにあった…そんな、ささやかな記録………
兵器解説
・XAA-007
量産試作型SAA “鬼神·弐式”
AAM-006Jの完成と量産化で「先進個人装備開発計画」の一応の目的は果たしたものの、防衛装備庁にしてみればスペックもコストパフォーマンスも十分とは言い難かった。
そこで現状の量産機のスペックを維持しつつ、更なるコストパフォーマンスの向上を目的にこの機体の開発が決定された。
この機体の特徴に、コスト削減の新たなアイディアとして“素体”の規格統一が挙げられる。
SAAを構成する必用最低限の部分の規格を統一し、更に機体各所にハードポイントを造る事でスタンダード型、R型、S型への作り替えを容易にした。
それによって、コストパフォーマンスが飛躍的に向上したのみならず、余分な機能や装甲を削ぎ落とし易くなり、予想以上の基本スペック向上に貢献している。
これにて過去編は終了です。
気が付きゃ2ヶ月も経っている……よくこの有り様で2~3話で終わらせるなどと言えたな?俺って……。
次回から新編を始める予定です……連載から20話も経ってようやく第3偵察隊の登場……遅すぎだろ……。
ご意見、ご感想をお待ちしております。
3/21追記:編成を一部変更しました