ゲートSAA彼の地にて斯く戦えり   作:素面ライダー

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 前話を投稿した翌日に頭痛で寝込んじまった…

 余計な事を書くもんじゃねぇな………

 今回は銀座事件の当日の話です!

 前回のラストに出て来た伊丹がとうとう本格的に参戦します!

 それでは!本編スタート!
 


銀座事件
謎の武装集団


 

 伊丹(いたみ) 耀司(ようじ) 33歳

 

 自他共に認める………

 

 オタク

 

 彼は(うそぶ)

 

 「俺は趣味に生きるために仕事してるんですよ。だから「仕事と趣味と、どっちを選ぶ?」と尋ねられれば趣味を優先しますよ。」

 


 

 20XX年 8月某日 午前11時50分

 東京中央区 銀座六丁目交差点付近

 

 この日、銀座は数多くの人で賑わっていた。

 

 買い物に来ている親子連れ

 

 営業に来ているビジネスマン

 

 高級店を冷やかしに来たカップル

 

 贈り物の指輪を探す独身貴族

 

 友人と遊びに来た若い女性達etc,etc……

 

 彼らは考えもしなかっただろう……

 

 「え?何あれ?」

 

 「大理石の……門?」

 

 ……この平穏な日常の中で……

 

 「おいおい、何?あいつ等?」

 

 「何々?映画の撮影?」

 

 「うわぁ…あの被り物、良くできてるな…。」

 

 …この後に起こる()()()()()()になる事を…

 


 

 同時刻 

 東京港区 新橋駅付近

 

 「よし!ルートはこんなもんか!」

 

 伊丹 耀司三等陸尉はその日、休暇を利用してとあるイベントに参加するためJR新橋駅から「ゆりかもめ」に乗り換えるために移動していた。

 

 先述した様に、彼はオタクである。それも中学の頃から年季の入った筋金入りである。

 

 昔から要領が良かったため、学生時代から授業もテストも内申点に影響が出ない程度にお茶を濁し、趣味に費やす時間などを捻出する事に異常なまでに長けていた。

 

 当然、何人かの教師や同級生はその頭の回転の早さに気付く(………というよりは本人に隠すつもりが皆無(ゼロ)だった)者もおり、「それを勉強に生かせよ」と口酸っぱく言われる事もザラだった。

 

 その時は決まって先述の科白(セリフ)を吐くのである。

 

 それどころか、持ち前の口八丁で巧みに自身の趣味を布教して、自分の趣味の世界へと引きずり込むのである。そちら側の伊丹の友人にはそうやって引きずり込んだ者も何人かいる。

 

 何も知らない人間には、急にオタク趣味に目覚めた教師や同級生を見て、伊丹を洗脳に長けた悪魔か何かに見えただろう………元々それらの趣味を持つ者には妙に崇められていたが………。

 

 閑話休題(それはさておき)

 

 社会に出て自衛官になった今でもその要領の良さと頭の回転の早さは健在で、仕事はクビにならない程度にお茶を濁しては上官の小言を口八丁でやり過ごしたり、その日に訓練や任務があろうと堂々と休暇を申請したりと全力で趣味のために時間と資金を捻出している。

 

 そんな伊丹であるから、彼が今から向かうビッグイベント………夏の同人誌即売会に向かうにあたって準備に余念が無い。当日に用意するものは勿論の事、会場の混雑具合も計算に入れて戦利品を手に入れる(同人誌をGETする)ための最適なルートの割り出しを入念に行っていた。

 

 ルートの確認が終わりふと目を向けると、いかつい自衛隊車両が何台か停車していた。思わず足を止めてその姿を見ていると………

 

 「あれ?伊丹さん?」

 

 ……不意に声を掛けられ、そちらを振り向けば……

 

 「ハイセか?」

 

 ……そこには、戦闘服姿の若い自衛官………佐々木(ささき) 琲世(はいせ)三等陸尉が驚いた顔でそこにいた。その手にはペットボトルの飲み物が入ったビニール袋がある。

 

 「おいおい、幹部自衛官のお前が買い出しか?」

 

 ジャンケン弱いもんなぁ…と、からかうと……

 

 「ハハハ…まあ、いつもの事ですから………。」

 

 ……と、苦笑して返した。

 

 「お~い。ハイセ~コーラまだか~?…って、伊丹三尉?」

 

 「お、ヒデも一緒だったか。」

 

 車両の一台から出て来てハイセに催促していた同年代の自衛官………永近(ながちか) 英良(ひでよし)三等陸曹に伊丹は親しげに声を掛ける。

 

 「お前ら戦闘服姿(その格好)って事はこれから訓練か?」

 

 「ええ、市街戦を想定したSAAの模擬戦です。」

 

 世界で国同士の大規模戦闘が姿を消してから久しく、主な戦争が地域紛争や限定的なゲリラ戦………対テロ紛争に移行した影響で自衛隊でも警察組織と連携しての対テロ戦を視野に入れての訓練が比率を増した………警察庁と防衛省の縄張り争いが原因でなかなか上手く行ってないというのが現状だが。

 

 「伊丹三尉は休暇ですか?それに、この時期にこの辺にいるって事は………。」

 

 「そっ!同人誌即売会に行く途中!」

 

 ヒデの質問に伊丹は力強く断言する。

 

 「相変わらず、趣味に生きてますね………。」

 

 「趣味に生きるために仕事してるんだから当然だろ?」

 

 何を当然の事を………と、伊丹はハイセの言葉に平然と返す。

 

 「やれやれ………それを少しは仕事に向けて貰いたいものだ………。」

 

 「うおっ!………真戸(まど)一尉!いつの間に?」

 

 いきなり背後から声を掛けられ、慌てて振り向けばそこに戦闘服姿の女性自衛官………真戸 (あきら)一等陸尉がいつの間にかそこに居た。

 

 「休暇中に何をしようと自由だし、休暇を取るなとは言わんが少しはこちらの都合という物も考えてほしいものだ。」

 

 「ははは………善処しますよ………。」

 

 引きつり顔で冷や汗をかき、腰が引けつつ伊丹は答えた。この年下の上官はなんとも苦手なのである。

 

 「!?ヒデ!悪い!」

 

 「ハイセ?」

 

 突如ハイセが顔色を変え、手に持った袋をヒデに投げ渡す。その様子にアキラが尋ねた。

 

 「どうした?ハイセ?」

 

 「いえ、無線から……。」

 

 「車内スピーカーに繋げ!」

 

 慌ててヒデが無線をスピーカーに繋ぐ。

 

 『………事態…生!……緊急…態発生!』

 

 「!?」

 

 その差し迫った声に伊丹も訝しむ。そして、信じ難い報告が無線から伝えられた。

 

 『……ら!銀座四丁目交番!こちら!銀座四丁目交番!緊急事態発生!緊急事態発生!突然現れた正体不明の暴漢の集団に襲われ多数の死傷者が…ぐあっ!……ザザッ!!』

 

 「こちら!陸上自衛隊、真戸一尉!状況を報告されたし!状況を報告されたし!」

 

 即座にアキラが無線を開き呼び掛ける。だが現場はかなり混乱しているらしく、応答が無い。

 

 「お……おい…ハイセ…あれ………。」

 

 ヒデが銀座の方を指差し、震えた声でハイセに呼び掛ける。

 

 「ヒデ、どうし……ッ!」

 

 ハイセがヒデの指を差す方向を見て驚愕した。

 

 「「ワイバーン!?」」

 

 伊丹とハイセが同時に声を上げる。

 

 そこには………例えるなら前肢に羽根の生えたデカいトカゲが空を飛んでいた。良く見れば、その背中に西洋の鎧を着て手に西洋の突撃槍(ランス)を持つ人影も見える。

 

 伊丹はそのオタク知識から、ハイセは読書を趣味に持っていたが故の知識から即座にその正体を看破した。

 

 「不味い……不味いぞ………」

 

 「伊丹さん?」

 

 「……このままでは、同人誌即売会が中止になってしまう!」

 

 「………ブレませんね………。」

 

 眼前の事態よりも楽しみにしていたイベント(同人誌即売会)が中止になりかねない事を心配する伊丹にハイセは状況を忘れて呆れつつも突っ込む。

 

 「いや、お前こそ贔屓(ひいき)の作家のサイン会が中止になりそうなら同じ事を心配するだろ!」

 

 「うっ!」

 

 「いや、そこで言葉に詰まるなよ………。」

 

 ハイセの反応に今度はヒデが突っ込む。

 

 「そう言うヒデこそ、贔屓のアイドルのライブが中止になりそうになったら同じなんじゃないか?」

 

 「あ~……その…それはだな………」

 

 ………なんだかんだでこの三人は似た者同士である………だからこそ年が離れているにも関わらず友人同士でいられるのだろう。

 

 「と…とにかく、このままじゃ不味いですね。」

 

 そう言ってハイセは最後尾の大型車両に後部扉から入って行った。そして2分もしない内に車内から出た。その姿は………

 

 「!?それは新型機か、ハイセ?」

 

 「ええ、次世代量産型の試作機です。」

 

 ………伊丹の記憶に無い機動重装甲冑(SAA)であった。

 

 XAA-008“鬼神”

 

 ハイセの言う通り、現在の主力SAAであるAAM-007J“獄卒·弐式”のコストパフォーマンスを維持したまま、機体本体の基本性能の向上を目指して開発された試作SAAである。ちなみに今回の模擬戦の相手にも同じ機体が配備されていたりする。

 

 「それと伊丹さん、これを!」

 

 ハイセはそう言って、小型の無線機を投げ渡す。

 

 「僕はこれから銀座に現れた………仮に武装集団と呼びましょうか、それを足止めして時間を稼ぎます。伊丹さんはその間にそれで連携を取りつつ“あそこ”へ民間人の避難誘導を頼みます。」

 

 伊丹は即座にハイセの意図を察した。伊丹もハイセと同じ作戦を即座に考え付いていたためだ。

 

 「ああ、“あそこ”なら立て籠るのにちょうどいい。」

 

 “ある方向”を顎で示し伊丹がそう言った後、ハイセは脚部クローラーを利用したダッシュで銀座方面へ急行して行った。

 

 「え?伊丹三尉とハイセには避難場所に当てが?」

 

 ヒデが訝しむと………

 

 「……皇居だよ!皇居は元々、江戸城だ!」

 

 伊丹がハイセの狙いを話す。

 

 「民間人を皇居に避難させて立て籠れば時間を稼げるし、頃合いを見て半蔵門から脱出させる事も出来るだろ!」

 

 そこに、現地への通信を諦めたアキラがハイセに呼び掛ける。

 

 「佐々木三尉!私はこれから近隣の駐屯地へ応援を要請する!お前は現地で状況を確認の上、出来るだけ遅滞行動を取り可能ならば現地の負傷者を救助!その際に必要と思われる武器使用を許可する!伊藤三尉!中島一曹!黒磐三曹!永近三曹!先行した佐々木三尉を追走!追い付いたら援護に回れ!」

 

 アキラは矢継ぎ早に命令を下し、周辺の駐屯地へ応援要請するために再び無線機のマイクに向かって呼び掛け始めた。

 


 

 『………の民間人の方々は日比谷公園方面を経由して皇居まで避難してください!繰り返します!………』

 

 伊丹とハイセの狙いを聞いたヒデは銀座から新橋方面の避難誘導の援護のため、近場の街頭スピーカーを片っ端からジャックして無線で皇居への避難を呼び掛けていた(※違法行為です)。

 

 また、偶然にも有楽町方面に居た今回の模擬戦の相手と連絡が取れ、そちら側の避難誘導を請け負って貰えた上に反対側からの遅滞行動を担当して貰う事になった。

 

 ハイセは自分への負担が大分減った事で多少肩の力を抜く事が出来、移動しながら周囲の様子を確認する。

 

 普段は多くの人々で賑わっている通りが閑散としており、所々に人が倒れ付している。SAAのセンサーにはそれらに生命反応は無かった。センサーの反応を見るまでも無く、致命傷を負っている者も居る。

 

 やがて、前方に中世の兵士の様な姿をした集団とその前方に異形の人影を確認出来た。

 

 「あれが銀座に現れた武装集団?」

 

 ハイセは訝しんだものの既に犠牲者が出ている以上、配慮する理由は無い。

 

 左腕に懸架された試作アームライフルを構えつつ、ハイセは武装集団へと突っ込んで行った。

 


 

 機体解説

 

 XAA-008“鬼神”(きしん)

 

 次世代量産型SAAの試作機。

 

 今回予定していた模擬戦はこの機体の運用試験も兼ねていた。しかし銀座の緊急事態を受け、急遽実戦投入される事となる。

 

 獄卒·弐式と同様に機体各部にハードポイントを持ち、更に複数の補助兵装も試験的に運用されている。

 

 機体コードのXナンバーは試作機である事を指し、獄卒·弐式のMナンバーはMass production model(量産型)である事を、Jは自衛隊の制式採用機である事を指す。

 

 更に機体の仕様とチューンナップの方向次第で機動性重視ならば機体コードの末尾にRを、重装甲·火力重視ならばSを付ける。

 

 名前の由来は目に見えず耳に聞こえないが超人的な力を持つ神から。

 




 書いててあまりに長くなったので分割する事に……計画性ゼロだな………

 前回の機体解説があまりにゴチャゴチャしていて読みづらかったので編集し直しました

 ヒデのアイドル好きは瀬本さん先生の作品の設定の引用です

 もし“あの作品”のキャラと設定を本格的に登場させる事になったら詫びのメールと一緒に先生に許可をもらわないと(汗)………

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