とんでもない馬鹿がガラル地方にいるらしいですよ? 作:命 翼
託される想い
前回のあらすじ!パンパカパーン!聞こえないぞぉ!パンパカパーン!
「……」
バトルコートから受付にへと戻ってきたキョウスケとレイカを待っていたのは2人の健闘を讃えるかのような拍手喝采。そして今彼らの目の前にいるのは勝者となったキョウスケのファンクラブであるクモン達とそのキョウスケと戦ったリーリエ、リュウ。クモンが笑みを浮かべながらキョウスケに近づき…
「キョウスケ様。決勝進出。おめでとうございます」
「見ていてくれたんだよな。感謝しかないぜクモン」
「見ていたのはクモンさんだけじゃないよアニキ」
「……」
若干クモン達から離れていた場所にいたミリとネズがキョウスケ達の元にへと近づいてくる。ネズはまるで表情を変える事はなかったがミリはキョウスケを讃えるかのように笑みを浮かべ、よくやったと言わんばかりに肩をトントンと叩く。
「よくやったよホント。ミケがレイカだった事には驚いたけど、素晴らしかったと思うよ」
「普段のボケる兄貴なら私が決勝進出だったのにね」
「うるせえやい。今回ばかりは大真面目じゃボケ」
「真面目なトーンでボケと言われるとちょいムカつくわね…」
キョウスケが周りを見ながら一旦外に出ようぜという事をクモン達に告げると、普段周りを気にしない彼だけにあってその言葉には大変驚かせられたが了解するとキョウスケを先頭にスタジアムから出て行く。驚きはあったが口にはしなかったクモン達。そんな中ネズが口を開く。
「キョウスケ。今の気持ちを話してください。アナタにしては周りを見過ぎです」
「ネズさん…?」
「…不思議に思うだろうな。俺自身分かっていた事だよ。誰かしらは絶対不思議がるって」
「キョウスケさん…」
スタジアムのポケモンセンター前で足を止めたキョウスケは一度自分を整理する為に空を見上げ、そして大きく一息を吐くとゆっくりとネズ達の方に振り返る。若干不安そうな表情を浮かべるリーリエやリュウさらに真顔のクモン達に対してキョウスケは本心を口にする。
「とんでもなく緊張してんだ今。試合は終わったばかりだというのによ」
「それはでも勝者だけが得られる感情じゃ…」
「リュウ。ちょっとだけ黙って。アニキ話しを続けて」
「…大人になったなおめえ。ま…ひとまずだ。あんな戦い方を40年間してきて、ダンデにも黒星を付けて今までガリュウはあの戦い方でリーグ制覇をしてきた…」
目の前で見せられた圧倒劇。まさにトモだけではなく次の試合を行う予定であったキョウスケにもプレッシャーをかけるそんな試合となった訳だが、ガリュウは今までケンタロス1匹のスタイルをどのリーグ通じても続けてきた。かつてキョウスケが届かなかったダンデという壁。
チャンピオンになる前とはいえそのダンデに土をつけたというガリュウ。そのとんでもなく力強く握り締められた拳からは確かなガリュウに対しての意識を感じられた。
「恐らく半数以上がガリュウの優勝を期待しているでしょうな。あのチャンピオンのコールはそれを物語っていると思います」
「会長!キョウスケ様に期待しなくてどうするんですか!?」
「だからこそ!私達はキョウスケ様!アナタがガリュウを倒し無敗伝説をいや生きる伝説を越える事を信じている。ガラルの恥と呼ばれても尚、この人は奇跡を生む事をやめなかった。その奇跡に我々は惹かれたのです」
「…?」
一般論を口にした後クモンはキョウスケに対する想いを熱弁。それを聞きキョウスケが若干驚いた表情を浮かべていたがホッとしたのはファンクラブの面々。すると近くに降り立った一体の空飛ぶタクシー。そのタクシーから降り立った2人の男性がクモンの方にへと近づいて行く。
レイカが近づくのを止めようとしたがミリが静止。ファンクラブの会員とも言える2人の男性はとある袋をクモンに差し出すと、クモンはそれを受け取りキョウスケの近くにへと足を進める。
「演出ですか?これ」
「ネズさんシーッ!今大事そうな所!」
「いや、大事そうな所だったら見守りましょうよ…」
あまりに出来すぎていると感じたのか、ネズからふと漏れた言葉にリュウから思わず必死の言葉を紡がれたと思いきや、そんな2人の隣にいたリーリエが思わず呆れの表情。そんな事お構い無しにクモンが袋から赤いカーペットのような物を取り出すと…
「何だこれ?」
「マントです。ダンデが付けていたような高価な感じの物は買えませんでしたが、この試合が始まる前に徹夜でマントに想いを綴りました」
「…!?」
渡されたマントにはファンクラブだけではなくキョウスケと戦ったミイ、キリキ、カオルさらにマリィなど様々な人物から書かれた言葉がキョウスケの目に入る。どれもが優勝と書かれており、その中には今この場にいるリーリエ、そしてリュウさらにミリが書いた文字もある。
「おいてめぇら!これ知っていて何も言わなかったのかよ!?」
「黙っていた方が面白いかなと感じまして」
「そこに綴られているのはアナタに敗れながらも、いやアナタと関わり応援したいと感じた人達の言葉です」
「自分を信じなキョウスケ。もし明日スタジアム中がガリュウの応援一色に染まろうが私らはアンタを応援すっから!」
悪戯っぽく微笑むリーリエ達。そんな驚いたキョウスケの反応を見た後に笑みを浮かべた彼女らはマントに書かれた想いを直接言葉として伝える。マントにはキョウスケへの想いを込めた言葉が沢山書かれており、マント中の言葉をニヤニヤしながらキョウスケが見つめていると…
一つ。応援ではない言葉、サインのような物があるのがキョウスケの視界に入った。
「何だこれ?サインか?」
「ああ。確かユウリがクモン達と電話していた姿を目撃したんですよね」
「ユウリが!?何で言ってくれねぇんだよクモン!」
「本人の言いつけで。この事はマントを渡すまで秘密にしておいてくれと言われまして。後もう一つ伝言がありまして。ガラルは一筋縄では行かない事を見せつけてやって下さいとの事です」
「ユウリさん…」
ユウリからクモンへ預かっていた伝言。アマチュア大会であるが故にチャンピオンである自分の出場は出来ない。だからこそのキョウスケへの伝言なのだろうか。その場の全員が一度黙り込む中、キョウスケは持っていたマントを力強く握りしめ思わず笑みを浮かべる。
「泣かせてくれるし燃えさせてくれるじゃねぇかチャンピオンさんよ。そんなガラルの想いまで背負っちゃあ負ける訳には行かねぇよな!」
「我々は託しましたぞキョウスケ様。アナタのアマチュア大会優勝!そしてガリュウの打倒!早くではありますがご祈願させていただきます」
「上等だぜクモン…!」
緊張のような物が入れ混じっていたようなそんな目ではなくなり、覚悟いや闘志が備わったそんな目にへと生まれ変わったキョウスケの一句一句の言葉は先程とは別人かのように力強さを増し、クモン達の方を見ながらキョウスケは笑みを浮かべ…
「よっしゃ!そんな事なら優勝に向けての予祝として居酒屋で宴と行こうぜ!」
「いいですな!行きましょう!行きましょう!」
「また飲むんですか!?」
「細けえ事はいいんだよ!今日だけは思い切りテンション上げて!明日に備えるぜ!」
「やれやれ…明日に響いても知らないからね…」
キョウスケの一言により居酒屋に行く事に。まるで優勝したかのように居酒屋にてどんちゃん騒ぎをしたというキョウスケ達ではあったがそのあとキョウスケはしっかりとパーティメンバーの調整を怠らなかったらしい…
次からスタート。そしてこの編特別のガリュウ編がスタートします。