次回からは、もう少し早く投稿できるよう努力します。
【翔竜山 アメージング城】
その日、朝早くからビスケッタに起こされたシィルは、部屋で待っているという主人――ランスの元へ向かっていた。ランスと自分の部屋はそんなに離れている訳ではないが遅れるとお仕置きが待っているので、小走りで廊下を駆けていく。途中ですれ違ったホーネットさんに挨拶したりもして、ようやく目的の部屋にたどり着いた。急いできた為だろうか、少しばかり苦しくなった呼吸を整えながらどんな事で呼び出されたのか考えてみたものの、それらしい事は思い当たらなかった。そして、眠気覚ましに頬を軽く叩き、扉をあける。中では、なにやら神妙な顔をしたランスがいて気にはなったが、とりあえず朝の挨拶が優先だ。
「おはようございます! ランス様」
「やっと来たか、遅いぞシィル! 俺様を待たせるとは何事だ!」
「す、すみませんランス様! それでこんな朝早くから、一体どうしたんですか?」
「うむ、シィルには先に話しておこうと思ってな」
そういうと、その部屋の主であるランスは簡潔に、まるでちょっと散歩しに行ってくるかの様な物言いで、言い放った。
「俺様、ちょっと異世界に行って来る」
「え、え──っ!? 急にどうしたんですか?」
普段から自由奔放、唯我独尊というスタンスで生きているランスは、時々、突拍子もない事を言い出すのだが、今回は少しばかりスケールが違っていた。
「実はな……」
それは昨日の夜、退屈で仕方なかったランスがいつもとは趣向を変え企画した、
(大事な仲間達の魔血魂を返して欲しければセックスさせろ)
―という、脅し設定のプレイをサテラと楽しんでいた頃まで遡る。
【魔王の寝室】
魔王城、その最上階に位置する部屋は本来、魔王にしか立ち入ることの許されない部屋なのだが、そこからは、部屋の主の声とは違う女性の嬌声が響いていた。
「ぁぅ、もうむり、ですっ……まおうさまぁ、ゆるひて、くださぃ……」
「がははははははは! もう止まらん! と────っ!」
「あぁぁぁあぁぁぁッ! ぁぅ、ぁひっ、ぁぁ……し、んじゃぁ、サテ、ラ、しんじゃぅ……」
本日3回目となる皇帝液をサテラに注いだランスは、未だ硬さ保ったままのハイパー兵器を抜き抜く。その引き抜かれる感触も気持ちいいのか、目の前の少女は身震いしながら余韻に浸っている。
「ふぅ、サテラは演技できるか、少し不安だったが、やってみるもんだなあ」
そういって、息も絶え絶えなサテラの可愛らしいお尻を撫で回す。
「あぁぁぁあぁぁッ! うぁぁ……ぁひっ……」
たったそれだけでも、この全身敏感魔人は、電流でも流れたかの様に大袈裟に腰を震わせていた。そして、途切れる事の無い快楽に、遂に耐え切れなくなったのか、だらしない顔を浮かべて、気絶してしまう。
「あ、もうギブアップか。あー、サテラとのセックスは新鮮で楽しいんだが、体力無いのが難点だなぁ」
部屋に飾ってある時計を見てみると、まだヤり始めて2時間もたっていない。しかし、普段は1時間かそこらでギブアップしているので、これでも良く耐えていたほうだ。
ちなみに、サテラはこういうプレイ自体あまり好きではなかった様で、初めの方はランスに渋々付き合っていただけであったが、最終的には、命令を無視できない自分を好き勝手されるという、魔人ではそう味わえないシチュエーションに、癖になりかけていたのは本人だけの秘密である。
(まぁ、結構満足できたし、眠くなってきたな……俺も寝るか)
自分の思っていた以上にサテラが良い役を演じきってくれたので、少々ハッスルしすぎたのかもしれない。そんなことを思っていると、先ほどのプレイで使った魔血魂が目に入る。その魔血魂は、サテラを脅す用に準備したのだが、一回見せただけで使わなくなり、その後はセックスに夢中になっていたこともあってずっと放置していた。
(こんな飴玉みたいなのが、魔人の元になってるんだよな)
じっと眺めて見ても、一体、どういう構造をしているのか、ランスにはちっとも分からない。だが、あの魔人の体さえ切り裂けるカオスでも破壊できない硬さをもっているのは知っている。一度破壊しようとして、本気のランスアタックをぶつけてみた事があるが、傷一つつかなかった。
(これを使えば、魔人を作れるはず、だよな?)
魔王になる前、誰かに教わったはずで、思い出そうと頭押さえてみるが。しかし、ちりぢりになった記憶のパーツを集める事はできなかった。それもそのはず、魔王になってから既に2年が経過しており、そんなどうでもいい事を覚えておくほど、ランスは賢くはない。
(そういや、自分の魔人を作ってみた事とかなかったな)
そんな事をふと思う、別に作りたくないから作ってない訳ではない、単に忙しかったから作るのを忘れていたのだ。
(俺様の魔人か……可愛い子だけで組まれた精鋭部隊って所だな)
どんな命令でも聞き、自分の為なら何でもする。そんな可愛らしい魔人達を想像して、満更でもない顔を浮かべた。一つ問題があるとすれば……
(一体誰を魔人にするかだが……)
そして、自分の女達を思い浮かべながら、誰なら面白いだろうか? あの子なら良い感じだろうか? 魔人になった時の反応など、事細やかに脳内シュミレーションしていく、すると、ある事実に気が付いてしまった。
(あれ? 今とそう変わんないか?)
よくよく考えて見ると、今と大して変わらない様に感じた。例えば、リーザスの女王リアは何だって言う事を聞くし、その気になれば軍だって動かせる。ゼスのマジックや、ヘルマンのシーラもちょっと頼めばだいたい言う事を聞いてくれる。JAPANの香ちゃんや自由都市のコパンドンだってそうだ。
(むむむ……)
カラーの女王のパステルは言う事を聞かないかも知れないが、俺様はカラーの英雄だし真剣に頼んだらいけるだろう。そして、あの法王のクルックーも、俺様の言う事は素直に聞く。そして、他にも俺の女はいっぱいいるが、なんだかんだ言っても、付いてくる奴がほとんどだった。
(……やっぱり、今とそんな変わんねえな)
こうなってくると、逆に俺様のいうことをまったく聞かない奴がいるのかと、疑ってしまう。いるとすればそれは……
(既に男どもがいる女の子達だよなぁ)
それは、ちょっと前に結婚したレイラさんであったり、俺と会う前から付き合っていたハンティなど、他にもある程度いるが、共通点はやはり、他に男がいることだろう。
ランス自体は、意識していないが、リックやパットンといった長い付き合いの男に対して、その女を襲うといった行為は無意識のうちに避けている事がほとんどであった。
「ちっ、あいつらさえいなければ、今頃は俺様の女だったはずなのに……」
思わず愚痴ってはみるものの、その男どもをどうにかした所で、レイラさんやハンティが自分の女になるなど、想像もできなかったのだが。
(美樹ちゃんとか、あんな男の何処が良かったのか未だに分からん)
その美樹は、1年以上前にボーイフレンドの男と一緒に元の世界へ帰ってしまった。その際どうしてもと美樹ちゃんが言うので、健なんとかって奴の魔人化を解いたりもしたのだが、当時、それを理由にセックスさせて貰えたのではないかと、後々になって気づいてしまい、散々後悔した記憶がある。
(異世界か……そういや、あの世界にいた女の子は中々可愛かったなあ)
あの時、二人を帰す際に魔王の力でゲートを作ってやったランスは、どうしても美樹とセックスがしたいが為に、1日だけその異世界で暮らしていたことがある。結局ソレは叶わなったが、元の世界に戻る時、なにやら辺な板をこちらに向けてきた少女達は、目新しい服装や容姿の可愛い子ばかりだったのを思い出す。
(あの時は、美樹ちゃんが、「こっちの女の子に手をだしちゃ駄目だよ?」と、言うし、バレたらヤらせてくれなさそうだったから、誰にも手を出さなかったが……)
その美樹ちゃんは、もう何処にいるかも分からない。つまりランスがなにをしても、ばれる心配がほぼ無い訳で……ついでに自分の魔人をどうするかも決めていなかったランスは、妙案とばかりにほくそ笑みながら、これからの予定を決めた。
「よし! 明日から俺様の魔人探しの旅でもするか!」
そして、話は今に戻る。
「──という訳だ。それじゃあ行ってくる」
「えぇ──!? ま、待ってください! まだ話に追いついてないです……」
寝起きの所為でもあるのだが、あまりに突然な事でシィルの頭は混乱していた。
「そもそも私、出かける準備とかしてませんし……」
起きてすぐここに来たので、いつもの準備をしていないから、もう少し待って欲しい、と。ランスの奴隷である彼女は、自分も行くのだと当然の様に思っていた。しかし……
「んん? ……ああ。言ってなかったか」
何か話が繋がっていない。そう不思議になったランスは、今回の旅で、いつもと明確に違う点を言っていない事に気が付き、それを口にした。
「今回はお前を連れていかないぞ?」
「……………………えっ」
その言葉は普段ランスをよく知っている者なら誰もが耳を疑うような発言だった。それは、冒険など長時間の旅をする際は絶対と言っても過言ではないくらいシィルを連れているが当たり前だったからで、そして、その事を一番理解していたシィルは何故連れてってくれないのか、戸惑いつつも理由を聞く。──震える自分の手を押さえながら。
「ど、どうして……ですか?」
「んぐっ!? そ、それはだな……こ、今回の旅で俺様は女をメロメロにしてから魔人にするんだ。しかし、口説いた後に奴隷とはいえ他の女がいたら、その子は魔人にはなってくれないかも知れない。だ、だからお前はおいていくんだ!」
「そ、そういうこと、なんですね……」
ランスはこう言っているが、その理由は少し違っている。
本当の理由は彼が魔王になる少し前、戦争終結後の宴会でシィルがバードに殺されてしまった事に起因する。
あの時、シィルが殺されてしまったランスは、人生で味わったことのない感覚に襲われていた。それは彼女生き返らせる保障が無く、先ほどまで笑っていた姿を見ることは、もう二度とできないかもしれないという絶望感からくるもので。そんな彼を救ったのは、カイズから戻ってきていたクルックーだった。事情をしった彼女はランスに向けて一言、
「シィルさんは生きています」そう言った。
そこからは迅速で、氷を溶かす為に、美樹から血の継承をしたランスは魔王になり、シィルを救い出す事に成功した。しかし、長い年月を氷の中に閉じ込められていた影響からか、体力は未だに戻りきっておらず、たった数分軽く走るだけでも息切れするくらいにまで落ちてしまっていた。そして、その事を知っていたランスは今回の旅にシィルを連れていかない事を事前に決めていた訳なのだが、
(そんな事言える訳ないしな……)
主人が奴隷を心配していると知られれば、周りの反応がどうなるのか、少し考えれば分かることで、そんな状況になるのだけはごめんだった。
そんな事を露も知らないシィルは捨てられてしまうと、感じてしまったのか、今にも泣きそうな顔をしていた。
「……そんな泣きそうな顔でこっちを見るんじゃない、また今度連れてってやるからな?」
「……ぐすん、はい。分かりました」
納得していない。そんな表情が見え隠れしていて、心配になったランスは、今回の旅にある条件を加えた。
「あー、……ちっ、分かった。1ヶ月だ」
「え?」
「1ヶ月で帰ってくる。それでいいな?」
「っ、はい! 分かりました!」
その満足そうな顔見て、気分も良くなったランスは、これからの旅に期待を膨らませ、その呪文を唱えた。
「開けッ! ゲートコネクトッ!」
ランスがそういと、目の前の空間にひびが入っていく、そして、なんとも禍々しい異界ゲートが出現した。
「それじゃあ、今度こそ行ってくる」
「はい。いってらっしゃいませ。ランス様」
「がははははは! 冒険に出発だーっ!」
こうしてランスは、異世界へと旅だっていく……。
しかし、彼はまだ知る由もなかった。
この旅が異世界の運命を左右する、人生最大の冒険の始まりだったことに。