名も無き反撃者   作:名もなき☪

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⚠注意

これはSplatoonの二次創作です。
素人なので言葉の使い方が下手くそです。
原作に登場しないものが多数あります。
キャラ崩壊の可能性があります。
現存しないルールなどについては別に投稿しています。細かい点などはそちらをご覧下さい。


それでもよろしい方は、
どうぞこのゲームを、
このお話をお楽しみ下さい。


前半部
Story, 1 「起源の時」


「物語には『起源』と『終焉』が存在する」

 

 

ゆっくり地面を踏み締める。

 

 

「それは偏ることのないこの世界の理」

しっかりと前を見据える。

 

 

「だから、だからこそ…この物語は今」

 

 

「この『終焉』を迎えた世界は今」

 

 

仲間達と歩き出す。前へ前へと。

 

 

 

「再び『起源』の時を迎える」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

─────────

 

 

"あの日"から一体、どれくらいが経ったのか。

よく分からない。

ただ…ただひとつ分かるとすれば…。

 

そう考えながら、私はそっと影から「奴ら」の様子を伺った。

耳に入るのは自身の死にそうな息の音に、まだ生きていることを示す心臓の音、そして「奴ら」の声。

 

 

この世界には…絶望しかない。

 

「別ノトコろを、探スゾ!」

 

「…!」

 

行った!

ダッとオレンジ色の垂れたゲソを揺らしながら、光の方へと出る。

そして、唖然とした。いや……『絶望した』が正解かもしれない。

それほどまでにこの見慣れた街は、崩壊して、廃墟と化していた。

どうして、どうしてこんな事に…!!

頭の中で"あの日"の事を再生した。

突如、地下からやってきたタコ軍団にイカ達はなす術なく捕まっていった。

逃げ延びた人達も今、私のように…。

 

 

追われて……

 

「イタぞ!!!」

 

「!!!」

 

記憶の再生を止め、声の方を振り返った。

「奴ら」だ、「奴ら」に見つかってしまった!!!

 

「捕ラえろ!!!」

 

「あ……あ……」

 

脳内で記憶が自動再生される。

されたのは……

 

 

街のイカ達の死。

 

 

「いやぁあぁぁぁあああ!!!」

逃げなきゃ…!

逃げなきゃ、逃げなきゃ…!!!

"彼"と約束したのだから…!!!

 

「ヨシ…アイつに向ケテ…」

 

静かに頭にチャージャーの線を当てる。

 

「撃テ!!!」

 

パァン!!!

銃声がこだました。

意識がゆっくりと…ゆっくりと…途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

その光景を生で目撃してしまった…。

カタカタと震えが体中を巡る。

死の感覚を感じたのは初めての事だ。ナワバリバトルでは[死]の概念は存在しないのだから。

いや…彼女は死んでない、死んでないと体を落ち着かせる。屋根上から見下ろす彼女はまだ息をしている、気を失ってるだけ。

それでも、恐怖は抜けない。

「あのガールが…」

 

『大丈夫?』

持っていたイカフォンから、彼の声がする。

「わ、悪い……」

 

「…どう?」

 

「…可哀想過ぎて……見てれねぇよ……!」

そう言い放つと、目から溢れるものを拭う。

『ごめんね…』

 

彼は静かに謝った。

 

『もう少し…耐えてくれ…』

 

分かっている、彼が"そこ"から動けないことも、だからこそ俺が動くことも。

「あぁ…」

 

前を見据える。

 

「アイツの為にもな」

 

──ああ、任せてくれよ──

 

『頼んだよ』

 

「ああ」

 

ピッと音がなり、電源が消えた。その闇と化した画面を静かに見つめる。

 

「…僕にはもう…何も、何もできない……」

 

「……みんな」

 

彼は、呼びかける。

それは祈りでもあり、願い。

「僕はみんなを、信じてるから」

 

祈りが少しでも届くことを、願いが少しでも叶うことを、

 

信じる。

 

彼らを信じるんだ。

 

 

「どうか…この世界を」

 

 

「大切なものを…」

 

 

 

護ってくれ……。

 

─────────

 

「*………っ」

 

ゆっくりと目を開く。

打たれた頭が痛い。

おまけに体も重い……だるい……。

 

「*………!!!」

 

はっと覚醒して数秒、その数秒は自分の置かれた状況を把握するには十分な時間だった。

手を縛られた上、周りには黄緑のような青のような…とても気色悪い色のインクのタコが大勢。

「*ひっ……」

 

その小さく上げた悲鳴に、奴ら…謎インクのタコは一斉に私の方を向く。

背筋に冷たい汗が流れる。

まるでロボットのように同時に私を見たタコ達は一斉に不気味な笑みを浮かべ、一斉にゆっくりと近寄ってくる。

 

「*っ……!」

 

身を捩っても、引っ張っても動くことはできない。

──死を感じた。

 

「*…っ…」

 

震えながら現実を拒否するかのように瞳を閉じようとした──

 

─その時、一瞬優しい笑みを見た気がした─

 

 

 

 

 

──次の瞬間!

 

パパパァン!!

インクのこだま音が響いた。

「*!!!」

 

バッと目を開くと、ボーイと目が合う。

見たことのない髪型だった。ゲソを結ぶ訳でもなく、刈り上げてる訳でもない、いわゆるボーイッシュヘアー…街では見たことがない。

服もズボンもだった。服は白と黒のパーカー、ズボンは長ズボンに水色のラインが1本。

何よりも見たことがなかったのは、彼が持つ武器だった。パブロの形をしているが、今見たらシューター型へと変化している…あれは一体……?

 

「──おい?」

 

「*!」

 

「大丈夫か?」

 

水色インクの彼の言葉にしっかりと頷く。

 

「良かった…とりあえず解こう」

そう言って、手の拘束を解いてくれた。

 

「怪我も無さそうだな」

 

そう言って彼は笑った。

私も微笑み言った。

 

「*ありがとう…」

 

と、突然《ビィー!!ビィー!!》

どこからか、けたたましくサイレンが鳴り出す。

「*!!!」

 

「見つかったな」

 

彼はそう言うとバックをガサゴソしだす。

そしてある物を取り出すと私に差し出してきた。

 

「戦うぞ」

 

その強い眼差しで見つめてくる彼が持っていたのは、わかばシューターだった。

 

「*こんな状況…無理だよ…」

そう私は弱音を吐いた。

彼はフッと笑うと

 

「大丈夫だよ」

 

と言った。

思わず彼の顔を見た。

彼はまるで私を安心させるかのように微笑み言った。

 

「君は独りじゃない。俺も、居るんだから」

 

「*…!」

クルッとかっこよくシューターを回して見せると彼は私にシューターを差し出した。

「戦おう、"反撃"だ」

 

そう言ってニヤリと笑って見せた。

その顔に私は……

 

シューターをパシっと取ると、返事の代わりにニヤリと笑って見せる。

 

「よし、行こう!」

駆け出した。

 

 

この瞬間、絶望で暗晦なこの世界が

 

 

少しだけ、晴れた気がした。

 

 

───────────

 

〘その前に今回のルールをご説明しますね?〙

 

そう言ってニコッと笑う彼女は、アーティ。

AIであるが、自我を持つ。

 

〘今回の内容は、エリア奪還。ルールは、ガチナワバリです〙

 

パッとマップを表示し説明を始める。

 

〘今回はこの4つのエリアを奪い合います。勝利条件は全て奪還です〙

 

パッとマップ拡大し説明を続ける。

 

〘このエリアはまず敵インクで支配状態にあります。が、自身のインクで塗り替えすことで奪還可能です。〙

 

〘ですが、その逆もあります。気をつけていきましょう〙

 

パッとマップを消し、こちらに向き直る。

 

〘今回のはチュートリアルです。ので、制限時間はございません。以上で、ガチナワバリ能説明を終了します。〙

そう言ってペコっと頭を下げるとゆっくりと立ち去っていった。

 

────────

 

「よし、じゃあ…」

 

そう言うと彼は滑らかな発音でニヤリと笑いながら言った。

 

「Let's launch a counterattack!」

(反撃開始だ!)

 

ダッと駆け出す。

それに続いて私も駆け出す。

長い通路を進むと広いエリアに出た。依然としてサイレンは鳴り響く。

 

「今回の主要エリアは4つだな」

 

「*主要…?」

 

「そこさえ確保できれば、この場所を奪い返せるのさ」

 

そう言って彼はニッと笑う。

その笑顔には、強い決意とちょっぴりの憎めない悪意。

 

「左からだ!行くぞ!」

 

「*え、ええ!」

 

 

 

「*《主要エリア エネルギールーム》」

 

そう、壁に書かれた文字を私は繰り返す。

 

「ここが主要エリアの1つ、エネルギールームだ。ここは電気を制御しているエリアさ。……!」

 

彼はブキを構えた。今度もシューター型だ。

前から来るのは、気味の悪いタコ達。

 

「…まぁ、そう簡単に取り戻せはしないか」

 

そう言うとさっきの笑顔を消し去った。

奴らを見据え、ゆっくりと息を吐いた─

 

──その瞬間、彼は駆け出した。

パァン!と一体が散る。

と同時にその横からの攻撃を宙に舞い、避ける。

 

「この武器は!苦手なんだけどな!」

 

と宙を舞い、叫びながらブキを変形させる。

あれは……!

構えると一点を狙い、圧縮されたインクを放つ。

あれは…チャージャー!?

チャージャー型ブキのインクで、パァンとタコは鮮やかな水色インクを飛び散らす。

スタッと着地をするや否、間髪入れずにパブロ型へと変化させて、3体を吹き飛ばす。

その3体のタコは、直線を描き、壁へと激突する。

「やっぱり、こっちのほうが性に合うな」

と呟く彼を今度はスペシャルウェポン ジェットパックが襲う。

が、やはり彼のスピードにはついていけず、そのインクを散らした。

 

「フゥ……このエリアは確保完了だ」

 

「*……すごい…」

 

「え?……へへっ」

 

彼は嬉しそうに笑った。

が、すぐに真剣な眼差しで私に言ってきた。

 

「このエリアは確保したが、おそらく急いで他のエリアも取らないと、また奪われる、急ごう」

 

「*!、ええ」

 

2人は、2つめのエリアへと駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

《主要エリア 食糧庫》

 

ここには、タコ達の食糧が備蓄されている。

捕虜としているイカ達への食物もここに集められ、置かれている。

大量の食糧が入ったダンボールが山積みの為、死角も多い。と同時に、隠れれる場所も多い。

 

「あそこだ、ほら」

 

「*…!」

 

彼は、均等に並べられたダンボールの道が作る直線の道の奥を指す。

食糧庫の奥、開かれた場所に目的のエリアが存在した。

そしてそこには監視カメラのように、タコスナイパーが3体佇んでいた。

 

「*あれは…?」

 

「タコスナイパー。簡単に言えば、チャージャーを持つタコって感じだ」

 

「*…見つからずに行ける?」

 

そう不安そうに言うと、彼は安心させるように微笑んだ。

 

「大丈夫だ、ここのダンボールを活用していけば、行けるさ」

 

そう言うと彼は前を向き、タイミングを伺っている。

3体の視線が反れた瞬間

 

「行くぞ…!」

 

「*え、うん…!」

 

素早く駆け、視線が向く寸前で再びダンボールの裏へと滑り込む。

私はまだドキドキしていた。それは、恐怖から来る動悸では無かった。

それは、例えるならばバトルで自身の思うように動けた時の高揚感、それに近しいものだった。

 

「大丈夫か?」

「*ええ」

 

そう言って私は彼の笑顔を真似して見せた。

彼も不敵な笑みを浮かべると、再び駆け出した。

 

 

 

 

「よし、あと少しだ」

 

その距離、約20m。

 

「*あ、あと少し…」

 

約バス2台分の距離はあと少しなのだろうか。他人の感覚だ、よく分からなくても仕方はないが、私にはあと少しには思えないのだが…。

なんて考えてたら、彼は言った。

 

「よし、行くぞ!」

 

ダッと駆け出す。それに続いて私もダンボールの影から跳び出す。

3体が一斉に2人に狙いを定めた。

 

「要領は普通のチャージャーと同じだ!線をよく見ろ!」

 

と言いながら彼は、チャージャーの線の狙いが定まらないように、雷神ステップで素早く近づいていく。

要領は普通のチャージャーと同じ…。

パシュ!と放たれるインクをギリギリで躱す。

シュッと頬に掠り、傷口から少しのインクが吹き出る。

怯んではいけない、と素早い動きで間合いに滑り込む。

パァン!1体が弾け、顔に自身のオレンジインクがかかる。

視界が!と慌てて拭うには少し遅かった。開けた視界で、2体に狙われているのを見た。が──

 

パパァン!!

 

「ナイスだ!」

と彼はパブロ型のブキを構えながら叫んだ。

やはり彼は強かった。一撃で2体を仕留めたのだった。

もう貴方ひとりで十分なんじゃないか……とは思ったものの口にはしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

《主要エリア 牢獄エリア》

このエリアに来た瞬間、私の思考は止まった。

 

「*な…に……此処…」

 

「ここは……」

 

彼は厳しい声で、私を振り返ること無く言った。

 

「牢獄エリア、名前のまんまだ。捕虜にしたイカ達を捕らえておくエリア…だ」

 

腹の底から絞り出したような彼の声には、静かに燃える炎のような怒りを感じた。強く確かに燃える炎を。

 

「*…本当だね…、イカ達が捕まってる」

 

1つの牢の中に3,4人程度、その牢獄がズラッと並んでいる。見た所20はある。

街に来るようなボーイガールだけでなく幼いイカやクラゲ達も居て、1つひとつの牢の中には違いがあるが、陰りを帯びた瞳をしてることは皆同じだった。

「*…ねぇ、なんで─」

 

「─『イカは金網を抜けれる。なぜ抜けない?』って感じか?」

 

「*!」

 

「少し触ってみなよ、その鉄格子を」

 

頷き、そっと触れてみる。

ビリッと小さな痛みが走った。

 

「*この感じの痛みは…」

 

「そう、敵インクを受けた時と同じ痛みだ。その鉄格子には、奴らの気色悪いインクが混ざっているのさ」

 

「*インクを…」

 

「奴らのインクは普通のインクとは違う。よく分からないんだが…確実に体内に含んではいけないインクってことだけは確かだ、毒だこれは」

 

これが通れない理由だと呟くと彼は、牢獄の連なる廊下の先を指差した。

そこには謎の機械に乗ったまま寝ているタコが1体。

「奴をどうにかしないとな」

 

「*あのタコは…?」

 

そう私が聞くと、彼はゴーグルを渡してきた。

黒を基調としたシンプルなゴーグル。

 

「身につけて、電源を入れてみな」

 

言われるがまま着け、電源を入れた。

その瞬間、赤い線が廊下中に張り巡らされているのを確認できた。

「*これは…!?」

 

「…センサーだ。これに当たると奥のタコが目を覚ます。そして…攻撃してくるんだ」

 

彼は、奥のタコの名は〈オクトインク・ウォール〉だ、と言った。

「奴は名前のまんま、発見した敵に向かってインクの壁を放ってくる」

 

「*避ければ、大丈夫なんじゃ?」

 

「普通ならな。だが、こんな狭い廊下だ、奴の攻撃を避ける隙間はないと思う」

 

「*…ということは奥のタコを起こさないように、この赤い線を避けていくってことね」

 

彼は静かに頷いた。

私も頷き返すと、前に向き直る。

目指すは廊下の奥、奴を倒しこの主要エリアを奪還する。

 

「行こう」

 

彼の静かな声かけに、深く頷いた。

2人は駆け出す。

スピードを維持したまま、赤い線をスルスルと避けていく。

 

「いい感じだ…!」

 

「*ええ…!」

 

2人は、風のように留まることなく、笑顔のまま避け進んでいく。

牢獄のイカ達が、何だ何だと牢の外を見る。そして、2人の姿を視界に入れると、僅かだがその瞳に小さな光を灯していく。

 

ザザッ、寝ているタコの間合いに入るや否や、2人はブキを構えた。

 

「*「せーのっ!」」

 

パァン!とインクが弾けた。彼が素早く制御システムを操作し牢獄の鍵を解除する。

僅かな光を見つけ縋るような表情をしているイカ達に、彼は静かに告げた。

 

「全員、ここに居てください。このエリアは俺達が奪還した。他の場所に移るよりは安全です。俺達が戻るまで、ここで待機していてください」

 

イカ達は、不安そうだがしっかりと頷いた。

彼は私を見て言った。

 

「行こう、主要エリアはあと1つだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

《主要エリア コントロールルーム》

ここはどうやら、監視システムやこのマップの情報など、システムコントロールを行っているエリアのようだ。

 

「ここだ、最も重要な主要エリアは」

 

「*…最も重要な?」

 

「ああ、ここは絶対に取り戻さないといけない」

 

私は改めて、コントロールルーム内を見た。

中に居るタコ達は、至って普通の人型タコだった。

と数体のタコが目に入った。

 

「*ねぇ、あのタコ、頭にコンブついてるわ」

 

「…!」

 

彼は何か考えているようだ。顔が険しい。

「*どうしたの?」

 

「……、君はここに居て。奴は危険だ」

 

「*え、ちょっと待っ──」

 

言い終わる前に彼は跳び出していった。

私はガッと影から、様子を伺う。

彼はやはり強い。素早い動きで、コンブ以外のタコを一瞬で倒し切った。

そして、静かに彼は3体のコンブタコに向き直った。

ゆっくりブキを構え──

 

──駆け出した。

 

「*…!?」

 

奴らは彼と同じスピードで攻撃している。

彼も苦しそうだが、応戦している。

私も応戦したかったが、入った所で足手まといになる事は考えなくても分かった。

 

「*……私に出来る事は……」

 

必死に頭で考える。

何か…何か助けになることは…。

彼の助けに…。

 

「*…!、これだ」

 

私はわかばシューターをギュッと握りしめた。

こっそりとその場を離れた。

急がないと…!

 

 

 

 

 

「…っ!」

 

あと1体…だったのに…。

彼はへたり込んだ。疲労が限界まで来ているようだった。

流石にひとりで3人を相手にするのは、無理があったな…。

ゆっくりとタコが彼の頭にシューターを構えた。

 

「……くっ…」

 

歯を食いしばった、次の瞬間──

タタタタタッ、ダッ!!

 

「スペシャルウェポン バリア!」

 

キュピン!と彼にバリアが張られ、奴のインクが弾かれる。

 

「…えっ!?」

 

「*間に合った!」

 

ザッと彼の前に立つ、ひとりのイカ。

彼は、少し驚いたような間抜けな表情で私を見て言った。

 

「どうして…俺ひとりでやるって言っただろ…!?」

 

私は振り返り、ニッと笑った。

「*やられそうだったのに、何言ってんだか」

 

「…!」

 

わかばシューターを構える。

私だって……やれる…!

大きく深呼吸をし、1言。

 

「*やってやる…!」

 

ダッと跳び出す。

素早くブキを構えインクを放つが当たらない。

やっぱりこのコンブタコは速い…!追いつけない…!

でも、逃げはしなかった。

例え、この気色悪いインクが顔にかかったとしても、逃げはしなかった。

私は彼を守るんだ。守らないといけないんだ。

"彼"の事は、守れないまま私は逃げてしまったのだから。

……今"彼"は何処に居るのだろうか、怪我などしていないだろうか……。

無事でいてくれたら、いいのだが……。

 

「*!、しまっ──」

 

考え事は、切迫している場面では禁物だ。その思考を止め集中しなければ、隙が生まれ負けてしまう。

彼女は、その事を忘れていた。

奴のシューターが向けられ、インクが放た──

 

「はぁあああああ!!!」

 

パァン!!!

インクが放たれる寸前、奴はオレンジ色の鮮やかなインクで弾けとんだ。

 

「はぁ…はぁ………」

 

彼はキツそうに呼吸をしている。

私はポカンとしたまま、彼を見ていた。

彼は呼吸を整え、私に手を伸ばしてきた。

 

「大丈夫か?」

 

「*え…う、うん」

 

その手を掴み、立ち上がる。

気色悪いインクで視界の半分が遮られているが、確かに彼は心配そうな表情を浮かべている。

なんでそんな表情を浮かべているのか、私には分からなかった。

 

「ほ、本当に、大丈夫か?」

 

「*ええ、大丈夫…よ──」

 

その瞬間、世界が反転して見えた。

───え…何が起こって…?

その言葉は声にならなかった。

暗転する視界、遠のく声。

私が自身の意識を手放す寸前、彼が──

 

 

 

 

 

 

 

 

──私の名を呼んだ気がした。

 

────────────

 

 

 

──ここは何処…?

深く暗い世界に、私はひとり存在していた。

──真っ暗だわ…

辺りを見回すが、何も無い。

と、何か'気配'を感じた。

──貴方は…!

ゆっくりと'気配'に手を伸ばすが届かない。

その'気配'は、にっこり微笑むと言った。

「─────」

 

その'気配'の言葉は声にならず、虚無となった。

──待って…!!

手を伸ばすが届かない。

再びその'気配'は微笑んだ。

──″いかないで″……!!!

 

私の意識は、暗い世界を飛びだした。

 

 

 

 

 

「*…っ…」

 

「!、大丈夫か!?」

 

目の前に彼の姿が見えた。心配という心配を寄せ集めたような表情だった。

思わず吹いてしまう。

 

「な、なんで笑うんだよ…!」

 

「*面白い表情だったから…」

 

「全く…突然倒れて心配したんだからな?」

 

「*あはは、ごめんね?」

 

そう謝ると彼は、ニッと笑った。

私も笑い返した。

「*私はどれくらい寝てたの?」

 

「半日だよ」

 

確かにもう夕方だ。私が捕まっていた時は朝だった…はず。

窓から夕日が差し込んでいる。

 

 

「*…ここは?」

 

「俺らで奪還した場所だよ」

 

「*ふぇ?」

 

確かにここは、私達が戦ったコントロールルームだ。

私はそこにあったソファの上で寝ていたのだった。

周りには捕まっていたイカ達が、不安そうではあるものの、少し笑顔を取り戻しながら話していた。

 

「ここには、食糧も部屋もあるからな。捕まってたイカ達を守るにはピッタリかなって思ってさ。とりあえずこの場所にイカ達を集めてみた」

 

そう、彼はニッと笑った。

そして、真剣な顔で見てきた。

 

「で、君はどうするの?」

 

「*え?」

 

「これからの話だよ」

 

彼は、周りのイカ達を見ながら言った。その表情は、険しかった。

 

「世界は今、その殆どが奴らの手の中だ。殆どのイカが捕まって、地上や地下などにある基地に囚われていて、逃げ切った奴らは今も多分……怯えている」

 

険しい表情のまま、続ける。

「君はこれからどうする?ここだって奪還はしたけど、完全に安心って訳では無い。ここからさらに遠くの場所なら安全かもしれない。……どうする?」

 

私は少し考え、彼を指差した。

彼は驚いたような表情を浮かべた。

 

「え?何?」

 

「*君はどうするの?」

 

「俺?…俺は、イカ達を助けるつもりだ」

 

「*!」

 

彼の瞳には強い決意と希望が滲んでいた。

ニッと彼は笑うと続ける。

「…こんな暗い世界は嫌いだからな。俺は…負けない」

 

はっきり言い切った。

私は少し考え、意思を固めた。

 

「*私も戦うわ」

 

「!、え…いいのか!?」

 

「*ええ、私も負けない…、戦うわ」

 

彼はポカーンとしている。

そんな彼の表情に少し吹きそうになりながらも、ニヤリと笑った。

 

「……へへっ、ありがとうな、『相棒』」

 

「*!?、あ、相棒?」

 

唐突に相棒にされ、一瞬困惑の表情を浮かべた。

彼は慌てて言った。

 

「だ、ダメなら別に…」

 

「*いいわよ」

 

「え……」

 

私は嬉しくなり、微笑んだ。

彼も微笑んだ。

「そういや自己紹介がまだだったな、俺の名前は『イオ』だ。宜しくな」

 

そう言ってニッと笑う。

彼の笑顔はなんだか憎たらしい。だがなんだか憎めない笑顔だなと今更ながら思う。

 

「私の名前は『リリィ』よ。よろしくね」

 

「…ああ、宜しくな、リリィ」

 

2人は夕日に照らされながら握手を交した。

 

 

私達の反撃の物語は、

 

ここから始まったのだ。

 




見ていただきありがとうございます!(*´ ˘ ๓)
いやぁ、疲れた疲れた〜w
次も頑張るので、見ていただけたら嬉しいです(^^)


────────────





「よし、寝たな」
イオはリリィが寝ていたのを確認すると自身の部屋へ。
パソコンを開き、打ち込みだす。

「よし、できた…」

イオは鏡の前に立ち、自身の頬を見た。
その頬には、[Ø]のマークが。
そのマークにそっと触れてみる。
「…"導の数"…か」



数を刻め。

己の運命をその胸に。

刻み込まれた数は、

己の歩むべき道を示す導となり

起源の元へと導く。

数を刻め。

再びこの世界に、人々に

光をもたらす為に。

さぁ10人の"反撃者"よ、歩み出せ。

希望の灯火をその胸に。
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