更新頻度とかバラバラになると思いますが、どうぞよろしくお願いします。
「ご主人様、朝ですよ」
「………ん、あぁ、おはよ、リサ」
俺のメイドであり、また最愛の恋人でもあるリサの優しい声に目が覚める。二段ベッドが二つある寝室には遮光カーテンの隙間から朝日が少し覗いていた。春休みは昨日で終わり。今日から学校である。ちなみにリサには2人きりか
すると………ピン、ポーン………と慎ましやかなチャイムが鳴った。その音で俺が寝ていたベッドの横の二段ベッドの下段で寝ていたルームメイトの遠山キンジも、のそのそと起き出してきた。
「……キンジ、多分白雪だと思う。お前出てこい。……俺はリサと朝飯並べてるから」
「……ん、分かった」
眠い目を擦りつつキンジは玄関に向かい、俺とリサはキッチンの方に向かう。
「「いただきます」」
俺とキンジは二人揃って食前の挨拶。それぞれの朝食に箸を伸ばす。それを見たリサも自分の朝食を摂り始める。
さっきチャイムを鳴らしたキンジの幼馴染みである星伽白雪はもう食べてきたのかキンジが彼女が持ってきた朝食━━なんと漆塗りの重箱だ。それも五段も重なっている━━を食べているのをニコニコしながら眺めている。春休みの間はリサがキンジの分もついでに作ってくれることが多いのだが、今日は白雪が来ることは知っていたらしく、作っていないようだった。
「これ……作るの大変だったろ」
するとキンジが重箱を見ながら白雪に言う。すると白雪は、
「う、ううん。ちょっと早起きしただけだよ。それに春休みの間はリサさんに任せっきりだったから。……それにまずは胃袋を掴めって」
後半はぼそぼそ声だったので都合よくキンジには聞こえなかったようだ。これが最近流行りの難聴系主人公というやつなんだろうか。
「……それは、まぁそうだが」
その頃には俺とリサは食べ終えて食器を片付け始めていた。
キンジは白雪が無駄に大量に作ってきたのでまだ終わっていない。
キンジが食べている間に俺は顔を洗ったり歯を磨いたり制服に着替えたりと学校へ行く準備を済ます。リサの方も準備が整ったようなのでリビングに顔を出すと白雪がキンジのブレザーとテレビの脇に放ってあった
校則により武偵高の生徒は学内での帯銃と帯刀を義務づけられている。俺もリサもブレザーやスカートの内側、腰やポケットに拳銃や刀剣類を持っている。
「キンジ、俺たちはそろそろ出るからな。始業式遅れんなよ」
「あ、ああ。俺はメールチェックしてから行くわ」
キンジに一声かけてから学校へ向かう。普段から俺とリサは少し早めに出て二人で余裕を持ってバスや徒歩で学校へ向かい、キンジはギリギリのバスか自転車で学校へ来る。キンジはわりとぐうたらなのだ。
◆
ここ、東京武貞高では始業式などに去年
━━武偵とは、近年頻発する凶悪犯罪に対抗して作られた国際資格である。武装を許可され、逮捕権も有しており、報酬に応じて”武偵法”の許す範囲においてあらゆる仕事を請け負う、所謂、便利屋だ━━
そしてそれを育成する教育機関は世界中のそこかしこに存在する。日本の東京には東京湾岸部にあるここ東京武偵高校、通称を学園島と言う。そこに俺とリサは通っている。
始業式を終え、発表された新しいクラス━━俺とリサは2年A組だった。ちなみに、今年もキンジとも同じクラス━━に入る。始業式の時も見なかったが、未だにキンジは登校してきていないようだった。流石にメールチェックしながら寝落ちしたということもないだろうが、ダラダラし過ぎてバスを乗り過ごしたとかはあるかもしれない。
「キンジ、来ねぇな」
思わず呟いてしまったがキンジは
すると、ガラッと後ろの扉が空いて、何やら疲れ切った顔でキンジが教室に入ってきて机に突っ伏す。それを見た身長190近い大男の武藤剛気が白雪がどうのこうのと絡みにかかるがそれをキンジは「今の俺に女の話題をふるな」と、アッサリ拒否。
そこでようやく今年のクラスの担任の先生が入ってきた。
「はーい、それではHRを始めますよー」
この人は高天原ゆとり先生。
「じゃあまずは去年の3学期に転校してきたカーワイイ子から自己紹介お願いしまーす」
初っ端から出席番号順ですらなかったがそこで立ち上がったのは世にも珍しいピンクブロンドのツインテールの背が低い女の子だった。彼女は神崎・H・アリア、
そしてソイツはいきなりキンジを指差し、
「先生、あたしはアイツの隣に座りたい」
と、言い出したものだからクラス中大騒ぎだ。
キンジは絶句し、イスから転げ落ちてるし。
「よ、良かったなキンジ!よく分かんねーけどお前にも春が来たみたいだぞ!先生!俺、転入生さんと席代わりまーす!」
と、武藤はキンジの手をブンブン振りながら満面の笑みで席を立つ。
「あらあら。最近の女の子は積極的ねぇ。じゃあ武藤くん、席を代わってあげて」
先生はなんだか嬉しそうにキンジとアリアを交互に見て、武藤の提案を受け入れる。
するとクラスの連中は拍手喝采。
俺も横の席のリサと目を合わせ、お互いに苦笑いをするしかない。
「キンジ、さっきのベルト」
アリアが新たな自分の席に歩きながらキンジに何故かベルトを放り投げた。
……一体お二人はどのようなご関係で?
キンジがベルトをキャッチすると━━
「理子分かった!分かっちゃったー!これ、フラグばっきばきに立ってるよー!」
と俺の前、キンジの左斜め前の席に座っていた峰理子が勢い良く席から立ち上がる。
「キーくんベルトしてない。そのベルトはツインテールさんが持ってた!これ謎でしょ?でも理子には推理できた、できちゃった!」
アリアと同じくらい背が低い探偵科のおバカ代表こと峰理子。自分の制服をヒラヒラのフリフリに改造している。ちなみにキーくんとは、こいつがキンジにつけたあだ名である。
「キーくんは彼女の前でベルトを取るような
ツーサイドアップテールの天然パーマの髪をぴょんぴょん揺らしながらのお馬鹿推理。
……アホくさ
俺はクラスがまた騒ぎ出すのを尻目に机に突っ伏す。
武偵高の生徒はこの一般教科でのクラス分けとはまた別にそれぞれの専門科目でクラスの枠を超えて学ぶので年度が変わっても顔見知りというか友達率は高いのだ。そしてお馬鹿ばっかりなこの高校は基本的にみんなノリが良い。……大抵それが活かされるのは悪ノリする時くらいなのだが。
しかしクラスの騒ぎがかなり大きくなると
ダンダン!
と、2発の銃声が鳴り響き、クラスを一気に凍りつかせる。俺が顔を上げると真っ赤になったアリアがガバメントの2丁拳銃を天井に撃ったらしいのが確認できた。ガバメントから排出された空薬莢が床に落ちて、鈴の音のような音を鳴らして静けさをより際立たせる。
理子はよく分からんポーズのまま、ズ、ズズ、ズ。と、ゆっくり着席。
確かに武偵高では校舎内での発砲は禁止ではない。しかし必要以上にはするなとなっている。
これが必要以上かどうかは審議が必要だと思うが、それはさておきいくらなんでも始業式の日の、それも自己紹介でいきなり拳銃をぶっぱなしたのはこの学校がどんなにトチ狂っているとは言え、コイツが初めてに違いない。
そんなアリアが真っ赤になったまま発した言葉は、
「れ、恋愛なんてくっだらない!全員覚えておきなさい!」
そして
「そういう馬鹿なこと言う奴には……」
「━━風穴開けるわよ!」
それが、2年に進級した神崎・H・アリアがみんなに発した、最初の言葉だった。