緋弾のアリア〜化け犬武偵と百獣を統べる姫〜   作:愛宕夏音

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GW中には1つ投稿したかったので出来てよかったです。
それではどうぞ!


レインボーブリッジの死闘!金剛石の鉄砕牙

「で、その後はその人の家で療養してから司法取引によって埼玉県の武偵中学に編入して、そして今に至るわけだ」

 

 

戦闘とかの細かいところまでは一々言わなかったが、2年前にイ・ウーが日本に来て暴れる隙に二人して逃げ出したということをアリアには教えた。

 

 

「ふぅん、それで後々突っ突かれたくないところもあるから敢えて司法取引で編入することで過去をまとめて清算したのね」

 

 

「あぁ、話が早くて助かる」

 

 

「と言うことはあんた達、武偵殺しについても知ってるのよね?」

 

 

まぁ、当然そこは聞かれると思っていた。俺たちがイ・ウーに所属していたということはアリアが追いかけている人物たちのほとんどを知っているはずだということになるからな。

 

 

「あぁ、知ってる。けどその前に、だ。俺たちは今はイ・ウーから狙われていてもおかしくはない。と言うより確実に狙われているだろうな。だからイ・ウーと真っ向から戦うって言うお前とは組めない。けれど、確かにこの学校だとお前と合わせられそうなのはキンジだけだろうな。だからもう一度訊くぞ。本当にキンジがいいんだな?キンジでいいや、程度なら俺はお前がキンジをパートナーにしようとするのは止めるからな」

 

 

これだけは譲れないのだ。俺がイ・ウーと戦うのはあくまでも向こうから来た時だけだ。俺から向かう気にはなれない。それはリサを余計な危険に晒すことになるからだ。

 

 

「……そうね。少し、時間をくれないかしら?」

 

 

少し悩んだ後、アリアはそう言った。

 

 

「時間?」

 

 

「そう、アンタがそこまで言うんだし、あたしももっと真剣に考えなくちゃいけないかなって思ったの。だから、見極める時間を頂戴」

 

 

「あ、ああ。そうだな。まぁ、そこら辺はキンジ本人と話し合ってくれ。まぁ、仕方ないから今日は泊まっていけ。もう夜だしな」

 

 

「……そうね。そうさせてもらうわ」

 

 

……ピン、ポーン……

 

と、俺たちがそこまで話し合ったところで慎ましやかなチャイムが鳴った。この鳴らし方は多分白雪だろうから俺はキンジに出てもらうことにした。

 

 

 

 

少しすると、コンコン、とキンジがリビングのドアをノックしたのが聞こえた。

 

 

「あぁ、入っていいぞ」

 

 

俺がそう言うとキンジが大きめの弁当箱を抱えて入ってきた。やっぱり白雪だったようだ。今度は夕飯を持ってきたのか。

 

 

「話はまとまったのか?」

 

 

「んー、とりあえずアリアは今日泊まるみたいだぞ」

 

 

「………は!?」

 

 

「いや、そんなに驚かれてもな。もう遅いし、1日くらいはいいだろ」

 

 

「……分かったよ」

 

 

キンジも渋々ではあるが了解してくれた。

 

 

「でも、俺は強襲科には戻らないからな」

 

 

「それはともかく、……とりあえず風呂だな。いつもはリサが最後なんだけど、今日はどうする?」

 

 

この瞬間、俺とキンジはアリアによって外に追い出されるのだがそれはまた別のお話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……何かおかしい。俺とリサは今日雨が降っているから早めに寮を出たはずだ。なのになんでもうバスが来ているんだ?……しかもギリギリ授業に間に合うバスの1つ前のが。

俺は2つ前のに乗ろうと思っていたのに。

仕方なしに携帯で時間を確認すると、思っていた時間よりもさらに何分か経っていた。俺は普段から腕時計とかは着けないので部屋の時計か携帯に内蔵されている時計で時間を確認するのだがどうやらいつの間にか部屋の時計の時間が狂っていたようだ。

まぁ、どのみち授業には間に合うし、特に問題は無いので俺たちはそのバスに乗り込む。

 

 

しばらくするとマナーモードにしていた俺の携帯がブルブルと震え出す。着信があったようだ。

 

携帯を取り出すとメールではなく電話の模様。着信はアリアからだった。バスの中なのでそれだけ伝えて後でかけ直そうと思い周りの奴に軽く頭を下げてから出る。

 

 

「峻稀!今どこにいるの!?」

 

 

するといきなりアリアのキンキンのアニメ声が大音量で耳に響いた。

 

 

「……7時50分のバスだ。バスの中だから切るぞ。後でかけなお━━」

 

 

「待ちなさい!事件よ!」

 

 

電話を切ろうとしたらいきなりそんなことを言われた。……事件だと?

 

 

「……何があった?」

 

 

「それの次のバスがジャックされたわ。7時58分のやつよ。本当はアンタにも来てほしかったけど無理そうね」

 

 

「……いや、どうにかして行く。お前はお前でどうにかしろ」

 

 

「は?行くったってどうするんの━━」

 

 

リサにカバンを預け、途中で電話を切りバスの運転手に告げる。

 

 

「運転手さん、これの次のバスがジャックされた。一旦止めてくれ。俺はここで降りる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雨の中、元来た道を引き返しながらバスが去るのを確認して俺は体に眠る妖怪の血を目覚めさせる。すぐに体中に力が漲るのが分かり、確認はしていないが髪は銀色に染まり耳も人間のそれではなく犬のようになっているだろう。目の色も黒から金に変わっているはずだ。

そして俺はそこから跳ぶようにして走り出す。レインボーブリッジを抜けトンネルも抜ける。遂に市街地に入った。そこで俺は標識や看板、電柱、建物の外壁などを足掛かりにしてひたすら戻る。

 

少しすると雨音に混じってヘリのプロペラの轟音が聞こえてきた。……そろそろだな。

 

 

するとようやくジャックされたであろうバスが高速でこちらに走ってくるのが見えた。今度はバスの進行方向に一緒に走り、なるべく相対速度を合わせて飛び乗った。縁を掴み滑り落ちるのを堪える。ベルトのワイヤーを打ち込み振り落とされないようにしてから変化(へんげ)を解く。少しするとようやくバスに追いついたらしく、真上からヘリの音が聞こえ、上を見るとアリアとキンジが強襲用パラシュートを使って屋根に転がり落ちてきた。キンジが落ちそうになるがアリアが腕を掴んで引き留める。

 

 

「な、なんでアンタがあたし達より早くここにいるのよ!?」

 

 

流石に本当のことを言うのは後々面倒になるので適当に誤魔化さないとな。

 

 

「……企業秘密だ。それより俺にも状況説明を。今回のパーティーはこの3人だけか?」

 

 

「ヘリにはレキも待機してる。……ねぇ、アンタ本当に━━」

 

 

武偵殺しの犯人を教えてくれないの?と、その顔は語っていた。

悪いな、それを今教えると俺やリサが復讐にあうから、教えられないんだよ。それに、アイツとは一応友達だしな。

だから俺は首を横に振る。アリアは残念そうな顔をするが教えられないものは教えられないのだ。

 

「……そうだな、キンジは車内へ。アリアは外回りから爆弾を探せ。俺は()()()を片付ける」

 

 

俺の目線の先には無人のオープンカーが1台。しかし座席にはウージーと思わしき短機関銃(サブマシンガン)が固定されていた。

 

アイツ、俺がいてもお構いなしということか。

 

俺は懐から2丁のH&K USPを取り出す。コイツは高火力な.45ACP弾を12発も撃てる拳銃だ。

 

俺もキンジもあのモードではないのだが、とにかくやるしかない。

二丁拳銃で弾丸をばらまき、どうにかウージーを破壊することに成功した。

その間に車内に入ったキンジによれば女子生徒の携帯からスピードを落とすと爆発する爆弾を仕掛けたと武偵殺しに言われたそうだ。

しかし今さっき通り過ぎた路地交差点からまたウージーを積んだオープンカーが今度は3台も出てきた。

 

 

「クソ!いくらなんでも多過ぎるだろ!」

 

 

悪態をつくが状況が良くなるわけではない。とにかくこいつらをぶっ壊していくしかないのだ。

 

しかし俺が1台に手こずっていると、もう1台がバスの車体の下にあった爆弾をアリアが解体を試みているところに追突してきやがった。

 

 

ドン!という衝撃によって俺も銃撃を止めざるを得ない。

その隙にもう1台が側面に回り込み無数の銃弾を車内にばらまく。

バリバリバリバリッ!!と窓ガラスを粉々にして内部にも銃弾が降り注いだ。

 

俺はどうにかそこまでで2丁のウージーとそれが乗っている車を破壊するが、そこで予備マガジンも含めて弾丸が切れてしまった。まだ、ウージー付きの車は1台残っている。

 

 

するとトンネルを出たあたりでヘルメットの無いキンジとアリアがバスの上まで這い上がってきた。

 

 

「おい!まだ敵は1台残ってるぞ!」

 

 

しかし相手側がその隙を逃すはずもなく、照準をこちらに合わせてきた。そしてそのまま引き金が引かれる……っ!

 

 

「チィッ!」

 

 

俺がウージーに向かって弾切れの拳銃を投げつけ、アリアがキンジを庇った。

 

バシッ!という音と鮮血が飛び散る。そしてアリアがとっさに放ったらしい弾丸でウージーは破壊されたが刺し違えたかのようにアリアの額からも血が出ていた。

 

 

「アリア!」

 

 

キンジが叫ぶ。

 

 

「アリア!アリア!アリアぁ!」

 

 

キンジの絶叫が響くがまだ終わっていない。

なんと今度は長大なライフル━━それも50口径の対物ライフルだ━━と、これまたウージーを積んだ車がそれぞれ1台ずつこちらに猛スピードで向かってきた。

 

 

……マズイ!もうこっちはキンジしか拳銃を持っていない上に相手は対物ライフルだ。撃ち合いになったら勝ち目なんてないぞ。それに、最悪なことに向こうは拳銃の弾が届かない範囲から、直撃すれば人間なんて真っ二つにできる凶弾を放つ気だ。

 

やるしか、ないっ!

 

確実に沢山の人間に見られるが背に腹は変えられない。

俺は本日2度目の変化(へんげ)をすることにした。内側から沸き上がる力、さっきよりも鋭敏になる嗅覚。耳は頭の横ではなく上に生え、目と髪の色も急激に変化する。

 

 

この学校ではリサや極一部の教員しか知らない、俺の秘密。知られたら騒ぎになるのは必然。

それでもこれを使わなければ誰も守れない。

 

だから、使う。

 

 

「……はっ!?どうしたんだ、お前━━」

 

キンジが呆然と聞いてくる。まぁ、初めて見たのなら仕方ないかもな。でも今はそれどころじゃない。

 

 

「俺のことはいい!お前はウージーをなんとかしろ!」

 

 

そう叫んだ俺は鉄砕牙を抜き放つ。そしてまた鉄砕牙も変化(へんげ)し、その姿を錆び刀から巨大な牙のような刀身へと変貌する。

 

さらにドクン!と1つ脈打つとその刀身が全て硬質な金剛石(ダイヤモンド)で覆われる。

それを俺はキンジたちの盾になるように構える。

すると、バゴンンンッッッ!!!と馬鹿げた衝撃が鉄砕牙に叩きつけられる。下からの衝撃によって俺の体が宙に浮く。手放しこそしなかったものの、鉄砕牙を弾かれた上に、そのあまりの威力に打ち込んだワイヤーも切れた。

そのままバスから放り出されるがそれでも俺は空中である程度体勢を整えると、対物ライフルを積んだ車に向かって右手で硬質なダイアモンドに覆われた鉄砕牙を振り抜き、その軌道から無数のダイアモンドの槍が飛び出す。

 

金剛槍破と呼ばれるその技は巨大な金剛石の槍を無数に放つ技。ぶっちゃけ飛ばした金剛石は後で回収しないと不味そうなので使いたくはないのだがこの際贅沢は言っていられない。

鉄砕牙から放たれた金剛石の槍は対物ライフルを車ごとどころかレインボーブリッジまで突き刺し完全に停止させた。

 

 

「……グッ!……痛ってぇ!」

 

 

俺はそのまま背中からコンクリートに打ち付けられゴロゴロと転がってしばらくしてから止まることができた。立ち上がって顔をあげる。するとちょうどバスが俺の横を猛スピードで通り過ぎていった。

 

 

「あっ……」

 

 

しかしウージーを積んだオープンカーが俺のところに突っ込んでこようとしていた。死にはしないだろうがこれは喰らったらかなりマズイな。金剛石の鎧の無くなった鉄砕牙を構えて一か八か叩き斬ろうとしたその時、

 

 

ガクンッ!と車が傾き、タァン!タァン!という発砲音が一瞬遅れて響く。空中に飛び上がり、減速したオープンカーの後部座席に取り付けられたウージーを車体ごと鉄砕牙で叩き斬る。

そして車体が爆発し、その衝撃で後ろに吹っ飛ばされるが今度は空中で回転し、バランスを整えてからしっかりと着地した。

するとまた、今度はバスの走っていた前方からタァン!タァン!という音が聞こえ、ドウウウウッ!と海中から爆音と共にでっかい水柱があがった。どうやらさっきのオープンカーとバスに取り付けられた爆弾への狙撃はレキがやったようだ。しかしアイツ、不安定なヘリの中からバスの車体の下にある小さい爆弾を狙撃で破壊したのか。あいつも大概化物だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事件は一応の解決を迎えたがまだ問題は残っている。

 

 

「……これからどうしよう」

 

 

こっからだと武偵高までは距離があるし、なにより大勢の前で鉄砕牙の大技を放ったり変化(へんげ)したり。……放った金剛石の槍の回収の目処は立っているのだが、それ以外の問題は山積みだった……。

 

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