オーバーロード~狼(以下略)~その他まとめ 作:ぶーく・ぶくぶく
ジョンが肩をすくめて笑った。
「変態紳士が多い」
モモンガは少し首を傾げる。
「どうしたんですか、ジョンさん?」
ジョンは床に転がっていた資料を手に取って、あくび混じりに答えた。
「学校プール作ったじゃん。で、見に来るやつが思ったより多かったって話よ。女子を覗きに来る変態紳士が――ってやつ」
モモンガの赤い瞳がわずかに鋭くなる。
「……それは、問題ですね。プライバシーと安全の観点から、対策が必要です。監視と入場制限、魔導結界による視覚制御などが考えられます」
ジョンは片手で髪をかき上げて苦笑した。
「まあまあ、まだ見てるだけのやつが多いからそこまで大事にはなってないけどさ。でな、花街のお姉さんに来て貰いたいって要望もちらほら来てるんだよね。要するに“スクール水着売ってくれ”って」
モモンガは瞬間、口元に微かな含み笑いを浮かべるがすぐに正色する。
「それは……まずは年齢確認と同意の問題をきっちりさせる必要があります。未成年の外見を模した衣装の販売や商用利用は慎重に扱わなければなりません」
ジョンは頷きつつも目が輝く。
「だからさ、そこをうまく回す方法があるだろ。たとえば“公式スクール水着”を作って、花街の人向けにライセンス販売すればいい。見世物としての整理もつくし、盗みに入る前に買ってくれれば窃盗も減るだろ?」
そのとき、モモンガが書類を抱えたまま溜息交じりに口を挟む。
「――商売にするなら、規約と監督を厳格にしなさい。観覧席は有料で年齢証明必須、監視魔法を二重にかけて、不審行為は即刻通報。あと、宣伝文句に“スクール”と付けるなら、誤解を避けるために“学園風・デザイン”などと明記してください」
ジョンが片目をつぶって笑う。
「堅いなあ、モモンガさん。でも観覧席作って良いのか。で、儲けはどう分ける? ナザリックの宣伝部と花街にフェアに分配する?」
モモンガは書類に眼を落とし、淡々と計算するように言った。
「経費・魔力消費・監視装置の維持費を先に引いて、残りは慈善基金と花街支援に割り振りましょう。あとは規約の草案を作ります」
ジョンは満足そうに伸びをした。
「よし、それで行こう。『公式スクール水着』――名付けて、ナザリック・オフィシャル・アカデミア・スイムウェア。略してNAS!」
モモンガが冷ややかに一言。
「略称を付けるのはやめてください。余計に誤解が広がります」
2人は顔を見合わせて、小さな苛立ちと笑いを噛みしめた。
こうしてナザリックは、またひとつ“一見危ういが法的に整えた”ビジネス案を産み落とすことになったのだった。