オーバーロード~狼(以下略)~その他まとめ   作:ぶーく・ぶくぶく

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ハロウィン

 

 

/*/ナザリック地下大墳墓第9階層モモンガの執務室/*/

 

 

「モモンガさん、ハロウィンってなんだっけ?」

「どうしたんですか、ジョンさん」

 

ジョンは椅子にどっかりと腰を下ろし、顎に手を当てて遠い目をする。

 

「いや……みんな仮装して、かぼちゃとか飾ってあったじゃん……あれ、ハロウィンってどういう日なんだ?」

 

モモンガは机の書類に目を落としながら、少し首をかしげる。

「ハロウィン……ああ、元は異教の祭りで、秋の収穫を祝い、悪霊を追い払う日とされていました。現代では仮装やお菓子の交換など、娯楽的な意味合いが強いですね」

 

ジョンは目を輝かせ、指をパチンと鳴らす。

「なるほど! よし、今年はナザリックでもハロウィンやろうぜ! モモンガさん、仮装させる奴らとか、イタズラの準備とか……全部俺に任せろ!」

 

モモンガはため息交じりに、しかし少し微笑んで言った。

「……ジョンさん、またナザリック中が混乱する気配しかしませんね」

 

ジョンはにかっと笑い、机をドンと叩く。

「それが俺のハロウィンだ! モモンガさん、今年も楽しむぞ!」

 

その後、ジョンは机の上の資料や地図を広げ、ナザリック全層での仮装計画や、モンスターたちへの配役決め、さらには『お菓子の強奪作戦』のシミュレーションを熱心に始めた。

 

モモンガは冷静に書類を整理しつつも、ジョンのはしゃぎぶりを微笑ましく見守る。

「……やはり、この方の遊び心には抗えませんね」

 

ジョンの笑顔は、地下大墳墓に少しだけ温かい光を差し込むかのようだった。

 

 

/*/ナザリック地下大墳墓第9階層・ハロウィン準備/*/

 

 

翌日、ジョンの指示のもと、ナザリック全層は少しずつ“ハロウィン仕様”に変わり始めた。

 

ルプスレギナは自ら装飾用のかぼちゃを運び込み、赤いリボンで飾り付け。

「ジョン様、これで雰囲気出ますかね~?」

「よし、ルプー、それで完璧だ!」

彼女の作業に熱が入る。跳ねる笑顔は、いつも以上に楽しげで、ジョンもついに顔を綻ばせる。

 

一方、ソリュシャンはモンスターたちに仮装の着付けを担当させられ、文句を言いつつも的確に衣装を整えていく。

「お前たち、ここはこう……うむ、良し、完璧だ」

冷静で美しい外見ながらも、心の中では少し楽しんでいる自分を認めざるを得なかった。

 

エントマは小さな妖精や昆虫型モンスターたちに、お菓子を配る役目を任され、得意げに行き来する。

「ふふ、甘いのって、良いっすね~」

その様子をルプスレギナが微笑ましく見守る。

 

モモンガはデスクに座り、全体の進行を管理しつつ、ジョンの熱意に付き合う。

「……この計画、果たしてどれだけ持つのやら」

とは思うものの、ジョンの楽しそうな姿を見ると、つい顔が緩んでしまう。

 

ジョンは地下大墳墓全層に目を配りながら、次々と命令を下す。

「モンスターたちは仮装して回れ! 侵入者役はシャルティア、驚かすなら一瞬で! ルプーは装飾の最終チェックだ!」

「了解っす!」

ルプスレギナの声が響き、作業がさらに加速する。

 

夜になれば、ナザリックは光と影の不思議な空間に変わる。かぼちゃランタンの灯りが揺れ、モンスターたちの仮装が映え、地下大墳墓全体が幻想的な雰囲気に包まれる。

 

ジョンは中央広間に立ち、満足そうに手を組む。

「ふふ……これぞ俺たちのハロウィンだ! 地下で過ごすこの夜、誰も忘れられないぞ!」

 

モモンガは小さく息をつきながら、ジョンの熱意にただ頷くしかなかった。

「……ナザリック、やはりこの方の遊び心で今日も平穏ではなくなりましたね」

 

 

/*/ナザリック地下大墳墓第9階層・ハロウィン当日/*/

 

 

夜が深まり、ナザリック全層はかぼちゃランタンの柔らかな光で満たされ、幽霊や骸骨、魔物たちがそれぞれ仮装して集まった。ジョンは中央広間に立ち、笑みを浮かべる。

 

「さあ、モモンガさん! 死者も混ざって踊る日だ、俺と一緒に踊ろうぜ!」

 

モモンガは机から顔を上げ、少し戸惑いながらも言う。

「……ジョンさん、私は別に踊る必要はありませんが」

 

ジョンは腕を広げ、にやりと笑う。

「いやいや、こういう日は全員参加だ! 生きている者も死者も、みんな一緒に楽しむんだ!」

 

モンスターたちが輪になり、骸骨たちも奇妙なリズムで体を揺らす。ルプスレギナは楽しげに駆け回り、ソリュシャンは美しく舞う姿で輪の中に溶け込み、エントマも小さな触手を揺らしてリズムをとる。

 

ジョンはモモンガの前に立ち、腕を差し伸べる。

「さあ、モモンガさん! 一緒に踊るんだ!」

 

モモンガはため息交じりにその手を取り、少しぎこちなくも輪の中に入る。

「……わかりました、ジョンさん。せめてこの場の雰囲気を壊さないように」

 

音楽はナザリックの魔法で生まれた幻想的な旋律に変わり、光と影が踊る広間を包む。ジョンの笑顔に引き込まれるように、モモンガも徐々に体を揺らし、周囲の魔物たちと共に踊り始めた。

 

「ふふ……これもまた、ナザリックの楽しみ方ですな」

モモンガの口元にわずかに笑みが浮かぶ。

 

死者も生者も、モンスターも魔導国の使者も、すべてがひとつになり、地下大墳墓は不思議な熱気と笑い声に満たされる。

 

ジョンは高らかに声を上げる。

「これが俺たちのハロウィンだ! 誰も忘れられない夜になるぞ!」

 

モモンガも、仕方なくも笑顔を見せ、ジョンと共に踊り続けるのであった。

 

ナザリックの夜は、今日もまた、奇妙で幸福な一夜として記憶に刻まれる――。

 

 

しかしその平穏でない時間こそ、ナザリックの者たちにとっては束の間の笑顔を生む、特別な一日となるのであった。

 

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