オーバーロード~狼(以下略)~その他まとめ   作:ぶーく・ぶくぶく

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機能性ウェア

 

 

/*/ ジョン工房 /*/

 

 

 オーバーロード世界では、もともと立体裁縫の概念があった。衣服は魔法補助や戦闘補正用に作られ、着る者の体型に沿って形状が変化するものもあった。しかしジョンはそこに新たな素材を持ち込み、服飾革命を起こすことにした。

 

 テーブルの上にはアクフレ布、ナイロス繊維、軽量ワイヤーの束が並ぶ。

 ジョンは小さな魔法陣を描き、繊維の強度と柔軟性を微調整する。

 「これで軽くて丈夫、しかも肌触りも良い。これなら補正下着にも応用できるな」

 

 村の職人たちとともに、コルセットやブラジャーなどの補正下着を制作する。

 軽量ワイヤーが体型を支えつつも痛みを与えず、ナイロス繊維が体に沿って自然なラインを作る。

 

 ジョンは当初、住人たちの美男美女ぶりを思い出し、少し懐疑的だった。

 「補正下着……果たして売れるか?」

 しかし、試作品を町で展示してみると、予想外の反応が返ってきた。

 

 村の若い女性や貴族令嬢たちが列をなして購入し、試着室からは笑い声と感嘆が絶えない。

 「わあ、ラインがきれい……肩も楽!」

 「着け心地が軽いのに、姿勢がぴんとする!」

 

 ジョンはその光景に目を丸くした。

 「……まさか、こんなに売れるとは」

 

 若い女性だけでなく、男性用の補正下着も人気が出始める。

 「美しく見せるという意識は、種族に関係なく共通なのか……」

 ジョンは感心しつつも、心のどこかで少しだけ面白がっていた。

 

 その日、工房には笑い声と紙幣の音が交錯し、

 ナイロス繊維とアクフレ布を使った下着の新しい時代が、静かに幕を開けた。

 

 ――リアル基準で美男美女の世界でも、美容への情熱は決して衰えない。

 ジョンはその熱量に、改めて驚きと尊敬を覚えるのだった。

 

 

/*/ カルネ・ダーシュ村・ジョン工房 /*/

 

 

 アクフレ布とナイロス繊維の在庫を前に、ジョンは新たなアイデアを練っていた。

 「補正下着は予想以上に売れた……次は、冒険者や労働者向けの機能性ウェアだな」

 

 机の上には、軽量で伸縮性のあるナイロス繊維が積まれ、試作品のコンプレッションウェアの型紙が広げられている。

 ジョンは指示を出しながら、職人たちと裁断と縫製を進める。

 

「肩や腰、腿の部分には強めの弾性を持たせろ。動きやすさを損なわず、筋肉をサポートする」

「胸部や腹部は呼吸を妨げないように緩めにする。汗は魔法で蒸発させるか?」

「そうだ。軽く魔導吸湿処理を施せば長時間の作業でも快適だ」

 

 試作品が完成し、ジョン自ら村の若手冒険者に着用してもらう。

 走り、跳び、剣を振る。

 筋肉の負担が軽減され、動作が滑らかになったのを目の当たりにするジョン。

 

「なるほど……これは戦闘や長時間の作業にも使えるな」

 

 さらに、工房の魔導装置で耐久テストも行う。

 泥水に浸し、軽い火の粉をかけても素材は損なわれず、伸縮性とサポート力を保つ。

 冒険者たちは感心し、早速注文が入る。

 

 「これ、狩りや鉱山作業に最適だな!」

 「長距離行軍でも疲れが違う!」

 

 ジョンは満足そうに頷き、次の計画を考える。

 「冒険者向けの軽量防護服、労働者向けの作業用強化スーツ……ナイロス繊維の応用はまだまだ広がるな」

 

 カルネ・ダーシュ村の工房では、今日も新しい服飾革命が静かに始まっていた。

 美と機能、そして魔導技術が融合した“動きやすく、守る衣服”の時代が、ここから広がろうとしていた。

 

 

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