オーバーロード~狼(以下略)~その他まとめ 作:ぶーく・ぶくぶく
/*/ ナザリック地下大墳墓第9階層・モモンガの執務室 夜 /*/
モモンガは重厚な執務机に肘をつき、書類の山を前に眉をひそめていた。ジョンは机の隅に立ち、少し肩をすくめながら口を開く。
「そういやモモンガさん、メイドたちだけど……多少、乱暴というか、強気に振る舞って扱ってほしいらしいですよ」
モモンガは眉を上げる。
「ええ? なんですか、それ?」
ジョンは少し困ったように肩をすくめた。
「なんでも、『支配されてる実感があって最高』らしいんです」
モモンガは書類から目を離し、ため息をつく。
「はぁ……そういわれても……私は、使用人を使ったことがないから、どう振る舞えばいいのかさっぱりですよ」
ジョンは小さく笑う。
「そうだよな。ルプーもそんな感じらしいんだけど……どうすれば良いんだろう」
その声に、メイドたちの控えめな頷きが返ってくる。ルプスレギナも口を開かずにうなずき、視線を下げている。室内には、彼女たちの「わかってます」という空気が静かに流れた。
「パワハラ上司の対応は違うよなぁ」
ジョンの知る支配的な対応となるとどうしてもブラック企業のパワハラ上司になってしまう。支配的ではあったが、あれをやるのは……
「支配的ではありますが、違いますね。自分でやるのは嫌ですよ」
「だよなぁ」
モモンガは机の角を指で軽く叩きながら考える。
「……まずは、私たちが冷静に、しかし揺るがない態度を示すことかもしれない。強気に振る舞う、とは言っても、相手に危害を与えるわけではない」
ジョンは少し首を傾げる。
「なるほど……冷静かつ揺るがない、か。要は尊厳を保ちつつ、少し厳しめの距離感を意識すればいい、と」
モモンガは頷き、机の上の書類に視線を落とす。
「ええ。使用人を導くのは、支配というよりも“安心して従える空間”を作ることだ。それが結果的に、強気に振る舞うことの実感にも繋がるだろう」
メイドたちはさらに大きくうなずき、ルプスレギナは小さく微笑んだ。その微笑みには、言葉では言い表せない信頼と期待が混ざっていた。
ジョンは再び肩をすくめ、少し照れたように笑う。
「……なるほど、わかった気がする。まずは態度を揺るがさず、冷静に……メイドたちが安心して従えるようにする、か」
モモンガは真剣な面持ちで頷き、書類に手を伸ばす。
「そうだ。至高の御方として振る舞うことは、単に命令することではない。指針を示し、秩序を守ることだ」
室内に静かな緊張感が漂う中、メイドたちはその言葉を胸に刻み、ジョンとモモンガの表情を注意深く見つめていた。