オーバーロード~狼(以下略)~その他まとめ 作:ぶーく・ぶくぶく
その日、彼女の前に元・漆黒聖典第9席次が現れた。
溢れ出る殺気に彼女……番外席次は眉を顰めた。
「何?貴女じゃ私の相手にもならないの忘れちゃったの?」
かちゃかちゃとルビクキューを弄る手を止めずに、一瞬だけ元・第9席次「疾風走破」に殺気を向ける。
だが、元・第9席次「疾風走破」クレマンティーヌは怯む事無く言い返す。
「相変わらずむかつくやつー……私は逸脱者への扉を手に入れたんだ。神人とも互角に戦える
聖詠が唱えられ、彼女は白と黄色を基調として、身体にぴったりと密着する〈
「へぇ……あの新しい神様に何か貰ったの?いいわ。遊んであげる」
壁にもたれかかって少女――番外席次はルビクキューを仕舞うと、壁に立てかけてあった十字槍にも似た〈
「ふーん。いつまでその余裕面してられるかなー」
クレマンティーヌがゆっくりと姿勢を変えていく。クラウチングスタートのポーズに近いが、立ったままでの異様な姿勢だ。ある意味、可笑しくもあるポーズだが、しかしそれは決して油断できる構えではない。
そして――クレマンティーヌが動く。
余裕たっぷりな番外席次の眼前で、限界まで引き絞られたバネが弾けたようだった。〈流水加速〉〈超回避〉〈能力向上〉〈能力超向上〉4つの武技を同時発動し、〈
顔から一直線に駆けていく。
それは桁外れの能力を持つ番外席次をして、信じがたい疾走であった。
爆風が一瞬で全てを飲み込むように瞬く間に間合いを詰めたクレマンティーヌは、余裕を見せ、完全に油断していた番外席次の間合いを飛び越えて、一気にその眼前まで迫った。
〈
番外席次が後退するよりも、放たれる一撃の方が遥かに早かった。全力の疾走から全身の筋力を1つのものとして使い、体重を乗せて突き出された一撃は番外席次がこれまで見たどんな一撃よりも速かった。
一閃の煌き。番外席次の肩口に深々とスティレットが突き刺さる。
クレマンティーヌの確実に仕留めると言う意志に従って、
「ギ!ギャガァアアア!」
魔法が解放され、
「まだだ!終りじゃないんだよッ!!」
〈流水加速〉
加速し、瞬時に別のスティレットを抜き放つと反対の肩口に突き立てる!更にそのスティレットに込められた〈
そのまま両足で番外席次を蹴り飛ばし、バク転しながら10mほど離れた場所に着地する。
肩から両腕を焼かれ、床に転がった番外席次は動く様子が見受けられない。
「……舐めプしてたら両腕焼かれて、ねえ?今どんな気持ち?格下相手に両腕焼かれて、ねえ?今どんな気持ち?」
いつものあざ笑うような表情をつくり、クレマンティーヌは倒れた番外席次を挑発する。
すっとした気分だった。
これまでの鬱屈した気持ちが晴れ、光が差し込んだように心が晴れやかだった。
良く復讐は何も生まないなどと綺麗事を口にする奴がいるが、そんなのは嘘だ。心に喜びと光が満ち溢れるこの今の晴れやかな気持ちを味わう為だったのなら、これまでの屈辱も歪んだ自分も何もかも受け入れられる。それほどの快感だった。
騒ぎを聞きつけて、隊長や神官長などが集まってきて倒れた番外席次と自分を見比べ、慌てて番外席次の治療に取り掛かっているが、止める気はなかった。
自分に絶望を、屈辱を、挫折を与えてくれた番外席次を地に這わせ、後悔させていると思えば、殺すなど勿体なくて出来なかった。
そうして、騒がしい神殿の最奥に背を向けて、クレマンティーヌは帰る事にした。
今の素の自分ではまだまだ神人には敵わない。ぷれいやー様に下駄を履かせて貰って、相手の慢心と油断をついた勝利なのは自分が一番良く分かっている。それでも神獣様は神人と互角に戦えると言ってくれた。なら、あそこにいればいつかは自分も血を覚醒させ、隊長やあんちくしょうと互角に戦えるのでは無いかと夢を見てしまったのだ。
……難を言えば、シャルティア様の調教は、もう裏切る気は無いので終りにしては頂けないだろうか。
油断しないで、真剣勝負(フル装備)だとクレマンティーヌは〈
今回は舐めプ+格下に痛い目みせられたショック+100LvPCが込めた魔法+びっくりしてと、チートがあっての勝利です。
クレマンティーヌは頭良いから、1回買ったからと言って調子に乗らないと思った次第。でも気持ちはスカっとする。復讐は心に効く。