オーバーロード~狼(以下略)~その他まとめ 作:ぶーく・ぶくぶく
/*/ ナザリック・執務室の小休止 夜 /*/
ジョンはふと窓の外を眺め、ぽつりと呟いた。
「ニニャの風車小屋の家って、良いよな……」
ルプスレギナは微笑を浮かべ、少し目を細める。
「ジョン様が住まうのに相応しくないっすよ?」
ジョンは肩をすくめ、視線を少し逸らす。
「そういうと思ったけど、野営とかテントみたいな狭いところって落ち着くんだよな。なんか、気持ちが安らぐっていうか……無駄に広くない安心感があるっていうか」
ルプスレギナは首をかしげ、くすりと笑った。
「ナザリックではご不満ですか?」
ジョンは小さく笑い、彼女を見つめる。
「ルプーがいれば、何処だって良いさ」
ルプスレギナは頬を赤らめ、低く息を吐く。
「ジョン様……」
ナザリックの一流指向――豪華な装飾、完璧に整った書斎や食堂――と、ジョンの「狭くてごちゃごちゃした場所が落ち着く」という好みは、明らかに相いれない。だがその理屈も、ルプスレギナの優しい視線と微笑の前では、どうでもよくなってしまう。
ジョンは手を伸ばし、ルプスレギナの手をそっと握った。
「まぁ、結局、ルプーが隣にいてくれれば、どんな豪華な部屋だって、この小屋みたいに感じるんだ」
ルプスレギナは手のぬくもりを感じ、体を少し寄せる。
「それなら……ジョン様と一緒なら、私も嬉しいっす」
ジョンは視線を外して、執務室の一角を見回す。机の上には書類が山積みで、床には小物や資料が散らばっていた。
「こういうごちゃごちゃも、悪くないんだよな……」
ルプスレギナは微笑み、軽く肩を押す。
「ジョン様、ナザリックでは整理整頓が基本ですが……こういう空間も、確かに落ち着くかもしれませんね」
ジョンは笑いながらルプスレギナの手を引き、抱き上げると自分の膝に軽く腰掛けさせる。
「ほら、ルプー。ここで一緒にいると、狭くても安心だろ?」
ルプスレギナは目を細め、頷いた。
「ええ……ジョン様と一緒なら、どんな場所でも心地良いっす」
二人の距離は自然に縮まり、豪華さや規律のギャップは完全に消える。ジョンの好みの狭さも、ルプスレギナの優しさに包まれると、まるで至福の居場所になる。
執務室には、静かな笑い声と柔らかな息遣いだけが残った。二人は言葉もなく手を握り合い、お互いの存在に安心し、微笑みを交わす。狭くごちゃごちゃした空間は、今やナザリックの豪華さよりもずっと温かい場所となったのだった。
二人の影は一つに重なり、温かい時間が流れていくのであった。