オーバーロード~狼(以下略)~その他まとめ   作:ぶーく・ぶくぶく

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プリン!

/*/ ナザリック地下大墳墓 第9階層・ジョンの私室 /*/

 

テーブルの上に並ぶのは、特別な材料――金の卵を産む雌鶏の卵、上質な砂糖、香り高いバニラビーンズ、そしてカラメル用の砂糖。卵の殻は薄く、光を受けるたびにほんのり黄金色に輝き、まるで宝石のような存在感を放っている。

 

「ルプー、この卵は普通じゃないぞ。プリンにすると、濃厚さと甘みが段違いになる」

「うわぁ~、ほんとに光ってるっすね! これ、食べるのが楽しみすぎるっす~♪」

 

ルプスレギナは慎重に卵を割る。薄く光沢のある殻を手で開くと、鮮やかな黄金色の卵黄がとろりとボウルに流れ落ち、見るからに濃厚で艶やかだ。

 

「火加減と混ぜ方を間違えると、せっかくの卵の旨みが台無しになる。ルプー、慎重にな」

「はーいっす! ジョン様のお言葉、絶対守りますっ!」

 

ルプスレギナは泡立て器で卵黄を砂糖と合わせ、ゆっくりと温めた牛乳を少しずつ注ぎ、黄金色の液体が光を反射して小さな太陽のように輝くのを見つめる。液体の表面で柔らかく光が踊り、部屋全体に温かみが広がった。

 

「カラメルも仕上げるぞ。焦がしすぎないようにな」

「へいっ、シェフ!」

 

小鍋で砂糖をゆっくり焦がすと、濃い琥珀色のカラメルがとろりと流れ落ち、部屋中に香ばしい香りが漂う。黄金の卵液と混ざる瞬間、光と香りが視覚と嗅覚を同時に刺激し、思わず息をのむほどの美しさだ。

 

蒸し器に入れ、静かに熱を通す。じわじわと甘い香りが広がり、ふんわりと蒸気が部屋に漂う。数分後、そっと蓋を開けると、黄金色のプリンが整然と並び、まるで宝石のように光を反射していた。

 

「いただきますっす!」

ルプスレギナがひと匙すくい、滑らかでとろける感触を指先で確かめる。

 

「……んっ、うまっ! 濃厚だけど、卵本来の旨みがそのまま生きてるっす! 金の卵って、こういう味だったんすね!」

「そうだな。普通の卵じゃ、この香りとコクは出せない。ルプー、作ってくれてありがとう」

 

ルプスレギナは照れたように小さく笑い、プリンをもう一口。黄金色の甘みが舌の上でとろけ、心まで優しく満たされる。

「ジョン様と一緒に作るから、特別な味になるっす~」

 

ジョンもひと匙口に運ぶ。濃厚な甘さが口内で広がり、舌を包み込み、心にまで温かさを伝える。

「……このプリンは、まさにナザリックの宝物だな」

 

部屋には黄金の輝きと甘い香り、そして二人の穏やかな笑い声だけが満ちていた。

闇に包まれたナザリックの地下で、ほんのひとときの贅沢で温かい時間が、静かに、ゆったりと流れていった。

外の世界の戦いや策略など忘れさせるほど、甘みと光の小宇宙がそこに広がっていた。

 

黄金色のプリンを前に、ジョンとルプスレギナは互いに目を合わせて微笑む。

「次はカラメルソースの加減を少し調整してみようか」

「はいっす! ジョン様、次も絶対美味しく作るっす!」

 

部屋に充満する甘い香りと、二人の笑い声が、ナザリックの深い闇の中で、温かく光り輝いていた。

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