オーバーロード~狼(以下略)~その他まとめ   作:ぶーく・ぶくぶく

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まあ勝つよね

 

 

/*/漆黒聖典vsイビルアイ/*/

 

 

広大な訓練場に風を切る音が響く。イビルアイは軽やかに飛行し、漆黒のローブをはためかせながら、空中で軌道を描く。手には魔法陣が浮かび、高速魔法射撃戦に備える。

 

「相性的にはイビルアイが有利だが、レベル差で隊長が勝つかな」

 

ジョンの言葉にイビルアイは反発する。

「戦士が私の戦闘スタイルについてこれる訳が無い!」

イビルアイは小さく飛び跳ねるように宙を舞い、隊長との間合いを自在に変える。戦士系にとっては天敵とも言える、距離を保ちながらの高速魔法射撃戦だ。

 

隊長は槍を構え、紅玉の瞳で軌道を追う。

「なるほど……飛行魔法と魔法射撃を組み合わせるのか」

一歩も退かず、槍を縦横に振るって攻撃を迎撃する。しかし、イビルアイは素早く距離を取り、隊長の反撃圏外から魔法弾を連射する。

 

「避けられる……だと……!」

隊長は紅玉の瞳を見開き、連続攻撃を防ぐために槍を縦横無尽に操る。しかしイビルアイは速度と高度を変えつつ、次々に魔法を撃ち込み、隊長を後退させる。

 

「これが……私のスタイル……!」

イビルアイの魔法弾は隊長の周囲にクリスタルの雨を降らせ、槍で迎撃するたびに地面に衝撃が響く。隊長は冷静に対処するが、空中からの予測困難な攻撃に次第に押されていく。

 

「……この機動力、圧倒的だ」

ジョンは観察しながら思う。イビルアイは見た目こそローティーンの少女だが、吸血姫としての長い戦闘経験が立ち回りに熟練者の瞬発力と判断力をあわせもつ。飛行魔法と高速魔法射撃戦の組み合わせは、戦士系には本当に手強い。

 

最後にイビルアイは高度を下げ、魔法弾を集中させるが、隊長は寸分の隙も見逃さず、槍で迎撃する。砂煙と魔法の閃光が渦巻き、戦闘は互角の緊迫感を保ったまま続く――。

 

結晶散弾(シャード・バックショット)

 

拳より若干小さめな、水晶の散弾を放つ。イビルアイの魔法をモロに喰らった隊長の足が停まる。

 

絶好の機会!

 

魔法二重化龍雷(ドラゴン・ライトニング)!!

 

龍の如くのたうつ白い雷撃が生じ、イビルアイの両の手から肩口までを荒れ狂う。

一拍の後、突き付けた指の延長線上にいる隊長に目掛けて、落雷にも似た放電を発しながら雷撃が空中を駆けていく。

 

その動きが停まる一拍こそ隊長が狙っていたものだった。結晶散弾を喰らったのも、この隙を引き出す為に過ぎない。

神人と呼ばれる強大な脚力で空中のイビルアイ目掛けて跳躍する。勝利を確信して、必殺の魔法を唱えているイビルアイに避ける事は出来ない!

 

そこにジョンが割り込む。

「はい、そこまで」

風神拳と雷神拳を同時に繰り出し、地面と空中を震わせる神話級の一撃で、雷撃と槍の軌道を完全に封じる。

 

「「……なっ!?」」

 

「イビルアイは戦闘も出来る研究者だからな。純粋な戦闘員の隊長には駆け引きで負けたな」

だが、経験で地力の差を埋めた戦闘スタイルは見事だった。隊長は最後の隙を引き出した掛けは良かった。あれがなければ、まだ長引いただろうな。

 

「なんだと、ジョン様!私は負けてないぞ!」

「はいはい、もう二回りくらい強くなったらな。――その事には隊長も強くなってるだろうけど」

 

隊長は深く頭を下げ、心からの礼を示した。

「はい……必ず、御言葉に従い成長します」

 

「くっ、良い子ぶるな!次は私が勝つからな!」とイビルアイ。口調は強がりだが、瞳の奥には決意と成長への意欲が燃えていた。

 

風が訓練場を吹き抜け、未来への希望とともに、若き戦士たちの絆が静かに深まっていく――。

 

 

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