オーバーロード~狼(以下略)~その他まとめ   作:ぶーく・ぶくぶく

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ジョンの期待

 

 

/*/ナザリック地下大墳墓第9層ジョンの執務室/*/

 

 

ナザリック地下大墳墓・ジョンの私室。机の上には設計図が広がり、魔力結晶が淡く脈打っている。ジョンは軽く笑みを浮かべながら、目の前の小型模型――帝国に渡す前の試作鉄の騎士――に指を添えた。

 

「さてさて……帝国魔法省はこの鉄、どこまで気づくかな」ジョンは小声でつぶやく。

内部に組み込んだレアメタルの配置、単なる装甲補強ではなく立体魔法陣による補助と制御――これをどう解析するか、考えるだけで胸が高鳴る。

 

模型の装甲を撫でながら、ジョンは想像する。

「たぶん、鉄の硬度とか魔力伝導性は測るだろうけど……どれだけ気づけるかな。あの省の技師たち、レアメタルの添付と魔法陣の立体構造まで読み取れるかな?」

 

模型の胸部に触れると、内部の魔力流が手に微かに伝わる。表面からはわからない光脈が、立体魔法陣を介して制御され、装甲の運動や魔力増幅に干渉している。

 

「うーん、解析できてもせいぜい表面の魔力結晶までだろう。立体魔法陣の補助作用や、微妙な魔力循環までは……気づけるかなぁ」ジョンは指で微かに模型の装甲を叩く。

「見つけられたら面白いけど、気づかれなければもっと楽しい」

 

胸の内でワクワクが広がる。帝国魔法省の技師たちが解析に没頭するほど、ジョンはその反応を想像してにやりと笑う。

「さあ、この騎士の秘密に気づくか、それともただの鉄の騎士だと思うか……楽しみだな」

 

静まり返った部屋の中、模型の鉄の騎士は微かに光を反射している。その光脈の奥に隠された、ナザリック技術の秘密――それを解き明かすのは、帝国魔法省の者たちなのか、それとも永遠に知られないままなのか。ジョンの期待は膨らむばかりだった。

 

 

/*/

 

 

ハバルス帝国魔法省・解析室。広い作業場には魔力測定器や解析用の結晶陣列が並び、技師や魔法師たちが真剣な表情で立っていた。中央には、ジョンの作った鉄の騎士が静かに立ち、その黒鉄の装甲は室内の光を淡く反射している。

 

「……これは、ただの鉄の騎士じゃないな」若手魔法師が小声で呟く。手に持った魔力感知器が、通常の鉄装甲ではありえない微細な魔力の流れを示していた。

 

副局長が眉をひそめ、立体魔法陣の図面を広げる。

「魔力結晶の配置は標準型だが……この鉄の内部、妙に魔力が循環している。レアメタルの反応か?」

技師たちが騎士の装甲表面や関節部を慎重に観察する。金属の質感は鉄のように見えるが、微かに異なる光の反射と熱伝導が確認された。

 

「鋼鉄じゃない……いや、鉄は鉄だが……純度も加工も、通常の帝国鋼とはまるで違う」

「しかも……立体魔法陣の干渉で、魔力の流れが補助されている……動きの安定性、魔力増幅、全部計算されている」若手技師が驚嘆する。

 

副局長は深く息を吸い、顎に手を当てる。

「これは……もし完全に解析できれば、帝国の騎士技術は一気に進化するかもしれない……しかし、こんな複雑な立体構造、我々だけで再現できるのか?」

 

技師たちは机上の解析装置に向き直り、慎重に測定値を確認する。光脈の動き、内部の微細な魔力循環、金属の質感――少しずつ、ジョンが仕込んだ秘密の輪郭が浮かび上がってきた。

 

「……レアメタルの配置が魔力補助に効いてる……魔法陣の立体構造も見え始めたぞ」

「これ……まさか魔導国流か……?」別の魔法師が声を震わせる。

 

解析室の空気は次第にざわめき、技師たちは興奮と戦慄の入り混じった表情で鉄の騎士を見つめる。

ジョンが遠くから見守っていたなら、きっと笑みを浮かべ、内心でこう思っていただろう――

「お、やっと気づき始めたか。さあ、どこまで解析できるか、楽しみだな」

 

鉄の騎士は静かに立ち、光脈が微かに脈打つ。ナザリックの技術と帝国技術の融合の兆しは、ここから少しずつ解き明かされようとしていた。

 

 

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