オーバーロード~狼(以下略)~その他まとめ   作:ぶーく・ぶくぶく

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地脈があるなら風脈もね

 

 

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魔導国・飛行開発工房。天井の高い格納庫には、木材と軽量金属で組み上げられた飛空艇の骨格がずらりと並ぶ。帆には魔力を集める結晶布が貼られ、魔力結晶が淡く脈打っている。ジョンは両手を組み、慎重に船体を眺めた。

 

「さて、今回の試作機はこれで行けるはずだ」ジョンは笑みを浮かべる。複雑な飛行機構はなく、空気中の魔力の流れ――風脈に乗るだけのシンプル設計だ。

 

助手が目を輝かせて言う。「でも自由には飛べないんですよね?」

「そうそう、風脈に沿ったルート、高度しか飛べない」ジョンは肩をすくめ、軽口を混ぜる。「でもな、それが逆に低コスト化の肝なんだよ。整備も簡単だし、材料も低位魔法で揃う」

 

ジョンは帆の結晶布に魔力を流し、飛空艇を浮かせる。微かに振動した船体は、ゆっくりと風脈に沿って滑るように前進した。左右の急旋回はできないが、高度を自然に維持しながら安定して飛ぶ。

 

「見てみろよ、これが低コストで作れる空の大型船だ」ジョンは手を振る。助手は驚きと感嘆で息をのむ。

「これ……都市間の物資輸送にも使えるんですね!」

「そうだ。辺境だけじゃなく、都市間の大量物資輸送も想定してる。風脈に沿ったルートで安全に、燃料代や魔力消費も最小限だ」ジョンは船体を指差し、にやりと笑う。

 

格納庫の外では、魔力結晶が風脈の流れを淡く示す。飛空艇はその流れに沿って滑るように進む――自由度は少ないが、低コスト・大量輸送に最適な設計。ジョンの工房から、魔導国の都市間物流を支える新しい空路が誕生しようとしていた。

 

 

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魔導国・ジョンの工房。大型飛空艇の試作機が静かに浮かぶ中、ジョンは書類と地図を広げて考え込んでいた。都市間の物流用とはいえ、風脈に沿ったルートを正確に把握しなければ、安全かつ効率的な飛行は望めない。

 

「さて……ここは冒険者ギルドに頼むしかないか」ジョンは地図を指でなぞる。風脈の流れは不安定で、特に山岳地帯や渓谷周りでは細かく確認が必要だ。

 

助手が不安そうに訊ねる。「冒険者にそんな調査、頼めるんですか?」

ジョンは肩をすくめて笑う。「ああ、別に危険な戦闘はさせない。風脈の流れを観察して、標高や流速、安定域を報告してもらうだけだ。冒険者なら、目視と魔力感知の両方で確認してくれる」

 

ジョンはペンを取り、冒険者ギルド宛の依頼書に手早く記入する。内容はシンプルだ――都市Aから都市Bまでの主要風脈ルートの確認、安定高度域の測定、危険箇所の報告。報酬は当然、適切に設定されている。

 

「これでデータが揃えば、飛空艇の航行ルートを安全に確定できる」ジョンは地図に目を落とし、微かに笑みを浮かべた。「冒険者たちの腕を借りるってのも、なかなか面白いもんだな」

 

書類をまとめ、封をするジョン。冒険者ギルドの受付に届ければ、風脈ルート調査が始まる。巨大飛空艇が都市間物流に活躍する日まで、最初の一歩が、今ここで踏み出されたのだった。

 

 

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魔導国・冒険者ギルド。ジョンから届いた依頼書を前に、ベテランと若手の冒険者が顔を見合わせる。

 

「……都市Aから都市Bまでの風脈ルートの確認だって?」ベテラン冒険者が腕を組む。

「えーと、風の流れを魔力感知器で測るだけ……?」若手が首を傾げる。

 

ギルド長が肩をすくめて言う。

「報酬は出るが、戦闘はない。測定と観察だけでルートを確認してくれ、という話だ」

 

ベテラン冒険者はため息をつく。

「ふーん……測定してどうするんだ?飛空艇ってやつの航路決めるらしいが……また魔導国で新しいことを始める気か、って感じだな」

 

若手も笑いながら首をすくめる。

「まあ、ジョン様のことだから、ただの風の測定じゃ終わらないだろうし……でも報酬は悪くないしな」

 

冒険者たちは装備を整え、簡易魔力感知器と測定用結晶を携えて出発する。空を見上げると、微かに光る風脈が揺らめいている。

 

「さて、測定しても本当に役に立つのかね……」ベテランが呟く。

「それはやってみないとわからないけど……ジョン様のことだから、都市間輸送のための巨大飛空艇でも作るつもりかもね」若手が笑う。

 

そうして冒険者たちは、半信半疑ながらもルート調査のために山岳地帯へと向かった。風脈の流れが、果たして都市間物流の未来を切り拓くのか――彼らの疑念も、やがてジョンの新しい実験の一部となるのだった。

 

 

 

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