オーバーロード~狼(以下略)~その他まとめ 作:ぶーく・ぶくぶく
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魔導国・飛行開発工房。巨大な格納庫の天井に届きそうな木製の骨格に、3本のマストが高くそびえる。船体はガレオン船をベースに設計され、帆には魔力結晶を埋め込んだ結晶布が貼られている。重量はおよそ500トン――大型の飛空艇だ。
ジョンは試作機の周囲を歩きながら、帆を指でなぞる。
「さて、このサイズなら一度に大量の物資を運べる。風脈さえ正確に捉えれば、都市間の物流を一気に変えられる」
助手が目を輝かせる。
「500トン……そんな巨大な船でも、風脈を使えば低コストで飛べるんですね!」
「そうだ。自由度は少ないが、3本マストで流れを受ければ安定して航行できる。整備も簡単だし、材料も低位魔法で揃う」ジョンは軽く笑う。
初期試作機は都市Aと都市Bの間を行き来し、風脈の流れに沿ってゆっくりと進む。飛空艇は左右の旋回はできないが、安定高度を保ちつつ大量の物資を運ぶことが可能だ。冒険者たちの風脈調査データも反映され、航行ルートは安全かつ効率的に設定されている。
「これが普及すれば、辺境も都市間も物流革命だな」ジョンは船体に手を置き、微笑む。
「ジョン様……これが本当に量産されるんですか?」助手が訊ねる。
「最終的には300隻ほど建造予定。魔導国と周辺国の物流をすべて担う」ジョンは大きく頷く。
格納庫を出ると、微かに揺れる風脈の光が3本マストの帆に反射する。空を滑るように進む飛空艇の姿は、まるで魔導国の未来を運ぶ旗艦のようだった。低コスト・大量輸送・安定航行――風脈を活かした物流革命の時代は、ここから始まろうとしていた。
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エ・ナウイル港。巨大な飛空艇がゆっくりと浮かび上がり、帆に埋め込まれた魔力結晶が微かに光を揺らす。ガレオン船ベースの3本マスト、全長500トン級の巨大船体は、港に集まった市民や労働者の目を圧倒する。
「本当に空を飛ぶ船なのか……」子どもたちが口々に声をあげる。
「都市間を直接繋ぐなんて……すごいな」作業員たちも思わず手を止め、船を見上げる。
ジョンは操縦席で帆を確認しながら助手に笑いかける。
「風脈に沿えば安定して航行できる。500トンでも低コストで運べるんだ」
助手は船体の動きを見守りつつ答える。「これだけの物資を一度に運べるとは……物流が一気に変わりますね」
船体には穀物や織物、生活必需品などが大量に積み込まれ、港での荷揚げ作業は大幅に軽減される。飛空艇はゆっくりと浮上し、風脈に乗ってエ・ランテルの飛空艇発着場へ向けて滑るように進む。左右の旋回はできないが、高度と速度は安定している。
市民たちは港を離れる飛空艇の姿に歓声を上げる。
「なんて巨大な船だ!」
「風に乗って空を進むなんて……まるで魔法だ!」
エ・ナウイル港の管理官も驚きを隠せず、記録にメモを取りながら呟く。
「これが普及すれば、都市間物流は一気に効率化する……」
船が港を離れると、帆の魔力結晶が青空にきらめき、まるで新しい空路を示す光の道のようだ。エ・ナウイルとエ・ランテルを結ぶ大型飛空艇――ジョンの手による物流革命は、こうして初めての都市間運用を迎えたのだった。
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エ・ナウイル港――今では飛空艇が定期便として発着する拠点となった。ジョンが開発した3本マスト、500トン級の大型飛空艇は、毎日決まった時間に帆を揚げ、微かに光る魔力結晶を揺らしながら浮上する。
「本日の便は満載だ。穀物、織物、薬品に生活用品……都市までしっかり届けるぞ」操縦席のジョンは帆の調整を確認しながら、助手と簡単なチェックリストを確認する。
港には作業員や商人たちが集まり、荷物の積み下ろし作業も手慣れたものだ。飛空艇は風脈に沿って都市――エ・ランテルの飛空艇発着場へ滑るように進む。左右の旋回はできないが、高度と速度は安定しており、大量の物資を安全に輸送できる。
エ・ランテルの港では、到着した飛空艇から荷物が効率的に下ろされる。市民や商人たちは、その便利さに驚き、歓声と笑顔が広がった。
「こんなに早く都市間で物資が届くなんて!」
「これなら辺境の商人も安心して取引できるな」
魔導国の物流担当官も、港の様子を見渡しながら感嘆する。
「3本マストの大型船で、風脈を使うだけでこれだけの量を運べる……これが普及すれば、国内の物流網は完全に変わるな」
定期便はやがて周辺国にも拡大され、都市間を結ぶ飛空艇のネットワークが整備されていく。ジョンの開発した低コスト大型飛空艇は、従来の陸路や従来船舶に依存していた物流を一変させ、魔導国と周辺国の経済圏を一気に近づける存在となった。
青空を滑る飛空艇の帆に反射する光は、ただの輸送手段ではなく、魔導国の技術と創意がもたらす新しい時代の象徴だった。都市間物流の革命は、ここから始まったのだ。
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