オーバーロード~狼(以下略)~その他まとめ   作:ぶーく・ぶくぶく

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大晦日だよ!短期集中掲載だよ!
年明けは更新休みますw


疾風走破2

ニグンが再びカルネ=ダーシュ村を訪れたのは収穫の頃だった。

村の周囲の畑では農民、ゴブリン、オーガにゴーレム、アンデッドが収穫を行っていた。ちらと見えたのはウォー・トロールだろうか?

人を食料としか見ないトロールまでもが共生している事にニグンは神の加護を感じ、祈りを捧げた。

 

村の孤児院を尋ねると、尋ね人は真面な服を着て、子供たちとメイドらに読み書きを教えている最中だった。

 

人は変れるものだと、この頃特に思う。

あの性格破綻者が孤児院で教師をする未来があったなど、あの頃は思いもしなかった。

 

「あれーニグンさんじゃん!どうしたのー?」

 

一区切りついて手の空いたクレマンティーヌがこちらに気が付いて、声を掛けてくる。

それに応えつつも、神に仕える従属神たるメイドたちへの挨拶も忘れない。

 

「頼みがあって来た」

「たーのーみー?」

「番外席次の相手をしてやって欲しい」

「……はぁ?」

 

ぽかんとした様子のクレマンティーヌにまあそうだろうなと思いつつ説明をする。

 

「あの後、お前と戦いたいと神殿を飛び出そうとしてな。なんとか引き留めているところなのだ」

「再戦したら私まず負けるよー?」

「対等に戦える者が現れたと思ったらしくてな。〈竜王(ドラゴン・ロード)〉に発見される危険を冒しても、来ようとしているのだ。今更こんな事を頼める間柄でも無いが、法国の……人類の為と思って、協力してはくれないか?」

「まー神獣様に聞いてみるケドー。……そもそも私の戦い方って初見殺しだから、再戦に向いてないんだよねぇ」

 

ところで風花じゃなくて、ニグンさんが来るとか……暇なの?

 

クレマンティーヌのもっともな問いに、ニグンは苦笑して答えた。

曰く「クアイエッセ殿が来ようとしていたので、直前で止めて自分が来た」話が拗れると引き止めて、陽光聖典の代わりに一人師団を竜王国へ派遣したとの事だった。ニグンはこのあとエルフとの戦線に赴くそうだ。

 

「ニグンさん、GJ」

 

クレマンティーヌはニグンへ良くやったと、サムズアップと笑顔を送ると〈神獣様(ジョン)〉へ、遠征の許可を取る為に畑へ駆け出して行った。

 

 

/*/

 

 

Croitzal ronzell(クロォーイツァ ロンゼェル ) gungnir zizzl( ガングニール ツィール)

 

聖詠が唱えられ、クレマンティーヌは白と黄色を基調として、身体にぴったりと密着する〈全身鎧(パワードスーツ)〉――腹や背中などは半透明で下の肌が透けて見えるような奇妙な作りの〈全身鎧(パワードスーツ)〉を身に纏った。

 

目の前には新しい玩具を前にしたような番外席次がいる。

 

ついでに後には面白そうだとついてきた〈神獣様(ジョン)〉もいる。

 

「来てくれて嬉しいわ。皆、ここから出ては行けないってばっかりで、うんざりしてたの」

「なーにー焼かれるのがクセになっちゃった?でも、ざーんねん。今日は強火のスティレットはなーいんだー」

 

いつものあざ笑うような表情をつくり、クレマンティーヌは番外席次を挑発するが、番外席次は残念そうな表情をした。

 

「そいつは残念。今日もぎりぎりの勝負が出来るかと思ったのに」

「そうやって舐めプしてると、また痛い目みるよー」

「そうしてくれると嬉しいわ。それならこの間のがまぐれじゃないって事になるもの」

 

そう言って、十字槍にも似た〈戦鎌(ウォーサイズ)〉を握る番外席次に一分の隙も無かった。

クレマンティーヌは愛嬌のある顔を歪めて、唇を舐めた。

 

スッといってドス。

 

彼女の得意とする戦法は初見殺しに特化している。対戦相手を屠る為の戦法だ。突撃の速度に対応できなければ格上でも喰えるが、半面、それを知っている格上には対応され、無力となりやすいとも言える。戦士としての汎用性は同僚のブレインの方が高いと自身でも認めざるを得ないところだ。

 

まぁ番外席次は血を覚醒させた神人だ。

 

喉ぐらいならスティレットで突き刺して〈火球(ファイヤーボール)〉あたりを炸裂させても即死はしないだろう。別にあんちくしょうが死んでも私は構わないし。そう割り切って、いつものクラウチングスタートに似た構えを取る。そして〈流水加速〉〈超回避〉〈能力向上〉〈能力超向上〉4つの武技を同時発動し、〈全身鎧(パワードスーツ)〉の〈自己時間加速(タイム・アクセラレーター)〉まで使っての突撃。

 

前回は対応しきれずに喰らった突きを、今度は番外席次は身を捻って躱す。

 

黒の髪が数本、スティレットに巻き込まれて千切れとんだ。

躱され、身体ごと番外席次の脇を通過するクレマンティーヌは、身体を丸め、くるりと回ると頭と足の位置を入れ替える。同時に〈全身鎧(パワードスーツ)〉の足部に装填されている〈浮遊板(フローティング・ボード)〉を解放。空中に出来た足場を蹴って、強引に再突撃した!

 

突き抜けたクレマンティーヌへ〈戦鎌(ウォーサイズ)〉を振り抜いていた番外席次は、弾かれるように向きを変えて飛んできた彼女を、今度は〈即応反射〉でギリギリ躱していく。完全には避けきれず、喉元から鎖骨に掛けてがスティレットで抉られ、血しぶきが舞った。

 

「……いいわ。こんな戦いがしたかったのよ」

「うへぇ。今の躱されると、私にはーどーしよーもないんだけどー?」

 

結局、勝負はクレマンティーヌの力負けで終わった。〈全身鎧(パワードスーツ)〉の全能力を使用すれば、もう数回は勝ちを拾えただろうが、クレマンティーヌは札を伏せ続ける方を選んだのだった。

 

 

「あんちくしょうに痛い目みせてやったと思ったら、心によゆーが出来てさー。私も大人になったって事かなー」とはクレマンティーヌの弁である。

 

 

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