オーバーロード~狼(以下略)~その他まとめ 作:ぶーく・ぶくぶく
/*/ ナザリック外庭・正月イベント/*/
冷たい冬の風が吹き抜けるナザリック外庭。普段は静まり返った広場に、奇妙な声と笑い声が混じる。
ジョンは両手で凧糸を握り、空高く舞い上がる凧を見上げている。
「よし、今日もよく飛ぶな!」
モモンガは遠くからその光景を眺め、眉をひそめた。
「……ジョンさん、あれはなんですか?」
ジョンは凧を操作しながら振り返る。
「タコだけど?」
モモンガの眼窩が微かに赤く光る。
「私には、空飛ぶスパゲッティモンスターに見えるんですが……」
ジョンはにやりと笑った。
「まぁ、タコっぽいから良く飛ぶかなーってさ」
周囲を見ると、ルプスレギナは巨大な八本腕のゴブリン型凧、アウラは翼竜のような凧、マーレは幽霊型の凧を揚げている。どれもナザリックらしいブラックユーモア全開のデザインで、色も黒や深紅が基調。
モモンガは頭を抱え、両手で顔を覆った。
「……凧あげって、こうでしたっけ……?」
凧は風に煽られて奇妙に揺れ、時折、モンスターの形状を活かして「うねうね」と飛ぶ。飛んでいる凧同士がぶつかると、奇怪な音とともに少しずつ互いに絡まり、空中でブラックなダンスを踊るようだった。
ジョンが凧糸を操作しながら声を上げる。
「ほら、モモンガさん! こういうのも面白いだろ。ナザリックの正月は、ちょっとだけブラックユーモアを混ぜないとな」
モモンガは凧たちの奇怪な舞いを眺め、深く息を吐いた。
「……ふむ、確かに“正月らしさ”というより、ナザリックらしさ……ですね」
冬空の下、空飛ぶモンスターたちが不規則に舞い踊り、笑い声と奇怪な鳴き声が交錯する──ナザリックらしい、少しブラックでユーモラスな正月のひとときだった。
/*/ナザリック外庭・正月イベント/*/
冬空の下、今度は羽根付き大会の開始だ。
ルールは簡単──勝った者は、敗者の顔に墨で落書きできる。
シャルティアが額に皺を寄せ、アルベドも険しい表情を浮かべる。
「至高の御方に勝つなんて! お顔に落書きだなんて……不敬でありんす!」
「……信じられません。そんなことは許されません」
守護者たちが声を揃えて抗議するが、ジョンは腕を組んで笑った。
「己の優先権を示すために、モモンガさんの顔に自分の名前を書いて良いんだぞ」
その一言に、守護者たちはあっさり陥落。
「……ぐぬぬ……」とシャルティア。
「……やむを得ませんね」とアルベド。
こうして羽根付き大会が始まった。
アウラ、マーレ、シャルティア、アルベド、ルプスレギナ──みんな振袖に身を包む華やかさ。だが、その振袖姿とは裏腹に、アルベドたちの剛腕から放たれる羽根は恐ろしい威力で、相手の羽子板を貫く。空気を切る音が、冬の庭に鋭く響いた。
「くたばれ! 大口ゴリラぁぁぁ!」
シャルティアが叫びながら羽根を叩き込む。羽子板が火花を散らし、相手の腕が痺れる。
「どぉおおりゃぁぁぁ!!」
アルベドは豪腕で羽根を打ち抜き、勢い余って庭の石灯籠まで粉砕した。
──うーん、ナザリックらしいバイオレンス。
モモンガは少し呆れた表情で、空を見上げる羽根を眺めながら呟いた。
「……私、景品なんですか?」
ジョンは微笑み、肩をすくめる。
「みんな喜んでるし」
冬空に羽根が舞い、墨が飛ぶ。ナザリックの正月は、振袖の華やかさと、守護者たちの豪腕によるバイオレンスが同居する、奇妙で贅沢な光景となった。