オーバーロード~狼(以下略)~その他まとめ   作:ぶーく・ぶくぶく

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未知の力

 

 

/*/ 魔導国・辺境・荒廃した魔導陣跡 /*/

 

 

 蒼い薔薇は、辺境の荒地に足を踏み入れていた。

 ここには、魔導国の記録にも未登録の古代魔導陣が散在している。

 空気には魔力の残滓が漂い、地面には不定形の光がうごめく。

 誰も完全に解読できない――未知の魔法現象がそこにあった。

 

 ラキュースは胸の青い紋章を意識し、剣の柄に手をかける。

 塔で残った竜王の欠片の力が、微かに脈打つ。

 まるで、世界そのものに触れる糸が自分の中に繋がっているかのような感覚。

 

「……見えてきたわ」

 ラキュースの声に力が宿る。

 欠片の力が彼女の意識を補完し、未知の魔力の流れを感じさせる。

 空間のひび、魔導陣の残響、時間の揺らぎ――全てが手に取るように理解できた。

 

 ティナが驚く。

「ラキュース……まるで魔導陣と会話してるみたい」

 

 ラキュースは剣を軽く振るうと、刃先に青白い光が帯び、魔導陣の模様が一瞬震える。

 欠片の力が導き、通常なら触れれば崩壊する古代魔法の結界が、彼女の意思に反応して開き始める。

 

 ティアが目を見開く。

「すごい……この魔法陣、通常の魔法師なら絶対に解析不能なのに……」

 

 イビルアイが横で観察し、冷静に言う。

「塔で得た力と、欠片の残滓か……なるほど、力の使い方次第では、未知の魔法現象にも干渉できるな」

 

 ラキュースは深く息を吸い込み、剣を掲げた。

「……いくわよ!」

 

 刃から放たれた光が魔導陣の中心に収束し、地面のひび割れから光の柱が立ち上がる。

 空間が揺れ、時間の歪みが視界の端で波打つ。

 欠片の力が世界に触れ、未知の魔法現象を“理解”し始めている――

 その瞬間、魔導陣が微かに歌うような音を発した。

 

 イビルアイが呟く。

「……これは……始原の魔法に触れてる、のか?」

 

 ラキュースの胸の紋章が明滅し、彼女自身の力と世界の力が同期する感覚――

 それはまさに、塔で垣間見た“竜王の知”と同じものだった。

 

 蒼い薔薇は息を呑み、ラキュースの周囲の光景を見つめる。

 空間と魔力の法則が彼女の意志に従い、未知の魔法陣がゆっくりと形を変えていく。

 

 ラキュースは微笑む。

「……未知は、恐れるものじゃない。理解するものよ」

 

 ラキュースは魔導陣の中心で剣を振り、光を流し込む。

 その瞬間、紋様の一部が空間に浮かび上がり、微かに歌うような振動を伴って変化した。

 ――失われた魔法体系が、ラキュースの力によって“再生”しようとしている。

 

 欠片の力は残っている――

 だが、彼女はそれを恐れず、使いこなす覚悟を持っていた。

 

 

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