オーバーロード~狼(以下略)~その他まとめ 作:ぶーく・ぶくぶく
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カルネ=ダーシュ村を囲む巨大な水堀の辺にジョンとルプスレギナはいた。
風の穏やかな。冬の日差しの温かい日だった。簡易な椅子とテーブルを並べ、アルゼリシア山脈を眺めながら二人は珈琲とカヌレを楽しんでいた。カヌレのほろ苦い皮はカリカリで、もっちりとした中身からは閉じ込められた洋酒の香りが後を追う。
「ンフィーくんも、なかなかやるっすね」
「そうだな。やっぱりお菓子は計量が命だから、錬金術士じゃないと難しいのかもな」
村の婦人たちに教えたレシピは秤がなかったり、数字が分からなかったりで、きちんと作れてないのだった。
ジョンはそれを思い出しながら、ンフィーレアの作ったカヌレを二つに割ると片方をルプスレギナへ差し出した。受け取ろうと伸ばされたルプスレギナの手を避けて、「ん」ともう一度差し出す。
ジョンの意思を察したルプスレギナは恥ずかし気に瞳を伏せると、そっと口を開く。
絶世の美女を意のままにしている事にジョンの支配欲が満たされる。その口に割ったカヌレを押し込んでやると少し、大きかったのかハムスターのようにもっきゅもっきゅと頬張ってる。そんな顔も愛おしくジョンは表情を崩した。
「ああ、良かった。カルバイン様、ルプスレギナさん、やっと見つけた」
そう言って、村の方からやってきたのはエンリだった。
ルプスレギナはカヌレを飲み込むと、ジト目でエンリを睨む。
「むーエーンちゃん、空気読んで欲しいっすね」
「え!?私、その……お邪魔…でしたか?」
邪魔っすよーと両手をあげて抗議するルプスレギナを横目に、ジョンが「どうした?」とエンリに問う。
問われたエンリは「新年のお祭りについてなんですけど……」とおずおずと話し出した。
村として、死の神アインズ・ウール・ゴウン魔導王陛下を祭るような新年の祭りにしたいとの事が何か良いアイデアはないかとの事だった。
「……やっぱり生贄っすかね。エーンちゃんとか素敵じゃない?」
「え!わ、私ですか!?」
話しながら、真顔になって生贄にはお前が良いと言われ、エンリは背筋が凍る思いだ。しかし――
「こら!生贄はいらないって言われてるだろ」
真顔になったルプスレギナの頭に、ジョンの手刀が軽くトンと落ちる。
「てへぺろっす」ルプスレギナは美しい顔に愛嬌のある笑顔を浮かべて誤魔化す。けれども眼が、少し恐い。
「そうだな……
「それは素敵ですね!そしたら、
「うん。だから、エンリを村の代表として一度、
「はい。わかりました」
そう返事をしながら、エンリはつい半年前までは唯の村娘だったのになぁと遠い目をした。