オーバーロード~狼(以下略)~その他まとめ 作:ぶーく・ぶくぶく
/*/エ・ランテル 中央大通り・新装開店〈マギ・グリル〉前/*/
昼下がり。陽光の中に香ばしい煙がたちのぼる。
屋台風の軒先には「魔導国バーガー 一個三銀貨!」の看板が掲げられ、列をなす客たちの間を油の匂いが漂っていた。
ジョンは紙包みを片手に、隣のアウラへ笑いかける。
「お、出来たな。アツアツだぞ」
アウラは受け取ったバーガーをじっと見つめ、眉をひそめた。
「……料理長のと比べると、安っぽいですね」
「こういうのは安っぽいくらいがちょうど良いんだよ」
ジョンはかぶりつき、カリッと音を立てる。
「このジャンク感、たまんないな。肉の脂とソースの焦げた香りが最高だ」
アウラは恐る恐る真似して一口。
そして、口の端にケチャップをつけたまま、わずかに頷く。
「……たしかに。貧乏人の味、というやつですね」
「そうそう。こういうのは、王宮の晩餐じゃ出てこねぇ。
街の匂いと一緒に食うのが正解なんだ」
アウラは頬をふくらませながら、
「でも、ジョン様が“ジャンク感たまんない”って言ってるの、なんか可愛いですよ」と笑う。
ジョンは苦笑し、肩をすくめた。
「誰だってたまには庶民の味を楽しみたいんだよ。
……ほら、次は“倍肉バーガー”いくか?」
「うわ、まだ食べるんですか!」
エ・ランテルの昼下がり。
通りの喧噪の中で、ふたりの笑い声が揺れていた。
/*/エ・ランテル 中央大通り・新装開店〈マギ・グリル〉前/*/
昼下がり。香ばしい煙が漂う中、ジョンとアウラは並んでバーガーを頬張っていた。
ふと通りの向こうに、鮮やかなピンクの髪を翻して歩く女性の姿が見えた。
「お?」ジョンが手を振る。
「リリネットじゃないか」
振り返った彼女は、少し驚いたように目を丸くした。
「あ、神獣様。どうも」
ジョンはニヤリと笑い、アウラへ目線を送る。
「アウラ、こいつ“四武器”のリリネット。こないだマーレをナンパして困らせてた奴だよ」
「ちょっと、神獣様!それ言わないでよ!」
リリネットが頬を赤くして手を振り回す。
アウラは腕を組んで、じろじろと彼女を上から下まで眺めた。
「ふーん、あんたが……」
「な、なによ」
「マーレが良いなら良いんじゃない」
「よっし!」とリリネットが拳を握った瞬間――
ジョンがさらりと口を挟む。
「マーレが良いって言うわけないけどな」
「うわぁ、神獣様ひどいっ!」
リリネットが顔を真っ赤にして抗議する。
アウラは鼻を鳴らし、バーガーをもう一口。
「まあ、気を悪くしないで。うちの弟、意外と押しに弱いから気をつけてね」
「え、ええっ!? ちょ、ちょっとそれ本当!?」
「さあねぇ~?」
ジョンは楽しげに笑い、包み紙を丸めて立ち上がる。
「お前ら、店の前で漫才すんなよ。客が見て笑ってるぞ」
アウラとリリネットが同時に「うるさい!」と返し、
エ・ランテルの通りにまた笑い声が響いた。