オーバーロード~狼(以下略)~その他まとめ 作:ぶーく・ぶくぶく
/*/ナザリック地下第九階層・ジョンの私室(キッチン併設)/*/
香ばしいトマトと肉の匂いが部屋いっぱいに満ちていた。
ジョンは木べらを軽く回し、煮立つソースの表面をならす。
「……そろそろいい頃だな。ルプー、ホワイトソースどうだ?」
ルプスレギナは袖をまくったまま、白いエプロン姿で得意げに振り返った。
「ばっちりっす~! トロッとしたいい感じに仕上がりましたよっ♪」
「お、上出来だ。ほら、こっちのミートソースもいい感じだぞ」
ジョンはソースを小皿にすくい、スプーンを差し出した。
ルプスレギナはぱくりと味見し、頬を緩めた。
「ん~~っ、うまいっす! お肉のうま味がギュッと詰まってる!」
「だろ? ちゃんと炒めた玉ねぎがポイントなんだよ。焦がす手前までやると、甘みが出る」
「なるほど~。じゃあ、あたしのホワイトソースと合わせたら……最強ってことっすね?」
「そういうことだ」
二人は並んで耐熱皿にラザニアの層を重ねていく。
ジョンが麺を敷き、ルプスレギナがホワイトソースをかける。
その上にミートソースとチーズ。
何度も繰り返すうちに、自然と肩が触れ合う距離になっていた。
「ちょ、ジョン様。近いっすよ」
「気のせいだろ」
「ぜーったいわざとっすねぇ~?」
「気のせいだって」
軽口を交わしながら、ルプスレギナがチーズをぱらぱらと散らす。
その指先に赤いソースがつき、ジョンがそれを見てふっと笑う。
「ルプー、ほら、ついてる」
「え、どこっすか?」
ジョンは親指で彼女の頬を軽く拭い、そのまま指を舐め取った。
ルプスレギナの耳まで真っ赤になった。
「……あ、あたし今ので完全に焼けましたっす」
「焦がすなよ」
二人の笑い声が混ざる中、ラザニアはオーブンの中へ。
やがて芳ばしい焼き色とチーズの香りが漂い始める。
「よし、完成だ」
ジョンが皿を取り出し、ナイフで切り分ける。
中から溶けたチーズとミートソースがとろりと溢れ出した。
「いただきます!」
「いただこう」
フォークを入れると、サクッとした表面とふわりと柔らかな層が重なる。
ルプスレギナは一口頬張り、幸せそうに目を細めた。
「ん~~~っ……! これ、やばいっすね! チーズがとろけて……あ、舌噛みそうっす」
「おいおい、戦闘中より油断してるぞ」
「だって美味しすぎるんだもん!」
ジョンも口に運び、うなずく。
「うん、これは上出来だ。……よし、次はワインでも開けるか」
「いいっすねぇ~。二人で晩餐っす!」
ジョンがワインを注ぎ、ルプスレギナがいたずらっぽくグラスを合わせた。
「かんぱいっす、旦那様♪」
「はいはい、俺の愛妻はルプーだよ」
「ふふっ」
照れ笑いとチーズの香りが、ゆっくりと夜に溶けていった。