オーバーロード~狼(以下略)~その他まとめ   作:ぶーく・ぶくぶく

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隣り合わせの罠と青春15

 

 

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エ・ランテル冒険者訓練ダンジョン ― “転がる岩の通路”

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その通路は、一見すればただの下り坂だった。

真っ直ぐに続く石造りのスロープ、均整の取れた壁面、滑らかな床。

だが――降り口の壁に刻まれた、微かな摩耗線が警告していた。

“何かが、ここを何度も通過した”と。

 

「……妙だな。風の流れもねぇ」

老人が呟く。

若い戦士が足を踏み入れると、床の感触がわずかに震えた。

 

カチリ――。

 

壁の奥で何かが外れる音。

瞬間、通路全体がうねるように鳴った。

 

「後ろだ!!」

 

轟音とともに、通路上部の壁が開き、巨大な丸岩が吐き出される。

直径三メートル、魔導石でできた灰褐色の塊。

ゴロゴロゴロゴロッッ!!と、地鳴りのような音を立てながら転がり落ちてくる。

 

「走れぇぇぇッ!!!」

 

冒険者たちは坂を駆け下りる。

呼吸が焼け、足が軋み、後ろから迫る岩の轟音が心臓を掴む。

誰もが“出口”を求めて、ただ真っ直ぐ走り続けた。

 

しかし――

 

「止まれ! 前、壁だッ!」

 

行き止まり。

反射的に振り返った瞬間、岩が迫る。

逃げ場はない。

 

次の瞬間――

ドガァン!!

 

壁と岩の衝突音。

肉と鉄の潰れる音。

通路中に赤い飛沫が広がり、すぐに無音となった。

 

 

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この仕掛けの“正解”は、誰も思いつかない単純なものだった。

通路の端に伏せること。

通路は四角く、岩は丸い。

ほんの数十センチの隙間に体を押し込めば、岩は頭上を通過していく。

 

岩が最奥の壁にぶつかると、魔法的な衝撃で岩と壁の両方が砕け、

次の部屋への通路が開く――という構造。

 

だが、それを知る前に潰される者がほとんどだった。

 

 

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清掃班到着

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「……また転がってんな」

先頭のバニアラ班長がため息をつく。

 

通路の中央には、岩の下から覗く鎧の破片と赤黒い跡。

奥の壁は見事に崩れており、残骸が散乱していた。

 

「岩、撤去開始。魔導ウィンチ、固定」

無口な大男が装置を取り付け、岩を浮かせていく。

その下から、押し潰された遺体の断片が姿を見せた。

 

「……ひどいもんだな」

「ここは圧死だからな。蘇生しても、目を開けるまで時間がかかる」

 

老人の清掃員がぼやく。

「壁の修理もあるし、これで今日二件目だ。まったく、あの岩の修復費がバカにならん」

 

若い清掃員が首を傾げた。

「でも、スライム姫の間よりはマシですよね?」

「……まぁな。焼け死体の処理よりは潰れた方が楽だ。臭いも少ねぇ」

 

全員が乾いた笑いを漏らす。

 

「岩と壁、修復完了。通路、再封鎖」

「よし、記録しておけ。死者四名、圧死。蘇生部門搬送済み」

 

清掃班が立ち去った後、通路は再び静寂に包まれる。

次の挑戦者が現れるその時まで――

“丸い岩”は壁の中で静かに再構築され、再び転がる時を待っていた。

 

 

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この部屋は、清掃班の間でこう呼ばれている。

 

「地味に死ぬ坂」

 

危険度は中、作業手間は多め。

だが、スライム姫の間よりはマシ。

それが彼らの共通見解だった。

 

 

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