オーバーロード~狼(以下略)~その他まとめ   作:ぶーく・ぶくぶく

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気功治療

 

 

/*/カルネ・ダーシュ村・村落広場 /*/

 

 

春の陽射しがやわらかく村落を包む。広場には子供たちが遊ぶ声が響き、遠くでは家畜の鳴き声が混ざる。

 

小さな少年が駆け寄って、ジョンの手を握りながら目を輝かせた。

「ジョン様! 気功治療って、俺もできるようになるの?」

 

ジョンは腰を下ろし、少年の目をまっすぐ見つめる。

「なるぞ。神官の奇跡じゃなく、気功だからな。自分の体と気の流れを操れるなら、誰でもできる」

 

少年は少し考え込み、眉を寄せる。

「神官じゃなくて……気功なのか?」

 

ジョンはにやりと笑った。

「そうだ。神に頼らず、自分の体と精神の力で癒すんだ。難しいけど、練習すれば小さな傷なら治せるようになる」

 

少年はわくわくと目を輝かせ、手をグーに握って気合を入れる。

「よーし! 俺、絶対できるようになるぞ!」

 

ジョンは肩をすくめ、少年の頭を軽く撫でる。

「その意気だ。まずは呼吸と集中からだ。気の流れを感じろ。焦らずに、ゆっくりと」

 

少年は深呼吸を繰り返し、手のひらに意識を集中する。微かに光の粒子が指先で揺れた気がして、思わず目を見開く。

「……あれ? 俺、何か感じるかも!」

 

ジョンは微笑み、少年の肩を叩いた。

「それでいい。小さな成功を積み重ねるんだ。気功治療は、力じゃなく、心と体の連動だ」

 

広場の風に混ざって、子供たちの歓声と鳥のさえずりが響く中、少年は初めて自分の力で何かを動かせる感覚に胸を躍らせていた。

 

 

/*/カルネ・ダーシュ村・村落広場 ― 気功教室 /*/

 

 

少年が手のひらに微かな光を感じて目を見開くと、その様子を見ていた周囲の子供たちの目もキラキラと輝いた。

 

「ジョン様、俺もやりたい!」

「僕も、僕も!」

 

あっという間に、十人近い子供たちが広場に集まり、ジョンの周りを取り囲む。

風に舞う花びらが光を反射し、広場全体が柔らかい陽光に包まれた。

 

ジョンは微笑みながら、子供たちの列を見渡す。

「よし、まずは呼吸と集中だ。焦らずに、自分の体の中心を感じろ」

 

子供たちは深呼吸を真似し、手を胸の前で合わせる。

ぐっと目を閉じ、息を吸い、ゆっくり吐く。そのたびに、微かに指先が光を帯びる子もいれば、呼吸とともに体の中で温かい感覚を覚える子もいる。

 

一人の少女が小さな擦り傷を見せながら言った。

「ジョン様、この傷、治せますか?」

 

ジョンは手を差し出し、優しく微笑む。

「もちろんだ。まずは気を集中させて、手のひらの熱を感じろ」

 

子供たちは順番に実践を見守り、成功すると手を叩いて歓声を上げる。

「すごい! 本当に治った!」

「わたしもやってみたい!」

 

ぐりもあのような専門家の目でなくとも、ただ子供たちの笑顔を見るだけで、村全体が和やかな空気に包まれていた。

広場の片隅では、風に揺れる木々の葉が光を反射し、まるで小さな魔力の粒子が踊っているかのように見えた。

 

ジョンはひと息つき、少年に向かって言う。

「よし、みんな。上手にできたな。大事なのは、焦らず、楽しむことだ」

 

子供たちは大きくうなずき、笑顔で手を合わせ、互いにできたことを褒め合う。

広場には笑い声と歓声が重なり、春の日差しの下、村全体が温かい和やかさで満たされていた。

 

 

/*/カルネ・ダーシュ村・村落広場・休憩中 /*/

 

 

ぐりもあは少年たちが楽しそうに気功の練習をしているのを見ながら、ふと顔を上げた。

「……それにしても、なんでまた子供たちは信仰系に行かなかったんですかね?」

 

ジョンは肩をすくめ、遠くの山並みを眺めながら口を開く。

「それ聞いちゃう?……まあ、理由は簡単だ。親から聞いた話が大きいな」

 

ぐりもあが首を傾げる。

「親の話……?」

 

ジョンは少し笑いながら答える。

「神殿が、金を取る割にあまり助けにならなかったって話を聞いて育ったんだよ。病気や怪我の時も、神殿に頼ってもどうせ充分には面倒見てもらえない、ってな。だから、自然と“神殿=信用ならん”って思うようになったんだろうな」

 

ぐりもあは目を細め、静かにうなずく。

「なるほど……根が深いですね。それ、子供の頃の体験が人格や選択にこんなに影響するとは……」

 

ジョンは笑みを浮かべ、広場の子供たちをちらりと見やった。

「まあ、信頼の積み重ねってのは金じゃ買えないってことだ。神殿だけじゃなく、どこも同じさ」

 

ぐりもあは小さく息をつき、観察者の顔でジョンを見つめた。

「……なるほど。だからこそ、村で自分の力を使って子供たちを助けているんですね。理屈じゃなく、体験と結果で信頼を築く、と」

 

ジョンはにやりと笑う。

「そういうことだ。やらない善より、やる偽善さ」

 

広場には春の光が差し、子供たちの笑い声が静かに響いていた。

過去の経験が形作った信念は、今日もこうして小さな奇跡を生み出しているのだった。

 

 

 

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