オーバーロード~狼(以下略)~その他まとめ 作:ぶーく・ぶくぶく
/*/ その頃のカルネ・ダーシュ村 /*/
冬の寒い日であったが、そこは暖房がなくてもぽかぽかと暖かい場所であった。
冬にも関わらず暖かい時期にしか育たない作物。暖かい地方でしか育たない作物が青々とした葉を伸ばしていた。
カルネ・ダーシュ村の一角につくられたそれは南国ハウス(ビニールハウス)だ。
別に時王の建築技術を以ってすればガラスを使った温室を作る事も容易かったが、ジョンがライトノベルで読んだ菜種油に塩化硫黄を加える事で出来るビニール?ハウスを作ってみたかったのだ。そもそも家屋に使っている《環境防御結界》があれば、外気温-18~38℃の時、結界内部を21℃に保つ性能があるので温室は必要ない……とか言ってはならない。
一般にビニールハウスなどに使用されるポリ塩化ビニルとは異なり、ゴムに近い性質を持つ物質だが安価で量産が効く。
ビニールほどの重量あたりの引っ張り強度を持たない欠点はあるものの、シート状にしてハウスの被覆にするには申し分ない性能を備えていた。
花粉が外に流失しない利点もあるので、南国の農作物の他にダーシュ麦の改良などのユグドラシル産の農作物の改良にも使わている。
村の開拓もだいぶ進み、ヤーマ、コークスは村の未亡人と良い感じになって結婚の許可をジョンに貰いに来たりした。異形種と人間種の間なので子供は出来ないだろうが、連れ子を可愛がっているようであった。その時の二人のコメントは「開拓チーム時王。捕まえられないのはジョンの嫁だけ」と言われてたけど、リーダーが結婚したから良いよね、である。
マッシュは村の巨大な水堀で数種類のエビの養殖を始めた(このエビはローブル聖王国でのジョンの活動の際に炊き出しのかき揚げとして提供された)。
ナーガンは味覚センスの謎の高さを活かし、移動式スパイス栽培車とか製造して、カレーなどのスパイス料理の再現に挑んでいる。
サぺトンは農業知識で皆を助けながら、猫や犬に囲まれ、晴耕雨読の生活を送っていた。
週間焼き討ち大会であったユグドラシル時代と比べたら、全員が概ね平和で満たされた日々を過ごしている。
相変わらず世界を忙しく飛び回り、「今度はダーシュ海岸だ!港を取ってくる!」と傭兵モンスターを引き連れ旅立った冒険を続けるリーダーの帰りを待ちながら、〈釣れたか丸〉……今度こそ出来るのか、とナーガンは期待に胸を膨らませた。
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村に石窯は作ったが、間伐材を活かす為の施設がなかったので、時王の面々はピニスンが管理する領域の近くに炭焼き小屋を建てる事にした。
「「「「「開拓チーム時王は!安全!確認!丁寧!仲良し!」」」」」
作業前に建設予定地で安全祈願と作業前の気合を入れるヤーマ、コークス、マッシュ、ナーガンとサぺトン。
また開拓に参加できないわけだが、外出してるリーダーが悪い。
窯位置を出し、窯底を作り始める。地均しをし、下の地盤と縁切りする為に丸太を並べていく。丸太を並べたら粘土を打って地盤の打ち固めをする。この時、煙道口に向かって3%程度の傾斜を付ける。
内側を三日月型に削った石を縦に2枚並べて幅60㎝ほどの点火室を作ったら、次は小割りした石を使って排煙口を作る。排煙口にはあらかじめ作っておいた素焼きの土管を立てる。
これもあらかじめ用意した耐火煉瓦を積み上げて窯側壁を作る。外側は粘土を張り付けて崩れないように補強する。
壁が出来たら最後は天井だ。
丸太で窯壁の高さに型枠をつくり、切子等で天井の形を作って紙などで覆う。覆ったら、軽石、焼土、セメントで練った天井材を一気に打ち上げ、良く突き固める。あとは1週間ほど乾燥させた後、型枠材を燃やして内部を乾燥させる。
その間に木酢液の採取装置を取り付けたり、窯を覆う小屋を建てたりする。
これで安定して炭を生産する事が出来るだろう。
村では魔法の品物で通常の煮炊きに燃料は必要なくなったが、エ・ランテルなどの都市や周辺の村々ではそうもいかない。炭は貴重な現金収入の当てになるのだ。
まだまだ人手も足りないカルネ・ダーシュ村。時王からはコークスが代表で炭焼きを面倒みる事になった。
ジョン・カルバインの夢見るほのぼのファンタジーライフはここにあった。