オーバーロード~狼(以下略)~その他まとめ 作:ぶーく・ぶくぶく
/*/ エ・ランテル冒険者訓練ダンジョン 第6層・遺骨保管区 /*/
古びた石の部屋に、十数体のスケルトンが立っていた。
それぞれが錆びた武器を持ち、冒険者の侵入に備えている。
だが、その中に一体だけ、奇妙なものがいた。
――天井から吊り下げられたロープを、握っている。
「なんだあれ……? 操り人形か?」
戦士が首を傾げる。
「いや、あれスイッチかもしれねぇ。触らずに――」
盗賊が言い終わる前に、魔法使いが〈魔法の矢〉を放った。
光弾がスケルトンを砕く。
パキン。
握られていたロープが、緩んだ。
「――あ」
音もなく、天井全体が沈み込む。
一瞬のうちに、重厚な石板が落下。
部屋を埋め尽くす轟音と粉塵。
沈黙。
わずかに覗くのは、つぶれた冒険者の盾と、粉々になった骨。滲み出す赤黒い液体。
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数時間後。
通路の外側で、重装備の清掃班が到着した。
ランタンの魔光がゆらめき、淡い光が塵に反射する。
「……はい、今回も全滅。外部操作盤、接続完了」
バニアラ班長が手袋越しに魔導板を操作する。
低く唸る音とともに、巨大な天井石がゆっくりと上昇していった。
床には血の染みと肉片、砕けた骨。
老人が鼻で笑う。
「ま、ロープ持ってるスケルトンを見りゃ、罠だと気づくもんだがね」
「新人は戦闘しか見ないんですよ。学ぶ前に潰れる」
若者が肩をすくめて答える。
無口な大男が遺体を慎重に持ち上げ、台車に積む。
骨の破片も箒で集め、麻袋に入れる。
「罠動作確認」
バニアラが短く指示を出す。
老人が魔法の杖を突き出し、青い光を放つ。
ロープが再び天井から垂れ、
別のスケルトン――やってきた“補充個体”が、無言でそれを握った。
「固定完了。握力維持の魔法、正常」
「天井リセット良好。再稼働確認……はい、完璧」
バニアラは記録板に淡々と書き込む。
《第6層訓練部屋 罠再構築完了/被害:冒険者4名》
老人が小さくため息をつく。
「死ぬほど高い授業料だな」
「でも、ちゃんと学んだ人は生きて出る」
バニアラが言うと、若者が苦笑した。
「生きて出るまで、何回か死ぬけどな」
三人が笑う中、無口な大男だけは黙々と最後の片づけをしていた。
血を拭き取り、床を磨き、破損した壁面を修復する。
その姿は、まるで儀式のように静かだった。
「よし。次は第7層。水没通路の吸水ポンプが止まってる」
「了解、班長」
台車の音が遠ざかる。
再び静まった部屋では、ロープを握ったスケルトンが、
何事もなかったかのように、冒険者を待ち続けていた。
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