オーバーロード~狼(以下略)~その他まとめ   作:ぶーく・ぶくぶく

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魔法詠唱者への影響

 

 

/*/ エ・ランテル魔導学院・講堂 /*/

 

 

教室の壁に吊られた掲示板には、ずらりと並ぶ新しい求人票が貼られていた。

「焔封手榴弾製造補助募集」

「符術加工士・急募」

「MAW系魔導筒 封印師見習い」

 

若い魔法詠唱者たちは、それを見上げてざわめいている。

 

「……また増えたな、兵器関係の求人」

「最近はどこのギルドも、攻撃魔法の詠唱者を雇わなくなってるって聞いたぜ」

「だって今じゃ、魔法使いより安い“火球”が投げられるんだからな」

 

魔法学院の講師たちでさえ、複雑な表情を浮かべていた。

 

かつては「<火球>」「<雷撃>」といった攻撃魔法を習得することこそが冒険者の花形だった。

だが今、使い捨て魔導兵器がそれを代替している。

 

──詠唱者が一人必要だった“火力”は、もはや小隊全員が携行する装備品で補える。

 

結果として、

魔法詠唱者の役割は「砲台」から「支援要員」へと変わり始めていた。

 

 

/*/ ギルド支部・冒険者控室 /*/

 

 

「おい、最近の依頼、魔法使いの報酬安くなってねぇか?」

 

焔封手榴弾を腰にぶら下げた戦士が言う。

背中のパックにはMAW-1改造型――携帯魔導射出器。以前なら魔導士しか撃てなかった魔法を、今は彼が一人で扱える。

 

「攻撃ならもう十分だろ? 火球も雷も魔導筒で事足りる。今求められてるのは、敵を探す奴とか、結界を解析できる奴さ」

「なるほどな。要するに“頭を使う魔法使い”の時代か」

「そういうこった。俺らが前で殴って、後ろで“索敵”してもらえれば十分だ」

 

部屋の隅で黙って聞いていた若い魔法詠唱者は、そっとため息を吐いた。

──火力を誇るだけの魔法は、もう必要とされていない。

ならば、自分は何を磨くべきか。

 

 

/*/ 魔導国・研究棟 /*/

 

 

ジョンは机に肘をつきながら、資料をめくっていた。

「攻撃魔法に依存しない時代」――それは彼自身が望んだ結果でもあった。

 

「魔法詠唱者の“火力”を補うことができた。だが……彼らが本来担っていた“思考力”や“探査能力”は、まだ機械では再現できない」

 

助手のエルダーリッチが答える。

「つまり、魔法使いはより高等な領域へ押し上げられたということですな」

 

「そうだ。〈応用〉と〈複合〉の時代に入ったんだ」

ジョンは手元のメモを叩く。そこには「戦場情報の即時伝達魔法」「魔導機と連動する索敵符」「空間干渉型探知網」といった計画案がびっしり書かれていた。

 

「単発の〈火球〉しか撃てない術者は、いずれ道具に取って代わられる。だが、空間座標を読み、符を設計できる者は……“魔導兵器の時代”を設計する立場になれる」

 

 

/*/ 街の小酒場 /*/

 

 

かつて“炎のロビン”と呼ばれた中堅冒険者が、ジョッキを傾けながら苦笑した。

 

「俺たちの時代じゃ、火球撃てるだけで一目置かれたもんだ。今じゃ、焔封手榴弾ひとつで素人でも同じ真似ができる」

 

「でもさ、あんたの“精密射撃”の火球はまだ真似できねぇよ。あれ、符封弾より早くて正確だ」

 

「はっ、そう言ってもらえるうちはいいけどな……そのうち“自動照準魔導筒”とか出るんじゃねぇか?」

「まさか」

「……いや、ジョンのやつならやりかねん」

 

二人は笑い合い、外で夜風に揺れる街灯を眺めた。

そこには、確かに“時代の変化”があった。

魔法を扱う者たちが、再び“道具”に自分たちの居場所を奪われ始めている。

 

 

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