オーバーロード~狼(以下略)~その他まとめ   作:ぶーく・ぶくぶく

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サワガニ

/*/ トブの大森林・大湿原・リザードマン集落 /*/

 

朝の川沿い。陽光が水面をきらきらと照らす中、ジョン・カルバインは腰まで水に浸かり、リザードマンたちに向かって指示を出していた。

 

「まず、水温と水質を一定に保つことが重要だ。魚だけじゃなく、サワガニも同じだぞ」

 

集落の若いリザードマンたちは真剣な眼差しでジョンの動きを見つめる。

ジョンは網を手に取り、サワガニの生け簀を覗き込みながら、手早く水の流れを調整する。

 

「ここに段差を作って、サワガニが休める場所を確保しよう。流れが速すぎると疲れて成長が遅れる」

 

リザードマンの一人が手を伸ばし、段差を作ろうとした瞬間、ジョンは軽く手を添えて正しい角度を示す。

「ほら、こう。殻を傷つけないようにな」

 

水面を叩く小さな水しぶきと、サワガニの甲羅が光る。ジョンは微笑みながら、さらに続ける。

 

「魚の養殖だけじゃなく、サワガニも安定して収穫できれば、村の食料事情はずっと良くなる。成長速度や餌の量も、定期的に記録して管理してくれ」

 

若いリザードマンたちは、初めは戸惑いながらも、次第に手慣れた動きで作業をこなすようになる。

ジョンは少し距離を置き、目を細めて観察する。彼らが自分の指導を理解し、手際よく作業する姿を見て、内心で満足感を噛み締める。

 

「よし、次は水換えのタイミングを教えるぞ。水質が悪化すると、魚もカニもすぐ弱ってしまうからな」

 

ジョンの声には温かみがあり、指導は決して威圧的ではない。

集落のリザードマンたちは徐々に笑顔を見せ、彼の教えに耳を傾ける。

 

――この光景を見ながら、ジョンは思う。

(たくさん取れるように成ったら分けて貰って唐揚げにして食べよう)

 

川のせせらぎ、太陽の光、そして生き物たちの息吹。

リザードマンたちと共に過ごすひと時は、ユグドラシルの戦場で味わう緊張とはまた違った充実感を、彼に与えていた。

 

 

/*/ トブの大森林・大湿原・リザードマン集落 /*/

 

午前の作業を終えたジョンとリザードマンたちは、水槽から元気なサワガニを慎重にすくい上げる。小さな甲羅が光を反射してきらきらと輝く。

 

「おお、こんなに立派に育ったのか!」

ジョンが感嘆の声を上げると、リザードマンたちも自慢げに胸を張った。

 

彼らは火を囲む簡易の調理場に移動し、ジョンが下ごしらえを始める。甲羅を傷つけないように慎重に洗い、少量の塩を振って下味を付ける。

 

「揚げる前に油をしっかり熱しておくのがコツだ。カリッと香ばしくなるぞ」

ジョンの手つきは自然で、動作の一つ一つがリザードマンたちにとって学びの時間だ。

 

やがて油の中にサワガニが投入され、プチプチと小さな音を立てて跳ねる。香ばしい匂いが辺りに広がり、思わず全員の鼻がひくひく動く。

 

「うわぁ……美味しそう!」

リザードマンの子供たちが目を輝かせる。ジョンも微笑み、箸を手に取り、慎重に唐揚げを皿に盛る。

 

炎と香りの中で出来上がったサワガニの唐揚げは、外はカリッと、中はふんわり。ジョンは一口頬張ると、熱さと香ばしさに目を細めた。

 

「ん……完璧だな」

その味に満足したジョンの横で、リザードマンたちも手を伸ばす。小さな手で唐揚げをつかみ、口に運ぶたびに歓声と笑顔が広がる。

 

川のせせらぎや鳥の声を背景に、みんなで分け合う唐揚げは、労働の汗と達成感をより一層美味しくしていた。

 

ジョンはひそかに思う。

(このひとときのために、今日も教えた甲斐があったな……)

 

日差しの中、笑い声と香ばしい匂いに包まれた集落には、戦場では味わえない温かい幸福が満ちていた。

 

/*/

 

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