オーバーロード~狼(以下略)~その他まとめ   作:ぶーく・ぶくぶく

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ウルフ竜騎兵団・訓練風景

 

 

/*/ ウルフ竜騎兵団・重装歩兵訓練場 /*/

 

 

朝靄が立ち込める訓練場。重厚な甲冑に身を包んだ歩兵たちが整然と列をなす。前列にはゴブリンとリザードマンが盾を組み合わせ、巨大なファランクスを形成する。その背後にオーガたちが棍棒を構え、圧倒的な破壊力で支援する布陣だ。

 

「前進! 盾を隙間なく保て!」

指揮官の号令と共に、ジョン・カルバインが前方に歩み出る。手振りでファランクスの角度を微調整し、盾の高さや前後の間隔を細かく指示する。

 

「ゴブリンたち、君たちの素早い動きを活かして、左右の隙間を埋めろ! 少しでも空くとオーガの棍棒が直撃する」

小柄なゴブリンたちは瞬時に反応し、盾を前後に微調整。素早く位置を入れ替えて連動する。

 

「リザードマンは腕が長いから、隣の仲間の盾をしっかり押さえてくれ。押されても踏ん張れ!」

リザードマンたちは硬い脚で踏ん張り、隣のゴブリンやリザードマンと一体となって盾の壁を維持する。

 

号令に応じ、オーガたちが重く棍棒を振りかぶる。ジョンは間合いを見ながら声を張り上げる。

 

「タイミングを合わせろ! オーガの打撃のリズムに合わせて前進だ! 衝撃を吸収して押し返すんだ!」

 

盾がぶつかり合う金属音、棍棒の打撃音、息づかいが訓練場に響き渡る。ジョンの目は細かく動き、各兵士の動きを見逃さない。ゴブリンの素早さ、リザードマンの堅牢さ、オーガの破壊力――それぞれの特徴を活かしつつ、全員が一つの盾の壁として機能する瞬間が生まれる。

 

「良し、右側の隙間だ! ゴブリン2番、すぐに詰めろ!」

「リザードマン5番、押されるな! 踏ん張って!」

 

ジョンの指示が飛ぶたび、兵士たちは応じて動き、盾の壁は微動だにせず前進する。

 

最後に、全員が一斉に後退して整列。汗で濡れた甲冑が朝日の光に反射する中、ジョンは深く頷く。

 

「今日の訓練はまずまずだ。次は盾の高さをさらに統一して、オーガの打撃に合わせたステップも練習しよう」

兵士たちは疲労で息を切らしながらも、達成感に満ちた顔をしてうなずく。

 

 

/*/ ウルフ竜騎兵団・魔術兵&医療部隊訓練 /*/

 

 

重装歩兵のファランクス訓練が進む傍ら、魔術兵と医療部隊の動きも始まった。

 

前線にはゴブリンメイジ、オーガメイジ、そしてナーガたちが陣取り、攻撃魔法だけでなく幻影魔法や煙幕を使って、敵役を想定した幻惑訓練を行う。

 

「炎球! そのまま前方のファランクスを狙え!」

オーガメイジが両手を振りかぶり、巨大な炎球を投じる。盾の壁はしっかり前方を守り、炎球は盾に弾かれつつも、幻影魔法で作られた敵像が左右から襲いかかるように見え、歩兵たちは視覚の混乱に耐えながら前進する。

 

「幻影は後方からも展開だ。左右の敵を意識させろ!」

ナーガの魔術師がつぶやくと、空間に複数の幻影が生まれ、前線のゴブリンとリザードマンを一瞬迷わせる。だが訓練で慣れた兵士たちは、盾の連携を乱さず踏みとどまる。

 

その隙間を縫うように、医療部隊のナーガとリザードマンたちが駆ける。重装歩兵の隙間や盾の後ろを素早く通り抜け、負傷した兵士の腕を抱えて後方へ引き下げる。

 

「大丈夫か、しっかり掴まって!」

ナーガが声を掛け、片腕で負傷者を支えながら移動。リザードマンの医療班は頑丈な背中で盾を支えつつ、傷の手当を行う。瞬時に応急処置を施し、後方の医療テントまで運ぶ手際は見事だ。

 

前線では魔術兵の幻惑が続く。炎球、氷槍、光の残像――どれも兵士たちを惑わせるが、盾の連携と声による指示で混乱は最小限に抑えられる。

 

「左側に幻影! 踏み込むな!」

「オーガの炎球に注意!」

兵士と魔術師の声が入り混じる中、医療部隊はさらに何人もの負傷者を安全圏へ運ぶ。戦場の緊迫感と秩序が、訓練場にリアルに再現されていた。

 

訓練終了後、ジョンは前線を見渡し、魔術兵と医療部隊の連携を評価する。

 

「幻惑を使っても、歩兵と医療部隊の動きを崩さなかったな。次はさらに幻影を増やし、応急処置のスピードを上げよう」

医療部隊も魔術兵も、疲れた息を整えながらもうなずく。訓練は成功し、前線の混乱と救護の両立という、実戦さながらの経験を積んだ一日となった。

 

 

/*/ ウルフ竜騎兵団・仮想訓練 /*/

 

 

訓練場に鳴り響く号令。仮想的として全高4メートルの赤と金のパワードスーツを装着したシズが立つ。ヘビーマシンガンを肩に構え、鋭い目で前方の人狼突撃隊を睨む。

 

「接近戦はサーベルで迎撃。射撃は牽制だけに留めろ」

シズの冷静な声が、訓練場に響く。

 

一方、人狼突撃隊は軽装甲で身を低く構え、前線から跳躍。ゴブリンメイジやオーガメイジ、ナーガが展開する幻影魔法に合わせ、飛行軌道を微調整しながら立体的に進む。光と煙の幻影に惑わされるふりをして、シズの注意を引きつける。

 

「右 flank、二段跳びで回り込め!」

隊長の声に応じ、数体の人狼が盾の隙間や幻影の裏側を縫うように飛び出す。跳躍の最中、パワードスーツのシズがヘビーマシンガンを旋回させ、弾丸を空中に撒いて牽制。

 

だが、人狼たちは幻影と跳躍を同期させ、銃撃のタイミングを巧みにかわす。接近されればサーベルの間合いを察知して軌道を変え、盾の壁や幻影の中で安全な軌道を確保する。

 

「ここからは突撃だ! 左から幻影と合わせて奇襲!」

ゴブリンメイジの投げた炎球とナーガの光の残像を踏み台に、人狼が三次元的に飛び上がり、サーベルの射線を意識して軌道を調整する。シズが大きく振りかぶったサーベルを間一髪でかわしつつ、跳躍の高度を利用して攻撃ラインを崩そうとする。

 

訓練場には、金属の衝撃音、跳躍による風切り音、魔力による光の渦が入り混じる。人狼の跳躍軌道と幻影のタイミング、シズの火力と迎撃タイミング――すべてが一瞬ごとの駆け引きとなり、戦場さながらの緊張感が満ちる。

 

最後に、跳躍と幻影の連携を終えた人狼突撃隊が着地。シズもパワードスーツの動力を調整して安定し、互いに視線を交わす。

 

「良し、次は幻影の量を増やし、接近戦の間合いもさらに試せ」

ジョンの指示に、訓練全体が次の段階へと進む。高度な三次元機動と連携の訓練は、現実の戦場でも十分通用する手応えを兵たちに与えていた。

 

 

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