オーバーロード~狼(以下略)~その他まとめ   作:ぶーく・ぶくぶく

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読書竜

 

 

/*/エ・ランテル魔術師組合図書館/*/

 

 

ヘジンマールは、ドワーフ王城から持ち出された膨大な書籍の束を前に、人化した姿で目を輝かせていた。

 

「……僕の本……」

 

最初、人化したばかりで図書館の中に入れなかった頃を思い出し、がっくり肩を落とすヘジンマール。しかし今は、魔法学院に留学し、帝国魔法学院の図書館と並んで、魔術師組合の図書館も自在に利用できるようになっていた。

 

テオ・ラケシル組合長は、書架に積まれたドワーフ王城の本の山を見て狂喜している。

「これは……まさに夢のコレクションだ! ヘジンマール、君の寄贈は我々魔術師組合にとってかけがえのない財産だ!」

 

ヘジンマールは微笑みながらも、目は真剣そのものだ。

「僕は、この膨大な蔵書をすべて読み切るのが目標です。帝国魔法学院の図書館も制覇中ですが、ここでも知識を貪ります」

 

書架の間を歩きながら、彼はひとつひとつの本に指を触れ、魔法理論、古代遺物、禁呪の文献を読み耽る。膨大な知識の海は、かつて王城にいた頃の管理の重圧を思い出させるが、今は自分の意志で知識を吸収できる喜びで満ちていた。

 

「いつでも来られる……そうか、人化できれば制限はないんだ」

 

ヘジンマールの瞳には、学問に対する飽くなき探究心と、自由に知識を享受できる喜びが輝いていた。魔術師組合の図書館は、彼にとってまさに知の宝庫――王城にいた頃の“財宝”が、今は知識として生きている。

 

 

/*/エ・ランテル魔術師組合図書館・ヘジンマール/*/

 

 

人化したヘジンマールは、これまでの苦労が嘘のように快適な環境で蔵書を楽しんでいた。

 

爪でページをめくる必要はなくなり、指先で軽やかにページをめくるだけで内容に没入できる。

 

椅子に腰を下ろせば背中も楽で、顔を本に近づけすぎて鼻息でページがふにゃふにゃになる心配もない。むしろ目線を落とすだけでページ全体を視界に収められるのだ。

 

「なんて幸せなんだ……」

 

膨大な知識の中に没頭しながら、ヘジンマールは静かに感嘆した。

王城にいた頃は、管理だけで精一杯だった膨大な書籍が、今や自分のペースで、自由に読み進められる――まさに至福の時間。

 

周囲の魔術師や図書館員も、そんな彼の姿を見て微笑む。知識を愛し、快適に学ぶその姿は、まさに魔術師としての理想の姿そのものだった。

 

ヘジンマールは、魔術師組合図書館の静謐な空間に身を委ねながら、今日もまた知識の海に潜り続けるのだった。

 

 

/*/ヘジンマールの日常/*/

 

 

人化して自由に図書館に出入りできるようになったヘジンマールは、知識への渇望を思う存分満たせるようになった。

 

しかも、師匠につけられたエルフ三人娘が身の回りの世話をしてくれる。食事の準備から学用品の管理まで、すべて任せられるので、ヘジンマールは本を読むことと学院の授業に集中できる。

 

「本を好きなだけ読めて、知らないことを学べる……なんて贅沢なんだ!」

 

授業はもちろん、知らなかった分野の知識を補うことも可能だ。特訓は大変だが、同族に何も言わせないほどの戦力を身につけられたのは大きい。

 

かつて、シャルティア様の元で無限航空便の任務に駆り出される日々と比べれば、今の特訓や学びの方がずっと充実している。身体的な負担はあっても、精神的な満足度は比べものにならない。

 

ヘジンマールは、机に向かい本を読みながらも、心の中で小さく満足げに笑った。知識と力を両立できる日々――これこそ、自分にとっての理想の生活なのだ。

 

今日もまた、ヘジンマールは静かにページをめくり、未知の知識の海へと潜り続ける。王城にあった“財宝”は今、知識として生き、彼自身の手で新たな価値を生み出していく。過去の制限も、管理の重圧も、今や遠い記憶。自由に知識を享受できるこの日々こそ、ヘジンマールにとっての本当の幸福であり、魔術師としての充実した時間そのものだった。

 

人化した姿での読書は、単なる学びの手段ではなく、世界と自分をつなぐ窓である――ヘジンマールはその窓から、今日も知の無限の広がりを見つめ続けていた。

 

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