オーバーロード~狼(以下略)~その他まとめ 作:ぶーく・ぶくぶく
1000文字に満たないので、2つまとめて投稿してます。
ジロリアン、フレーバーティー
/*/ ジロリアン
「で……どうして、あんな事をしていたのか。説明して貰えますね?」
そう言ったナザリック大地下墳墓の支配者たるモモンガの前には、
ジョンはいつもの人狼形態。ルプスレギナは戦闘メイド姿であったが、何故か涙で金色の瞳を涙で潤ませ、細い指で鼻をつまんでいた。
「ああ、それは俺が料理長のところで一つの料理を頼んだところまで遡る……」
ジョンは重々しく語り出した。
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それはラーメンでありながらラーメンではない。二郎という名の固有名詞を持つ食べ物。
「料理長!もっとこう山盛りに盛ってくれ。そして薬味はエッジの利いた感じに効かせてほしい。見てくれももっと悪く!こいつはブタのエサか!って感じだ!」
ジョンのリクエストに料理長は頬を引き攣らせたかもしれない。幾らリクエストとは言え、至高の御方にブタのエサなど出せるわけもない。だが、それでもそれをお望みなのだ。
太めの麺をカタメで茹でる。茹でると言うよりも潜らせたと言った方が良いかもしれない。バキボキをお望みだ。
常人ならば片手で持てないような丼ぶりに麺を野菜を肉を盛り付けて……いや、山積みにしていく。
ブタの背油もナザリックにある最高級のブタではなく、わざわざこの為にデミウルゴス牧場から仕入れてきたB級いやC級品だ。それを胸やけがするほどたっぷりと掛け、醤油ダレもグレードを出来るだけ落として背油に合わせて作ったものを注ぐ。
ただニンニクの辛味がどうしても至高の御方を満足させるには足りない!
もう一工夫……なにか良いアイデアはないものか。悩む料理長へジョンは青い花を付けた植物を手渡した。
「料理長、これを使ってくれ。これなら俺の味覚にガツンと来る筈だ」
「カルバイン様……おお!これは!?なるほど、これならば……」
料理長は納得すると植物の根をすりおろし、ニンニクのすりおろしに混ぜていく。これの味見ばかりは自分でするわけには行かず、ジョンに味見をして貰う。料理長の想定よりも、その根のすりおろしは少々多めに投入され、二郎という名のラーメンが完成した。
そびえたつ山のような丼にジョンは歓喜した。
再び、これを!このジャンクなフードを食せる日がこようとは!!
着丼したブツに歓喜し、無理な願いを聞いてくれた料理長のサービス精神に感謝し……
「この全ての食材に感謝を!いただきます!」
ただ一心不乱に食らう。
ハムッハフハフ。ハフッ!!
口に広がる(ナザリックにしては)グレードの低い醤油のエッジと、ニンニクの香り、スープのコッテリ脂感。
脳に突き抜けるガツンとした衝撃にも似た味覚への刺激。
野菜だけはナザリック産の為、キャベツのシャキシャキ感と甘味がガツンと来る衝撃を柔らかく包み込んでくれる。
全てが望んだジャンク感ではないけれど、これはこれでありだなとジョンは思う。
「ふぅ、食った食った。ごちそうさん」
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「話が繋がりませんね?」
「もうちょっとだけ続くんだ」
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薬味の刺激が足りなかったジョンは考えたのだ。
薬味とは摂り過ぎると調子を崩す事もある謂わば毒だと。
ならば、人狼にとって毒足り得るもの……それは、トリカブト。ウルフスベインだろう。
そう、この駄犬は自らの弱点属性である毒物の根をすりおろして、ニンニクに加えさせたのである。
毒物の刺激がぴりっとした辛味、苦味の刺激になるならば、これは最高の刺激になるだろうと。
思惑通り最高のジャンク感を楽しんだジョンであったが、問題はこの後である。
一仕事終えてジョンの傍らに戻ってきたルプスレギナであるが、すぴすぴと鼻を鳴らして一言。
「ジョン様?強烈に臭うんすけど、何食べたっすか?」
「ん?二郎だけど?」
はぁぁぁと息を吐いて、吐いた息を掌で受け止めて臭いを嗅いでみるジョンであったが、自分の臭いは分からないものである。
「んきゃ!臭いっす。てか、臭いを通りこして苦いっす!」
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「……で、ルプーが逃げ出したのが面白くて」
「ロイヤルスィートで追い掛けっこをしていたと……」
馬鹿だ馬鹿だと思っていたが……「好きな子に嫌がらせとか子供かよ」がっくりと肩を落とす
「そんな事ばかりして、ルプスレギナに嫌われても知りませんよ」
「ガ━━(;゚Д゚)━━ン!! ル、ルプー。その、すまん!」
がっと、隣のルプスレギナへ流れるような土下座を決めるジョンだったが。
「ジョ、ジョン様がお望みであれば、私はなんでも受け入れるっすよ」
頬を染めたルプスレギナがいただけだった。
モモンガはいたたまれない。「え?」これ俺、
「ジョン様……」「ルプー……」「……くっさい息を吐かないで頂けますか?」
「「え?」」
予想外のルプスレギナの辛辣な言葉に時が止まった。
「ル、ルプー。ご、ごめん。すまんかった……」
「はいっ。あーん★して下さいね。ジョン様、私と歯を磨きましょうねー」
「ひゃ、ひゃい」
何処からともなく歯ブラシを取り出し、ジョンを膝枕して、ジョンの歯を磨きだすルプスレギナ。
もういいや。もうこいつら放って置いて部屋に帰ろう。
今日もモモンガの精神作用効果無効は絶好調であった。
/*/ フレーバーティ
いつもの朝の執務室。ジョンはモモンガの執務室までやってきて、新聞代わりに報告書をめくっていた。今日は珍しく、甘い香りのジャスミン茶を傍らに置いている。
モモンガはその香りに眉を上げて首をかしげた。
「珍しいですね」
「ああ、フレーバーティーは香りが強すぎて余り好みじゃないんだが、こいつは後味が良くてな」
モモンガの視線がルプスレギナに向かう。
「ほう。ルプスレギナ、私にも貰えるかな?」
ルプスレギナは一瞬逡巡した様子で手を止める。その様子を見たモモンガが首を傾げる。
「どうかしたか?」
「ん?あ!そうか」
ジョンは急に手を打ち合わせて何かに気づいたようだ。
「モモンガさん、口唇虫って毒無効だっけ?」
「は?」
「これ、カロライナジャスミン茶なんだ。人間くらいの毒耐性だと、脈拍増加、呼吸麻痺、中枢神経刺激作用、血圧降下、心機能障害の症状が出るんだぞ」
モモンガは思わず茶を睨む。
「おい。何飲んでんだよ」
ジョンはにやりと笑う。
「苦味はストレス解消にも良いんだぞ」
モモンガは呆れたように肩をすくめる。
「イイ空気吸ってる奴が何言ってやがる」
そして、ため息交じりに再び報告書に目を落とす。ジョンはそんなモモンガの横で、甘い香りの茶をすする。
小さな朝のやり取り――しかし、いつも通りの平穏な時間が流れていた。
ジョンは茶を一口すすると、目を細めてうっとりしたように香りを楽しむ。
「ふぅ……いやぁ、こいつは本当に良い香りだな。モモンガさんも一口どうだ?」
モモンガはちらりとジョンを見るが、眉をひそめて首を横に振る。
「冗談だろ。お前、さっき自分で毒性説明しただろ」
「いやいや、ほら、毒を知る者は毒をも楽しめる――なんてね」
ジョンは軽く笑いながら、カップを掲げる。
ルプスレギナがそっと部屋に入ってくる。
「……二人とも、また朝からくだらないこと言ってますね」
「ん?くだらない?いや、これは立派な毒学の話だぞ」
ジョンは胸を張る。
モモンガは目を細めて呆れ顔。
「くだらない、で片付けておく……」
その後も二人は、甘い香りのジャスミン茶を楽しみながら、今日の仕事や報告書の内容について軽く話を続ける。
時折ジョンが毒の話を絡めてモモンガをからかい、モモンガは報告書を盾に顔をそむける。
小さな朝のやり取りだが、いつも通りの平穏と、少しだけの笑いが執務室に満ちていた。
ジャンクなフードが食べたーい!!