ありふれた錬成師とありふれない魔槍兵で世界最強   作:ゴルゴム・オルタ

19 / 34
今回はブルックの町での出来事になります。
基本的には原作よりですが、本作オリジナルストーリーを入れてますのでお楽しみに。


ブルックの町にて

ハルツィナ樹海を出てから数日が経過した。

それぞれのシュタイフに乗り移動していると、遠くに町らしきものが見えてきた。

周囲を堀と柵で囲まれてはいるが、大きさからみて小規模の町である。

街道に面した場所に木製の門があり、門番の詰所が町の入り口に設置してあった。

流石に、このままシュタイフで乗り込んで行くのは不味いので、一旦降りて宝物庫に仕舞うと、俺達5人は徒歩で入り口まで向かうのであった。

道中、シアがハジメに対してブチブチと文句を垂れていた。

なんでも、シアの首にはめられている黒を基調とした首輪の事だ。

この世界ではハウリア族を含む亜人は、奴隷か愛玩動物として扱われている。

何よりもシアは女性であり、整ったプロポーションとも言える容姿は男性から目を引くものである。

その予防線と言うのもあり、人攫いの魔の手から守るべくハジメがシアに首輪をはめたのであった。

表向きは奴隷だが、シアはれっきとした旅の仲間である。

俺とコハクから見たらまだ同行人ぐらいの認識だが、何れは頼もしい仲間になると考えている。

そんな事を考えている最中、門番をしている人が俺達に気が付いたのか声を掛けてきた。

 

「止まってくれ。見た所冒険者か?ステータスプレートを表示してくれ」

 

俺とハジメは自前のステータスプレートを出し、門番に見せた。

特に問題が無かったのかすぐに返してくれた。

此れには理由があり、俺とハジメのステータスは最早化け物レベルであり、このまま素直にステータスプレートを出したところで、町に入れるか不安があった。

その為、事前にステータスの数値と技能欄を隠蔽する機能を活用するのであった

結果、難無く門番から怪しい眼差しを向けられることも無く難なくやり過ごせた。

 

「町へ来た目的はなんだ?」

「食料の補充と素材の換金だ」

「なるほどな、そっちの三人は・・・」

 

門番の眼差しの先にはユエ達が映っていた。

金髪の美少女に白髪の兎人族、尻尾が9本ある狐耳の亜人。

どれもあまり見ない風貌もあり、門番の人も若干戸惑っていた。

まあなんというか其処は男の性なのか見惚れているように目た俺は、咳払いをして門番を正気に戻した。

下手に怪しまれないように俺とハジメは何とかして誤魔化すことにした。

 

「こっちの金髪の子は魔物の襲撃でステータスプレートを無くしちまってな、白髪の子は見てわかるだろ?」

「ああ、そうか。もう一人は・・・」

「こいつは俺の付き人だ。別に問題ないだろ」

 

やや強引ではあるがあまり深く探られないようにしやり過ごすのであった。

特に問題が無い以上門番も深くは検索してこなかった。

 

「よし、通ってもいいぞ」

「どうも。ところで、素材の換金場所って何処にあるんだ?」

「ああそれなら、中央の道を真っ直ぐ行けば冒険者ギルドがある。店に直接持ち込むなら、ギルドで場所を聞くといいさ。簡単な町の地図をくれるぞ」

「そいつは親切にどうも」

 

門番から情報を得た俺達は、門をくぐり待ちの中へと入っていった。

オルクス近郊の町ホルアドや王都の城下町ではないがそれなりに活気があり賑わっていた。

地図や門の所でも確認したがこの町の名前は『ブルック』と言う名前であり、俺から見ても治安の良い町であるのがよくわかる。

何より道端にはゴミらしきものが見当たらず、人が住むにはいい環境が整っているのであった。

結構な数の露店が立ち並び、呼び込みや値切り交渉の喧騒が聞こえてくる。

いうならばRPGの序盤で訪れる小さな町と言っても過言ではない。

 

暫く歩いていると門番の言っていた冒険者ギルドが見えてきた。

俺のイメージするギルドと言うのは商店街の組合のようなものである。

最もそれは元の世界での話であり、異世界で通用するか不安だったがそれは杞憂に終わった。

中に入ってみると、意外に清潔さが保たれおり、入口正面にカウンターがあり、左手は飲食店となっており、何人かの冒険者らしい者達が食事を取ったり雑談していたりする。

俺達が入って来ると、当然ながら注目を浴びるのであった。

見慣れない服装と容姿の五人組は町の冒険者から見ても注意を引いた。

ちょっかいを掛けてくる者がいるかとも思ったが、意外と理性があると言うか、観察するに留めているようだ。

最もユエやシア、コハクの容姿に見惚れているのか、瞳の奥の好奇心が増した者や、「ほぅ」と感心の声を上げる者がいた。

そんな視線の数々等知った事じゃないと言わんばかりに堂々と歩く俺達は、目的を果たすべく受付へ向かうのであった。

ギルドの受付と言えば大変魅力的美人が担当するのが定番なのだが、現実は非情であった。

横幅がユエ二人分ありぽっちゃり系の体格のおばちゃんであった。

別に期待していた訳ではないが儚い幻想が砕かれた気がした。

まあ俺にはコハクが居て、ハジメにはユエやシアがいるから別に問題ないのだが。

 

「美人の受付じゃなくて残念だったね。」

 

そんな俺達の内心を見透かすように、オバチャンはニコニコと人好きのする笑みで俺達を迎えてきた。

読心術の固有魔法が使えるのかと思いつつ、頬を引き攣らせながら俺は何とか返答するのであった。

 

「あの・・・そんなこと考えてないから」

「女の勘を舐めちゃいけないよ?この年になれば男の考えなんて簡単にわかっちまうんだよ。愛想尽かされないように気を付けな?」

「肝に銘じておくさ」

「まあそれは置いといて。冒険者ギルド、ブルック支部にようこそ。ご用件は何かしら?」

「素材の買取をお願いしたいんだが・・・」

「素材の買取だね。じゃあ、ステータスプレートを出してくれるかい?」

「ん? 買取だけでステータスプレートの提示が必要なのか?」

 

素材の買取にステータスプレートは不要なのだが、冒険者と確認できれば一割増で売れるそうだ。

冒険者になれば様々な特典も付いていて、ギルドと提携している宿や店は一~二割程度は割り引いてくれるだけでなく、移動馬車を利用するときも高ランクなら無料で使えたりするそうだ。

登録には千ルタが必要だとオバチャンに言われた。

ここで一つの問題が発生するのであった。

俺達は実は手持ち無しの無一文だ。

それもそうだ。

ずっと奈落の底にいたのだから金には無縁だったのだ。

最も金があっても使う場所が無かったから仕方ないのだ。

ルタとは、この世界トータスの北大陸共通の通貨であり、ザガルタ鉱石という特殊な鉱石を他の鉱物を混ぜることで異なった色の鉱石となり、それに特殊な方法で刻印したものが使われているそうだ。

青、赤、黄、紫、緑、白、黒、銀、金の9種類があり、一、五、十、五十、百、五百、千、五千、一万となっており、驚いたことに貨幣価値は日本と同じである。

冒険者のランクもこれと同じシステムで、色が階級を示す者でもあるのだ。

戦闘系天職を持たない者で上がれる限界は黒であり、天職なしで黒に上がった者は天職ありで金に上がった者より拍手喝采の称賛を受けるらしい。

最もそんなケースは極稀にしかいないのだが。

まあこの辺は王宮の図書館と座学で学んだこの世界の一般常識であるが。

 

「折角だから登録するよ。ただ・・・俺達持ち合わせがないから素材の買取金額から差し引くってことにしてくれないか?」

「あれま!?可愛い子が3人も居ながら文無しとはね!上乗せしとくから安心しな」

「ハハハ・・・面目ない・・・」

 

俺とハジメはオバチャンの厚意を受け取っておくことにして、ステータスプレートを差しだすのであった。

ステータスプレートが戻るまでの間、ハジメは宝物庫からあらかじめ準備した素材の入ったバックを取り出すのであった。

今回素材の鑑定に出すのは樹海の魔物の物だ。

流石に奈落の魔物の素材を出すわけにはいかなかった。

下手に出して周囲に余計な混乱を招きたくないし、それを巡るトラブルに巻き込まれたくなどないからである。

素材の買取価格次第ではユエ達のステータスプレートを発行するのも考えたが、今回は見送る事にした。

何故ならば、ユエとシアは兎も角、コハクの存在だ。

この世界では『厄災の獣』の名は禁忌に近い名前であるからだ。

発行したステータスプレート次第では、コハクの正体が周囲にバレる可能性がある為だ。

白い狐の耳と髪に9本の尻尾と言う時点で色々とヤバいのもあるが、それは狐の亜人の中でも極めて珍しい変異種という事で何とか誤魔化せる。

何かあったら俺がコハクを守らねばならない。

そう思っていると、ステータスプレートが戻ってきた。

天職欄の横に職業欄が新たに表示され、そこに『冒険者』と表記され青色の点が付いていた。

 

「素材の買取に移りたいんだけどいいか?」

「構わないよ。こう見えて査定資格があるからね」

 

そう言うとハジメは素材の入ったバックをオバチャンに渡した。

オバチャンは一つ一つ丁寧に素材を査定をしていく。

すると、「こ、これは!」と声を上げ、驚愕するのであった。

息を吞むような緊張感の中、査定が終わったのか深き溜息を吐き俺達に視線を向けた。

 

「あんた達とんでもない物を持ってきたね。これすべて・・・・樹海の魔物だね」

「ああ、そうだ」

「樹海の魔物の素材はどれも良質な物ばかりだからね、売って貰えるのは助かるよ」

 

知っての通り樹海は危険地帯でもあり、人間族は感覚を狂わされ一度迷えば二度と出てこれない。

行くならば亜人の奴隷持ちが金稼ぎで行くが、素材を売るのなら辺境の田舎では無く、中央でだと高く売れるそうだ。

その方が名を上げやすいのも理由の一つだ。

オバチャンはチラリとシアとコハクに目を向けた。

恐らく、シアやコハクの協力もあって素材を入手したのだと推測した。

全ての素材を査定し終え、買取金額は50万ルタと言う結構な額となった。

この額で良いのかと尋ねられたが、問題ないと返答し買取は終了した。

俺達はそれぞれ10万ずつ山分けし懐に納めるのであった。

鑑定を終えた俺達はギルドを後にするのだったが、オバチャンに引き留められた。

なんでも、町の地図と言うよりはガイドブックをオバチャンに貰った。

町の宿屋やお店等、精巧で有用な情報が簡潔に記載されたものであった。

オバチャン曰く、書士の天職持ちだそうでこれぐらい何ともないらしい。

ありがたく貰った俺達はギルドを後にした。

 

ガイドブックに記載された宿屋『マサカの宿』で今夜は一泊する事にした。

とは言えまだ昼前なのもあり宿屋で予約を取り、夕方からチェックインする事にした。

何故この宿屋なのかと言えば、飯が美味いのと風呂がある事が決め手となった。

宿屋に入るとシアと同年代くらいの女の子が受付を担当していた。

 

「マサカの宿へようこそ!お泊りですか?それともお食事でしょうか?」

「宿泊だ。と言っても夕方からになるが予約を取れるか?」

「はい!構いませんよ。今ならお部屋も空いていますし如何されますか?」

 

俺達はオバチャンから貰ったガイドブックを見せ、受付の女の子に名前と人数を言い、宿泊の手続きを始めた。

部屋割りの際、ユエとシアがハジメを巡って揉めそうになったが、結局俺とコハクとシアの三人部屋とハジメとユエの二人部屋の予約を取れた。

宿屋の女の子にガイドブックを見せた所、ギルドの受付をしていたオバチャンの名前が判明した。

その名前はキャサリンと言うのだそうだ。

そんな事はさておき、俺達は夕方まで自由行動をとる事にした。

宿屋へは入店する際、ステータスプレートを見せれば問題ないという事だ。

俺とコハクは食料の買い出し、ハジメは部屋である物を造るらしく宿屋に残り、ユエとシアは服屋で旅に必要な服を見繕うらしく別行動を開始した。

 

町の商店で売られている品々を見て回りながら、俺とコハクは買い出しを行っていく。

この世界の食糧事情は王都の城下町にて確認しているのもあり、品揃えは十分把握しており特に問題なく終わった。

 

「さてと、買う物買ったしこの後どうすっかな」

「折角二人っきりなのだぞ、逢引以外何があるのだ」

「そうだな、そうするか」

 

まあ、二人で買い物するのがデートみたいなものだが、俺は俺で楽しんでいたりする。

買った食料は宝物庫(試作品)に入れて手ぶらになった所で、コハクが突然俺の手を握ってきた。

少し驚いたが、「逢引なのだからいいだろう」と言い俺は優しく握るのではなく、指と指を重ねる恋人繋ぎで手を握った。

少しばかり顔を赤くしていたコハクだったが、満更でも無い顔で俺と歩調を合わせ歩いてゆく。

それを見ていた周囲の人間達は男女のカップルに見えたらしく、「もげろ!!」「爆発しやがれ!!」等と声を上げるのであった。

そんな周囲の喧騒などお構いなしに俺とコハクはデートをするのだ。

ブラブラ歩いているとある店の看板が目に入った。

そのお店の名前は『喫茶店アーネンエルベ トータス支店』と書かれていた。

支店があるという事は他の町にもあるのかと思い、興味本位で店の中に入る事にした。

そろそろ昼飯時もあり、コハクと二人で昼食を取る事にした。

店の中に入ると其処には、目を疑うような光景が視界に入ってきた。

 

「いらっしゃいませニャ!!お二人様ご案内しますニャ!」

「・・・・・はい?」

 

そう、店員が何と人間では無く、猫であった。

正確にはネコ科の動物を思わせる三頭身のナマモノがいた。

初めは猫の亜人族かと思ったが、何となく根本的に違う種族な気がするのだった。

見渡すと、店員だけでなく厨房で料理するのも、レジらしき機械を操作するのも、注文を聞くのもその猫擬きのナマモノ達であった。

人間の言葉を発し、二足歩行で歩き働いている。

異世界に転移されて色々見てきたつもりだが、この店は飛び抜けて魔空間である。

案内された席に座り、店内を見回しメニューを見ていたていた時であった。

 

「ご注文はお決まりになりましたか?」

 

振り向くと其処にはやや不機嫌顔の女性のメイドさんがいた。

正確にはメイド服姿のウェイトレスさんだ。

服装はメイド服なのだろうが、スカートの裾は膝より高く、ニーソックスを履いていた。

容姿も整っており結構良いスタイルをしている女性だ。

その女性は髪は銀髪で瞳は金色に輝き、肌の色はやや青白い印象が特徴であり、胸に着けているネームプレートには『邪ンヌ』と書かれていた。

あんまりジロジロ見るのも失礼なので早めに注文する事にした。

俺とコハクはオムライスを注文する事にした。

ドリンクにオレンジジュースを二つ頼み、注文を終える事にした。

 

「・・・ご注文は以上でしょうか?」

「ああ、以上だ」

「かしこまりました。ところでお客様、少しお伺いしたいことがありますがよろしいでしょうか?」

「ん?なにか?」

「お二人は恋人関係なのでしょうか?」

「っ!!!!!」

 

この店員さんなんて事を聞くんだよ!

まあ別に隠す事でもないんだが。

 

「もしそうであるのでしたら、カップル限定の特別サービスがありますのでご利用されますか?」

「ほう・・・では頼むとするか」

「かしこまりました。ではごゆっくりお待ちくださいませ」

 

コハクはそう言い特別サービスを受ける事にした。

店員さんは不敵な笑みを浮かべそう言うと厨房の中へと入っていった。

何となく嫌な予感がするがそれまでゆっくりと待つことにした。

まあなにあれ久しぶりにオムライスが食べれるのだ、楽しみである。

コハクにもオムライスの美味しさを知ってもらえるいい機会だ。

店内を見渡していると、何やらポスターらしきものが張っているのが目に映った。

ポスターには、白い服装で両手にニンジンを持った少女と、パーカー姿で片目を前髪で隠す眼鏡を掛けた少女が両手にマラカスを持って踊る様子が描かれていた。

ポスターの下には『カルデア支店にてグランドカーニバル開催中!!』と書いてあった。

他にも、店内に飾ってある写真には、『2011カーニバルファンタズム集合写真』と書いてある写真が大きく飾っていた。

暫く待っていると、先程の女性店員が注文していた料理をもってやって来るのだった。

 

「お待たせいたしました。当店特別サービスによるオムライスであります」

「ほう、此れがオムライスとやらか」

「コイツは・・・またすごいな」

 

コハクは初めて見るオムライスの感嘆の声を上げた。

だが、そのオムライスは普通の物と大きく異なっていた。

それもそのはず、見た目は普通なのだが、ケチャップで絵が描かれていた。

オムライスに先程注文した女性の顔が描かれていた。

なにやら悪戯に成功した子供のような顔を浮かべオムライスの説明を始めるのであった。

 

「多少簡略化されてはいますが、立派に見えますよね」

「へえ、器用なもんだな。凄く上手く書かれているじゃねえか」

「ちょっと・・・誰が称賛しなさいと言ったのよ。よく見なさい私の顔よ、顔!」

「それがどうかしたか?」

「私の顔を象ったオムライスなんて食べたくないでしょう。そう思わないの・・・かしら?」

 

どうやらこの店員さん、サービスと言う名の嫌がらせでもしに来たのだろうか?

本人はそのつもりでも俺はそうは思えない。

 

「オムライスは美味しいのに私の顔で台無し・・・そうならないのかしら?」

「そんな事は無いさ、崩すのが勿体無いくらい上手く描かれているぞ」

「竜也、そろそろ食べるぞ。」

「おっそうだな、じゃあいただくか」

「えっ!?ちょっとまさか貴方達!」

「「いただきます」」

 

俺とコハクはスプーンでオムライスを掬い口に入れた。

それと同時に店員さんが店内に響くほどの声を上げた。

当然ながら、オムライスに描かれた彼女の顔は崩れるのである。

 

「ぎゃああああああああ!!食べ、食っ、食べっ、食べるの!?食べちゃうの!?」

「折角作ってくれたんだ、食べるに決まっているだろ」

 

俺がオムライスを口にするたび、引き攣った顔でその光景を見ていた。

 

「嘘・・・ヤダ信じられない。あなた達それでも人間ですか・・・!?」

「ほう・・・これがオムライスとやらか・・・初めて食べるが中々に美味いな」

 

初めてオムライスを食べるコハクからも高評価の感想が出た。

 

「美味しい?私が作ったオムライスが美味しいって言ったの!?」

 

味を噛みしめながらも思わずスプーンの手が止まらないほど俺はオムライスを口にしていく。

すべて食べ終わり、ドリンクを飲むとほっと息をした。

コハクもオムライスには満足したのか頬が緩んでいるように見えた。

当の本人である店員、邪ンヌさんはと言うと悔しそうな眼差しで俺達を睨みつけていた。

 

「美味しかったよオムライス。また頼むわ」

「・・・・覚えておきなさい、この借りは必ず返すわ!」

「また幾度となく挑むがいいぞ店員」

「くっ・・・・あと、竜の魔女の料理を食べたなんて、呪われても知りませんから!!」

 

邪ンヌさんは「フンだ!!」と吐き捨てるようにその場を去って行った。

俺とコハクは其処まで気にすることなく、のんびり過ごし会計を済ませるのであった。

宿屋で作業をするハジメに差し入れをするべく、テイクアウトできるメニューの中から商品を選ぶのであった。

俺はメニューから『ハンバーガーキャメロットスペシャル』を選ぶのだった。

 

「「「「「「「「またのお越しをお待ちしてますニャ」」」」」」」」

 

店内で働くナマモノ達に見送られながらも、会計を済ませ店を後にする。

宿屋に戻りハジメに差し入れを渡すと偉く喜ばれた。

なんでもジャンクフードは元居た世界でも食べてはいたが、トータスでも食べれるとは思っていなかったそうだ。

ユエ達も買い物が終わったらしく、シアに至っては若干服装が変わり、肌の露出が減ったように感じた。

それでもまだ人目がある為、普段は冒険者用のフードで体を隠すようにしている。

それと、シアの武器となる大槌型アーティファクト『ドリュッケン』が完成した。

ドリュッケンをシアに渡す際、若干だがハジメの顔が柔らかくなったように見えた。

夕方となり、夕食を済ませた俺達は風呂に入ってそれぞれの部屋で眠る事にした。

ハジメとユエは案の定とも言えるが部屋でイチャつくのが目に浮かぶ。

俺はと言うと、コハクとゆっくり過ごそうにもシアの目が気になる為、そうならなかった。

シアはと言うと私の事はお気になさらずと言うも、目を真っ赤にして見てくるのだった。

仕方が無い為俺は、ルーン魔術でシアを強制的に眠らせる事にした。

 

「さて、やっと静かになったな」

「ああ、久しぶりに二人っきりの夜だな」

 

俺とコハクは一つのベッドで横になり抱きしめあっていた。

お互いに唇を何回も重ねると、コハクが俺の上に跨ってきた。

 

「お前だって男だ。だから私がこうやってすっきりさせないとな・・・・」

「ふっ・・・可愛いなコハクは・・・」

 

普段クールで物静かなコハクが、俺の前では甘えてくる仕草に心がドキッとする。

優しく頭を撫でつつも、抱きしめるのであった。

コハクはと言うと顔を赤くし、恥ずかしそうにこう言ってきた。

 

「だったら・・・・可愛がればいいだろう・・・」

 

そんな可愛らしい仕草に俺の理性は限界突破するのであった。

こうして俺とコハクは宿屋で一夜を過ごすだけでなく、体を重ねあうのであった。

数時間後、お互い満足したのかベッドで横になり、静かに寝息を立てるコハクを俺は眺めていた

明日にはライセン大峡谷にて大迷宮の探索と攻略をするべく体を休めるのである。

 

翌朝には、朝食を取ると料金を支払い、宿をチェックアウトし町を出るのであった。

宿屋を出る際に、受付の少女からハジメとユエ、俺とコハクに「昨晩はお楽しみでしたね」と笑顔で言われた。

外に音が漏れないように部屋には防音処置をしたはずだ。

何故分かったんだ?

そんな事を考えつつ、俺達はシュタイフに乗り込むと、ライセン大峡谷を目指し出発する事にした。




今回登場した人物の邪ンヌさんですが、元ネタはFGOでお馴染みの星5アヴェンジャー、ジャンヌ・オルタです。
イメージCVは坂本真綾さんとなっております。
知らない方はネットで検索してください。

次回予告『ライセン大迷宮』
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。