ありふれた錬成師とありふれない魔槍兵で世界最強   作:ゴルゴム・オルタ

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最近、ウマ娘プリティダービーを始めました。
育成やら色々大変ですが、レースは凄くて汗握る物です。
私の最推しのウマ娘はサイレンススズカです。
足がメッチャ速くて良いウマ娘です。
お陰でURA決勝までぶっちぎりで勝てました。

ゲームをやっていて気付いたのですが、エルコンドルパサーの声を担当している声優さんは、ありふれのシア役の人だと今更ながら気が付きました。
アニメも見てはいたのですが、いざゲームをやってみるとメッチャ可愛いですよね。
次は、エルコンドルパサー育てねばな(使命感)


湖畔の町での再会

イルワは、隣に立っていたドットを促して一枚の依頼書を俺達の前に差し出しこう言った。

 

「実は、君達の腕を見込んで、一つ依頼を受けて欲しいと思っている」

「・・・・・・内容にもよるが、話を聞こう」

 

イルワ・チャングと言う名前の冒険者ギルド支部長が待つ応接室に案内された俺達に待っていたのは、支部長からの依頼と言うものであった。

その前に、イルワの方から身分証明になる手紙を持っているかと聞かされ、ブルックの町にいた時、キャサリンさんから渡された手紙を思い出した俺はその手紙をイルワに渡した。

手紙を読んだイルワがどうやら本人達で間違いないようだと言い、話を戻すことにした。

手紙の内容が気になるが、何故、他の冒険者ではなく俺達を指名してまでも頼みたい仕事に疑問を持ちつつも、とりあえずイルワの話を聞くことにした。

俺は、ハジメの事だからてっきり興味を示さない所か、話を聞かずに断ると思っていたが、素直に話を聞く姿勢に驚いた。

ハジメにどういった心境の変化かと思いつつも、支部長の話を聞くことにした。

イルワ支部長の依頼内容は、行方不明となった北の山脈地帯の調査依頼を受けた冒険者一行の捜索だ。

つい最近になるのだが、北の山脈地帯で魔物の群れを見たという目撃情報が何件も寄せられ、冒険者ギルドに調査依頼がなされるのであった。

北の山脈地帯はというと、一つ山を超えると未開の地域となっており、大迷宮の魔物程ではないがそれなりに強力な魔物が出没すると言う話であり、高ランクの冒険者がこれを引き受ける事になった。

そこである問題が起こった。

依頼を受けた冒険者パーティーに本来のメンバー以外の人物が些か強引に同行を申し込み、紆余曲折あって最終的に臨時パーティーを組むことになった。

その人物の名前はクデタ伯爵家の三男ウィル・クデタという。

ウィル・クデタと言う男は、家出同然に冒険者になると言い飛び出していったそうだ。

息子の動向を密かに追っていた連絡員も消息が不明となり、クデタ伯爵は今回の調査依頼に出た後、これはただ事ではないと慌てて捜索願を出したそうだ

クデタ伯爵は、家の力で独自の捜索隊も出しているのだが、手数は多い方がいいと思いギルドにも捜索願を出したのがつい昨日のことだそうだ。

 

「最初に調査依頼を引き受けたパーティーはかなりの手練でね、彼等に対処できない何かがあったとすれば、並みの冒険者じゃあ二次災害だ。相応以上の実力者に引き受けてもらわないといけない。」

「それだったら俺たち以外の冒険者に依頼すればいいんじゃないのか?」

「そうしたいのは山々なのだが、生憎とこの依頼を任せられる冒険者は別の要件で出払っていてね。丁度君達がタイミングよく来たものだから、こうして依頼しているというわけだ」

「なるほどな・・・・」

「キャサリン先生からの手紙に書いてある内容を信じて君たちに頼みたいんだ。」

「・・・先生?」

「私は彼女の教え子でね、君達は随分と先生に目をかけられているというより注目されているようだ。」

「・・・・・」

「先生からの手紙には将来有望、ただしトラブル体質なので、出来れば目をかけてやって欲しいと書いてあってね。どうだろうか?」

 

話を聞いたハジメは何か考え込む素振りを見せた。

ユエもシアもその様子を見ているのであった。

俺達には元居た世界へ帰還する為に、大迷宮探索と言う旅をしている。

北の山脈地帯へ行く用事は無い以上、この依頼を受けるメリットは無に近い。

考え込む俺達を見兼ねたのか、ある提案を出すのであった。

 

「当然だが報酬は弾ませてもらう。依頼書の金額はもちろんギルドランクの昇格で青から一気に黒にしてもいい」

「・・・・・・・」

「それだけではない。ギルド関連で揉め事が起きたときは私が直接、君達の後ろ盾になるというのはどうだろう?フューレンのギルド支部長の後ろ盾を得られるというのは決して悪くない報酬ではないと思うが?」

「・・・随分と気前がいい報酬の大盤振る舞いだな。」

「大都市のギルド支部長といえど太っ腹すぎて逆に怖いぞ」

 

イルワの提案に俺とハジメはやや疑いながらも言葉を返した。

ハジメの言葉に、イルワが初めて表情を崩した。

それは後悔を多分に含んだ表情であった。

 

「実はと言うとウィルに・・・・あの依頼を薦めたのは私なんだ。」

 

そう言うとイルワは己の内に秘めて物を吐き出すように話すのであった。

調査依頼を引き受けたパーティーにウィルを加入してもらうように話を通したのは実はイルワであった。

ウィルは、貴族は肌に合わないと感じ昔から冒険者に憧れていたものの、冒険者としての資質は無く、強力な冒険者の傍で危険な場所へ行って理解してほしと願った。

今回の依頼で諦めさせたかったのだ、ウィルに冒険者は無理だと。

異変の調査といえ、確かな実力のあるパーティーが一緒なら問題ないと思ったのだが、このような事態になるなど考えもしなかった。

 

「パーティがフューレンから出発して一週間以上経過している。ウィルの生存は絶望的だが、可能性は0ではない。クデタ伯爵は個人的にも友人でね、できる限り早く捜索したいと考えている」

「アンタが其処まで入れ込む理由はそれか・・・」

「この依頼を頼めるのは君達しかいないんだ。どうか引き受けてはもらえないだろうか?」

 

イルワの話を聞いた俺とハジメは依頼を受けるべきか考えていた。

思っていた以上に、イルワとウィルの繋がりは濃く、彼の内心はまさに藁にもすがる思いと言うのが痛いほど理解でき、無茶な報酬を提案したのも、イルワが相当焦っている証拠だ。

話を聞いた俺とハジメはある相談をする事にした。

 

「・・・竜也、お前はどうする?」

「そうだな。俺は支部長さんからの依頼を受けても良いと思うぞ」

「理由を聞いてもいいか?」

 

依頼を受けるメリットは大いにある。

まず、身分証明の手続きだ。

町に寄り付く度に、ユエとシア、コハクの身分証明について言い訳するのは、はっきり言って面倒だ。

ギルド支部長に対する伝手があるのは、町の施設利用という点で便利であり、聖教教会や王国から異端のそしりを受けるかわからない以上、個人的な繋がりでその辺をクリアできる。

次に、ギルドランクの昇格だ。

今の俺達は最底辺の青だ。

それが黒になれば他の冒険者への牽制にもなり、他の冒険者からの余計なちょっかいや男共からのナンパからコハクたちを守る事も出来る。

今回の依頼は他の冒険者から見れば無茶な内容にも思える。

もしそれを達成できたとすれば、当然他の冒険者から一目置かれる存在になる訳である。

支部長が後ろ盾にいる冒険者にちょっかいを出す命知らずな馬鹿はいないと考えるのが俺の見解だ。

やや、本来の目的から遠回りする羽目になるが、今後の活動に大きく関わると思えば下地をするようなものだとハジメに伝えた。

それを聞いたハジメはイルワに話をするのであった。

 

「依頼を受ける以上、二つ条件がある」

「・・・・条件?」

「ああ、そんなに難しい事じゃないさ。まず一つ目だが、ユエとシア、コハクにステータスプレートを作って欲しい。そこに表記された内容について他言無用を確約する事だ。」

「なるほど、二つ目は何だい?」

「二つ目は、ギルド関連に関わらずアンタの持つコネクションの全てを使って、俺達の要望に応え便宜を図る事だ。」

 

条件を出したハジメは詳しく説明するのであった。

俺達は少々所かかなり特異な存在で、教会あたりに目をつけられる所か、ほぼ確実に目をつけられると思う為、万が一、指名手配とかされても施設の利用を拒まない事、面倒事が起きた時に味方になってもらえるようにして欲しいからだ。

教会から目を付けられる所か指名手配されると聞き驚くイルワとドットであったが、大都市のギルド支部長もあり頭の回転は早く、暫く考えハジメに視線を合わせ承諾した。

ただ、イルワとしても俺達が犯罪に加担するような倫理にもとる行為や要望には絶対に応えられないと伝えた。

俺達が要望を伝える度に詳細を聞き、イルワ自身が判断し、できる限り俺達の味方になることは約束するのであった。

報酬は依頼が達成されてから支払う事だけをイルワがそう伝えた。

ハジメは、ウィル自身か遺品あたりでも持って帰ればいいだろうと言い、席を立った。

 

「本当は君達の秘密が個人的にも非常に気になるが・・・それは依頼達成後の楽しみにしておこう。ハジメ君の言う通り、どんな形であれウィル達の痕跡を見つけてもらいたい。」

「わかった。その依頼確かに承った。」

「ハジメ君、タツヤ君、コハク君、ユエ君、シア君・・・宜しく頼む」

 

イルワは最後に真剣な眼差しでハジメ達を見つめ、ゆっくりと頭を下げた。

そんなイルワの様子を見た俺達は、立ち上がると気負いなく実に軽い調子で答えた。

その後、支度金や北の山脈地帯の麓にある湖畔の町への紹介状、件の冒険者達が引き受けた調査依頼の資料を受け取り、俺達は部屋を出て行った。

その扉をしばらく見つめていたイルワは、大きく息を吐くとドットが気づかわしげにイルワに声をかける。

 

「支部長・・・よかったのですか?」

「ウィルの命が掛かっている以上仕方ないさ。彼ら以外に頼めるものはいなかったのだから」

「それより、彼等の秘密であるステータスプレートに表示される不都合のことですが・・・」

「ドット君。知っているかい?ハイリヒ王国の勇者一行は聞いた話ではとんでもないステータスを持った集団らしい」

 

ドットは、イルワの突然の話に細めの目を見開きイルワが言おうとしていることを悟った。

彼等が召喚された者である神の使徒であると。

だが、ドットにはある疑問が浮かぶのである。

ハジメ達はまるで教会と敵対するような口ぶりであり、敵対することも辞さないという決意を感じる口ぶりであった。

およそ四ヶ月前の事である。

神の使徒である一行の内二人が奈落の底に魔物と一緒に落ちてオルクスで亡くなったとドットは聞いた。

 

「まさか、支部長はその者達が生きていたと?」

「ああ、その通りだよ」

「四ヶ月前と言えば、勇者一行もまだまだ未熟だけでなく、オルクス大迷宮の底がどうなっているかも分からないと言うのに、其処から生き残るなんて・・・」

 

信じられないとドットは首を振りながらイルワの推測を否定するが、イルワはどこか面白そうな表情でこう答えた。

 

「私は気になるのだよ。何故、彼等は仲間と合流せず旅をし、オルクス大迷宮の底で何を見て、何を得たのかをね。教会や王国から追われるだけでなく、世界と敵対する覚悟する程の何かが彼らにあると思うのだよ」

「支部長・・・どうか引き際は見誤らないで下さいよ」

「ああ、もちろんだとも。」

 

イルワがそう言うと、ドットが付け加えるようにこう言った

 

「もし彼らが戻らなかった場合は、どうするおつもりですか?」

「その時は、彼女・・・・・『灰色の亡霊』に指名依頼を出すさ」

「彼女?まさか!僅か一年で金ランクまで昇格し、単独で活動するあの冒険者ですか!?」

 

ドットが驚くのも無理はない。

僅か一年で金ランクまで昇格する冒険者など前代未聞であるからだ。

その冒険者は二年前に忽然と現れ、凄まじい成長速度でステータスを上げるだけでなく、誰ともパーティを組まず、これまで討伐不可能とさえ言われてきた魔物の数々を単独で成し遂げ、実力で金ランク冒険者となったと言う異色の経歴を持つ人物だ。

ドットもその冒険者とは面識があり、イルワだけでなく他の冒険者ギルドからの指名依頼も何件も受ける程の超が付く実力者である。

 

「ああ、『灰色の亡霊』と渾名される彼女なら可能だろう」

「支部長、恐らく彼等は・・・彼女もまた彼等と同じ存在なのでしょうか?」

「さあね、だが彼女の凄まじいステータスを考えれば納得できる物さ」

 

イルワは、何かを深く考え込み半ば上の空で窓を見るのであった。

彼が懸念すべき存在は実はもう一つある。

それは、コハクの存在であった。

傍から見たら彼女は白い髪をした狐の亜人である。

だが、イルワはコハクを初めて見てある疑念が脳裏に浮かんでいた。

この世界ではある種の禁忌とも言える存在の『厄災の獣』だ。

九本の尻尾を持つ赤色と白色の狐の姿をした二体の魔物の事である。

五百年前に突如としてこの世界に現れ、人間族の多くを火の海に沈め焼き払ったとされる存在だ。

イルワの知る限りでは、当時の人間族によって多大なる犠牲を払い奈落の奥底へと封印されたと聞く。

コハクの姿を見た時、人の姿をしてはいるものの明らかにこの世界とは違う何かを感じた。

彼等は奈落の底へ堕ち、其処から這いあがってきたと仮定すれば、何処かで遭遇している可能性もある。

コハクがもし厄災の獣であると言うのであれば一大事である。

もしそうであれば彼等の内誰かが厄災の獣の封印を解いたことになる。

様子を見る限りではタツヤと言う少年に付き従っているようにも見えた。

何故、仇敵でもある人間と共に行動するのか疑問だが、自分の頭に描く懸念が杞憂に終わってくれる事だけを願うイルワであった。

 

 

フューレンの町を出た俺達は、広大な平原のど真ん中に北へ向けて真っ直ぐに伸びる街道を魔力駆動二輪で疾走している。

天気は快晴で暖かな日差しが降り注ぎ、絶好のツーリング日和である。

座席順は何時もの通り、ハジメの腕の中にユエ、背中にシアの席順である。

俺の方もコハクが背中から腰に回して座ると言うものだ。

お陰で何時も俺の背中にはコハクの胸部装甲が当たっていると言う代物だ。

コハクもそれを知っててやっているのか「当たっているのではない、当てているのだ」と言わんばかりであった。

 

「まぁ、このペースなら後一日ってところだ」

 

俺達は、ウィル一行が引き受けた調査依頼の範囲である北の山脈地帯に一番近い町まで後一日ほどの場所まで来ていた。

このまま休憩を挟まず一気に進めば、日が沈む頃に到着する予定の速度だ。

その町で一泊し明朝からウィル一行の捜索を始めるつもりだ。

時間が経てば経つほど、ウィル一行の生存率が下がっていくのが急ぐ理由の一つだ。

イルワという後ろ盾が、どの程度機能するかはわからないが、少しの労力で大きな報酬を獲得できるなら、その労力は惜しむべきではないと言うのがハジメの見解だ。

いつになく他人のためなのに積極的なハジメなのだが、これには理由がある。

これから行く町は湖畔の町で水源が豊かで、その近郊は大陸一の稲作地帯となっている。

つまり米である。

俺達の故郷である日本の主食であり、その事を知ったハジメは早く行って食べてみたいと言って喜んでいた。

因みにこの世界にも米がある事を知ったのは、何時ぞやブルックの町にいた時に知った情報だ。

俺も初めはこの世界にも米があると知り凄く嬉しかった。

これまでパンが主食だったのもあり、俺からこの世界にも米があると知ったハジメは喜びを露にしていた。

俺はまずその町に行ったら米を食うだけだけでなく、これから旅をする分の量を購入する予定だ。

幸い、軍資金は十分にあり、もしも足りない金額があればハジメと掛け合って出すつもりだ。

遠い目をして故郷の米料理に思いを馳せる俺とハジメをユエが微笑ましそうな眼差しを向け、シアが不思議そうな顔をしていた。

すると俺の後ろにいるコハクが町の名前を聞いてなかったと尋ねるのであった。

 

「これから行く場所の名前は『湖畔の町ウル』だ」

 

仕事の依頼と久しぶりに食べる米が頭に占めていた俺達であったが、其処で思わぬ再会をするとは考えもしなかった。

当初の予定通り、日が落ちる前にはウルの町へと到着するのであった。

湖畔の町と言うのもあり湖に面した美しい町と言うのが印象的であった。

俺とコハクは一旦ハジメ達と別れ、町にある市場へと足を運んだ。

米は売っていないかと探しているのだが、其れらしい店が無い。

日を改めて出直そうと考えた時であった。

傍に居たコハクが足を止めた事に気が付いた。

どうかしたのかと思い振り向くと、コハクがある店の前で足を止めているのだった。

その店は、所謂酒屋である。

俺は未成年だぞと言おうとしたが、既にコハクが店の中に入っていった。

取り扱っている商品は以外にも清酒の様であった。

この世界にも清酒を製造する技術があったのかと思い感慨に更けていると、商品を選び酒を買うコハクがいた。

その数だけ見ると凄い量である。

瓶どころか樽ごと買うと言う豪胆さに俺は驚いた。

売る側も驚きを隠せない程であり、コハクは何時ものポーカーフェイスで代金を店主に渡し店を出た。

買った酒は俺が管理している宝物庫(試作品)に収納するのであった。

これだけの量の酒を一人で飲むのかよと言うとコハクはこう答えた。

 

「飲めん事はないが、お前も今夜一杯付き合え。私の酒が飲めんとは言わせんぞ」

 

見かけに寄らず酒豪であると言う意外な側面に驚きつつコハクの晩酌に付き合う事にした。

コハク曰く、米を食するのも原料が米の酒を飲むのは竜人族の里以来だと言っていた。

俺としては数ヵ月でも、コハクにとっては五百年ぶりとなるのだから嬉しいのだろう。

何時もの表情ではなく何処と無く嬉しそうな顔をしていた。

米が食べる事が出来て一番嬉しいのはコハクであるのが分かった一瞬であった。

摘みになりそうなものは此れから宿泊する宿で調達すればいいかと思い足を進めるのであった。

今夜俺達が泊まる宿の名前は『水妖精の宿』と言うところだ。

フューレンで入手した町のガイドブックには一階部分がレストランとなっており、ウルの町の名物である米料理が数多く揃えられている町一番の高級宿と書いてあった。

まあ、俺としても風呂にも入れることを考えればいい店だと思う。

宿へのチェックインはハジメに頼んでいるので夕食を食べたら風呂に入って寝るつもりでいる。

おススメの料理は香辛料を使った『ニルシッシル』と言うものだそうだ。

カレーみたいなものかと思い想像を膨らませる俺であった。

 

「(そういえば、カレーが大好物だったよな優花)」

 

幼馴染の優花の事を考えつつも、今夜の夕食はニルシッシルにするかと思い足を進めた。

ハジメ達とやや遅れてからの入店となるが、この世界での米料理を楽しみにしつつ宿屋へと入っていくのであった。

宿屋の中に入り、ハジメ達の姿を見つけた俺とコハクは声を掛ける事にした。

 

「よおハジメ、遅くなっって悪かった。早く飯食おうぜ」

「私も久しぶりに米を食えるのだ。中々楽しみだ」

 

声を掛けたのは良いが返事が返ってこなかった。

なんだか店の中の雰囲気がやけに静かすぎるように感じる。

どうした物かと思い奥へと進むと、其処には驚きべき人物たちの姿が目に映った。

 

「・・・・・・・・・・・・・・竜也?」

「・・・・・・優・・・・・花・・・・なのか?」

 

其処には幼馴染である優花の姿がいた。

余りの事に一瞬、思考が停止た。

何故此処にいるのか、他の皆とはどうしたのかなど様々な考えが頭を過り、空腹の事など頭から吹き飛んでしまっていた。

すると、俺の姿を見た優花が一目散に飛び込んでくるのであった。

 

「竜也!!!!!!!!!」

「あ・・ああ・・・・・・・・・」

「本当に・・・生きてた!!!!竜也が・・・生きてるってずっと信じてた!!!!」

 

優花は俺の胸に勢いよく飛び込んでくると強く抱きしめるのであった。

もう会えないと思っていた人物と再び出会い、二度と離さないと言わんばかりに抱きしめると、泣いているのか喜んでいるのか分からない声を上げるのであった。

一瞬倒れそうになったが、どうにか体勢を整え倒れずに済んだ。

突然の事態に困惑しつつどうすればいいのか分からず、周りを見れば畑山先生の姿も目に入った。

優花の声に聞き寄せられたのか奥から現れるのであった。

 

「・・・・・・・・・篠崎君、です・・・よね?」

「えっと・・・・・・・・先生・・・・・・だよな」

 

口元に手を当て非常に驚いた顔をしているのが分かる。

俺の困惑など知らぬかのように先生だけでなく、奥から見知った顔ぶれが出てくるのであった。

この世界に来て間もない頃、オルクス大迷宮でパーティを組んでいた菅原妙子、宮崎奈々、相川昇、仁村明人、玉井淳史の姿もいた。

どうやら奥の座席から頭をひょっこり出して此方を見ている様子であった。

俺も驚いているが、向こうもそれと同じく驚いているだけでなく信じられないと言わんばかりの表情である。

こういう時どうすればいいのか俺には考え付かなかった。

傍から見たら感動の再開の場面なのだが、俺にはただどうする事も出来ず優花の気が済むまで抱きしめられるのであった。

それはハジメの方に目を向けると、そちらも同じであり目を合わせた所、好きにさせてあげようと言う結論に辿り着いた。

腹が減ったなと思っているのだが、優花の気が済むまでこうさせておくことにした。

その光景をコハクはただ静かに見ているのであった。

こうして俺達は湖畔の町で思いもよらぬ再会を果たすのであった。

 




次回予告『北の山脈地帯』

漸く優花と再会が果たすことが出来ました。
今後どう物語が進むのかお楽しみにしてください。

それと、フューレンでイルワが懸念していたコハクの件ですが、トータスでのコハクとそのお姉さんの存在はどう思われているか気になる人が居ると思いますので簡単に説明するならば、機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズに登場する厄祭戦にて猛威を振るったハシュマルを含むモビルアーマーになります。
詳しく知りたい人はアニメを見る事をお勧めします
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