ありふれた錬成師とありふれない魔槍兵で世界最強 作:ゴルゴム・オルタ
理由としましては一度書いてみてよんでみたものの、納得のいく形では無かったため、改修を重ねた結果遅れました。
それと、もう一つ遅れての報告になります。
読者の皆様方、何時も本作をお読みいただき誠に感謝を申し上げます。
皆様のおかげで、お気に入り数が500名を超えるばかりか☆9評価と☆7評価を頂き誠に感謝申し上げます。
☆9評価にhide様、ダディエル様、Mark・Rain様、坂本龍馬様、アクルカ様、GREEN GREENS様。
☆7評価に借金持ちの天秤座様、キントレスキー様。
心からの感謝を申し上げる所存にございます。
お気に入り登録をされている皆様の応援もありここまで頑張る事が出来ました。
今後とも応援の程よろしくお願いいたします
俺は厨房に立つとまず手洗いを行い準備に取り掛かった。
料理を行う前には手洗いを済ませるのは常識である。
何故ならば如何に美味しい料理を作れても食べる人が居る以上、衛生管理は大事であるからだ。
料理に置いて大事なのは味の前に衛生である。
食べて美味しいより、食べて大丈夫であるかが重要である。
最悪、食べる人に食中毒で死に至っては話にならない処か、目も当てられない。
どの分野の料理屋も必ず行う行程を俺は異世界でも欠かさず行うのである。
いざ始めようとした時であった。
傍で見ていた玉井達が俺に話しかけるのであった。
「篠崎・・・その・・・少しいいか?」
「なんだ?時間が押しているから話は手短に頼むが」
「・・・・あの時は、助けてくれてありがとう」
玉井達はやや気まずそうに言いつつもそう言い、俺に頭を下げてきた。
突然の行動に俺は面食らいつつも何に対して礼を言ってくるのか分からなかった。
ウルの町を守る事なのか、山脈での戦いの事なのか疑問を浮かべるのであるが、玉井達の話を聞くことにした。
「オルクスでの最初の訓練の時、俺達を助けてくれた事、本当にありがとう!」
「・・・・・・・」
玉井の一言を聞き俺は静かに聞くことにした。
「あの時、俺達は怖くて何も出来なかったのに篠崎は助けるだけでなく守ってくれた」
「篠崎の事、今まで怖くて近寄りがたかったけど、園部から話を聞いてお前の事、見直すことができたんだ」
「だけど、篠崎は直ぐに動いて指示出して、クラス全員を逃がす為に動いてくれた事は本当に感謝している!」
「あの時、篠崎君が居なかったら私達、みんな死んじゃったんじゃないかって思った・・・・」
「優花っちにも言われたけど、もし篠崎君が生きていて会える事が出来たらお礼を言わなきゃと思ってね・・・」
「だからこれだけは言わせて竜也。あの時私達を助けてくれて・・・本当にありがとう!!」
「優花・・・・お前等・・・・」
玉井から順番に相川、仁村、菅原、宮崎、優花の順番で俺に感謝の言葉を掛けるのであった。
正直言って意外であった。
優花の友人で構成された即席のパーティメンバーとは言え、接点の無かったクラスメイト達からお礼を言われるとは思わなかった。
俺は気にしないでくれと言い、これまで胸の内に秘めていた事を話す事にした。
「・・・あの時の俺は、優花を守ること以外に頭になかった。」
それはこの世界に来てからも変わる事の無い俺の心情だ。
優花を守る為だけに取った行動は決して無駄ではなく、全員を守る事に繋がったのだと感じるのであった。
王宮にいた頃、優花の誘いもあって玉井達とパーティを組み少しずつ俺の心境は変わっていった。
俺が元居酒屋の息子である事を話し、故郷の料理を作る約束を結ぶくらい関係を築いた。
今でもその約束は俺の中では継続しているし、無効にする気も無い。
俺としては優花を守るつもりが、他の誰かを守る事に繋がる事にもなると改めて知った。
どこぞの勇者(笑)みたいに力があれば皆を守り世界を救う事が出来ると豪語する気などサラサラない。
俺が出来るのは、身近にいる人を守れくことぐらいだ。
奈落の底に堕ちて初めて知り合い、俺の遠い先祖とも深い縁があり、種族間を超えた家族として向かい入れたコハク。
元居た世界から周囲から疎まれると言う奇妙な共通点を持つハジメ。
特に接点はないが進むべき道を共に歩み、行動する大切な仲間であるユエ。
地上に出て知り合い、異種族ではあるが料理に関して色々と精通する兎人族のシア。
昔と違い俺はもう一人ではない。
あの時ハジメがどう言おうと、俺はウルの町に残るつもりでいた。
理由としては、ウルの町に優花もいるのもあるが短い期間とは言え共に過ごした仲間を見捨てたくなかったのもある。
他にも、ウルの町で食べる米や料理が気に入ったのも理由だ。
もしこの町が失われることがあれば、二度と米が食えなくなる事があるかもしれないと言う懸念があるからだ。
この世界に来てから米に合う食事は極僅かだ。
贅沢を言えば、朝食は白飯に味噌汁、卵焼きを始めとするおかずと納豆と漬物が俺のベストアンサーだ。
それを北の山脈から押し寄せてくる魔物の軍勢と言う脅威を排除しなければ再び、毎朝パン食に逆戻りとなり、それだけは絶対に避けたい。
オルクスの最深部にある隠し部屋で採取した食材の在庫はまだ十分にあるが、いい加減元居た世界での朝食が食べたい頃合いである。
俺としてもコハクやハジメだけでなく、優花達にも食べて貰いたい所存である。
俺はそう言うと話を一旦区切るのであった。
「さてと、そろそろ始めるとするか」
「そういや篠崎。この生簀の中に入っている魚って・・・アレだよな」
「おう。結構生きの良い鰻(ウナギ)だ」
そう、俺が漁業組合から譲ってきた魚はと言うと湖で捕れた鰻である。
まさかこの世界にもいるとは思わず驚くのであった。
当然ながらこれから行うのは鰻を使った料理である『鰻の蒲焼き』だ。
他の料理ではなく何故この料理を選んだかと言うと、これから数万の魔物の軍勢との大規模な戦いが控えていると言うのに、普通の料理では気合が入らないのと、折角この地で取れた良い食材があると言うのに使わない道理はないからだ。
それだけではなく優花達やハジメ達、ウルの町の人達にも俺達の故郷である鰻を使った料理を食べて貰いたいからである。
俺は厨房に立つと、調理に必要な道具と調味料が一通り揃っているのを確認すると作業に取り掛かるのであった。
まず、鰻のタレ作りから行う。
・大きめの鍋に必要な材料である『濃口醤油1.8ℓ』『みりん380g』『料理酒580g』『砂糖1㎏』『三温糖90g』『味の素小さじ1』を入れていく。
・材料を入れたら、中火で煮詰めていく。
・気泡がふつふつとしてきたら弱火にして、木べらで焦がさないようにかき混ぜながら煮詰めていく。
・タレにとろみが出てきたら、火から下ろして完成である。
続いて、鰻本体の調理に取り掛かる。
・鰻の頭に目打ちと言う道具で頭を刺し、包丁で背中から開いて切っていく。
・内臓と背骨を取り出し尻尾と頭の部分を切り、体の真ん中を切ると串で刺していく。
・串で刺した鰻は鍋に入れて蒸しておく。
・蒸し終わったらタレに着けて炭火でじっくり焼いていく。
・十分に焼いたら火から離してタレをかけ皿にのせて完成である。
鰻の蒲焼きとしてはこれだけでも完成ではあるのだが、俺達が作るのは働く人達への昼食用の弁当であるため作業はまだ続く。
事前に宿屋のオーナーさんに話を付けていたので白米も炊き終わっている為、早速取り掛かるのであるのだった。
弁当箱サイズの木箱に白米を詰め、その上に鰻を乗せタレをかけて蓋をし軽めに紐で縛る。
これで『鰻の蒲焼き弁当』が完成である。
鰻の蒲焼きは地域や地方によってそれぞれに合ったやり方がある。
タレの中に鰻の頭や背骨を入れたり、捌き方も背中からではなく腹から裂いていくと言うのもある。
他にも多々あるが俺なりに多少アレンジが加えられたとはいえ、故郷の料理をこの世界で何とか再現できたと言ったところである
俺が一通りやっていた作業の工程を見ていた優花達は異世界で鰻弁当が食べれると知り感嘆し、ユエ達は初めて見る料理に興味津々であった。
折角なので優花達やユエ達だけでなく、厨房を貸してくれたオーナーさんにも出来上がった料理を試食してもらう事にした。
実際に口にしていく中で、各々感想はあるが確かな手応えはあるように見えた
「タレの香ばしい匂い・・・米と合って超美味い!!」
「口の中で弾けるトロっとフワッとした柔らかさ・・・それと甘いタレが良い感じだ!!」
「しっかりと脂身が乗っているだけじゃない!魚の臭みも全く無い!!」
「こんなに美味しい鰻を食べたのは・・・生まれて初めてだよ!!」
「うん!!自然と食欲が進むよ!!」
「普段食べる洋食もいいけど竜也の作る料理は格別だよ!!」
クラスメイト達からの評判は上々であった。
無理も無い。
元居た世界では鰻は迂闊に手が出せない程に非常に高価であるからだ。
それを見ていたユエ達も驚きつつも口にし絶賛するのである。
「これがハジメ達の故郷の料理・・・凄く美味しい!!」
「初めて食べるお魚ですけど、なんか食べていくにつれて凄く元気が出てきますぅ!!」
「ふむ、これは中々・・・。妾もこれまで魚料理は多々食してきたが、初めて感じる美味な逸品じゃ!!」
「まさか・・・鰻がこれ程までに美味しく調理できる方法があるとは・・・まるで魔法としか言えない!!」
どうやら気に入ってもらえて何よりである。
ウナギ料理の難点は仕込みに時間が掛かるのが玉に傷なのだが、手間暇かけて作るだけの甲斐がある料理である。
試食の方は問題なく終わり、結果満場一致で昼食の弁当の採用が決定した。
宿屋のオーナーさんも、今後料理のメニューに加えたいと懇願する程でもあり、魔物の討伐が終了した暁には作り方を伝授する事になった。
食べ終わった面々に俺は、弁当作りの作業を手伝ってもらえるように頼んだ。
返事は言うまでも無く即答であった。
まず、即席ではあるが役割分担から決めていく。
「まず作業の段取りだが鰻の捌き方は俺が行い、タレ作りは相川と仁村だ」
「わかった!」
「任せてくれ」
「次に、捌いた鰻の蒸し方とタレ着けはシアとティオ」
「はいですっ!」
「まかせるのじゃ」
「鰻の焼き方は玉井が担当だ」
「おう!」
「出来上がった鰻の盛り付けは優花とユエだ」
「了解っ!」
「ハジメの為にも、頑張る!」
「宮崎と菅原で白米の炊飯だ」
「オッケイ!」
「私、頑張るね!」
弁当箱の方は宿のオーナーであるフォス・セルオが町にある木工ギルドの人と話を付け、倉庫に保管してある弁当箱に適した手ごろなサイズを徴用する事になった。
「以上が俺が考案した昼飯弁当の作成内容だ。皆、力を貸してくれ!」
返ってきたのは無論、力強い返事であった。
こうして俺が考案し実行に移すことになった鰻弁当作成作戦が実行に移すことになった。
作業をやる上で、分からない事があれば即座に俺が助言しフォローに入っていく。
自分の作業をやりつつも、足りなくなったタレの補充や分量の指示、焼き方の加減や注意事項を行いつつ、弁当の主食になる米の炊飯具合の確認などを行い休む暇もなく動いていく。
作る人数の分も結構な物ではあるが、俺が言い出し始めた以上、最後までやり抜くと決めた。
一方、畑山愛子はというと、外で町の住民たちの避難作業を行っていた。
女子供を優先に避難させ、町には男手が残る事になっているのである。
避難誘導を率先して行うのは彼女であり、休む暇もなく指示をしていく。
昼頃になり、避難する住民を誘導する町の人が一旦休憩に入ろうと言い、作業の手を休め始めた。
多くの人達が昼食に入ろうとする時、荷台に何かを乗せて運んでくる人影を愛子は見た。
よく見ると、それは生徒である玉井と宮崎、菅原の三人であった。
「先生!お弁当作ってきましたよ!」
「皆さんの分もありますのでどうぞ!」
彼らはそう言うと、それぞれ木箱のような物とスプーンを人々に渡していく。
愛子もまたそれを見て近寄っていくと、何処かで嗅いだことのある香ばしい匂いをで嗅ぎ取るのであった。
「(この匂い・・・・何処かで・・・・)」
そう思うと、教え子である生徒から木箱とスプーンを渡される。
手頃な場所に座りふたを開けてみると驚くべく者が彼女の目に映った。
「これは・・・まさか鰻ですか!?」
「そうですよ。篠崎の奴が作ったのを俺達で手伝ったんです」
「篠崎君が・・・」
彼女はゆっくりとスプーンで鰻の乗った米を掬うと口の中に運んでいく。
すると、彼女は懐かしい物でも見たような顔となり、穏やかな表情となるのであった。
「すごく・・・美味しいです!!」
「篠崎にもそう言ってください先生。きっと喜びますよ」
「はい!!まさか此処で鰻が食べれるなんて・・・篠崎君には感謝しなければいけませんね!」
そう言うと彼女は次々に弁当の鰻を食していく。
まさか異世界で故郷の料理でもある鰻を食べれる日が来ようとは思っていなかったのか、ひたすら黙々と食べていく彼女の姿が玉井の目に映った。
周囲の人間も同様で、初めて食べる魚の弁当に感動したのか一心不乱で食していく。
これが鰻と知ればどうなるのやら玉井には想像すらつかなかった。
ただ言えるのは、何処の世界であれ鰻の料理は上手いと言うのだけは分かったのである。
その頃、北の山脈地帯側の平地で外壁を錬成していたハジメは、来るべく戦いに備え準備を着々と進めていた。
式神を使い上空から魔物の動向を探っているコハクからの報告だと、今日の夕方過ぎには先鋒が見えてくる速度だと言う。
それを聞いたハジメは、急ぎつつも宝物庫から取り出した機械的な部品を取り出すや、組み立て作業を行っていた。
丸みを帯びた物から角張った形をする物まで多々あり、組み立てつつも細部を調整し点検を行っていく。
これこそ今回の戦いで使用する新兵器である戦闘用人型ゴーレムだ。
元になったのはミレディの大迷宮にあった騎士甲冑型のゴーレムを、ハジメが鹵獲し改装を施したものである。
姿形は人型であり、立ち上がれば4メートル程ぐらいになるのだろうか、今は膝をついて姿勢を低くしている。
肩と頭部は丸く、胴体と腕、脚部はやや核張ってはいるが丸みを帯びた形状であり、手には銃火器と思わしき武器を保持し、目は大きな緑色と少し小さくて赤い色に平たくて一番小さなものが三つある。
色彩は緑を基本色ではある物の、太腿部と上腕部や腹部は白色で塗装されている。
「さてと、起動試験を再開させるとするか」
ハジメはゴーレムに感応石で出来たアーティファクトに魔力を送ると遠隔操作を始めた。
基本的な部分はミレディの騎士型ゴーレムと同じなので動かし方は分かる。
ゴーレムはグオォォォォンと駆動音を立てると立ち上がり動き出すのであった。
走り出す態勢となったゴーレムは勢いよく大地を疾走し始めた。
キィィィィィィン!!キィィィィィィン!!キュゥン!!
キィィィィィィン!!キィィィィィィン!!キュゥン!!
独特とも言える音が周囲に響き渡る。
音の正体はゴーレムの足裏にあるホイールを回転させるのと、両足の側面に設置してある小型の杭打ち機から発せられる物である。
縦横無尽に走り回らせたハジメは外壁側までゴーレム移動させると、再び膝をつく姿勢にするのであった。
「・・・ターンピックがまだ冴えないな、機体の姿勢制御がまだ甘いか。もう一回調整してみるか」
そう言う何度目かによるゴーレム再調整に映った。
ゴーレムを組み上げると起動試験を行い、不具合を発見し調整し試験するの行程を行ってきた。
最も、それも昼過ぎ頃には完了する予定である為、戦いには問題なく参戦できると踏んでいる。
一旦休憩でも入ろうかと思い、外壁の内側に戻るとするのである。
タイミングが良かったのか、町から歩いて来る人影を見つけた。
それは良く見慣れた人物であるユエとシア、竜也と昨日知り合ったティオである。
空を見上げれば日が天の真上を差し昼頃であるのが分かった。
それを見兼ねたのかコハクも姿を現した。
昼食を取って休憩したら作業を再開すると決めたハジメは、ユエ達の所へ向かうのであった。
俺達は町の人達への弁当を配布し終えると、ハジメとコハクの分の弁当を持って外壁のある場所へと向かった。
先生の方は玉井達が向かい、町の人達の分は優花達が行くことになった。
残ったメンバーでハジメとコハクの弁当を持っていく事になった。
タイミングが良かったのかハジメとコハクが姿を出し、弁当を渡すのであった。
「さてと、二人の弁当だ。中身は見てのお楽しみだ」
「へえ、良い匂いがする・・・って、これ鰻じゃねえか!!」
「ほう、中々粋な物を作ってくれるな竜也」
「応よ!手間暇かけて作ったんだから味わってくれ」
ユエがハジメに、俺がコハクに弁当を渡すと、早速食べ始めるのであった。
補足ながらハジメの分は他の人よりやや多めに鰻を入れている。
ユエがどうしてもハジメの分だけは自分でやりたいと言い、俺はそれに答える形で作るのであった。
「ハジメ、美味しい?」
「ああ、すげえ美味い!!ありがとなユエ」
「うん!!」
ハジメとユエは何時もの甘いほんわかとした雰囲気を漂わせ、周囲には綺麗な花々が咲き誇っていた。
それを横目に見つつ、俺はコハクの様子を見る事にした。
コハクの弁当はと言うと俺が用意したものだ。
中身は他の弁当とさほど変わらないが、おかずに『う巻き』を入れてある。
う巻きとは、鰻を卵で巻いて焼いた卵焼きの事である。
卵は狐の大好物である為、喜んでくれたら何よりと思い用意したものだ。
コハクの表情も何処か嬉しそうな顔で、美味しそうに食べてくれて心がほっとするのであった。
手頃な丸太に座り、横にはティオがいてコハクは弁当を食べつつも、何やら二人で話をしているのである。
盗み聞きする気はないが、『隠れ里』『姉上』『不在』の単語が聞こえた。
察するに、コハクはティオの言う竜人族の隠れ里に姉の姿は見ていないかと聞き、ティオは見かけていないと答えているように感じた。
コハクとしても地上に出て漸く姉の手掛かりになるかもしれない人物と合ったのだ。
聞いて当然とも言える。
残念ながら表情から見て思ったことは得られなかったようだが、500年ぶりの再会となる知人との再会に会話を弾ませていた。
よく考えてみれば、ティオは俺と出会う前のコハクの事を知っているのだ。
「(時間あれば、ティオと話を聞いてみると良いのかもしれないな)」
そう思った俺は、二人が食べ終わるのを待ちつつ休憩をするのであった。
午後からは、特にやることも無く来るべく戦いに備え体を休めせていた。
ハジメとコハクはまだやる事があるらしく、
ユエとシア、ティオは宿屋に戻り少しでも魔力と体力を回復するべく部屋で休息を取っていた。
魔物の襲来は早くて夕方過ぎ、遅くても夜中の行われると予想される為である。
町の住民である女子供の避難は思ったより早く完了した。
男たちも交代を挟みつつ、休憩を入れ戦いの準備をするのであった。
この町からすれば俺達は余所者同然であり、そんな輩に町の命運を預ける気など無いと言わんばかりであった。
幸い、畑山先生の教え子もあり邪険にされることはないが、完全に信用していないようにも見えた。
俺も宿屋で休もうかと思いつつ足を運ぼうとした時であった。
道中、優花とばったり会うのであった。
「あのさ・・・・竜也。少しいい?」
「優花?どうかしたか?」
「えっとね・・・時間があったらなんだけど少しだけ話をしない?」
「ああ、いいぞ。部屋で良いか」
「うん・・・いいよ」
そう言えば、この町で再開してからまともに優花と会話をした事が無かった。
夕方まで結構時間がある為、体を休めるのも兼ねて優花と宿屋へと向かう事にした。
優花は俺の隣に着くと、手を握ってほしいとせがまれた。
俺は断る理由も無く、優花の手を握ると歩調を合わせて歩き始めるのであった。
二人の男女が手を握り締めながら宿屋へと向かう姿を後ろから覗き込む複数の姿に俺は全く気が付かなかった。
戦いは、すぐそこまで迫りつつあるも嵐の前ぶれの如く町は静かであった。
次回予告『Unite~君と繋がる為に~』
ウルの町編はもうしばらく続かせていただきます。
予定だとあと5話ほど書かせていただきます。