ありふれた錬成師とありふれない魔槍兵で世界最強   作:ゴルゴム・オルタ

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戦闘シーンは相変わらず書くのが大変ですが、頑張って書きました。

それと、☆8評価に村井ハンド様、ゆっくり龍神様ありがとうございます。




装甲騎兵

優花へ想いを告げて恋人となった俺は宿屋を出る事にした。

いざ部屋を出ようと思いドアに手を出し開けようとした瞬間であった。

何と玉井達クラスメイトが部屋へ雪崩れ込んでくるのであった。

それを見て驚く優花であった。

 

「何やってんだお前等・・・」

「いやあ・・・・どうも・・・・」

「篠崎君と優花ッちの事が気になってつい・・・」

 

一瞬どういう事かと思ったが、何となく察する事が出来た。

大方、俺と優花が宿屋へと向かったのを見て後ろから追尾し部屋での会話を盗み聞きしていたのだろう。

幸い部屋は防音にしていた為内容は聞かれることはなかった。

まあ、聞かれて困るようなものでもないから気にしないが問題は優花の方であった。

俺と二人っきりで何を話していたのか、まさか遂に一線を越えたのかと宮崎と菅原から根掘り葉掘り何があったのか質問攻めにあった

とはいえ、男女の一組が部屋で二人っきりになる事を考えれば、大体の事は察しているのか二人とも優花に「おめでとう優花ッち!」と言い祝福の声を贈るのである。

それを聞いた優花は何処か照れ臭そうにしていた。

一方、男子メンバーはと言うと俺に部屋で何をしていたのかと尋ねられ、想像に任せるとだけ軽くそう言った。

相川と仁村から見た俺の様子を見て悔しそうに「「爆発しろリア充野郎!」とだけ叫んでいた。

玉井だけは何故か何処か嬉しそうと言うか羨ましそうに俺を見ていた。

結局宿屋を出て外壁まで行く道中に、俺と優花はクラスメイトから質問攻めを受ける事になった。

 

「にしても篠崎と園部がかぁ・・・・なんで今まで付き合っていなかったんだ?」

「そうそう!元居た世界でも付き合っているんじゃないかって言うぐらいベッタリだったしね」

「ようやくと言うか何というか、まさか此処で付き合い始めるなんてな・・・」

「でも、篠崎君と優花ちゃんはお似合いだと思うよ」

「そうだよな、すげえ羨ましい限りだ。幸せにな篠崎、園部!」

「みんな・・・・ありがとう!」

「取り合えず礼は言っておく」

 

クラスメイト達がそれぞれ祝福の声を贈る中、俺はこれから行う戦いの事を考え頭を切り替えていた。

歩きながら、此処最近で起きた事に纏わる要素を頭の中で整理していた。

 

「(北の山脈地帯で魔物の群れの目撃、クラスメイトである清水幸利の失踪、優花達と畑山先生との再会、闇系統魔法で魔物を洗脳し配下にする謎の人物、ウルの町に押し寄せる魔物の大群、この世界の人間族と敵対関係であり魔物を操る魔人族・・・・)」

 

いくつかの要素を点と点で結び付けていくとある事に気が付くのだった。

それは、敵の目的がウルの町の壊滅ではなく別の事では無いのかと考えた。

俺から見てもウルの町は戦略上重要拠点ではない。

農業と観光で栄える湖畔の田舎町だ。

数万の魔物を引き連れて攻め込むのならもっと他にもそれと言った場所はあるのにも関わらずだ。

それでもウルの町に攻め込む理由は一つしかない。

 

「(敵の目的は町の壊滅ではなく・・・特定人物の抹殺か)」

 

現在ウルの町にいる重要人物を頭で整理していると、該当するある人物が浮かんだ。

敵の背後に魔人族が居ると考えるのであればウルの町を狙ってくるのも頷ける。

そう考えた俺は、外壁に辿り着くまでありとあらゆる観点で考案した作戦を練り上げるのであった。

 

時刻は夕方過ぎとなり空が暗くなっている時間帯に達していた。

外壁には既に俺以外のパーティメンバーが揃いそれぞれ戦いの準備を行っていた。

其処には昼間から魔物の動向を監視していたコハクだけでなく、山脈で出会ったティオの姿もあった。

俺はまず、コハクと話を始める事にした。

コハクも俺の姿を見たのか近づいてくるのであった。

 

「竜也。あの娘とは話は出来たのか?」

「ああ、コハクの御蔭で優花に俺の想いを告げる事が出来た」

「そうか、私としてもお前に大切な者が出来るのは嬉しいからな」

「色々と気を遣わして悪かったなコハク」

「構わん。竜也に対するあの娘の想いは紛れもなく本物だ」

 

そう言うとコハクは何処か嬉しそうな顔で俺と優花を見た。

一瞬だけコハクは優花の方に視線を向けるのだった。

それに気が付いた優花はコハクに軽く会釈をした。

言葉に表さなくてもお互いの言いたい事は伝わったのか、コハクは視線を逸らし背を向けた。

それを俺は、今度はハジメの様子を見るべく外壁を登った。

ハジメも俺に気が付いていたのか見せたい物があると言い、不敵に笑っていた。

昼間から何かを作っていたようで、それが何なのか気になっていたところだ。

ユエが言っていたハジメの作るゴーレムの事も気になっていたところだ

外壁に登りその正体を見た俺は咳き込むのであった。

そのゴーレムから漂う鉄と油、火薬と硝煙、炎の匂いが染みついて思わずむせた。

 

「げっほごっほ・・・・おまっ・・・ハジメこれってまさか・・・」

「おう!これは俺が作ったオリジナルゴーレム。その名も『スコープ・ゴーレム』だ!」

「嘘を言うな!!何がオリジナルだ!?思いっきりス〇ープ〇ッグじゃねえか!!」

「・・・・なんだバレちまったか」

 

悪びれも無く、悪戯が発覚したような子供表情であからさまな声でハジメはそう言った。

俺の目の前に映るソレ、ハジメが作ったゴーレムに呆れ半分驚き半分であった。

そのゴーレムの姿は正しく、某装甲騎兵のアニメに登場するリアルロボットであった。

全身が重火器で武装しておりハジメ曰く、右手に保持しているヘビィマシンガン以外にも、右肩部にはショルダーミサイルポッド、左腕部にハンディソリッドシューター、右腰に2連SMMミサイルポッド、左腰に4連ガトリング銃、背面に火器管制バックパックを装備したと言った。

当初はノーマルの状態で戦う予定であったが、大多数の魔物を相手にする以上これしかないといけないと思い重武装にし、その分機動性と運動性が低いが性能は折り紙付きであるとのことだ。

何処と無く得意げに話すハジメに俺はため息をついた。

 

「俺としては時間があればターボカスタムにしたかったんだけどな、今回の戦いでゴーレムが使い物になるならと思って試作したんだよ」

「ユエから話を聞いてはいたが、一体どうやったら騎士甲冑のゴーレムが、装甲騎兵のリアルロボットになるんだよ・・・原型すら留めていねえ」

「まあいいじゃねえか。さて最後の仕上げに移るとするか」

 

そう言うとハジメは外壁を下り、そのゴーレムの正面に立ち見上げるのであった。

ゴーレムもまた創造主であるハジメをターレットレンズ越しに見つめ合っているように見えた。

するとハジメはそのゴーレムを見てこういうのであった。

 

「あとはコイツの肩を赤く塗らねえとな・・・」

「お前・・・塗りたいのか!」

「ん?へへっ冗談だよ!ってか竜也、そのネタ知ってるんだな」

「まあな。こう見えて全シリーズ視聴済みだ。意外だったか?」

「いいや、最高じゃねえか!!」

 

俺がジト目でそう言うとハジメは軽く笑いながらそう言うのであった。

ハジメはと言うとこんな身近に趣味の分かる同志がいたと知ったオタクのような顔で俺を見るのであった。

話を終え一旦、外壁の内側に戻った俺達を待っていたのは以外にもティオであった。

 

「少し良いじゃろうか?」

「なんだ?話があるみたいだから聞いておくが・・・」

「うむ。お主達に話と言うより頼みがあるのじゃが・・・よいかの?」

「ああ。構わない」

 

ティオの話はと言うと、この戦いが終わったらウィルを送り届けてた後、俺達の旅に同行させてほしいとの事であった。

里を出てきたのはこの世界で起きている異変の調査もあり、その事を考えれば俺達と同行する方が勝っても効率も良いと言った。

俺としては戦力分的にはティオの同行は問題無いのだが、それを聞いたハジメは深く考えるようになった。

 

「何よりも、妾としてはコハク殿の姉上殿には幼少の頃より世話になった身じゃ。決して知らぬ間柄ではない以上、他人事ではないのじゃ。どうか妾も連れて行ってくれないじゃろうか?」

 

どうやらティオはコハクの姉さんに義理があるようにも見えた。

受けた恩には恩で返すと言う仁義とも言える信念を俺はティオから感じた。

そういう考えは俺は嫌いではない。

懇願するかのように見つめるティオに対し、ハジメはこう答えるのであった。

 

「・・・・どうしても付いて来たけりゃ今回の戦いで力を貸してくれ。竜人の力は頼りにしている」

「うむ、任せるのじゃ。竜になれなくともそれなりに戦えるから安心するのじゃ」

「それと、お前には俺からも言わなくてはいけない事がある」

「・・・?それはまさか・・・戦を前に妾へのプロポーズ!?」

「ちげぇよ!!何をどう考えたらそうなるんだよ」

 

ハジメは怒鳴るようにそう言うも、ティオの近くまで行くと小さく頭を下げた。

 

「その・・・・山脈では悪かった」

「・・・お主から謝られる事はないはずなのじゃが?」

「お前に掛けられていた洗脳を解く為にその・・・尻を穿った事だ。」

「ふぁっ!!!!」

 

尻を杭で穿たれた事を思い出したのかティオは片手で尻を抑え赤面するのであった。

俺としては、ハジメが素直に自分の非を認め謝罪する事に驚いていた。

それは、普段ハジメの隣にいるユエやシアですら同様であった。

信じられない物を見たと言わんばかりの表情でハジメを見るユエとシアは目を点にしていた。

二人が普段のハジメをどう思っているかは別として、俺はハジメの心境の変化に嬉しくもあった。

奈落の底に堕ちて人の心を失いかける程に荒れていた頃を考えれば、大きな一歩である。

少しづつではあるが、元居た世界での穏やかな性格であったハジメに戻りつつあると思い俺は安堵した。

ハジメなりの謝罪を聞いたティオは、怒るそぶりも見せず許すのであった。

 

「済んだ事はもう良いのじゃ。お主の御蔭で洗脳は解け自由を取り戻せただけでも僥倖じゃ」

「もう少しやり様が在ったと今でも後悔している。すまなかった」

「よいよい。お主に悪気があったわけではないからの。もし新世界の扉を開いてしもうたら責任を取ってもらうのじゃが・・・・」

「断固拒否する!!尻穿たれて喜ぶ変態を嫁にする趣味は俺にはない!!」

「ふふっ。この件はこれにて手打ちとするかのぉ」

 

そう言うとティオは俺に目を向けるのであった。

俺は目を逸らす事無くティオと視線を合わせるのであった。

ティオから見た俺はコハクの男と言うのもあり興味があるのだろう、何処と無く竜の様な瞳が俺と言う人間を見極めようとしているように見えた。

色々とティオの事を聞きたいと思ったのだが、どうやら戦いの時間がやってきたようだ。

山脈からは土煙らしきものが見え始めた。

どうやら魔物達の先鋒が到着しつつあるようだ。

俺はハジメ達を集めて今回の戦いの作戦を話す事にした。

 

「皆、大事な話がある。今回の作戦についてだ、聞いてくれ」

「なんだ竜也?ここで魔物を食い止めて一匹残らず倒すだけって訳じゃないのか」

「ああ、だがそれは作戦第一段階だ。第二段階に移る後の事を話す必要があってな」

「第二段階?どういう事だ・・・」

「その前に敵の目的を推測ながら考えた。それは・・・・」

 

俺はハジメ達に今回の作戦の概要を説明するの事にした。

それを聞いたハジメ達は驚きはするも納得するのであった。

その内容を聞いたティオは手に持っている扇子で口元を隠しつつも何か考えているようにも見えた。

戦いはすぐそこまで迫ってきた。

 

1時間後、外壁内側にはウルの町に残った男たちが松明で灯りを照らしつつ、武器を構えて待機していた。

とは言え戦闘訓練も碌に受けていない住民と町に駐在する兵士とでは焼け石に水だ。

その中には昼間、住民の避難誘導を行っていた畑山先生の姿もあった。

先生は俺達を心配するような表情をして見つめていたが、俺達の所までやって来るのであった。

 

「二人共、先生が言うのも心苦しいのですが、無茶だけは絶対にしてはいけませんよ・・・」

「大丈夫だ先生。こんなところで死ぬ気なんてないし仲間や町の住民を死なせたりなんかさせねえよ」

「南雲君。黒ローブの男のことですが・・・」

「ああ、黒ローブを先生のもとへ取り敢えず、連れて来てやる」

「そっちはハジメに任せるが、俺は別の要件で気を見てここを離れます。先生は身の回りを注意してください」

「篠崎君、南雲君・・・ありがとうございます。二人ともどうかご無事で」

 

ハジメの予想外とも言える協力的な態度に少し驚くも、苦笑いしつつも俺達を信じているのか腹を括ったのか礼を言うのだった。

先生の護衛である神殿騎士は俺達に何か言いたげであったが、先生が釘を差し黙っていた。

俺達のパーティメンバーは既に外壁の上に立ち戦闘態勢へと入るのであった。

するとハジメは何かに気が付いたのか「!・・・来たか」と言い、北野山脈地帯の方へ視線を向けた。

それは、大地を埋め尽くす魔物の群れであった。

ブルタールのような人型の魔物、黒い狼型の魔物、足が6本あるトカゲ型、四本の鎌をもったカマキリ型、その他諸々実にバリエーション豊かな魔物が、大地を鳴動させ土埃を巻き上げながら猛烈な勢いで迫りつつある。

上空には飛行型の魔物、ハイベリアらしき姿が何十匹と飛んでいた。

その中に一際大きな個体がいてその背中には薄っすらと人影らしきものが見えた。

ティオが言っていた黒ローブの男だ。

大地が地響きを伝え始め、遠くに砂埃と魔物の咆哮が聞こえ始める。

迫りくる魔物の軍勢に恐怖を感じる者までいた。

それを見たハジメは迫り来る魔物に背を向けて、息を吸い天まで届けと言わんばかりに声を張り上げた。

 

「聞け!ウルの町の勇敢なる者達よ!我々の勝利は既に確定している」

 

町の住民は自分達を睥睨する白髪の少年に視線を集中するのであった。

それを確認したハジメは更に声を上げる。

 

「何故なら、私達には女神が付いている!諸君らも知っている『豊穣の女神』愛子様だ!!」

 

そう言うとハジメは手を振りかざし、畑山先生の方へ視線を向けた。

町の住民は豊穣の女神様?と聞き、隣り合う者同士で顔を見合わせるがハジメは言葉を続ける。

そして俺はハジメが何をしようとしているのかを見抜き便乗する事にした。

 

「我らの傍に愛子様がいる限り、敗北はありえない!」

「愛子様こそ天が遣わした豊穣と勝利をもたらす現人神である!」

「我々は愛子様の皆を守りたいという思いに応えやって来た!」

「刮目してみよ!女神に教えられ導き出された力を!!」

 

ハジメはそう言うと宝物庫からシュラーゲンを取り出しハイベリアの群れへと照準を合わせる。

俺もゲイ・ボルクを手にすると、魔力を込め真名を解放させた状態で投擲する体勢を取った。

 

「これが女神の剣と!」

「槍の!」

「「力である!!!!」」

 

シュラーゲンから、極大の閃光が放たれハイベリアの群れを木っ端微塵に撃ち砕き、投擲された魔槍は赤い閃光と衝撃波を放ちながら大地を進む魔物へと放たれ大爆発を起こす。

その爆発は巨大な火球となり周辺の魔物達を巻き込むのであった。

ハイベリアに乗っていた黒ローブの男は爆発の衝撃波で宙に吹き飛ばされて、ジタバタしながら落ちていった。

投擲された槍は生き物のように動き、持ち主である俺の元へと帰ってきた。

魔物の先鋒は今の一撃で大半が吹き飛んだ。

隣にいる相棒であるコハクが蒼い式神に魔力を込めると、倒した魔物の死体から蒼い魂魄らしきものが大量に出てきてすべて吸い込み始めた。

吸い込み終わったのかコハクは「おおよそ一万か。まずまずだな」と不敵な笑みを浮かべるのであった。

余りの光景に唖然として口を開きっぱなしにしている人々の姿を見たハジメと俺は己の武器を天高々に振り上げこう言った。

 

「「愛子様、万歳!!!」」

「「「「「「「「「愛子様、万歳!!!愛子様、万歳!!!」」」」」」」」」

「「「「「「「「「女神様、万歳!!女神様、万歳!!」」」」」」」」」

 

今の一撃で不安や恐怖も吹き飛んだようで、町の人々は皆一様に希望に目を輝かせ、畑山先生を女神として讃える雄叫びを上げた。

当の本人である畑山先生は完全に混乱状態で、顔を真っ赤にして小動物の様に震えているのであった。

 

「先生には悪いが俺達の旅先の事も考えて本当の女神になってもらうか」

「そうだな。あとが怖ぇなきっと」

 

何故此処まで畑山先生を前面に出すのには理由がある。

まず、俺達の持つ力は強大でありこの世界では異端でもある。

その力を巡って教会や国と対峙した際、面倒この上極まりない。

町の危急を『豊穣の女神』の力で乗り切ったとなれば、市井の人々は勝手に噂を広める。

そうすれば人々自身が支持する女神として、国や教会も下手な手出しはしにくくなると思ったからだ。

二つ目は、いかに人助けとは言え大きな力を見せても人々に恐怖や敵意をもつであろう。

それが自分達の支持する女神様のもたらしたものとなれば、恐怖は安心に、敵意は好意となると考えた。

旅の良く先で万が一トラブルが起きた際、『豊穣の女神』の力とすれば人々からの信頼も得られる。

最後は、俺達が『豊穣の女神』畑山愛子先生の教え子である以上、余計な面倒事から仲間と家族を守る抑止力になるとも思ったからだ。

唯でさえ俺とハジメはトラブル体質なのか面倒事に巻き込まれやすい。

それを防ぐためにも畑山先生には矢面に立ってもらう事にした。

 

「それじゃあ、手筈通りやるとするか。行くぞ竜也!!」

「おう、派手に大暴れと行くかハジメ!!」

 

ハジメの隣にはユエとシア、俺の横にはコハクとティオがいた。

本来ならば、畑山先生の隣に居る筈である優花は俺を後ろから見ていた。

戦いが始まる前に優花は俺に声を掛け、「気を付けてね」と言い頬に口づけをするのであった。

俺も、返礼として優花の額に口づけをするのであった。

町の人々の愛子様コールが響き渡る中、優花だけは俺の背中を見守っているのである。

俺も後ろから優花の気配と視線を感じつつも、目の前の戦いに集中するのであった。

 

そこからの戦いは最早、蹂躙劇とも言っても過言では無かった。

ハジメは宝物庫からメツェライを持つと、迫りくる魔物に向けて一斉掃射をするのであった。

毎分一万二千発の閃光で魔物達へ放ち肉片へと変えていく。

弾丸は予め製造していたのか、ひたすら弾幕を張り敵を寄せ付けないでいた。

シアはハジメから借りたオルカンで魔物の集団目がけて連続してロケットランチャーをぶっ放す。

放たれた弾頭は大爆発を引き起こし魔物達の集団を吹き飛ばしていく。

弾切れを起こしてもすぐに弾頭を装填し、放ち続けていく。

ユエに至っては広範囲魔法で一方的に殲滅していた。

とは言え広範囲魔法は魔力消費が激しい為、敢えて詠唱し魔力消費を抑えるようにしていた。

ユエは『壊劫』という重力魔法の応用か、魔物の頭上に巨大な正四角形の黒い塊を形成し叩き落すのであった。

魔物達は成す術も無く大地の染みへと化すのであった。

ティオの放つ魔法はと言うと「吹き荒べ頂きの風」「燃え盛れ紅蓮の奔流」と詠唱を唱えると『嵐焔風塵』と叫び、巨大な竜巻を発生させ更に渦巻く炎へと爆進させ魔物の群へ巻き上げた。

コハクは、空中に式神を放ちハイベリアを一方的に殲滅していく。

制空権が確保できたのか、今度は空中に跳び尻尾から蒼い鬼火を形成するとそれが20から30まで増え、魔物目掛けて火球の雨を浴びせるのであった。

倒した魔物はすぐさま魂魄を吸収し魔力を回復させ、火球の雨を振る注ぐの繰り返しであった。

俺はと言うと、ハジメからシュラーゲンを借り、大型の魔物を長距離狙撃で仕留めていくと言う単純作業だ。

メツェライによって挽肉にされ、オルカンで爆殺、重力魔法で押し潰され、炎の竜巻によって塵にされ、蒼炎によって焼き殺され、長距離狙撃で狙い撃ちにされる等、地獄絵図と化していた。

この時点で既に半数以上は殲滅され魔物達は一方的に駆逐されていく。

残りの数は2万以下となっていた

現実とは思えない圧倒的な力による蹂躙劇に町の住民は歓声を上げる。

町の重鎮や護衛騎士達、優花達クラスメイトは呆然としたままだ。

 

一見ハジメ達が優勢と見えるが数の暴力の前に徐々にジリ貧になっていく。

そして遂に、魔力切れを起こしたティオが最初に脱落した。

 

「すまぬ、妾はここまでのようじゃ」

 

事前にハジメから渡された魔晶石の魔力と自前に魔力が枯渇したのだ。

そう言うとティオは顔色が青白くなりうつ伏せに倒れた。

次に危険域に入りつつあるのはユエだ。

広範囲魔法の連発で魔力と消費したのか、焦りが浮かんでいた。

それを見たハジメと俺は作戦を第二段階に移すことに決めた。

 

「シア、ユエの護衛をしつつ援護を頼む。俺はコイツを動かす」

「はいっ!お任せください!!」

 

ハジメはシアに指示を出すとゴーレムを起動し戦闘態勢に移った。

大地に膝をつき待機姿勢を取っていたゴーレムはグオォォォォンと駆動音を立てて目に光が灯った。

同時に俺はシュラーゲンを置き、自前のシュタイフを出すとコハクを乗せ外壁から飛び降りるように発車した。

作戦第二段階は、ある程度敵の数を間引いたら敵指揮官を発見し倒す事である。

最も、第一段階の時点で敵の数は半数以下まで落ちていたものもあり、行動しやすくなったのもある。

ハジメが操るゴーレムで援護しつつ俺とコハクが敵陣に突撃し蹴散らし、中核を叩くと言う寸法だ。

その為には、先ず眼前の敵を排除する事から始まる。

まず最初に来たのは魔物達であった。

此方が攻撃の手を緩めたのかと勘違いしたのか、猪突猛進と言わんばかりに迫ってきた。

それを見逃すハジメではない。

 

「標的は決まっている」

 

ゴーレムと視覚を共有化したハジメは武装を選択し、バシュウウウウ!!っと音を立て、まず背中のミサイルランチャーを敵の密集している所へ放つ。

同時に、キィィィィィィン!!と言う独特の音を立てて大地を疾走する。

右手に装備してあるヘビィマシンガンをダダダダダッ!っと銃声を響かせると一斉掃射し蹴散らしていく。

 

「無駄弾を使うつもりはない」

 

小型の魔物は左腕部にハンディソリッドシューター、左腰に4連ガトリングガンで掃射していく。

ローラーダッシュで地面を滑空するかのように縦横無尽に走り回るゴーレムに魔物達は恐怖を覚えていた。

緑色と赤色の回る3つ目をした緑の巨人に立ち竦んでいた。

ハジメからすればそれは良い標的以外何でもなかった。

 

「その隙が命取りだ」

 

ヘビィマシンガンを連射から単射に切り替えピンポイントで仕留めていく。

魔物達は成す術も無く一機の装甲騎兵によって蹂躙されつくしていく。

生き残ったハイベリアが上空から迫るも、右腰に設置してある2連SMMミサイルポッドで撃ち落とす。

すると最後尾の方から一体の大型の魔物が現れた。

姿は人型のブルタールではあるが大きさは通常個体の倍はあった。

だが、魔物である事には変わらない

それを見たハジメは、残弾を確認しこの大型の魔物に対し攻撃を仕掛けることを決めた。

 

「(アサルト・コンバット・・・やってみるか)」

 

一旦距離を取ったゴーレムはローラーダッシュで接近しつつもガトリングガンを掃射し牽制射撃する。

牽制射撃で怯んだ魔物はそのままゴーレムのショルダータックルをまともに食らい体勢を崩す。

怯んだ魔物に反撃の隙を与えず、すぐさま左腕部のハンディソリッドシューターを掃射し、ヘビィマシンガンを構え照準を合わせる。

 

「これで・・・・終わりだ」

 

ゴーレムの持つ全武装の一斉掃射を浴びた大型の魔物は周囲の魔物を巻き込んで爆発を起こす。

全弾発射したゴーレムはハジメに寄って後方に下がらせる。

大型の魔物を倒したのもあり、道が出来たのを確認した。

その隙を見た俺はハジメのこの場を任せ突入する事を決めた。

 

「ハジメ、俺とコハクは最後尾にいる黒幕を仕留めてくる。黒ローブの奴は任せた!!」

「おう!!。残りは俺とシアでどうにかやっていく行ってこい!!」

 

俺はハジメに拳を突き出すのであった。

それを見たハジメは不敵に笑い、同じく拳を突き出し軽くぶつけ合わせた。

 

「行くぞコハク。式神で奴の場所を特定してくれ」

「任せておけ。竜也は目の前の敵に集中しろ」

「おうよ!行くぜぇぇぇぇぇ!!!!」

 

俺はコハクを背中に乗せ、シュタイフを駆り大地を疾走する。

魔物達が迫りくるが、コハクの蒼炎を纏ったシュタイフに触れる前に塵となっていく。

その姿は大地を蹂躙しながら突き進み炎を纏った龍の様であった。

途中黒ローブの男を見かけたが無視した。

そいつは云わば操り人形だ。

俺が用があるのは黒幕である『人形使い』だ。

 

「さあ、正真正銘のClimaxだ。派手に行くぜ、Let's party!!!!」

 

こうして俺とコハクは今回の事件を引き起こしたとされる黒幕を探しつつ、シュタイフで蹴散らしつつも、奥へと突き進むのであった。




次回予告『闇に潜む暗躍者』

最近調子が悪いのか上手く書けている気がしない。
下手糞で文才の無い私ですが、応援の程よろしくお願いします。
ご感想・評価・助言など心よりお待ちしています。

追記
最近変な夢を見まして、ハジメヒロインズのユエ、シア、香織の三人がうまぴょい伝説を踊ると言うものを見ました。
色々病気なのだろうか私の頭は・・・・。
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