ありふれた錬成師とありふれない魔槍兵で世界最強 作:ゴルゴム・オルタ
今後の展開もですが、本作のメインヒロインであるコハクの天職とステータス、技能の設定を完全に忘れており、これまで構想しておりました。
それも相まって、執筆が遅れに遅れてしまい皆様をお待たせする事になり、誠に申し訳ございませんでした。
それでも尚、更新を待って頂いた読者の方々には感謝の言葉を申し上げる所存です。
☆9評価をして頂いた〇坊主様。
本当にありがとうございます。
清水幸利にとって異世界召喚とは、ありえないと分かっていながら憧れであり夢であった。
夢や妄想の中では何度世界を救い、ヒロインの女の子達とハッピーエンドを迎えたのか数え知れない。
異世界召喚の事実を理解した時は脳内で歓喜の雄叫びを上げた。
夢にまで見た異世界転移が現実化したことに舞い上がり、華々しく活躍する自分の姿を想像しただけでも興奮した。
だが、現実はそう甘くなかった。
二次創作でもありがちなチート的なスペックを秘めていたが、それはクラスの誰もがそうであって自分だけ特別と言うものでもなく、憧れである『勇者』は違う誰かであった。
異世界転移と言う念願が叶ったにも関わらず、思っていたものと全く違う事実に内心で不満を募らせていった。
自分だけが特別な存在ではなく、ありがちなご都合主義な展開などもある筈も無い現実とぶつかり、抱いていた異世界への幻想は音を立てて崩れ去った。
追い討ちを掛けるように、オルクス大迷宮での初の実戦訓練で死に掛けて、クラスメイトが奈落に堕ちて死んだと言う事実を目の当たりにした清水は、完全に心が折れた。
王宮に戻ると再び自室に引き篭り、自分の天職である『闇術師』に関する技能・魔法に関する本を読んで過ごすことになった。
この異世界には清水の心を慰める二次創作などある筈も無く、唯々自室に引きこもり本を読む日々を送っていた。
ある日の事である。
天職である闇術師について調べていく内にある事を思いついた。
闇系統魔法を極めれば、対象を完全に洗脳し支配できるのではないか?
この世界における闇系統の魔法は、相手の精神や意識に作用する系統の魔法であり、実戦などでは基本的に対象にバッドステータスを与える魔法と認識され、相手の認識をズラしたり幻覚を見せたり等と、魔法へのイメージ補完に干渉して行使しにくくしたりするものである。
その考えが正しければ、誰であろうと自分の思い描くように自由自在に好きなように出来るのだ。
例えそれがこの世界の住民や王族、クラスメイトの気に食わない者までもがだ。
そうと分かった清水は、人目を避けて一心不乱に修練に励んだ。
最初の内は上手くいかなかったが、自身の欲望と本能に従い十数時間という長時間に渡って術を施し続けた結果、夜な夜な王都外に出て雑魚魔物相手に実験を繰り返し、人に比べて遥かに容易に洗脳支配できることが実証できた。
この世界の者であれば長い時間をかけてせいぜい一、二匹程度を操るのが限度であるものの、既に闇系統魔法に極めて高い才能を持っていた清水だからこそできた事だ。
王都近郊での実験を終えた清水は、どうせ支配下に置くなら強い魔物がいいと考え
その機会をただ待っていた。
都合が良い事に畑山先生の護衛隊の話を耳にし、同行するのを決意した。
外の世界に出れば、この世界に来ることになった原因である魔人族との接触する機会も得られると思ったからだ。
案の定、北の山脈地帯という良い魔物と出会う打ってつけの場所へ到着した清水は、配下の魔物を集めるため姿をくらませた。
更に運の良い事に、北の山脈地帯へと偵察に来ていた魔人族とも接触が叶った。
そこで清水は、本来味方である人間族との情報を洗いざらい魔人族に全てを話した。
当然その情報の中には、勇者の次にチート能力を持った畑山愛子の事も含まれていた。
話を聞いた魔人族は、豊穣の女神の抹殺と引き換えに清水を魔人族側の勇者へと引き入れる契約を結んだ。
それから僅か二週間と少しという短い期間で数万と言う魔物の大軍勢を率いる事になった。
道中、眠っている黒いドラゴンを見つけ、かなり時間は掛かったがその結果、それ相応の強力な魔物を従える力を清水は手に入れた。
魔人族との間で交わした契約の元、日々増強していく魔物の軍勢に、清水の心のタガは完全に外れてしまった。
自分こそは特別だったと悦に浸り、誰もがその偉業に畏怖と尊敬の念を抱いて、特別扱いすることを夢想し、手始めに目的である豊穣の女神の抹殺を胸に、魔物の大軍勢をウルの町へ差し向けたのだった。
だが、予想を反して散々な結果であった。
あれだけ居た魔物の大軍勢は、見た事の無い少数の相手やこの世界にある筈の無い兵器によって一匹残らずほぼ一方的に駆逐された挙句、自身も白髪の男によって捕らえられると言う始末だ。
捕まったその先に待っていたのは見覚えのあるクラスメイトと、オルクスで死んだ筈である篠崎竜也の姿、見覚えのない人物に目的である豊穣の女神事、畑山愛子であった。
まだ運は尽きていないものだと知った清水は、畑山愛子の話を聞く振りをして機を待っていた。
話を聞き入れたふりをしていた清水は、ローブの中に隠していた北の山脈の魔物から採った毒針を手にし、畑山愛子に襲い掛かるのであった。
此処で豊穣の女神を殺す事が出来れば自分は魔人族の勇者になれる。
清水の頭にはその考えが埋め尽くされていた。
だが、その望みは叶う事はなかった。
突如として横から自身の顔面に目掛け衝撃と痛みが遅い、防壁と思わしき壁に全身を叩きつけられた。
「清水。ちょっと少し・・・・頭冷やそうか?」
辛うじて意識を失わなかったものの、清水の前に怒りのオーラを纏った紅の修羅神が立ち塞がっていた。
静かに怒りの籠った瞳で此方を睨みつける紅の修羅神と化した園部優花に全身が震えながら息を呑むのであった。
俺達は怒り心頭の優花を見て言葉を失っていた。
一番驚いているのは恐らく畑山先生だろう。
先生から見た優花は、クラスの女子の中でも温厚で面倒見の良い生徒と言った印象の筈だ。
それがここに来て普段見せない姿に戸惑いの表情を浮かべていた。
次に驚いているとしたら玉井達や菅原達と言ったところだろう。
此処まで怒りの感情を露にする優花を見るのは初めてなのだろう、若干引き気味に見える。
ハジメ達もやや驚いてはいるものの、比較的冷静で様子を見ている。
俺としては此処まで怒る優花を見るのは二度目だったりする。
優花が怒る時は、一見物静かではあるが内心は激情に駆られているものだ。
「園部さん・・・・」
「大丈夫ですよ畑山先生。優花を信じてください」
「篠崎君・・・・・ですけど・・・」
そんな様子を見ている畑山先生は、オロオロしながらも小さく呟く中で、俺が優しく声を掛ける。
とは言え俺も内心冷や汗気味だったりする。
あそこまで怒りに身を任せた優花は、そう簡単に止まったりはしない。
勢い余って清水を殺さないか不安だったりもするが、此処は優花を信じるしかないと思った。
「(しかし、優花の取るボクシングスタイルのフォーム・・・まさかな・・・・)」
俺は優花が執る戦闘スタイルとフォームに見覚えがある気がした。
それ何処かで見た事あるような気がする。
元の世界にいた頃、俺の知り合いでもありボクシングスタイルで戦うある人物の事が脳裏に浮かんだ。
去年の冬頃に、俺を辿ってアイルランドから態々日本へやってきたあの『ケルト女』のことだ。
見れば見る程優花の取るフォームは、俺が知るあの『ケルト女』が漂う闘気までもが非常に良く酷似していた。
優花に殴り飛ばされた清水はゆっくりとだが起き上がり、自分に置かれた状況を理解し始めたようだ。
「たかがモブの分際で・・・・俺の・・・邪魔をするなぁぁぁぁぁ!!!!」
「あっそう」
清水は右手に持った毒針を手に優花に襲い掛かった。
対する優花は軽くそう流すように言い、拳に力を入れる。
清水は優花の顔面を目掛けて刺すように針を突き付けるも、優花はそれを見切るまでも無いかの様に余裕を持って横に逸れて躱すのであった。
それと同時に優花は、逆に清水の顔面目掛けて拳を叩き込むのであった。
見ている側も驚くほどに華麗なカウンター技であった。
まさかのカウンターを喰らった清水は大きくよろけるのであった。
「黙って聞いていれば、くだらない能書きばっかりね!!」
「ゴフゥ!!」
「何でアンタは他人の痛みや悲しみを考えようともしないの!!」
「ゲフゥ!!」
「自分さえ良ければ他の人はどうでもいいわけ!!」
「ガハッ!!」
「自分の価値を示す?勇者になる?力を示す?それが何だって言うのよっ!!」
「グブゥ!!」
カウンターを喰らい怯んだ清水に追い討ちを掛けるように優花は、溝内にボディブローを叩き込む。
それだけに留まらず、力強いフックと鋭いジャブ、速いストレートを交互に繰り広げ、反撃する暇も与えない程に清水の顔と胴体に拳だけでなく、回し蹴りも叩き込んでいく。
優花の繰り出す全力全開とも言える攻撃と、疾風迅雷の速さの前に清水は最早、人間サンドバックと化していた。
優花は拳に込めた怒りと想いのすべてを清水にぶつけつつも話をしていく。
「清水。アンタは・・・愛ちゃん先生やクラスの皆がどれだけ心配していたか知らないわよね?いいえ、知ろうともしない!!」
「ぐっ・・・・・」
「それだけじゃない!!アンタが起こしたバカ騒ぎのせいで、ウルの町の人達がどれだけ不安に感じたかなんて考えたことはないでしょ?」
「な・・・・に・・・・」
「何時だってアンタが考えるのは自分一人だけのことばっかり。そんなアンタなんかが勇者になるですって?ふざけんじゃないわよっ!!!」
「ぐぶはぁぁぁぁ!!!!」
優花の左拳から放たれる強烈なストレートを顔面に食らった清水は、外壁へ激しく吹き飛ばされ再び背中から体をぶつけ大の字となるのであった。
それを見た優花は、逃がしはしないと見たのか腰から投擲用のナイフを指に挟むと、清水に目掛けて放つのであった。
放たれたナイフは清水の腕に突き刺さる事無く、着ているローブの腕の裾に刺さり外壁に縫い合わせた。
これは正確かつピンポイントな投擲技術であり、相手の急所を外し無力化すると言う高度な技術が無かれば成り立たない技である。
体の鍛錬だけでなく、己の天職である投術師の真髄である投擲技術の練習も怠らなかった結果である。
ローブの裾をナイフで縫い合わされた清水は身動きが取れない状態となった。
最も、優花から繰り広げられた怒涛の攻撃によるダメージの蓄積もあり、動くに動けないのであった。
畑山先生やクラスメイト、ハジメ達が固唾を飲んで見守る中、優花は最後の一撃を清水にぶつけようとしていた。
すると優花の右拳が突然、白く光り始めた。
正確には、周囲の魔力が光となって拳に収束されていくようにも俺には見えた。
畑山先生やクラスメイトが優花を見ている中、ハジメと俺は優花が清水に何をしようとするのかを大方予想してしまった。
「・・・なあ、竜也。園部が清水にやろうとすることって・・・まさか『アレ』じゃないよな?」
「奇遇だな。俺もそう思ったところだ・・・・」
「幾らなんでも『アレ』を人間相手にぶっ放すなんてことは・・・・しないよな?」
「・・・・俺もそうで無い事を願うばかりだ」
俺とハジメの頭の中にはある事が浮かぶのであった。
元の世界である故郷の日本で、昔あった某魔法少女物のアニメに登場するある必殺技が頭に過った。
それは、空気中に漂う魔力素を収束しそれを相手に全力全開、又は全力全壊でぶっ放すいう『桜色の核兵器』の別称で有名な集束砲撃魔法だ。
優花の拳に収束される魔力の光はそれとよく似ていた。
まさかとは言わないが、優花はスターでライトなブレイカー染みた集束砲撃魔法を清水にぶっ放すのではないかと内心冷や冷やし始めるハジメと俺であった。
「自分さえ良ければ他人なんてどうなっても構わない。そんな自分勝手で周りの迷惑を考えようともしないアンタに言葉は通じないみたいだから、これだけは私からアンタにハッキリ言っておくよ」
「あ・・・・・あ・・・・あ・・・・・」
「湖の底で・・・・たっっっっっっっぷり頭を冷やして来なさいっ!!!!!!」
拳に十分な光が溜まったのか、優花は腕を水平に構えると、地面を強く蹴り疾走し始めた。
此処が好機だと察した優花は拳に力を入れ、頭にある人物達を浮かべ強く握った。
「(真菰・・・バゼットさん・・・ベルファストさん・・・私に力を貸して!!!!)」
不思議と優花には恐れも迷いも無かった。
唯、あるのはこの拳に想いの全てを籠めて相手にぶつけると言う事だけが頭に合った。
優花は大きく息を吸い込み、肺に空気を溜め込む。
大量の酸素を血中に取り込むと、血管や筋肉を強化・熱化させ、瞬間的に身体能力を大幅に上昇させるたのであった。
夢の中で会い特殊な呼吸法を教えてくれた少女、元居た世界で身を守る為に格闘技を教えてくれた女性、この世界で知り合った同じ投術師である王宮のメイド長。
教わった力と技術のすべてを引き出すのであった。
外壁に張り付けられ動けない清水に拳を向け、狙いを定めた優花は叫びながら走る。
「一撃ぃぃぃぃ必倒ぉぉぉぉ!!!!」
最早、戦う意思も無く動けない清水に優花の一撃を防ぐ術など無かった。
仮に防ぐ方法などがあっても、満身創痍となっている清水は完全に詰んでいた。
そんな事などお構いなしに優花は渾身の一撃を清水へとぶつけるのであった。
優花は右腕を大きく振り上げ腰を入れ、右足を前へ踏み込むと同時に、力強く握った拳を前へ突き出した。
「ディバイィィィィィィン・・・・バスタアァァァァァァァァ!!!!!!!!!!」
優花の拳は、清水の腹部に到達すると眩い閃光と共にゼロ距離で放出されるのであった。
それと同時に外壁部分に眩い光と轟音が周囲を響かせた。
凄まじい爆音を轟かせた閃光は、清水を巻き込むように輝き、外壁を突き破りウルの町の象徴とも言える湖に向けて流星の様に飛んでいった。
優花の拳から放たれた閃光は、夜空を流れる一筋の流星となって清水を飲み込むや、ウルの町の上空を過ぎ去り、湖に着弾すると巨大な水柱を上げ落下した。
頭から湖の水面に着水した清水は衝撃で意識を失うのであった。
空は既に明るく晴れ渡り、東の空から太陽が山脈から覗き込んでいた。
朝日に照らし出され、拳を前へと突き出す優花を温かく照らしていた。
一部始終を見守っていた一同が声を掛けるのもためらう中、俺だけはゆっくりと優花の元へ歩いていった。
「スゥ・・・ハァ・・・スゥ・・・ハァ・・・」
拳を前へ突き出したまま、肩で息をするかのように呼吸を整えている優花は、構えを解き姿勢を整え始めた。
そしてゆっくりと拳を天へ目掛け突き上げるのであった。
その光景は、ヒーローが勝利のスタンディングを上げるように力強い物であった。
すると突然、優花は力を失ったかのように背中から倒れこむのであった。
俺はそれを見て急ぎ優花の元へと駆け付け、肩に手を回し支えるのであった。
「優花、大丈夫か!?」
「うん。平気だよ。少し疲れちゃったけどね」
どうやら張りつめていた緊張が解けたのか気が抜けたらしい。
体の方は疲れていても、優花の顔は何処か晴れ渡り笑顔であった。
一時はどうなるかと思って心配したが、杞憂であった。
「ねえ、竜也。私の事どう思ってる?怖い・・・かな?」
「何言っていやがる・・・・怖くなんてねえよ。寧ろ凄かったぜ。見違える位強くなったな優花」
「嬉しいな!あの時からずっと竜也が生きているのを信じて頑張った甲斐があったかな」
俺は優花が見せる明るい笑顔に、これまであった事を思い浮かべた。
オルクスでの実践訓練で俺とハジメが奈落に堕ちたあの日から優花に何があったのかを考えていた。
俺が生きていることを信じ、それを希望として胸に描き、優花はひたすら強くなるために努力してきたのだ。
数か月前には考えられない程に、優花は見違えるほど強く逞しくなっていた。
今まで俺が絶対に守らねばならないと考えていた力弱い少女では無く、誰かを守れる力を持っている人間へと成長していた。
ふと見ると、優花の腰にある物が付けているのが目に入った。
それは、俺があの時王宮で渡した厄徐の面であった。
「そのお面、持っててくれてたんだな」
「うん。竜也が渡してくれた大切な物だから」
「そうか・・・きっと真菰が優花の事を守ってくれてたんだな」
「私もそう信じてる。時々、夢の中に出てくる位に見守ってくれてたんだよ」
それを聞いた俺は、心の中で真菰に感謝の念を贈った。
俺の大切な幼馴染であり、愛しい女性である優花を守ってくれた事に思わず泣きそうになった。
ふと、太陽の光が照らす外壁部分を見ると其処には見覚えのある姿が目に移った。
白い羽織姿の少年と赤い着物姿に黒い髪の少女の姿が居た。
「錆兎・・・真菰・・・」
それを見た俺は、思わず言葉を失った。
そして、ある事に気づくのであった
この世界に召喚されてからもずっと俺達の事を見守ってくれていたのだと。
先程、優花が夢の中に真菰が出てくると言っていた。
それは俺が持つ錆兎の面と優花に渡した真菰の面が繋がっていたからではないかと。
例えどんなに離れていても、俺と優花が繋いできた絆と言う繋がりは途切れる事はないと確信するのであった。
朝日の眩しさに目を当てられ、一瞬視界を逸らし再び外壁の部分を見ると、其処には二人の姿は居なかった。
俺は一瞬寂しさも感じたが、二人とはまた何処かで出会えると思い気持ちを切り替える事にした。
そんな事を思っていると、後ろから近づいてくる複数の音を耳にした。
「優花ッち大丈夫!?」
「さっきのアレ・・・凄かったね」
宮崎と菅原の二人である。
其れだけでなく、玉井達や畑山先生とハジメ達がゾロゾロとやって来るのであった。
「園部さん、お怪我はありませんか?清水君はどうなったんですか?」
「大丈夫ですよ愛ちゃん先生。清水は生きてます・・・・・・・たぶん」
「たぶん!?」
畑山先生はというと、清水がどうなったのか心配する様子であるものの、優花の事も気遣うようにも見えた。
ハジメ達は、優花の健闘を称えるように見えた。
「拳から魔法を放つなんて・・・驚いた」
「なんともまあ、凄い光景を見た物じゃ・・・」
「はいっ!!優花さんの放った一撃は本当に凄かったですよ!!」
ユエとティオはやや驚く表情で優花を見ていたが、シアに至っては称賛を贈っていた。
優花としてはやや苦笑いではあったが、何処か満足気であった。
するとコハクが優花の所へやって来るのであった。
何か言うのかと思えば、コハクは以外にも穏やかな笑顔で優花の頭へ手を伸ばし褒め称えるのであった。
「良くやったな娘。先程の一撃は見事であった。」
「コハクさん・・・」
「他の誰が何と言おうと文句は言わせん。お前は竜也の女として力を示した。」
「はいっ!!」
「お前が私と同じく、竜也の女として同じ土俵に立てた事を喜ばしく思うぞ『優花』」
「っ!!!!」
コハクに名前で呼ばれたのが嬉しかったのか、嬉し涙を流す優花であった。
取り合えず当面の脅威は去った事もあり、一旦町へ戻る事になった。
その過程で優花は俺にあるお願い事をするのであった。
「ねえ、竜也。お願いがあるけど聞いてくれる?」
「なんだ?言ってみろよ」
「うん。私ねさっきの魔法で体が動けないから・・・その・・・」
「おんぶでもしてくれって言うのか?」
「そっちもいいけど・・・・抱っこが良いかな」
「応!任せとけ」
俺は優花を横から抱え込むように担いだ。
即ち、世間一般で女性が憧れる事で言う『お姫様だっこ』と言う奴だ。
それをされた優花は嬉しそうに俺の首に腕を回し抱き着いて来るのであった。
間近でお姫様抱っこをする男女を見たクラスメイト達は黄色い歓声と願望の歓声を上げた。
それを見たユエがハジメに同じことをやるように頼み、シアが自分にもしてほしいと言い迫るのであった。
コハクとティオはと言うと、何処か楽しそうにその光景を見るのであった。
余談ではあるが、優花によって湖へふっ飛ばされた清水は以外にも五体満足で生還していた。
発見された頃には意識が全くなく、精気も覇気も感じない植物人間となっていた。
清水の救助と発見を真っ先に行ったのは、畑山先生やクラスメイトでは無く意外にもコハクであった。
コハク曰く、少々この小僧には用があると言ってはいた。
最も、この小僧は蝉の抜け殻同然だがなと言う意味深な言葉を残し、残りの後始末俺達に任せ去っていった。
この戦いで得た功績でウルの町の住民からは称賛と健闘を讃えて、ある呼び名で呼ばれることになった。
ハジメは『女神の剣』、俺は『女神の槍』と。
そして、意外にも優花に呼び名が贈られる事にもなるのであった。
その呼び名はなんと『女神の拳』であった。
それを聞いた優花は何処か不満気ではあったものの、大人しく受け入れるのである。
こうしてウルの町の攻防戦は幕を閉じた。
町には再び平穏が戻り、活気に満ち溢れるのであった。
次回予告『Lovin' You Lovin' Me』
原作では魔法少女と呼ばれていた優花ちゃんですが、本作では『魔砲少女』となりました。
個人的には皆様が大好きな『S,L,B』をしたかったのですが、アレをするには必要な条件が現状の優花ちゃんでは満たしていない為、自重いたしました。
理由はご察しください。
魔砲少女って何ぞやと思う方にもわかるように説明するならば、魔力を収束させて砲撃する少女の略称となります。
詳しくは『リリカルなのは』をTV版と劇場版の両方をご視聴ください。
次回は竜也と優花のイチャラブ回になります。
壁とコーヒーの貯蔵をお忘れないようにお気を付けください。