ありふれた錬成師とありふれない魔槍兵で世界最強   作:ゴルゴム・オルタ

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遅くなり申し訳ありません。
色々先の展開を考案しつつ、文章に書いていくのは大変です。
今年で後どこまで進められるかわかりませんが、頑張っていきます。


ベヒモスとの遭遇、運命の転換点

トラップによって別の場所へと転移させれた俺達の前に現れたのは、ベヒモスと呼ばれる巨大な魔獣であった。

迷宮での実戦訓練となる俺達には明らかに荷が重すぎる相手なのは一目見て理解した。

行き先には無数のガイコツ兵が控えており、完全にこちらが不利である。

そんな中、俺は周囲の状況把握を行い、最善策を考案する。

 

「(状況は最悪だ、クラスメイトは完全に恐怖と不安でまともに動ける奴がいない。ならば俺が出来ることは一つだ!!)」

 

俺は、八重樫のところに行きこの場に置いての最善策を告げる。

 

「八重樫、緊急時の手順通り俺は退路を確保する。そっちは足止めと時間稼ぎを頼む」

「篠崎君!?わかったわ。退路と皆の安全確保は任せたわ」

「応!!任せろ!!」

 

そう言うと、俺は後衛メンバーのところに戻り動ける者へ指示を出すのであった。

前衛組である天之河率いる勇者組が、何やら逃げずに此処で魔物を倒すなどごねていたが、八重樫とメルド団長に怒鳴られ、渋々撤退の為に行動するのであった。

この状況を作り出した元凶である檜山はと言うと、青ざめ震えが上がっていた。

俺は、それを見て後でシメると決め、自分のパーティーに戻りメンバーに指示を出すのであった。

 

「相川、仁村、玉井、俺は今からあのガイコツ兵どもを蹴散らして前線に戻り加勢に行く。お前等は魔法陣を破壊して退路を確保しろ。優花、菅原、宮崎は退路の確保が完了次第、全員の避難誘導だ。南雲と清水は撤退する前衛組の援護だ。最後の殿は俺がやる」

 

「待てよ篠崎、あの数をお前が全部相手にするのかよ!?」

「いくらなんでも無茶だろ!?」

 

相川と仁村がそう言うが俺は怒鳴るようにこう答えた。

 

「退路の確保が後衛の仕事だ、男なら覚悟決めて腹括りやがれ!!!」

 

俺は自分とメンバーの役割を伝えると、ガイコツ兵(トラウムソルジャー)の群れに目掛けて槍を構えた。

メンバーも覚悟を決めたのか、それぞれの武器を持ち戦闘態勢に入った。

優花は心配そうな目で俺を見たが、不敵な笑みを浮かべると、大丈夫だと告げガイコツ兵の群れに突撃を開始した。

 

「(そういや、師匠の所で修行していた時も、最初の相手はガイコツ兵の群れだったな)」

 

昔の事を思い浮かべつつも、俺は槍を振るう。時に突き、薙ぎ払い、ゴミを蹴散らしていくように敵を倒していくのである。

俺としては単なる肩慣らしとウォーミングアップの感覚なのだが、後方から見ていたメンバーには一方的な蹂躙劇にしか見えていなかった。

その光景に「リアル無双かよ・・・」、「篠崎ヤベェ・・・」、「竜也・・・凄い」など声に出し驚愕していた。

ガイコツ兵を片付け終え、メンバーに指示を出す。

 

「相川、仁村、玉井!!魔法陣を破壊しろ!!」

「お、おう」

 

三人が地面に描かれた魔法陣を破壊すべく行動を開始した。

これで以降の敵の増援は無くなり退路を確保できる。

優花、菅原、宮崎は戦意が無く立ち竦むクラスメイトを退路に誘導し、南雲と清水はその援護に入るのであった。

前衛メンバーを後退させるべく、俺はベヒモスの下に向かうのであった。

ベヒモスの足止めをしていた前衛は崩壊寸前であった。

勇者組の天之河ですら全く歯が立たない相手に苦戦していた。

 

「八重樫、退路を確保した。急いで後退しろ!!」

「わかったわ。皆急いで撤退して!!」

 

そう言うと前衛組は撤退を開始する。

俺は殿を果たすべくベヒモスの前に槍を構える。

鋭い爪を持つ前腕を俺へ振るうのを回避し、俺はベヒモスの胴体に槍を刺す。

分かってはいたが、大したダメージには至らなく、精精肌に蚊が刺さる程度しかない。

一瞬、本来の獲物を出すことも考えたが、それは駄目だと判断した。

アレの威力は余りに強大すぎる。

此処で使えば相手だけでなく自身の命も危うい。

唯でさえ此処は橋の上だ。

いくらなんでも足場が悪すぎる。

手詰まりと思っていた時であった。

ベヒモスの足場が大きく揺れ、奴の態勢が崩れた。

横を見ると、撤退の支援をしていたはずの南雲がいた。

 

「馬鹿野郎!!お前は後方で支援しろって言っただろうが!!」

「そうだけど、君だけに危険な真似はさせられないよ!!それに・・・」

「ん?」

「錬成だってこう言う方法だって使えるんだ!!」

 

南雲はそう言うと、錬成を駆使しベヒモスの足場を崩壊させていく。

なるほどな。

そういう使い方をするとは盲点だった。

自身の限界寸前まで錬成をした南雲は、顔に汗がにじんでいた。

そろそろ頃合いと思った時であった。

 

階段の前まで撤退していたメルド団長から、走れと言われ俺と南雲は退路である階段まで走るのであった。

退路まで撤退したクラスメイトの魔法攻撃による援護を受けつつ、俺と南雲は橋をひたすら走る。

後ろにいるベヒモスの足場は崩壊しつつ、俺達の後ろを追ってきた。

同時に橋の崩壊が加速度的に進む。

生きて帰るか、奈落に落ちるかの瀬戸際で、全身が汗まみれになっていく感覚を忘れ、俺と南雲はひたすら走る。

 

クラスメイトの援護もあり、無事退路地点まで到達するかと思っていた時であった。

ベヒモスに目掛けて放たれた魔法攻撃である魔力弾の一つが、俺と南雲に目掛けて降りかかってきた。

 

咄嗟の事もあり、完全に不意を突かれた俺と南雲は、橋の崩落と魔力弾の爆発に巻き込まれるのであった。

このままでは、ベヒモスと一緒に奈落の底へ落ちてしまう。

そう判断した俺は、左手で南雲の手を掴み、右手に持っていた槍を無事である橋先端の部分に突き刺すのであった。

横目で見ると、ベヒモスは奈落の底に落ちていき、暗闇へ消えていった。

こっちは辛うじて九死に一生を得た状態であった。

 

「南雲君!!」「竜也!!」

 

橋の上から声が聞こえた。

恐らく、白崎と優花だろう。

俺達の安否を確かめるべく、走ってくるのが分かる。

下を見れば南雲が苦笑いをした顔で俺を見ていた。

こうして俺達は何とか困難を乗り越え、仲間に救出されるのであった。

それがありふれた展開なのであれば。

 

 

最も、現実はいつも残酷で過酷なものであった。

 

 

俺は手にしていた槍に罅が入っていた事に気が付かなかった。

それは、更に広がり槍そのものが崩れようとしていた。

余りの事態に俺は一時思考停止していた。

そして、気が付いた時には槍が折れていた。

俺と南雲は、あまりにも急な展開に声を出すことも無く、奈落の底へ堕ちていった。

 

「南雲君!!!!!!!!」

「竜也!!!!!!!!!」

 

橋の先端から白崎と優花の声が響くが、時すでに遅く、俺と南雲は奈落の底の暗闇の世界へと消えていった。

左手に握っていた筈の南雲の姿は無く、俺は浮遊感を感じながら落下していった。

ごめんな優花。

またお前を泣かしてしまって。

彼女への悔いと無念を抱きながら、意識を手放すのであった。

俺と南雲の落下を見てしまった二人は、あまりの事態に思考と理解が追い付いていなく、崩壊寸前だった

かくして、オルクス大迷宮における実戦訓練は最悪の形で幕を閉じた。

崩落した橋の先端には、崩落した橋の瓦礫に折れた槍が深く突き刺さっていた。

折れた槍の先端がまるで、二人の墓標であるかのように、同時に生き残った者の心にクラスメイトの死を胸に突き刺すのであった。

 

 

あれからどれだけ時間が過ぎたのかわからない。

暗闇の中意識が混雑し、思考が定まらない。

そんな時であった。

 

「(起きろ、竜也・・・・目を覚ませ!!!!)」

 

何処かで聞いた事がある声が頭に響き、一気に意識を覚醒させた。

体を起こすと、周囲を見回すと、洞窟の壁には大量のグランツ鉱石が出て、青白く輝いていた。

お陰で周囲の地形が分かりやすかった。

足元には地下水が流れていて、腰までつかるぐらいの深さであった。

これがクッション代わりになったのか、落下の衝撃を緩和してくれたのだろう。

多少背中が痛むが、何とか体を動かし立ち上がった。

俺は、懐に仕舞っていたある物を出した。

右頬に深い傷跡のある力強い目つきをした白い狐の面だ。

 

「お前のお陰で助かったよ、ありがとな●●」

 

再びそれを仕舞い、辺りを観察しつつ行動を開始した。

俺は地下水が流れる落下地点から岸に上がり、共に落下した南雲を探すべく周囲を探索する事にした。

武器であった槍はバッキリと折れ使い物にならない。

 

「南雲は・・・・はぐれたのか」

 

仕方ないため、本来の獲物である槍を出し、警戒しながら洞窟内を進んでいった。

神経を過すまし、気配を察知してみたが生物らしき気配が全くしない。

それどころか、人間や魔物の姿もない。

 

何もないと思って前を進んでいた時であった。

行き止まりかと思っていた先に、異様な光景が広がっていた。

床一面に赤い花が万遍もなく咲いていた。

よく見たらそれは故郷である日本ではよく知れ渡っている彼岸花であった。

紅蓮の炎のように紅く美しく咲き誇り、あまりの美しさに声を失った。

さらに奥を見ると、更なる衝撃を目にした。

天井から薄い光を放ちながら水滴をこぼす謎の鉱石があった。

問題はその下であった。

 

謎の鉱石が放つ光に照らされていたのは、この世界に存在する筈の無い生物がいた。

初めは白い狼かと思っていたが、よく見ると狐であった。

雪のように白く美しい毛並みで、尾が九本ある狐が眠っていた。

どういう訳か、全身を鎖で縛られ、静かに横たわり口元には、謎の鉱石から出る水滴が零れていた。

大きさはベヒモスより少し小さめであったが、俺からすれば十分大きく感じた。

足元には、俺の持っているお面と似たものがあり、それを取ろうとした時であった。

眠っていたと思っていたその九尾の狐が、静かに目を開き俺を見た。

曇りのない青く、綺麗な瞳と目が合い言葉を失った。

すると、首だけ動かしこう言った。

 

「誰だ・・・お前は・・・」

「ッ!!!!」

「お前も・・・私の存在を否定し・・・首を取りに来たのか」

 

弱っているのか、力を感じないが澄んだ声が俺の耳に響いた。

狐が喋った事にも驚き、俺はその時何も答えられなかった。

この日、俺は自身の運命とも言える存在と出会った。

 




次回『厄災の獣と呼ばれし白狐』

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