ありふれた錬成師とありふれない魔槍兵で世界最強   作:ゴルゴム・オルタ

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年内にあと何回か頑張って書いていこうと思いますので、応援よろしくお願いします。


厄災の獣と呼ばれし白狐

奈落の底へ落ち、クラスメイトの南雲を探索しつつ、洞窟を探索している途中、俺は鎖に縛られた九尾の白狐と出会った。

俺は、九尾の狐の問いにこう答えた。

 

「悪いが、そのどちらでもない」

「何?」

 

そもそもの話。

この出会いは偶然の産物である、俺がこの九尾の狐を殺す理由も無ければ、敵対する理由もない。

それに何故、俺達の世界では神格化すらされる九尾の狐がこんな奈落の底にいるのか見当がつかない。

思いつく疑念は多々あるが、先ずは対話で話を切り出すことにした。

そもそも、伝説上の存在である九尾の狐にどんな言葉で話しかければいいか見当がつかない。

普段通りの言葉で話すか、敬語を使って話すか悩んでいた。

 

「ああ、なんというか・・・その・・・」

「・・・畏まった言葉遣いなどいらん。貴様の話しやすい話し方で構わん」

 

俺の迷いに察したのかそう言った。

意外にも、この九尾は話し方に関しては意外と寛容である。

九尾の狐をアンタ呼ばわりするのにやや後ろめたさを感じるが、当の本人?獣がいいと言ってるので、そうと分かった俺は普段の口調で話すのであった。

 

「俺は、篠崎竜也。アンタの名はなんだ?」

「・・・・私に特に名は無い。呼びたくばシロと呼べ」

 

意外にも名前がないのに驚いた。

てか、シロって犬や猫じゃないんだからもっとマシな名は無いのかよ。

 

「それよりも人間、何故此処にいる?」

「俺が此処にいる理由か、そうだな・・・・」

 

俺は、何故この場にいるかを目の前の九尾の狐に答えた。

元居た世界から突然、この世界に召喚された事。

人間族と魔人族の戦争に巻き込まれた事。

この迷宮で訓練中に強敵に遭遇し、謀に嵌まり奈落に落ちてきた事を話したのだった。

そう言うと、その九尾の狐は「そうか、お前もか」と短く言った。

どういった事情か分からないが、この九尾の狐もこの奈落に落とされのが分かった。

今度は、俺の方から話を切り出した。

 

「なあ、アンタはもしかして九尾の狐か?」

「ほう、この世界の人間は私を『厄災の獣』と呼ぶが、お前はその名を知っているのか・・・」

「ああ、俺の故郷ではアンタの姿をした狐は伝説になってるからな」

「・・・なるほど、私と姉様があの日、突如としてこの世界に来てから、それ程までに時が経つのか」

「どういうことだ?」

 

どうやら、思っていたよりも複雑な話らしい。

俺は目の前の九尾の狐の話を聞くことにした

 

 

九尾の白狐ことシロの話では、元々この世界に住んでいたのではなく、突如として俺達と同じ世界から今より500年以上前にこの世界の神エヒトによって召喚された存在だという。

元々、シロは日本に住む九尾の狐であった。

自身の半身とも言っても過言でない同種族の姉、セキと言う名の九尾の狐と共に静かに暮らしていたが、当時の人間達から迫害と討伐の対象になっていたそうだ。

 

シロ曰く、当時、人が治める都(現在でいう京都)は陰陽師と言われる者達が守護していて、その中でも『安倍晴明』なる者が有名であったそうだ。

俺はその名を聞いて、少なくても目の前にいる九尾の白狐は1000年近く生きている事に驚愕した。

白い狐は縁起物であるのに、人間の討伐対象になっていたのに疑問が含んだ。

故郷である日本の京都にある伏見稲荷神社では、狐を祀るほど有名であるのにだ。

理由を聞けば、日本三大妖怪の一角である玉藻前の仲間と誤認されたからだそうだ。

偉く単純で馬鹿馬鹿しくもあるが、当時の人達にはそう見えてしまったのだろう。

シロ達からしてみれば、とばっちり以外何でもないのである。

 

シロ達は、迫害を受けつつも、討伐者達を返り討ちにしつつ、安住の地を求め各地を転々としていた。

それから年月が過ぎ、人間同士が争う戦国時代に移った頃であった。

突如として、得体の知れない力によって、異世界トータスに召喚されたのだった。

召喚された当初は困惑していたが、シロ曰くいきなりトータスの人間達により、異界より現れた侵略者して世界の敵に認定させられたのだった。

この世界に突如として現れた九つの尾と強大な力を持った見たことの無い異形の獣。

魔物と言う天敵を有するトータスの人々が誤認し、排除する選択を取ったのも道理だっだ。

武器を取り、自身を排除せんとする人間達に、シロ達は応戦し返り討ちにしていった。

それ以降、シロ達はこの世界の人間も、自身の命を脅かし命を奪い取る者と認識したのだった。

 

「その後も、身に掛かる火の粉を払う日々が続くと思っていた時であった。私達を受け入れてくれたある種族と出会った」

「ある種族?」

「高潔にして清廉なる種族、『竜人族』だ」

 

竜人族。

この世界に来てすぐに王宮の座学で習ったが、神敵に認定され500年前に絶滅されたとされる種族だ。

竜人族の治める都にまで逃げ延びたシロ達は、此れまでの出来事を話した。

反対の声も懸念したが、竜人族はシロ達を客人待遇で受け入れたのだった。

何故という言葉に竜人族の王『ハルガ・クラルス』はこう答えた。

『竜の眼は一路の真実を見抜き、欺瞞と猜疑を打ち破る』

その言葉だけで、シロ達九尾の狐の正体と経緯を見抜き、受け入れたのだった。

元々、竜人族の都は多種多様な種族が住む場所で、中には吸血鬼族の姿もあった。

 

それ程の種族が何故、神敵と認定されたのか疑問に思ったが、シロの話を聞くのであった。

これまでの扱いが嘘のように優遇され、竜人族の都で平穏な日々を過ごすのであった。

客人待遇に不満は無かったが、せめて何か返礼できることは無いかとシロ達は竜人族の王に問うが、この国で平和に暮らしてもらえれば構わないと返された。

平穏な生活は続く。

国を守護する戦士達との手合わせや王族との交流を含めた会席に招待されたりもあったが、幸せな日々であったらしい。

だが、運命はそれを許さなかった。

 

突如として、人間族からの侵略があった。

理由は分からないが世界から神敵と認定され理不尽に晒された。

世界の守護者としてこの世界に存在していた筈の竜人族がだ。

シロ達もこれまでの恩を返すべく、戦いに参加をする意思を示すも棄却された。

これは、竜人族の問題であり、客人であるシロ達を巻き込ませたくないとの竜人族の王の意思があった。

せめて、シロと姉のセキは、竜人族の最後を見届ける為その地に残り、此れまでの恩義を果たすべく、生き残りを隠里に逃がす為、時間稼ぎと殿を務めることにした。

 

シロ達九尾の狐の力は絶大で、竜人族に侵攻する人間族の戦力十数万の戦力を消滅させ、戦場を火の海と化した。

だが、突如として天より現れた謎の存在が戦況を変えた。

それは、人の姿をしていたが、不気味なほど無表情で容赦なくシロ達に襲い掛かってきた。

奮戦するも姉のセキと分断され、不覚を取り力を抑えられ奈落の底に堕とされたのであった。

セキとはそれ以降会う事無く消息は不明。

奈落の底に堕とされ体の自由を奪われたシロは、辛うじて生き延び洞窟内でひっそりと日々をすごしていった。

姉のセキと竜人族の安否を気にしつつも、一人奈落の底で待つのであった。

幸い、天井にある鉱物から零れる水で何とか命を繋ぎ、体力の浪費を抑えるべく永い眠りについた。

そして、500年以上経った。

 

「・・・そして、俺に出会ったって訳か」

「ああ、まさか私と同じく奈落に落ちる者がいるとはな」

 

目の前の九尾、否シロの話を聞いてみた俺はどうするか考えた。

シロは俺達と同じ故郷である日本から強制的にこの世界に連れてこられた存在だ。

違いがあれば、人類の認識だけだ。

俺自身世界を救う気はさらさらないが、なんとなくシロの事を他人事に思えなかった。

平穏な日々を過ごしたかったに、無理やり異世界に召喚され、剰え『神敵』や『厄災の獣』等の汚名を被せられたのだ。

俺はこの世界に召喚した神エヒトに、更に九尾とは言え白い狐に対する人類の仕打ちに静かに怒りが湧いてきた。

衝動に促された俺は、シロを縛り着けている鎖を引き千切る行動にでた。

 

「おい、何をする気だ貴様!!」

「何って決まってんだろ。この鎖をぶっ壊すんだよ。それでアンタも晴れて自由の身だ」

「何故其処までする。そんなことをする義理は貴様に無いだろう!!」

 

俺は鎖を握ると、手に魔力を込め強引に鎖を壊そうとする。

だが、予想以上に頑丈で中々壊れそうにない。

その為、今度は手持ちの武器である槍に魔力を込める。

 

「確かに義理なんてものは無いさ、だがな・・・」

「む?」

「アンタの眼から嘘は感じなかった。なによりもな・・・・」

「なんだ・・・・?」

「俺はアンタの存在を否定したりしないし、命を奪ったりしない!!」

「なっ!!!!」

 

この九尾の狐を助けようと思ったのには理由がある。

俺の一家は大昔から代々、白い狐を神様の使いとして敬ってきていた。

幼い頃、祖父からも白い狐を助けると良い事があると教えられた。

そう考えるとシロに対する仕打ちは、罰当たり以外何でもない。

それだけではない。

昔、師匠の元を離れる際に告げられた事を思い出した。

『鎖に縛られし白き獣を救え』

今が、その時だ。

シロにそう言うと俺は、勢いよく槍を鎖に突き立てるのであった。

 

「待ってろ、すぐに助け出してやるからな!!」

「貴様・・・・」

 

効果は絶大で、鎖は見る見る内に罅が入り、そして光の粒子となって消滅した。

同時にシロの体が光に包まれ、人の形を構成していった。

光が収まると、其処には九尾の狐から、人間の女性の姿になったシロが佇んでいた。

髪は雪のように白く美しく短髪で、目は青く透き通るように美しく、目元には赤い隈取が塗っており、服装は、上半身は所々模様が描かれた白い着物で胸の部分はやや開け大変ご立派な物が半分顔を出していた。

下半身は青いスカートのような物を履いており、健康的な太腿がチラチラ見え、足は膝下まで長い白いニーソックスに、底の厚い下駄らしき靴を履いていた。

頭には白い狐の耳が立っており、腰の部分からは白い狐の尻尾が9本生えていた。

右手には白い狐の面を持ち、左手には青い形代を何枚か指に挟んでいた。

まさか人の姿になるとは思わず、俺は声を失った。

同時に、彼女の予想以上の美しさに見惚れていた。

俺の視線に気が付いたのか、やや低いトーンで声を出した。

 

「・・・・何時まで私の姿に見とれている気だ」

「おっおう、すまん。その何て言うか、凄く綺麗な姿だったんでなつい・・・・」

「・・・・まあいい、長きに渡る呪縛から解放してくれたのだ、一応礼は言うぞ」

「ああ、良いって事さ」

 

すると、俺に向かいゆっくりと近づきこう言った。

 

「何故私を助けた?このまま私に喰われないとでも思っていたのか?」

「それも考えたが、アンタがそんな事するとはこれっぽちも思わないぞ」

 

話を聞く限り、俺から見た彼女は決して平気で噓を言うような獣には見えなかった。

それどころか、自分の半身とも言える存在の姉と思いやる優しい心を持ち、異種族でありながら世話になった竜人族に受けた恩を、仇で返すような不義理を働く事無く、率先して義理を果たそうとする姿に悪意と殺意を感じなかった。

 

「それでも人間が嫌いだって言うのなら、今此処で俺を殺せばいいさ。最も、多少なりは抵抗させてもらうがな」

「・・・・いや、やめておく」

「理由を聞いてもいいか?」

「確かに人間は嫌いだ。だが、お前に助けられたのは紛れもない事実だ。それに・・・」

「まだ何かあるのか?」

「・・・・・理由は分からない。だが、私の獣の本能が告げている。お前を決して喰うなと・・・・」

 

何か意味深な事を言ったが、今後の事について話し合う事にした。

俺は、この奈落の底から脱出し地上に出る術を探す。

それには彼女も合意した。

その後、元居た世界に帰る術を探すべく旅に出る。

彼女は、消息を絶った姉と世話になった竜人族の安否の確認である。

概ね利害が一致し、その為に協力体制を作ることになった。

 

「自己紹介が遅れたが、俺は竜也。篠崎竜也だ、アンタの事は何て呼べばいいんだ?」

「・・・・昔の名は捨てる。お前が私に新しい名前を付けろ」

「は?・・・・いやだってアンタには」

「お前が言うにはシロでは犬や猫のような名ではないか!! 曲がりにも私は九尾の狐だぞ!! 共にするのである以上、それらしい名前をお前がつけろ!!」

 

参ったな。

こう言うのはあまり得意ではないが、俺は迷った。

九尾の白狐・・・・・・・。

ん?白狐?

そうだ!!良い名前があるぞ。

消して変でも無く、当たり障りのなく、女性に付けても問題ない。

そうと決まれば早速彼女に新しい名前を付けることにした。

 

「それじゃあ、アンタ・・・じゃなかった。今日から君の名前は『狐白(コハク)』だ。よろしくな」

「・・・うむ、まあ・・・そのよろしく頼むぞ・・・竜也」

「ああ、こっちこそよろしくな」

 

俺はそう言うと、握手をするべく右手を差し出した。

握手をするのが初めてなのか、頭の耳をピンと立て、恐る恐る俺の右手を握った。

これが奈落の底で出会った俺とコハクとの最初の出会いであった。

 

 




次回予告『再会と合流』



今回登場した人間の姿になった九尾の白狐ことコハクなのですが、感じで表記するなら白狐を逆にして狐白にし、コハクの名前の由来は、TYPE-MOONのゲーム『月姫』に登場する人物『琥珀』に詰って名前を付けました。

そして、コハクのイメージCVは声優の茅野愛衣さんです。
容姿は、ゲーム若しくはアニメのアズールレーンに登場する加賀(空母)をイメージしてください。

主人公の容姿は決まってはいますが、場合によってネタバレになりますのでまだ伏せときます。
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