俺に懐いた猫女が最高の狙撃手だった。   作:じぇのたみ

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幕間:狩りの時間(前)

「よーパッチィ、やってるであるかー」

「ワタシ様の店は年中無休だよ寝坊助」

「あんまりVRに入り浸るなであるよ暇人」

 

 軋む扉を開けると、埃っぽさこそ以前より薄くなっている気がするものの、それ以外は前と変わらない内装のこじんまりした銃砲店。

 そのカウンターに、こじんまりした店主が頬杖を付きながら軽口を叩く。

 

「アタシ様が暇人たぁ聴き逃がせねぇなぁ! お前の装備の修理に改造に補充に、十二月でもないのに走り回ってるんだぜ?」

「相変わらず我輩以外の客がいないのであるな」

「見る目のねぇ客未満共が悪いのさ。お前の名前につられただけのミーハーに売る銃はねぇのよ」

 

 ケラケラと笑う店主の覇気に満ちた声は、一月留守にしても何も変わりなかった。

 まぁ、そんなものだろう。たかが四週間留守にしたからといって、ガタガタ騒ぐ方がおかしいのだ。

 

「それなら、預けた装備の具合は万全なのであろうな?」

 

 それを聞くと、待ってましたと言わんばかりに店主は足元の銃器保管庫からバジリスクを米俵のように腰を使って持ち上げ、カウンターの上にゆっくりと下ろした。

 それを受け取った俺はすぐさま機関部のメンテナンス用の蓋のロックを外し、内部まで状態を確認する。

 所有者の俺には分かる。こいつは、新品だった頃よりも磨き上げられている。

 

「一月もありゃあ、ワタシ様の腕ならオーバーホールを3回したってお釣りが来るね!」

 

 口振りとは裏腹に、彼の金の髪に点々と機械油の染みがある。

 M9000番台は容貌に恵まれて荒野に降り立つ故に、基本的に身嗜みに気を使う。

 初めのうちはともかく、鏡を通して男とも女とも思えるような透き通る美貌を拝むのに慣れると、着飾らねば勿体無い、と思うようになるのだ。

 それはパッチィとて例外ではないし、名が売れる前は俺もそうしていた。

 そんな当たり前すらも放り出し、彼が本当に俺の為の仕事を全力で行ってくれたことが分かると、なんだかくすぐったい気持ちが湧いてくる。

 

「修理だけじゃなく、チューンアップまでしてくれたのであるな」

 

 機関部を一目見れば分かることだ。レーザーを生み出すこの銃の心臓部、収束レンズの色がガラスのような透明のものから、青みを帯びた水晶の様な代物になっている。

 気品ある輝きは、高レアアイテムの証だ。

 

「まぁね。電磁収束レンズとプラズマコントローラを最新式にした上でワタシ様が調整して、冷却方式も空冷から超純度液体金属による水冷もどきに変えてある。出力が上がるのは勿論、冷却効率も上がってるから、よっぽどのことが無い限りオーバーヒートは起きないはず」

「バレルもチリ一つない。本当にいい仕事である」

「んでこっちが《SRM1216》ショットガン。一応銃身交換だけしてあるからな。パッチィお手製ショットシェルも揃えといたぞ。おまけに盾。お前の大好きな宇宙戦艦の装甲は使われてないけど、まぁ砲撃とか機銃掃射でもされない限り弾けるだろ。PVPなら十二分だぜ」

「パーフェクトである、パッチィ」

 

 確認もそこそこに、ストレージにバジリスクと《SRM1216》、そして大盾を収納する。盾と光学式LMGと実弾式ショットガンを全て加算してもなお、装備可能重量パラメータは余裕のある数値を示していた。

 完璧な仕事だ。パッチィに気に入られたのは俺のGGO生活における最大級の幸運であることは間違いない。

 

「でもさ……その……」

 

 だが、叩き出した結果に反し、彼の表情は曇っている。

 

「珍しく歯切れが悪いであるな、パッチィ」

「あー……うん。言うわ。お前、それ、性能が底上げされてるとはいえ、第一回のBoBと同じ装備だろ?」

「で、あるが」

「……装備新調しないでさ、勝てんの?」

 

 ゼクシードがトーレント専用の対策をしていないはずがない。

 俺とパッチィの視線が交差した時、その言葉は寸分の遅れも無く俺の心に届いた。

 相手は俺の装備のスペックを諳んじられるデータッキー。まんまと罠にハマった瞬間、何も出来ず一瞬で殺されるだろう。

 俺の装甲を、物ともせず。

 ゼクシードは、それが出来る。これは奴がどういうビルドだからだとか、そういう話ではない。

 奴ならやってのけるという、実力への信頼。

 だが、俺のカードは既に配られ、この場に揃ってしまっている。

 唯一の幸いは、それらが砂一粒も付いていないくらいにピッカピカに磨き上げられていることだ。

 

「やるしかないであろう。超特別価格で最高の仕事をしてもらった。これで文句を言う奴はGGOで長生き出来んである」

 

 カウンターに体を預けながら銃の状態をチェックしていると、襟布を引っ掴まれて耳元で囁かれた。

 

「ところがさ、あるんだよ、儲け話が」

「儲け話?」

 

 ぐいっと店主を押し戻し、ボロの椅子にどっかりと座った。インベントリから瓶コーラを二本取り出し、一本をパッチィに投げ渡す。

 そのまま互いの持つ瓶を軽くぶつけて乾杯をすると、親指だけで栓を外し、吹き出す泡が収まってから一気に飲む。

 VRの酒が嫌いなパッチィとの乾杯はいつもこうなので、完全に流れ作業のような手際になってしまった。

 飲み干したパッチィは足元に瓶を放ると、話を続けた。

 

「そう。砂漠フィールドの端っこに出てくるPKの正体を暴くのに大きめのスコードロンが動き出してな、懸賞金が掛かってんだよ。生死不問、生け捕りならボーナスだ。お前ならその辺のPKなら余裕で勝てんだろ? その報酬でさ、全身換装までとはいかずとも、銃の新調とか、オーダーメイドの弾丸の融通くらいならやれるぜ?」

「魅力的な提案なのであるが、相性悪かったら普通に負けるである。我輩、鈍重であるからして」

「……確かに」

 

 多少落胆した様子のパッチィを尻目に、頭の中のデータベースを急ぎで探る。

 砂漠でそんながっぽり稼げるような大捕物が行われる心当たりが、てんでないのだ。

 

「……この賞金首の呼称は?」

「さっき言った通りキャラネームは分からんから……皆蠍って呼んでるな。やっぱスコーピオン(vz61サブマシンガン)使うのかね」

「あれは人気の銃であるからな〜」

「アタシ様としては気に食わねぇけどな!」

「パッチィ、マイナー銃好きも程々にするであるよ」

 

 そう言えば、砂漠のユニークMOBの出現エリア近くでプレイヤーの死亡が多発していた……ような気がする。

 てっきりそのユニークMOBに殺された間抜けかと思っていたが、どうやら真犯人がいたということらしい。

 しかし、待ち伏せなど誰でもやるだろう。蠍とやらは、どうしてそこまでの恨みを買ったのだろうか。

 

「腑に落ちんであるな……懸賞金をかけたのはどこの誰か、分かるであるか?」

「……ちと、耳貸せ」

 

 憚りながらも彼が伝えた集団は、PKを積極的に行う一団であった。

 マナーも弁えなければ素行も悪く、おまけに異常に喧嘩っ早い。人を撃つ理由を四六時中探しているような連中だ。

 

「なるほど、懸賞金の安さの理由はこれであるか。我輩はあくまでも釣り餌と」

「まぁ……このスコードロンは確かに信用出来ないが……安いっつってもそれはリスクとリターンを見た時の話。報酬自体は纏まった金ではあるだろ、トール。四の五の言ってる場合か?」

 

 むしろ、賞金首よりもこいつらの方が余程疎まれているのではなかろうか。

 ともあれ、金がそこにあるのは確かだ。

 それをどう掠め取るかを考えるのは、賞金首を生け捕りにしてからでも遅くはあるまい。

 

「ちょっと失礼、知り合いに声かけてみるである」

 

 手早くフレンドリストを開き、オンライン状態の証である緑のランプが点灯している中で腕利きを探していく。

 情報の少なさからして、確実に暗殺専門。

 ガジェットを多く使うDEX型なら、もっと大きくコトを起こさないと元手すら帰ってこないはずだ。となると、AGI特化、もしくはAGI-STR型だろう。どちらにしろ、相当すばしっこいことは確かだ。鈍重な俺との相性は最悪である。

 装甲を貫通する特殊な弾丸で四方八方から蜂の巣にされれば、さしもの俺も死ぬというものだ。

 と、言う訳で、仲間は皆俺を支援出来るくらいにはすばしっこいと嬉しい。

 メンバーの選定を脳内で終えた俺は、フレンドリストを開き、オンラインになっているかどうかを確認していく。どうせニページ目すら埋まっていないのだ、全員念入りに確認してもすぐ終わる。

 銃撃戦において、頭数は重要だ。何せ、余程のことがない限り多い方が勝つ。俺とゼクシードが、サトライザーにそうしたように。

 例え格下でも二対一なら、もしかしたら負けるかもしれないが、大いに勝ちの目はある。

 三対一なら、負けないとは言い切れないが、大概勝つ。

 四対一なら、化け物以外なら確実に勝てる。

 GGOで生計を立てているプロがニュービーの十字砲火を受けて殺される光景も、幾度か見た覚えがある。

 用心に用心を重ねて困ることはない。

 少なくとも、俺はこのまま一人で蠍狩りに乗り出すくらいなら、諦めてその辺のMOBを狩る。

 さて。気軽に声をかけられて、なんか暇そうで、強くて……

 

「オンラインは銃士(マスケティア)Xか……欲を言うならあと遊撃手が一人いればまず全滅せんであろうが、まぁ悪くはないであるな」

「ピトフーイは?」

「面を合わせるどころかメールもしたくねぇのである」

「ハハハ! 同感!」

 

 俺が苦虫を噛み潰した様な顔をしたのとは対照的に、パッチィは手を叩いて笑っていた。

 実はあの毒鳥とは因縁がある……まぁ、珍しい銃を持ってる奴は大概奴に声をかけられるから、面識があるくらいは珍しくはない。

 だが、連絡先を交換して互いに迷宮に挑んだことがある人間は一握りだろう。

 正直なところ、危険に突っ込んでいっては暴れ回るピトフーイの立ち回りは命がいくつあっても足りないので、あまり組みたい相手ではないのだ。

 腕は立つが、信頼性に欠ける。こいつに命は預けられない。

 その点銃士Xは旧友であるし、腕も捨てたもんじゃない。

 ついでにゼクシードもいれば完璧だが、そもそもこいつを誘ったらこの計画の意味はなくなる。

 ちなみにパッチィは、上記のメンバー全員のことが嫌いだ。

 理由は節操のない収集癖とか、遊びの一切ない武器選択だとか、まぁ、大体そんなところだ。

 俺は彼女との待ち合わせ場所に向かうべく、パッチィの店を後にした。

 

「さーて、気に入らないクライアントに気に入らない報酬額。せめて仲間はお気に入りを使わせてもらうである」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お〜い」

 

 砂漠の隅、オアシス型の拠点に転送されると、俺はこれと決めた方向に向かって、適当に声をかけ始めた。

 というのも、俺は銃士Xに待ち合わせる拠点の指定はされたが位置の指定はされておらず、何度聞いても『着いたら待ってて』の一点張り。

 仕方なく、こうして声を上げている。

 人の疎らなこの拠点だとこの声もガヤにかき消されず、夜空に虚しく溶けていく。向けられるのは奇異の視線。

 

「声を上げるのは無駄であるなぁ」

 

 溜息を一つつき、その辺のヤシの木に寄りかかった。

 戦闘用の装備は全てストレージの中、今の俺は街を歩く時の装いだ。

 顔隠しのデジタル式フェイスマーク仮面以外、リアルで外を歩いていても問題ないと言い切れるほどの軽装であるので、寄りかかった木がへし折れる事はないのであった。

 言われた通り、黙って待っていると、待ち人の姿が次第に見えてきた。

 ファンタジー系のゲームに出ている雪精を思わせる真白の肌を、ビキニと見まごう露出度の装備で惜しげも無く晒している。

 俺のアバターとそっくりの銀髪がはためき、黄昏の光にチカチカと瞬いていた。

 

「マスケ」

 

 軽く手を上げて会釈すると、先程までクールビューティーの体現者だったのが嘘のように、らんらんと目を輝かせながら、タックルの姿勢で突っ込んできた。

 

メトル(師匠)! サ フェ ロン トン(お久しぶりです)!」

「だー! 抱きつくな! 尻を撫でるな! 嗅ぐな! そしてフランス語だけで喋るなー! ……である!」

 

 メトル。フランス語で先生だか師匠だか、確かそんな意味の言葉。

 何を隠そうこの銃士Xは、俺が手づからGGOにおけるソロ活動のいろはを叩きこんだ弟子のような存在である。

 つまり、俺がM9000番であることを知っている。

 話は変わるが、彼女は可愛いものが大好きなのである。

 ……少々、困るほどに。

 

「久し振りにメトルと会ったんだから、メトルニウムを補給しないと……」

「相変わらず何を言ってるのか分からないであるな」

「あら、これぐらいのフランス語が混ざっててもメトルは分かるでしょう?」

「いや言語の壁とは全く別の意味であるが……」

 

 約170センチの女性が小さいアバターの腹に顔を埋めている様子は、あまりにも人目を引く。

 俺は彼女がはふぅと一心地ついたのを見逃さず、裏路地に引き込んだ。

 

「改めて、久しぶりね」

「うむ、久しぶりであるな」

 

 軽く握手を交わすと、夏場のアイスクリームの如く溶けて緩みきっていた顔が精悍さを取り戻していく。

 このフランスから日本にやってきた変態は、俺が知る中ではトップクラスに優れたソロの狙撃手である。

 フットワークが軽く、冷静な状況判断に優れ、一射毎に音も無く狙撃地点から消え去る。

 俺が仕込んだ技術を更に狙撃手としてのスキルに発展させている。

 守破離の離の段階に達しているのだ。

 

「それで、目的の賞金首はどちらにいらっしゃるのかしら?」

 

 愛用の《SR-25》を肩に担ぎ、自信満々な様子で彼女は訪ねた。

 彼女のライフルは全長が短く、取り回しに銃身が邪魔になることがない。

 射撃の度に動き回る彼女にはうってつけの装備である。

 その扱い易さ故に愛用者も多く、だからこそ彼女にパッチィはいい顔をしないのだが。

 閑話休題。

 クライアントに渡されたマップデータを共有すると、お互いのマップの同じ位置に赤い円が出現する。

 この円が、標的のおおよその位置を示しているのだ。

 

「この辺らしいであるよ」

ダコール(なるほど)。確かに隠れるにはいい土地ね」

「我輩が思うに、フィールドmobが湧くのを同時に監視出来る位置に陣取ると思うのであるな。こいつ、罠狩りも並行してやってそうであるよ」

「となると……この辺と……あと、ターゲットの周りにも対人罠がありそうだね」

「となるとやっぱり、地雷の一個や二個踏んでも問題ない我輩が偵察役であるな。マスケにはスポッター無しの仕事をさせて悪いであるが」

「私がそれで問題ないのは、貴方が一番分かってるでしょ?」

「わははー」

 

 やんややんやと言いながら、二人でマップに情報を書き加えていく。

 大方の情報を纏め終わると、どちらからともなく、何も言うことなく、一直線に狩り場へと歩き出す。

 空に浮かぶ不変の黄昏の光に照らされて伸びる影を見ると、なんとなく、首筋のあたりがざわついてしまう。

 愛銃をしっかりと握り締めて、不意に過る不安を集中に変えた。

 実際のところ、目的地は街からそこまで遠くはない。

 歩いていっても数時間で往復出来る距離だ。

 

「マスケ、ここで待機。いざという時には援護を頼むである」

「任せて」

 

 彼女は適当な岩の隙間に腹ばいになり、保護色の布を頭から被った。

 地形が味方している。余程の事がない限り、遠距離から彼女が発見されることはないはずだ。

 この辺りは岩と朽ちた戦車が点々と見えるばかりの殺風景なマップで、必然、隠れられる場所は限られる。

 MOBのポップする様を監視出来るような、という条件が加えられれば、合致するのは数ヶ所しかない。

 俺は候補地の中から、以前大規模の商会系スコードロンの護衛を請け負った時に知った、MOBに感知されづらい、即ち人通りの多い道に近い地点を目指していた。

 人もMOBも狩ろうとする欲張りの好きそうな場所だ。奴はきっとここにいる。

 目的地が見えてくると、想定していたような地雷原はなく、人の気配すらない。

 これは見誤ったか。そう思考した、その刹那。

 視界が紅に染まった。

 反射的に盾を括り付けてある左腕で顔を覆うと、暴風雨がトタン屋根を殴りつけるかのような衝撃、次いで轟音に見舞われた。

 奇襲だ。しかも、相当手際が良い。並の体力のプレイヤーがこんな集中砲火を頭に全て受け入れたら、HPゲージが最大値の三倍は余裕で消し飛ぶだろう。

 

「だが盾の前には無力であるな」

「うぇええ!? そんなの聞いてないよ!」

 

 予想より随分と可愛らしい声は、言葉を紡ぎ終わる前に遠ざかっていく。

 なるほど、随分とAGIに振っているらしい。それを捨てている俺ではとても追いつけまい。

 無線機を取り出し、起動する。周波数は事前に決めて合わせてある。

 

「マスケ、蠍が逃げたのである。姿が見えなかったであるからして、サーモ(熱探知)で探してほしいのである」

「ラジャー。全部予定通りって訳ね。所定の岩場に誘い込むわ」

「任せたのである」

 

 マスケのやつ、何故か英語も混ぜるんだよなぁ。

 呑気にそんなことを思いつつ、頼もしい狙撃手の銃声をBGMに、狩り場へえっちらおっちらと走る。

 この辺りは複雑に岩が重なり合い、扉のない家のようになっている場所がある。

 そこ以外に狙撃から逃れられるような場所はない。となれば、術中と分かっていようがいまいが、飛び込むしかないのだ。

 生き物の気配を感じさせないほどシンとした岩の屋根の下に、ズケズケと入り込む……なんてリスキーな真似をする訳もなく。

 奥の方に白リン手榴弾を投げ込み、向こう側の出口を炎の壁で塞ぎ、手前側にフラッシュバンを転がした。

 熱。音。光。三種類の過激に過ぎる刺激から逃れるために、獲物は自分から飛び出してくるのである。

 

「わー! わー! ごめんなさいー!」

「はい、確保。蠍というより兎であるな」

 

 転がり出たところに首根っこを掴まれて、ピーピーと喚きじたじた暴れる、容姿も振る舞いも子供な賞金首は全身が煤けたピンク色をしていて、なるほどこれでは砂塵舞う岩場では見えるはずもない、という納得を与えてくれた。

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