今回は前回の鈴桜君とは雰囲気が違うと思いますが、実際こんなものです。
シリアス時はシリアスしてくれますが、それ以外だと内心は割と面白おかしい感じです。
あと、心の声が煩いです。注意して下さい。
あ、あと今回坂柳さん極小です。
入学から数日経った朝の教室。今日も遅刻無しの優等生達。問題なし。
授業も本格化し、なかなかにまとまりがあり分かりやすい授業だし、教師陣も親しみやすい。流石は育成に力を入れている学校である。このクラスも真面目に授業を受けている。もちろんだが、俺もその内に入る。こう見えても真面目なのだ。
ただ、入学式の日から危惧していたポイントの増減に関わる要素は予想通りかもしれないと思う。
ほとんど無いに等しいが、授業中の私語がある場合でも教師陣は指摘しない。義務教育では無いからか。もしくは、多少なら目を瞑るのか。
否、だろうな。莫大なポイント、もとい金をかけていると考えるなら、そこは矯正すべき点だ。
ならば、『当たり前なのだから、そこは自ら考え、出来なければならない。出来ないなら評価を下げるべき』と考えるべきかもしれない。
そうなると、想像通りだろうな。
そして、それは隣の席の有栖も思い至っただろうな。授業中、その指摘すべきものを見つけた有栖は薄く笑っていたし。
さて、もう1つ危惧していた件がある。それが、クラス掌握戦。
宣言通り、有栖は動いており既に何人かのクラスメイトを手元に置いている。もう、流石の一言である。
だが、もちろんのこと簡単に有栖が手中に収められるほどこのクラスは1つ岩では無かった。それに台頭してきたのが、葛城康平。
ガタイのいい体格にスキンヘッド。特徴的な容姿をしている彼も、戸塚弥彦を始めとした取り巻き、もとい配下がいる。
他にもいるのかもしれないが、少なくとも俺の耳には入って来ていない。それに、いたとしてもこの2人には着いて来れないだろうな。
特に、有栖に食い潰されるだろう。どんまいである。
閑話休題
ここまで色々とあれこれ考えているが、流石に理由はある。
いや、まあ、大したことは無い。大したこと無さすぎて怒られるレベルの話だ。本当に、全くもって。
何?早くしろ?
…分かった。
理由としては……今日、水泳授業がある。
…………………
あー、うん。まあ、言いたい事は分かるさ。しょうもないって思うだろ?
でもな?知っての通り、俺の右目は少々特殊だ。ナチュラルオッドアイじゃないしな。目立つ。
多少込み入ったような事情はあるにはなる。
まあ、どうでもいいんだがな。説明するのが面倒なだけで、聞かれて困るものでもない。
視点を教室に移そう。
先程も述べた通り、今日は水泳授業がある。4月にも関わらずにこれを行うのは、流石だと言える。ただ、わざわざそうまでして行う事については、流石によく分からないな。
理由はあるんだろうけど。
そして、心做しか表には出さない様にしているのだろうが、男子達の何名かはソワソワしている雰囲気が見られる。
思春期の性何だろうな。
「鈴桜君は今日の水泳授業は出られますか?」
隣の席に座る有栖からの質問。
「まあ、特にこれと言って休む理由は俺には無いからな。有栖は休まざるを得ないもんな」
先天性疾患持ちの有栖は水泳のみならず、激しく体を動かす授業、主に体育は全てにおいて欠席。
当然という気持ちと少し、残念と思う気持ちも僅かにある。
「しかし、まあ、有栖の水着姿が見られないのは残念だな」
「ふふふ、そうですか?ですが、私の水着姿など見ても面白くもありませんよ?」
こいつは何を言っているんだ?
「何を言う?有栖のような美少女の水着姿は世の男は大抵見たいと思うぞ?もちろんだが、それに俺は含まれる」
「…っ!セ、セクハラですよ?」
「ごめんなさい」
照れなのか、いつもの余裕を持った微笑み顔を崩し、少し頬を赤らめ、軽いうつむき加減の有栖の言葉に俺は間髪入れずに謝罪した。
『か、烏丸が坂柳さんを口説いてる!!』
『烏丸もあんな事言うんだな…』
『いいなぁ、私も烏丸君にあんな風に言ってもらいたな…』
『お互い名前呼びだし、やっぱりあの2人って…』
俺がどう思われているか分かるな。
中学の頃からだが、元々からあまり表情に出さないタイプだし、そういう類いの話をしてこなかった結果。俺にはそんな感情ないので?とか、実は女よりも男の方が好きなのでは?など散々な言われようだったが。
まあ、俺も健全な思春期男子な訳で、そういう類いのものに興味はあるし、女の方が好きだ。
ただ単にそれらしい素振りと反応を見せなかっただけである。
まあ、つまり、俺が悪いなごめんなさい。
恙無く授業も進み、水泳授業。
早々に着替え終わり、プールサイドに出た。男子達が少し早く、その後少し遅れて女子達も合流。
普段制服姿しか見ないために、ほとんど肌を晒すことの少ない中でも貴重だと言えるだろう。その者の体格がよくわかる。
ある程度見れば何となくではあるが、身体能力は判別できるが、やはりと言うべきか、運動部員、もしくは元運動部はいい体付きをしている。
体育祭などのイベントがあれば活躍できそうだ。
「烏丸」
声をかけてきたのは、現実逃避中に考えていた有栖に対立する形で掌握戦に参加する、葛城だ。
身長が高いだけでは無く、体格も良い。筋肉量も悪くは無いと思う。
「葛城か、どうした?」
「いや何、烏丸は運動部には所属していないと聞いていたが、中々引き締まった体付きをしていると思ってな。
中学の頃は何か部活動をしていたのか?」
「いや、中学の頃は文化系の部活に入っていた。
だが、運動自体は嫌いでは無いからな。気分が乗れば、ランニングもするし、ジムにも行くこともあった」
「なるほどな」
「葛城こそ、体格は流石だと言えるだろうな。
恵まれた体付きをしていると思う」
「ありがとう。
丈夫な体に産んで貰った親には感謝せねばな」
ふむ、意外と言うべきか、流石と言うべきか。
葛城も掌握戦…いや、葛城はクラスのリーダー的ポジションを狙っている。そして、それに有栖が入っている事は知っている筈。
そして、その有栖と良く話している俺が、有栖側に付いている可能性は大いにある。にもかかわらず、親しみやすく、嫌悪感…とまではいかずともそれに近い感情を出さずに俺と会話をした。分け隔てなく、か。中々良い心掛けだろうな。
「ところで、1つ聞きたい」
葛城が再度質問したいようだ。
「何だ?」
「…何故、頑なに右目を隠す様な髪型をする?」
「…癖みたいなものだ」
「そうか…」
そんな話をしているうちに、先生が来る。
簡単に諸々の説明したが、やはりと言うべきか、気になる発言をしていた。
それは、水泳に苦手意識を持つ生徒に対し、『泳げるようになっておけば、必ず後で役に立つ。必ず、な』と。
確かに今後の人生の中で何が起こるかわからない。自然災害等で海又は川等に流される事も無いとは言いきれない。
だが、それはあくまで不確定要素だ。にもかかわらず、先生は必ずと言った。まるで、今後何がある事を示唆するように。
俺は、一抹の不安…いや、疑問を残しながら授業を開始。
特に問題なく進む授業。内容としても泳法についてや水の中での事等、普通の内容だ。確かに水泳に不安がある生徒にも分かりやすく、的確であった。
その後、全員50m泳ぎをする。やはり、運動部中でも水泳部員は頭1つ抜き出ている印象を持った。
そして、授業も終盤に差し掛かる前、先生から競争をするとの事。しかもボーナス付き。1位は5000プライベートポイントを貰えると。それによって、やる気を上げる生徒。
だが、現実は非情なもので、最下位には補習が待っている。それに対して俄然、やる気を出す。
当然だろうな。俺も嫌だ。
形式としては、予選を行い、タイムの速かった上位5名で決勝を行い、1位を決めるらしい。
女子からスタートだが、まあ、案の定水泳部員が1位。確かに他の者も良い泳ぎをしていたが、経験値等の差は大きいものであるだろう。
「ようよう、烏丸。随分とまあ、真剣じゃないの、眼差しが」
俺の肩に腕をかけながら話しかけてきたのは橋本正義。金髪のオールバックという見た目通りと言うべきか、フランクで、男女関係なく話しかけるようなタイプだ。
一言で言うならチャラい。
「橋本」
「なんだなんだ?良い子でも見つけたか?でもお前は坂柳さんだろ?浮気か?」
ふむ、確かに俺と有栖は付き合っているのではないか?等と噂があるが、その実、そんな事はない。
「そういうものでは無いがな。単純に分析だ。誰が、どの程度の身体能力を持っているか、それを知っていれば今後の学校生活で役立つ可能性があるからな。
それと、俺と有栖はその様な仲ではないがな」
「ふーん…ま、今はまだって付きそうだけどな。つーか、こういう時にも表情変えないんだな。
まあいいか、とりあえず、これから俺らも泳がなきゃならないからな。お互い頑張ろうぜ!補習は嫌だしな」
と、にこやかに笑いながら橋本は準備に向かって行った。それにつられるように、俺も移動する。
さて、男子ももう開始する。俺自身水泳は苦手というか、忌避するものだ。
理由は様々あるが、1番はこの右目に原因があるだろう。
…何となく、もう面倒だから語るか。
この右目は、事故によって右目を損傷した事により移植して貰ったものだ。
本来なら義眼でも良かったが、提供元の強い希望で押し通った。まあ、視神経がやられてたせいで見えはしないのだがな。
それでも、行為については感謝している。可能性が低くとも行った事は勇気のなせる業だ。素直に凄いと思う。
さて、最後のグループである俺も出番になってくる。事故や手術による傷も完璧に塞がっている。水が付こうが問題ない。準備運動も問題ない。先程やった50mも最後までやり抜けた。体に不調はない。寒さで体が悴んでもない。
さあ、始めるぞ。目指すは1位。ポイントは多ければ多い程困る事は無い。
一斉にスタートした。
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結果、俺は予選タイム6位。
ふむ…だから言っただろう。苦手だと。
負けず嫌いの気はあるが、元々から苦手意識を持つもの、出来ないものについてはそれは起きない。
泳ぎ終えた俺は、水気で張り付く髪をかき揚げながらプールサイドへ戻る。右目はもう、気にしない。その行為によって多少黄色い声が聞こえたようだが、これも気にしない。
そこに、先生がいた。
「惜しかったな烏丸!だが、運動部で占めていた上位にくい込むのは凄いぞ!後は経験だな!水泳部にどうだ?」
勧誘だった。
「お誘いありがとうございます。選択肢の1つとして考えておきます。ただ、右目の事もあるので可能性は低くなってしまうことを先に申しておきます」
「そうか、確かにそれは言えているな。それなら無理に水泳の授業を受けずとも良いぞ?無理して受けて取り返しのつかない事になって困るのはお前自身だ」
この学校の先生は良い先生が多いようだ。嬉しく思う。
「いえ、そこまでのものでもありません。完治しておりますし、ただの念の為です。長い時間水中にいる事はして来なかったので」
「そうか、無理はするなよ!」
「はい」
そして、その後の展開はお察しの通り水泳部が1位を取り終了となった。
キャラ崩壊と言われても文句の言えない仕上がりでした。
ただ、まあ、今後多くの話が出た後にこんな時もあったな。と思っていただけたら嬉しいですね。
さて、割と今回も自己解釈が多いような感じだったのでご指摘ありました遠慮なく。
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