転生・転移主人公の実力至上主義   作:時雨日和

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筆ってふとした時に乗るものですよね。

書き始めたら止まらない感覚がすごくて書いちゃいました。

今回は色々な鈴桜君が見られると思います。ただ、先に言っておくと、鈴桜君のほとんどの言葉はほぼ無表情で語られています。


第4話 探索と含羞と牽制と悲哀

時は有限であり、流れは必然である。戻る事は無く、早くなる事は物理的にはない。

そんな日々思う今日この頃。既に入学してからあと数日で1ヶ月。時の流れが早く感じる。それほどまでに充実していると感じるのなら幸せだろう。

 

大抵の生徒が授業を嫌うが、俺はそこまでだ。知識が増えるというのは好きだ。

 

「鈴桜君」

 

「どうした?有栖」

 

隣の席の有栖から声をかけられる。俺はそこまで友達が少ない訳でも無い。他クラスにもいるしな。

だが、有栖と話す事は断トツでトップだ。挨拶を抜かしても毎日最低でも5、6回は話す程だからな。隣の席と言うのもあるだろうが、決め手は入学初日のあれからだろうな。

 

「もうすぐ5月になりますね」

 

「そうだな。早いものだ」

 

「そろそろ"本当"の答え合わせが出来ますね」

 

「あぁ、ただ、2人とも同回答なら賭けも出来ないな」

 

「ふふ、そうですね。ですが、それならそれで問題ありません。今後、別で機会があるでしょうし」

 

不敵に微笑む有栖に俺はそうだなと感情の起伏がほぼ無く答える。

 

今日も刻々と問題なく進み、5時間目。

 

昼食も終わり、眠気を誘う暖かな陽射しを受ける。このまま眠ってしまうのは簡単だが、生憎とそれは許されないな。

ちなみに、5時間目の科目は現代文。担任の真嶋先生の受け持つ授業だ。

 

「席に着けー、日直、号令だ」

 

チャイムと共に入ってくる真嶋先生。

その言葉に従うように号令が掛かり、それに従う。

 

「突然だが、今日は授業内容を変更して抜き打ちテストを行う」

 

その真嶋先生の言葉に大きく騒ぎ立てる事は無いが、困惑の表情を見せるクラスメイト達。

 

「不安に思うだろうが、安心しろ。このテストは今後の参考用であり、成績には反映しない。だが、カンニングが厳禁なのは普通のテストと変わらないぞ」

 

そう言って、テスト用紙が配られる。

 

ふむ、成績に"は"反映しないか。暗にそれ以外になら反映すると言われている様な気もするが、あまり関係無いな。俺は自分の力を出すだけだしな。

 

などと意気込んでみれば、内容は高校1年生にしては簡単過ぎると言っても過言ではない。確かに俺は理数科目は苦手分野だが、このレベルならば問題無く解ける。

 

主要5科目、全20問による、100点満点のテスト。

楽々と手が進む。だが、18問目は違った。それまでの問題とは一線を画す難易度の問題。先を見てみると、残りの2問も同様に難易度の高い問題だ。恐らく、高校1年生までには習うことの無い問題。

 

さて、そんな難易度、しかも最後の20問目は数学。俺が取る行動は?

 

答。理数は諦める。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「中々、面白いテストでしたね」

 

「そう言えるのは恐らくお前くらいだよ。有栖」

 

「鈴桜君はどうでした?終盤の3問は」

 

「生憎と、俺は理数科目が苦手でな。特に最後の20問目は、恐らくは無理だ。解いては見たものの、後半自分でも訳の分からない事になっていた」

 

実際そうだった。最後の問題については残り時間の暇つぶし気分だった。結果、頭がショートするかと思った。

 

「そういう有栖はどうだったんだ?」

 

「確かに難易度の高い問題でした。ですが、多少の問題はありますでしょうが、解くことは可能でした」

 

「流石だ」

 

学力に関して、こいつの右に出るものはいないなと思う瞬間だった。

 

それから、すぐに6時間目が始まり、今日も1日の学校生活が終わりを迎えた。その時に、葛城に声をかけられた。

 

「烏丸。少し良いか?」

 

「…あぁ、問題ない」

 

そう答えて、2人で教室を出る。

教室から離れ、人通りの少ない廊下の隅。

 

「それで、俺を呼び出して何の用だ?」

 

「今まであまり触れないようにしていたのだが、お前は坂柳の下に付いているのか?」

 

ふむ、いずれは来るだろうと思っていた質問。

 

「なるほど、クラス内のリーダーになり得る可能性が残っているのは今やお前と有栖の2強。そして、俺は良く有栖と話をする。故に今まではこの手の事に関して触れないようにしてきた。俺が有栖の下に付いている可能性が高い。

だが、真実を知らぬまま答えを出す訳にもいかない。故に聞いた。と言ったところか」

 

「…その通りだ。坂柳と話している内容が聞こえる事があるが、お前は何手も先を読んでいる。今のもそうだ。そんなお前が、リーダーとして台頭しないのなら坂柳の下に付いていると思っている。

だが、お前が言った通り、決めつけて行動を起こさない事に大きなデメリットが生じる可能性を感じた」

 

「なるほど。では、質問に答えよう。答えは否。

俺は、誰の下にも付いていないし、リーダーとして台頭しようとも思わない。そして、今のところ誰の下にも付く気は無い」

 

「…理由を聞こう」

 

「簡単だ。興味が無い。

誰がリーダーになろうと、俺は気にしない。今のところは」

 

前にも有栖に言った言葉に似たような事を葛城にも言った。

それに対して、葛城は少し表情を暗くした。

 

「そうか…時間を取らせた」

 

「気にするな」

 

そう言って2人で教室に戻る。既に教室内にいる生徒は疎らであり、有栖の姿も無い。

 

特に用事のない俺はそのまま鞄を持ちすぐに教室を出た。

他のクラスも帰り際。幾人かの生徒とすれ違ったり、同じ方向に向かう生徒のいる中、俺は、見知った顔を見つけた。その人物も俺に気付いたようで手を振りながらこちらに向かって来る。俺もそれに対して、軽く手を上げる。

 

「こんにちは、烏丸君!」

 

「あぁ、こんにちは一ノ瀬」

 

1年Bクラス一之瀬帆波。有栖とはまた違った系統の美少女で、持ち前の明るさとコミュニケーション能力を持って、Bクラスをまとめている。

しかも、それに対して全く不満が無いのが凄いところだろう。

 

「今から帰り?」

 

「あぁ」

 

「そうなんだ!あれ?そういえば坂柳さんは?」

 

俺の横や後ろを見ながら聞いてくる一ノ瀬。

 

「残念ながら有栖はいない」

 

「え?そうなんだ。てっきり一緒に帰ってるのかと思ってたよ」

 

「そんなことは無いぞ。普通に別で帰ることも多い。一緒に帰るのは偶にだ。

最近だと、神室と一緒にいるようだしな」

 

「へ〜、なんと言うか、ほら。烏丸君と坂柳さんは噂があるし」

 

そこで付き合っているのではと明言しないのが、一ノ瀬が一ノ瀬たる所以だと思う。

 

「別にそんな事は無い。クラス内でも良く言われるが、席が隣同士で話が合うだけだ」

 

まあ、それ以外の部分もあるが、特に話すことでも無い。

 

「へ、へ〜、でも私は2人はお似合いだと思うよ?ほら、坂柳さんは可愛いし、烏丸君はかっこいいし!」

 

「確かに有栖が美少女である事に異論はない。それに、俺も自分の容姿が良い事に関しても、嫌でも自覚している。

あ、別にナルシスト的な感覚は持ち合わせていないぞ」

 

「う、うん!それは分かってるから安心して!」

 

「そうか、それに、それを言うならば一ノ瀬もかなりの美少女だと俺は思うぞ」

 

その言葉に一ノ瀬は少し頬を赤くした。

 

「ふ、ふぇっ!?いきなり何を言うの?!

そ、それに!私は全然そんな事ないよ!?」

 

かなり動揺している。声量も大きくなり、人目を集めてきた。

 

「ふむ、事実だとは思うのだが、まあ、それについては本人によるものだ。

さて、そろそろ視線が痛くなってきた。俺は帰ろう。またな」

 

「ふぇ?あ、うん。ま、またね。烏丸君」

 

俺は逃げるようにその場を去った。

…ふむ、言われ慣れていないのか、自己評価が低いのか…一ノ瀬の場合は両方だろうな。確かに、面と向かってその様な言葉を言えるのは通常の思春期男子には難しいか。

 

軽く早足で昇降口へ向かっていると、また知っている顔を見つける。

 

「くく、人気者だなぁ、烏丸」

 

「龍園か」

 

1年Cクラス龍園翔。Cクラスを力で纏めあげた"王"。独裁的で、クラスメイトを駒扱いする。その実力は本物なのだろう。それに対して、恐らく異議を唱える者もクラス内にはいただろう。だが、龍園は未だに王として君臨している。

 

「お前の話は聞いてるぜ?うちのクラスにもお前に夢中な奴もいるからな」

 

「そうか、俺もお前の話は聞いている。恐怖政治のような統治の仕方だとか」

 

「くくく、あぁ、そうすりゃ、簡単に動いてくれるからなぁ」

 

「確かに、それについて異論はない。効率としてはその方がクラスを纏め易く、異論なく事を進めることが出来るだろうからな」

 

「へぇ、何だよ。ただの優等生かと思ったら中々面白そうじゃねぇか」

 

「…気に入って貰えたのなら光栄だが、その統治法については最適かと聞かれれば否と答える」

 

「…へぇ」

 

「王が独裁で統治しているなら、その王を崩せばなし崩しで他も崩れる」

 

「はっ、ならやってみな。ただ、簡単に俺は死なねぇぞ?

むしろ、てめぇのそのクソも動かねぇ表情を恐怖に染めて殺してやる」

 

「そうか」

 

俺は、龍園の隣を抜け、学校を出た。

 

ふむ、全く。大した男だ。有栖もそうだが、高校1年生が出せる雰囲気ではない。

それに、力で物を言わせるようなタイプに見え、それだけでは無い。巧妙に色々と策を練り上げてから力を行使するタイプだ。正直、葛城や一ノ瀬よりもこういうものについては上手だろうな。

 

学校を出たところでまた見知った顔を見つけた。

どうやら今日は色々な者と出会う日なのだろう。

 

「烏丸君!」

 

「平田」

 

1年Dクラス平田洋介。女子からの人気が高く、サッカー部に所属で身体能力も高い。リーダーシップを発揮しようとしたが、かなり個性的な生徒の多いDクラスはまとまらず、ほぼ、無法地帯の様だと言う。

 

「今から帰りかい?」

 

「あぁ、お前は部活か?」

 

その問い掛けに爽やかな笑顔で答える平田。

 

「そうだよ。烏丸君は部活には入らないの?」

 

「あぁ、他の事に時間を使うことがあってな」

 

「そっか、それなら仕方ないね」

 

「それよりも、幾度か聞いたが、Dクラスはかなりの回数、遅刻や欠席があるらしいな」

 

その問いに平田は少し困ったような笑顔で答える。

 

「うん…でも、先生達も何も言わないし、その人達も何れわかってくれるよ。僕は、そう信じてる」

 

「…そうか、まあ、大変だとは思うが頑張れ。応援しているぞ」

 

「ありがとう!それじゃあそろそろ僕は行くね。またね烏丸君!」

 

「あぁ、またな平田」

 

そう言ってグラウンドの方へ走っていく平田。

 

無法地帯のDクラス。悪いな、平田。俺にはそれは、どうする事も出来ない。それと、感謝する。ここまでわかりやすいと俺の推理も現実味を帯びてきた。

 

それも、答えがわかるまではあと数日。

 

さて、それによって、この学校はどう牙を剥くか。はたまた、生徒たちはどう生きていくか。

中々、楽しみなものだな。




いやぁ、うん。なんと言うか、2、3時間クオリティなので、大目に見てください。

ご指摘、感想はいつでもお待ちしております。

出来れば欲しいですね。

あ、そういえば、鈴桜君の見た目を細かく言っていませんでしたね。なので、下記に少し、簡単なプロフィールと共に書いておきますので、興味がある方は見てください。本来なら絵が描ければ描きたいのですが、私に絵心がないばっかりにすいません!

烏丸鈴桜(からすま りおう)
見た目:黒髪で前髪が右目を隠す様に伸びていて、後ろ髪は肩にかからない位の長さ。右目は作中でもある通り、移植していて金色に近い黄色をしていて、左目は黒色。ジト目とツリ目を合わせたような形をしている。作中でも表情をほとんど変えないと言っているが、ふとした時に軽く微笑む等全く変えない訳では無い。そして、イケメンである。イケメンである!(2回目)
身長:175cm
体重:68kg
生年月日:5月18日生まれ

他の事は何れ本編で。
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