転生・転移主人公の実力至上主義   作:時雨日和

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いやぁ…久しぶりだなぁ…
なんかもう…ごめんなさい。出来るだけ今後は書くように頑張ります。



第5話 偽を持って義と為し、布石となる

誰でも突然の出来事には、動揺や驚嘆の声をあげるなどアクションがある。

それに対するため、予測や対策を立てる必要がある。だが、それを行える者は恐らく少ない。

俺はきっと、その少数になり得るのかもしれないな。自惚れ無しににもそう思える。

 

何故、俺が今このような独白をしているかには流石に理由はある。それは、目の前に張り出されている紙に記されている文字や数字に起因している。

 

Aクラス940。Bクラス650。Cクラス490。Dクラス0。

 

今日振り込まれたポイントが9万4000ポイント。これで、確定したのはこの数字が振り込まれるポイントに関係していること。

それと、クラス毎の優劣についてだ。

 

「これはこの1ヶ月間で君達1年生の授業態度や成績をクラス毎に評価し、それをポイント化したものだ」

 

それを裏付けるように真嶋先生から告げられる。

 

「見てわかるとおり、この数字は各クラスの中で最高点であり、この高度育成高等学校の歴史の中でも偉業と言っても過言ではない」

 

しかし、俺の考察が確証されること自体は問題ないが、少々味気の無さとつまらなさがあるな。

 

その後は真嶋先生からこのポイントが毎月振り込まれるポイントに直結している説明をしている時。

 

「先生!毎月振り込まれるポイントは10万ポイントでは無いのですか?」

 

「む?何だ烏丸から話は聞いていないのか?」

 

唐突に話を振られる。それによってクラス中の視線が俺へと向けられる。心做しか真嶋先生の目が笑っているように感じた。チラリと視線を横にすると有栖も笑ってた。

 

「…先生に確認に向かいこの事について聞いたのは事実ですが、先生から得た回答は明確なものでは無いどころか無回答に近いもの。確かに自分自身の中では確証に近いものはありましたが、確定事項ではないため、クラスの不安と混乱を招く可能性を危惧した結果伝えない事が最善だと判断しました」

 

「だが、逆に伝えた結果もっと減点は防げたかもしれないぞ」

 

「それは結果論で、推測論です。それに、今後にとっては分かりませんが決して大きな減少には思えないため、最悪妥協点ではないでしょうか?」

 

「…ふっ、中々の反論意見だ。流石は初日でこの仕組みを理解しただけある」

 

その言葉におぉと、歓声が上がる。

 

やめて欲しい。

 

その後、先日行った抜き打ちテストの結果も張り出された。主に75点や80点が平均的であり、何人かが85点以上を出し有栖に至っては満点であった。

流石すぎる。

 

HRが終わり先生が出て行った後、俺の周りに人集りが出来ていた。

 

『烏丸君凄すぎ!?』

 

『烏丸は天才か?!』

 

『やべぇだろ?!マジやべぇ!!』

 

うん、まあ、やめて欲しい。そんなに持ち上げるな。大したことでは無い。それに有栖だって分かっていた。

 

などなど、どんな言葉を放てば良いのか。全てにおいて言い訳のような事になってしまう。

…ふむ、つまり、どうやら俺は少数派の人間では無かったようだ。自惚れであった。

 

「…むしろ、それに気づかなかったお前たちは驚く程に愚かだった」

 

故に、俺は偽を通す。

 

『……ぇ?』

 

集まっていた者、集まらずとも聞き耳を立てていたもの、立てていないもの、クラスの中にいた全員の耳に聞こえていたのだろう。クラスの時が停止したような沈黙の後声を漏らすものもいた。

 

だが、そのようなもので俺は止まらない。腕を組み、目を閉じながら言葉を放つ。

 

「愚かだと言った。そう、この仕組みに気づかず無為に60ポイント分の違反行為があった。少なくとも俺はその様な素行はしていない。つまり、俺以外の者がそれを侵した。

真嶋先生はこのクラスは優秀であると言っていた。この数値は偉業であると言った。果たしてそうか?確かに偉業なのかもしれない。だが、過去"最高得点"とは言わなかった。つまりは上がいる。

…いや、それ以前の問題であったな。そもそも、これは難解な問題ではない。一般常識であり、当然行わなければない事だ。それを当たり前に出来ずして優秀?笑わせるな」

 

クラス中の沈黙が続く。自らの素行を振り返っているのだろう。一体幾人の者が自分は問題ないと言えるのだろうな。

俺は偽とは言っているが、嘘を言っている訳では無い。悲しくも辛い現実を語っている。

 

「つまり、お前たちは先生に持て囃され天狗となった所である。そんな事を他のクラスが知った時、そんな隙を付かぬほど甘いとは俺は思えないな」

 

「す、隙って…なんでそんな事に何だよ…?」

 

「そのような事も分からぬか?この学校は実力主義である。先生はそう言った。ならば実力が伴わぬのであればそれは現時点での下位クラスに喰われるという事だ。

何故、そう言いきれるのか?という風だな。なぜならそれを容易く行うような存在を知っているのだから。この天狗となり慢心しきった状態なのであれば、少なくとも半年と経たぬ内には順位は変わっていような。まあ、それも中々に面白き事ではあるがな…」

 

「ね、ねぇ…烏丸君?じょ、冗談だよね?全部…そんな風に言う烏丸君じゃないよね?…」

 

そんな時窓から少しだけ風が吹き、俺の髪を靡く。そんな中で俺のアンナチュラルのオッドアイの双眸がそう発言した者を捉える。

 

「ひっ!?」

 

「俺が、このような冗談を言うように思えるか?」

 

その様子を見て集まっていた者たちが、少し後ずさった。その後、ゆっくりと大きく離れていく。

 

これでいいな。

そこで、俺の端末にメッセージが届く。

 

『放課後、最初に行ったカフェに来て頂けませんか?』

 

有栖からである。俺はそれに『了解』と簡略に返信する。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「お待たせしてしまいました」

 

先に着いていた俺の元に有栖が来た。

 

「問題は無い。俺も来てから大して時は経っていない」

 

「それは何よりです」

 

有栖は店員に注文をした後に席に着いた。店の端、壁面に沿った席だ。

放課後が始まって間もない時間。客の数は少量、しかもわざわざ遠い、景観も良いとは言えないこのような席の付近に座る者は少ないだろう。

 

「それで、俺を呼び出して何の用だ?」

 

「分かっているのでしょう?本日のHR後の発言についてです」

 

「…ふむ、やりすぎたか?」

 

「…自覚はあったのですね。何故あのような事を?自分自身を偽ってまで、何故あのように傍若無人…とまでは言いませんが、反感を買うような?」

 

「簡単だ。意思表示と警告だ」

 

「意思表示と警告?」

 

有栖は小首を傾げながら俺の言葉を反芻する。

 

「ああ、警告は分かりやすいな。最後の辺りに言った実力主義の部分だ。慢心は身を滅ぼす。自信と慢心は別物故な」

 

「えぇ、そうでしょうね。確かにその通りです。鈴桜君の言ったとおり今後どのような事が起こるかは未確定、それも実力主義を謳うのであればそれなりにそれ相応の事が起こる事態がある。そう考えるのは必然であり、他のクラスの事を警戒するべきである。そういう事ですね?」

 

少ない言葉でもここまで読み取れるのは流石の一言である。俺は今日一日でどれだけ有栖に対して流石と思っているのだろうか?

 

「ああ、その通りだ」

 

「では、意思表示というのは?」

 

それに対して応えようとした時先に有栖が口を開いた。

 

「まさか、今後このようにクラス中を馬鹿にし続けるという事でしょうか?酷い人ですね鈴桜君」

 

「おい、分かっていて言っているだろ」

 

そんなゲンナリとした風に話す俺にクスクスと笑いながら有栖は、冗談です。と言った。

 

「まったく…クラスの中心として導く存在にはならない。という事だ」

 

「…なるほど。あえてクラスから反感を買うような言葉を放ちつつ、それでいて、的確な指摘。

…ふぅ、あなたは中心に立ちたいのか立ちたくないのか分かりませんね」

 

「立ちたくないと言っている」

 

「ならばただただ反感を買うような言葉だけで良かったのでは?」

 

「それでは、皆が成長せぬであろう?」

 

「…発言が矛盾に近いですよ…」

 

はぁ…と、額に指を当てながらため息を吐きながら注文していたコーヒーを飲む有栖。

 

「確かにそうかもしれぬが、俺は反感を買うような真似はするが、クラスの敵になりたい訳では無い。やり方は少々過激であり、苛烈であった。だが、問題ない。これも今後の布石として作用する可能性がある故な」

 

「布石…ですか?」

 

「ああ、それはーー」

 

……………

 

「…鈴桜君、あなたはこれを事前に想定していたのですか?」

 

「いや?考えついたのは皆が俺に対して言葉を浴びせている時だ」

 

「まったく…あなたは私の想像を軽々と超えてゆきますね」

 

「お前からそのような評価を与えられた事は光栄に思おう」

 

「当然の評価です。それにしても鈴桜君。1つ聞いても良いですか?」

 

「なんだ?」

 

「HR後の時から思っていたのですが、途中からちょくちょくおかしな口調になるのは?」

 

…完全に無意識下だった。

 

「…笑うなよ?」

 

「ええ、もちろんです」

 

「…癖のようなものだ。中学の生徒会長への決意表明等の時にな。少しでも奇抜であり、生徒たちの印象に残るように少々威圧的な口調にしてみた。その結果意外とそれが受けたようでな。それから前に出る場ではそのような口調で話すように半強制的にされたのだ。

その結果、生徒会長時代のあだ名は"悪逆の魔王"だった」

 

「……」

 

「……」

 

少しの沈黙が流れる。

 

「ふっ…ふふ…あはは!」

 

沈黙を破るように耐えきれなくなった有栖が噴き出した。

 

「り、鈴桜君…ふふ…あなたという人は…中々に可愛らしい所もあるのですね、ふふ…」

 

「笑うなと言った」

 

「も、申し訳ありません。しかし…ふふ…本当に意外な一面です。それでいてとても様になっていましたので」

 

「……」

 

「拗ねないでください鈴桜君」

 

「別にそのような事実はない」

 

「私から顔を逸らしそっぽを向いている状況でそれは苦しいですよ?」

 

有栖の言うとおりである。

 

「…まあ、いい。俺の意図は理解してくれた。それでいいな?」

 

「はい、もちろん。しっかりと理解致しました。鈴桜君が思ったよりもクラスの皆のことを大切にしていることも」

 

「別にそれはいい。まあ、結果それで俺は俺自身の首を少しだけ締めたような気がするがな」

 

「本末転倒ですね」

 

「…そうだな」




坂柳さん相手だと偶に知能が低くなる鈴桜君です。
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