転生・転移主人公の実力至上主義   作:時雨日和

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……最近、坂柳さん成分が足りないとおもいますか?

そうですよね。私もおもいます。

今回は少々長いかも知れません。


第7話 想像超越者

あれからまた少し経ったある日。この間、テスト範囲の変更を聞き、最近ではよく図書室を利用している。やはり、調べ物が捗る。

参考書の類も豊富にあるしな。

 

そんな俺が静かに勉強を進ませていた時、ある一角が騒がしくなっている。

 

流石に看過出来ぬと見に行くと。どうやらCクラスの生徒とDクラスの生徒が言い争っている。

 

そんな中で見知った顔を見つけた。

 

「ふむ、トラブルの中によく居るようだな、綾小路」

 

唐突な俺の声がけに以前と同じように肩をビクつかせる綾小路。

 

「っ!?またお前か烏丸。何の用だ?」

 

「騒々しいのでな。様子を見に来てみたら隣人のクラスが困っているようなのでな、手を貸してやろうかと」

 

「お前は聖人かなんかか?」

 

「ふむ、俺が聖人か面白い冗談を言う」

 

「先に言い出したのはお前だろ…」

 

なんの事やら?

まあ、良い。まずは止めるとするか。

 

「双方静まれ。ここは静寂を守られるべき図書室だ」

「はい、ストップストップ!」

 

俺ともう1人の声が重なる。

 

「ん?ああ、一ノ瀬か奇遇だな」

 

「あはは、そうだね烏丸君」

 

「んだ、テメェらは、部外者が口を出すなよ」

 

「ふむ、部外者か…確かにお前たちの口論に対しては関係ないだろう。

だが、俺と一ノ瀬は同じくこの図書室を利用していた者だ。その場所で騒々しくしている者を注意する権利はある筈だが?」

 

俺の言葉に同調するように一ノ瀬が続ける。

 

「そうそう。だから、もし、どうしても暴力沙汰を起こしたいなら、外でやってもらえる?」

 

「一ノ瀬に…げっ、烏丸…」

 

ふむ、げっ、とは、なんだ?げっ、とは。

 

「それと、君たちも挑発がすぎるんじゃないかな?これ以上続けるなら、学校側にこのことを報告しなきゃいけないけど、それでもいいかな?」

 

「わ、悪い。そんなつもりは無いんだよ、一ノ瀬」

 

「おい、行こうぜ。こんなところで勉強してたらバカが移るし」

 

「だ、だな」

 

そう吐き捨て、Cクラスの生徒は出て行った。

その理屈であれば、俺は今後バカになるのだろうか?

 

「君たちもここで勉強を続けるなら、大人しくやろうね。以上っ」

 

「流石だな。一ノ瀬」

 

「にゃはは、そんな事ないよ。それに、私が出なくても烏丸君が何とかしてそうだし」

 

「そうだろうが、俺ではもう少し相手が騒ぎ出し兼ねないような話になりそうだからな」

 

「…ごめん、想像できちゃった…」

 

「1の言葉に、10の正論をぶつけたくなる性格故なのだ。自覚はしている故、気にするな。あと揚げ足を取りたくなるのも要因だな」

 

「うん、だからだよ?」

 

一ノ瀬に呆れられてしまったようだな。

 

「まあ、良い。ではな、一ノ瀬。お互いに頑張ろうぞ」

 

「うん、またね、烏丸君」

 

俺は少し場所を移して綾小路たちの元へ行ってみる。

 

「さて、何故騒いでいたのだ?」

 

「烏丸」

 

「…また、あなたなの?それこそ部外者だわ。話す気はないわ」

 

「ふむ、では、俺の考察を聞き、それの合否を取るとしよう」

 

「な、なんだ?いきなり出てきてこいつは?」

 

「えっとね、彼は烏丸鈴桜君。1年Aクラスだよ」

 

混乱していたDクラスの生徒に対して、櫛田が説明した。

 

「え?!Aクラス!?」

 

「いかにも、Aクラスの烏丸鈴桜だ。以後お見知り置きを…と。そうでは無い。さて、過程は省こうこれ以上は流石にお前たちにも悪い。

そうだな、テスト範囲が違うと言われたのか?」

 

「え?合ってる…やばっ」

 

Dクラスの男子生徒が驚いていると、堀北妹がそれを一閃する。

 

「馬鹿馬鹿しい。元々聞こえていたか、開いている教科書を見ただけなのでしょう?考察と聞いて呆れるわ」

 

ふむ、バレた。

 

「まあ、後者だな。だが…ふむ、それは困ったことになっているな」

 

「本当にテスト範囲が変わっているのか?」

 

「ああ、間違いない。俺もそれに備えて勉強していたのでな。お前たちは聞いていなかったとは…担任の先生に確認に行く事をオススメしよう」

 

「あ、ああ…」

 

そう言うとDクラスの面々は図書室を出て行った。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

それから俺は教室へ戻った。

自らの席に座り、テスト範囲を確認した。

 

「テスト範囲を見直してどうしたんですか?鈴桜君」

 

有栖が話しかけてきた。

 

「ふむ、何。どうやらDクラスにて問題が起きているようだからな」

 

「問題、ですか?」

 

「ああ、どうやら、テスト範囲の変更について説明されていないようだ」

 

「おや、それはそれは災難でしたね。これでは、もしかしたら成績不良によって、退学者が出るかもしれませんね」

 

その有栖の言葉に俺も同意する。だが、納得がつかない。

 

「腑に落ちないな。仮に担任が伝えるのを忘れたとしよう。それは、教師として信用を落とすのではと思ってな」

 

「確かに、それに関しては、確かに落ち度はありますが、授業を受けていればある程度の問題は解けるのですからその人たちが悪いとなるのでは?」

 

「確かにその通りだ。だが、全員が全員。その通りではない。このAクラスでもそれが厳しい者もいる。そのために事前にテスト範囲が発表され、そこを重点的に勉強する。そうではないか?」

 

「確かにその通りです。

つまり、烏丸君は、意図的に説明を怠ったとおっしゃいたいのですか?」

 

「その通りだ」

 

「何のためにですか?」

 

そこだ。何故?という部分に辿り着かない。

俺は間違えている?いや、それは考えずらい。担当しているクラスに退学者が、ましてや単純なテストの赤点によって出るなど汚点となるだろう。

しかもそれが、自分が説明を怠ったが故になど。

 

……………

 

なるほど。まさか、そういう事か?

 

「……」

 

「鈴桜君?」

 

「…待たせたな。有栖」

 

「何か分かったのですか?」

 

「可能性の1つだ。これが正解かは分からないが、少なくとも俺はこれが1番納得した」

 

「では、お聞かせ下さい。鈴桜君の考えを」

 

「ならば、まず有栖に質問だ。プラべートポイントの説明について、なんと言っていた?」

 

「…なるほど。『学校内や敷地内にあるものなら"何でも"買うことができる。』ですね」

 

「その通りだ。つまり、点数やテストの解答用紙なども買えるという事だ」

 

「確かにそれであれば、答えを覚えるだけで済みます。ですが、それは簡単では無いのでは?恐らくかなりの高額に設定される筈です」

 

俺もそれには同意だ。そのような事を簡単にするほどここは甘くないだろう。

 

「同じく俺もそう思う。だが、もう一度見方を変える。説明を怠った。だが、それでも問題ないと考えた時、別の考えに辿り着いた。

それは、このテスト範囲の変更は決められていた事なのでは?と」

 

「つまり、わざと最初に間違ったテスト範囲を説明し、時間を置いて本来のテスト範囲を発表する。と?」

 

「しかも、それが定例化しているとしたら?」

 

「!?…なるほど、そうだとするなら。上級生にそのテストを見せて貰えれば…交渉次第では、より安価に解答用紙を手に入れられますね」

 

「その通りだ。つまり、Dクラスの担任は生徒にポイントで何でも買えるという認識を深めさせるため、あえて説明を怠った。それと、ポイントの重要性、か。

まあ、偉そうに話してはいるが。これが、正解かどうかは、定かではない。単純に怠っていたかもしれぬしな」

 

「いえ、中々面白い推理でした。お陰でどのような策をするか、幅が広がりました」

 

楽しそうに微笑む有栖。

さて、隣人よ。この困難、お前ならばどう乗り切る?お前の事は何となく想定しておるぞ?

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「おーい、鈴桜?大丈夫か?」

 

「ふ、む…問題…ない」

 

「めちゃくちゃありそうじゃん…いつもの無表情に加えて目がヤバいぜ?死んでるってか、澱んでるぞ?」

 

日は進み、テスト当日の朝。完全にして無欠なまでに寝不足である俺。

 

なぜ俺がこのような状況になったか。それは、少し時を遡り、あの推理を行った日の夜。

有栖から1本の電話が来た。

 

内容を要約すると『今回の中間テストの合計点数で勝負をしよう』という事だ。

当然俺は、それに意を唱えた。俺は理数科目が苦手であり、有栖はどの教科を取っても完璧である。勝負にならない。と。

 

しかし、それで折れる有栖では無かった。勝負を受けない場合、強制的に有栖の部下として使う。という。だが、この程度で受ける程俺の精神も弱くない。

 

そして、最後に投じたのは、これすらも受けない場合、今後一切の口を聞かない。だった。

この世の終わりか?

 

つまり、俺は受けざるを得ないという事であった。

ちなみに、両方とも同点だった場合は俺の勝ちとしてくれた。苦手科目がありながら同点にするのならばそれなりの対価である、と。

 

そして、肝心の報酬は『命令権』である。

可能な範囲内であり、倫理的に反しない命令をさせる。との事。

 

まあ、別にそれはあまり気にしないが、これは、勝負。少し負けず嫌いの性格を持つ俺は、意外とムキになって勉強した。これは、どうしようもない戦いではないからな。

 

そして、今に至るのである。

 

「災難だったな。相手が坂柳さんとか、ほぼ負け確じゃん」

 

「そう…とは、言い切れぬ。上限が決まっている勝負。それに、有栖も人間だ。完璧に近いと評価はするが、人間、いつ何が起こるかは分からぬからな」

 

「ふーん。まあ、お前が良いなら良いけどよ。あんま無理すんなよ」

 

「ふむ、心配感謝する。お前も、自らの心配をする事だな、正義」

 

「!?お、おう!!」

 

驚いた表情の後、満点の笑顔でそう答えた正義。

 

そう、俺は俺の最善を尽くす。負けるつもりなど毛頭ない。さて、来い、準備は出来ている。さあ、行くぞ、完璧な少女。知識の貯蔵は、充分か?

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

結果

 

俺 486点

有栖 493点

 

惜敗

 

「………」

 

「ふぅ…返された点数を確認した時は、流石の私も肝を冷やしましたが、結果的に私の勝ち、ですね」

 

点差、僅か7点。されど7点。

ふっ、ラッキー7とはよく言ったものだ。最善は尽くした。だが、やはり、短期的なものでは、ボロが出る。それを痛感させるものだな。

 

「…ああ、紛れもないお前の勝利だ。噛み締めると良い」

 

「鈴桜君は潔いので好感が持てます」

 

「結果は点数に出ている。それをとやかく言うほど俺は落ちぶれては…」

 

待て、この解答…

 

「ふむ、有栖。しばし待て」

 

そう言って俺は席を立ち、真嶋先生に指摘する。採点ミスを。

それは、受理され俺の点数は上がった。

 

最終結果

 

有栖 493点

俺 491点

 

惜敗

 

いや、結局負けてるな。うん。

 

そこで、クイッと袖が引かれた。有栖だった。

 

「…焦らせないで下さい」

 

「ふむ…俺にとっては、ぬか喜びだ」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

夕方

 

自室にて、夕食の用意をする俺。

そして、それを待つ有栖。

 

有栖の命令はこうだ。

『手料理を食べさせて下さい』

 

意外にも簡単であったためすぐに了承。だが、普段は簡単なものしか作らぬ故、お世辞にも人に出せるようなものを簡単には作れぬ。

簡単だと侮った自分を殴り飛ばしたい気分である。

 

まあ、そのような事を考えていたが、泥沼に嵌るような事はせぬ。簡単に考えてみた。もう、よく作るもので良いのでは?と。

 

まあ、それなら肉じゃがとかで良いだろう。後は、ご飯と味噌汁、簡単にサラダも作るのも良いだろう。これにするか…

 

……

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

鈴桜君が台所で食事を作っている頃、私は今回の事を考えていました。

 

彼は、類稀なる観察眼と思考能力、考察力を兼ね備えていて、それを更に補う知識量を持っています。それは、入学してからこれまでで、嫌という程思いました。

実際は、別に嫌ではありませんが。

 

そんな彼に対して、勝負を仕掛けました。

理由は単純で、子供っぽい、ただ彼よりも優位に立ちたい。それと、抑えられない好奇心でした。

 

そのために、少しずるい条件を出して、半分…いいえ、ほとんど我儘でその勝負を取り付けました。

この、テスト当日までの中で彼と戦えるという想いは、とても強かったです。何故なら、彼は私の想像を超えてくる。そんな相手が、とても近くにいる。とても、ワクワクします。

 

彼が想像を超えてくるのであれば、私がその超えた先よりも、もっと先へと行けばいい。

 

きっと、彼は…烏丸鈴桜君は、あの施設で育ったと言われる"彼"とも良い勝負をするでしょう。

ですが、そのような事はさせません。"彼"と戦うのは私です。

 

そして、結果発表。点差は7点で私の勝利。本当にギリギリでした。結果を見た時に、急に体の重さが取れた気がしました。

 

なんて、安堵している時に、鈴桜君は私に一言掛けてから席を立ち、真嶋先生の元へ。

テスト用紙を持っていったため、採点ミスがあったのだろう。そう感じた瞬間、背中に冷や汗が流れるのを感じました。そして、戻ってきた鈴桜君の点数を確認した結果。勝敗変わらず点差を2点に縮めたのみ。

 

とっっっても焦りました!!

 

本当に鈴桜君は私の想像を超えてきます!

 

等と考えていると、鈴桜君が持ってきたのは、ハンバーグプレートに近いもの。恐らく、本来のものとは、多少アレンジを加えたようなものでしょう。

 

「とても、上手に焼けていますね」

 

「お褒めに預かり光栄だ。ならば、食すとしよう。いただきます」

 

「はい、いただきます」

 

鈴桜君は、私と2人の時は魔王口調みたいです。

 

そんな事はさておき、1口食べてみました。

適切に火が通り、味付けも重た過ぎず、軽過ぎない。付け合せも、彩りも考えられていてとても綺麗です。

スープも栄養が偏らないような味付けがされていました。

 

とても美味しいです。ファミリーレストラン等で出てくるような簡素なものでありながら、それでいて、細部にまで気遣いが見られるようなものだと私は感じました。

 

「とても、美味しいです。鈴桜君」

 

「それは、光栄であるな」

 

その後も軽く会話を挟みながら食事を終えました。

 

「ご馳走様でした」

 

「お粗末さま。であるな」

 

その後、食器等を下げました。

 

「申し訳ありません。洗い物までさせてしまって」

 

「気にする事はない。命令とはいえ、ここは俺の部屋であり、有栖は客人だ。

故に、洗い物などさせる訳にはゆかぬ」

 

そう言って、洗い物を終えて、戻ってきました。

 

「本当にありがとうございました。何度も言うようではありますが、とても美味しかったです。見た目も良く、栄養バランスや味付け、どれもとても素晴らしいです」

 

「そうか、俺としては、お前が満足してくれたのであれば、それで良い」

 

「えぇ、大満足です。

ところで、何故この料理を?何か意図はありますか?」

 

正直に言ってしまうと、あまりそのようなものがあると思っていません。ですが、鈴桜君は様々な物事に意味を込めて行う方。

なのでこれは、半分期待を込めて聞きました。

 

「ふむ、実を言うのであれば、途中まで意味など考えずに振舞おうと考えた。

だが、その考えを改めた。命令とはいえ、この学校に来て初めての友人を、初めて部屋に招き、初めて料理を振る舞う。そう考えた時には、無意識的に作り始めていた」

 

「その様に思ってくださっていたのですね。では、何故?」

 

「これは、俺が母と共に作った初めて料理だ。今とは違い、1人で出来る訳もなく、形も歪で、味も疎ら、お世辞にも美味いものでは、無かった。だが、そのようなものを、父と母は美味しいと食べてくれた。そのような思い出の品だ」

 

そう語る鈴桜君の表情はいつもと変わる事無く、無表情でしたが、感情が…とても暖かい想いが伝わって来たような気がしました。

元々、表情は変わらずとも、感情と言いますか、雰囲気は感じ取れるような方でしたから。

 

「とても素敵な思い出ですね。微笑ましいです」

 

このようなお話を聞けただけでも、とても大満足なものでした。

しかし、それでも、鈴桜君は話を続けました。

 

「ああ、それで、俺は考えた。折角なのだ、この思い出の品に、また新たな思い出を含めてしまおう。それが良いだろう。と思ったのだ。

有栖との思い出を詰めたいと思うたのだから」

 

そう言った鈴桜君の表情には、微笑みが浮かんでいました。

それを聞いた瞬間、それを見た瞬間、私の頬に熱を帯びた気がしました。

 

「ぁ…ふふ、笑っていただけましたね」

 

「む?そうか、俺は笑っていたか」

 

「ふふ…はい、とても、素敵な笑顔でした」

 

私は、今日という日を、この瞬間を忘れません。この、初めての感覚も、感情も、私の中の素敵な思い出となりましたから。

 

……

 

本当に彼は、私の想像を超えてきます。




いかがでしたでしょうか?

ちょっと初めての試みをしてみましたが、上手くできていたのならば、嬉しいです。

少し、甘めの表現をしてみました。皆さんの反感を買わないようにしたいですね。

まあ、買われたところで好きに書きますけどね!自己満足万歳!

ごめんなさい!!
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