転生・転移主人公の実力至上主義   作:時雨日和

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少し期間が空きましたが、無事にかけました。

最近は、評価や感想が増えてきてとても嬉しいです。モチベーションが上がります。いつでも待ってます。

今後ともよろしくお願いします。

この前から章区切りにしてみましたので、今回から第2章、つまり、2巻に突入です。まあ、2巻の内容はAクラスあんまり関係ないので、長くするつもりはあまりありません。


第二章 一難去ってまた一難
第8話 お友達


どこでもない場所。

そこには何も無く、ただただ空間だけが広がっている。そんな場所。

 

そこに、1人の人物だけが存在していた。

その人物は、少し楽しげに口元に笑みを浮かべていた。

 

「うん、君は君なりにそのセカイを楽しんでいるようで安心した。

しかし、うーん…過去や経歴とかを根回ししているとはいえ…これは、やり過ぎちゃったかな?私の趣味と悪ふざけを少々…まあ、いいか。

他のセカイでも似たような事はしていた訳だし、その記憶は君にはない。大丈夫だよね」

 

その人物は楽観的であった。

 

「うーん、でもやっぱり記憶ってあった方が良いのかな?今までの経験を活かせる的な?

でもなー、この子の場合複雑過ぎるからなー、流石に何十個ものセカイの記憶の保持は危険だよねー」

 

そして、中々に鬼畜であった。

 

「簡単に壊れないでね。壊れたとしても、また、直してあげるけど。

君は私にとって"お気に入り"だからね」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

中間テストという初めての明確な試練を乗り越えた俺たち1年生。

退学者を出さないまま終えたというのは恐らく大きな事だろう。

 

しかし、事実は小説よりも奇なりという。そんな事を思う6月。一難去ってまた一難、どうやらプライベートポイントが支給されていないようであった。

 

「…ふむ、これは不具合…という訳では無さそうだな」

 

身支度を終えて、部屋を出ようかと思った時、着信が入る。

 

「もしもし、烏丸だ」

 

『おはようございます。鈴桜君』

 

有栖だった。

 

「おはよう。このタイミングという事はポイントの支給の事か?」

 

『ご名答です。鈴桜君も気付いていましたか』

 

「まあな、不具合とも考えづらい。故に何かしらの問題が起きたことによる措置なのではと思う」

 

『そうですね。それには同意します。

…では、わかり次第それについて考える事にしましょう。後ほど学校で』

 

「ああ、またな」

 

そうして通話を終了する。

 

そこから何事もなく学校へ着き、教室へと入る。

やはりと言うべきか、クラスは少々騒がしくなっていた。俺は、挨拶もそこそこに自らの席に座る。

 

「おっす!鈴桜!」

 

「ああ、おはよう。正義」

 

「なあなあ、ポイント振り込まれているか?」

 

「いいや、俺も支給されていない」

 

「やっぱりかー、なんかあったんかね?」

 

「詳しくは俺も把握していないが、何かしら問題が起きたのだろうと推測する。まあ、それ故に先生からの説明が無いという事は無いだろう」

 

「ん、そうだな。流石に朝起きたら支給されるのは0ポイントです。なんて事は無いよな」

 

笑いながら言う正義。ふむ、そんな事が本当であったら笑えないを通り越して大笑いしてやるところではあるな。

 

「ふむ、そうなったら逆に面白いな」

 

「いや笑えねぇよ!」

 

激しくツッコミを入れる正義。朝から元気なものだな。

 

「それに、問題なかろう。俺たちはAクラス。他のクラスに比べれば潤沢にポイントはあるのだから」

 

「そうだけどよー…ほら、多くあって損は無いだろ?」

 

「もちろんだ。多くあればそれだけ選択肢が増える故な。戦略の幅が広がるというものだ」

 

最悪交渉材料にもなり得る。

 

「いきなり物騒になったな…」

 

そんな事を話しているうちにHRの時間が迫ってきていた。

その少し経った後に真嶋先生が来た。

 

「みんなおはよう。早速で報告だが、気づいているものも多いだろうからな。今日振り込まれるべきポイントが無い事についてだが、少々他のクラスで問題が起こったようでな。その対応でポイントの振り込みが遅れてしまっている」

 

「では先生。ポイントは必ず振り込まれるんですね?俺たちのポイントが0になったとかでは無く」

 

「それはついては問題無い。問題が解決次第、確実にみんなにポイントは振込まれる。そして、これが今月の振込まれるポイントだ。1学年のクラス全て発表する」

 

そう言って真嶋先生は、持ってきていた紙をボードに張り出した。

 

Aクラス1004クラスポイント、つまり今月は、10万4千ポイントである。

クラスの中から、おぉ、という声が上がっている。

 

「今回、初めての中間テストを突破したということで、最低100ポイントご褒美として支給されている。以上だ。これにてHRを終わる」

 

そう言って、真嶋先生は教室を出た。

 

「…87。どうやらDクラスはまだ死んだ訳では無いようですね」

 

ちなみに俺は、思考の海へと潜っていた。

 

他のクラスで問題が起こった…その対処としてのポイント支給停止…中々大事なものであるのは確か…

 

「…?鈴桜君?」

 

どのクラスだ…可能性として高いのは、龍園の率いるCクラス…では、相手は?最近は龍園は良くBクラスにモーションをかけているらしい…だが、DクラスはDクラスで喧嘩っ早い者も少なくない…故に、DクラスとBクラスという事も…

 

「…あのー?」

 

そもそも何が原因だ…下位クラス同士の抗争…下位クラスから上位クラスへの嫌がらせ…いや、今考えるのは…

 

「無視は良くありません…」

 

今回の結末…そうだな…こちらの方が面白いか…となると…だが…なるほど…つまり…そうか…これか…こうなる…か…

 

「……ムー」クイクイ

 

「……ん?どうした?有栖」

 

俺は、袖を引かれて思考の海から脱した。そこには見るからに不機嫌そうな有栖がいた。

 

「無視は良くありません」

 

「む?そうだな」

 

「そうだな。では無く…はぁ…いえ、何となく想像はつきます…何を考えていたんですか?」

 

「ふむ、そうだな…いや、少し待ってくれ」

 

そう言って俺は、ルーズリーフ1枚を取り出しそこに書き留めた。

そして、それを丁寧に折り、有栖に渡した。

 

「こちらは?」

 

「これに、今回起こった問題の結末を書き留めた。流石に、どことどこの問題というのは分からないため、結末のみではあるがな」

 

「…なるほど」

 

「そして、これは半分…いやほとんど俺の我儘になるが…もし、その紙に書き留めてある俺の予想した結末が合っていたのならば、俺の命令に1つ応えてくれ」

 

賭けにも勝負にもならない。そんな願い。はっきりいって受けて貰えるかどうかなど、俺にも分からない。

 

「…ふふふ、何か先日の事で意趣返しをされた様な気分です。ええ、構いません。私も先日は我儘で通した勝負ですし、こちらはこちらで面白そうです。

その代わり、そこまで言うのです。外れていた場合は、理解しておられますよね?」

 

そうだったな。有栖はこういう者であった。

 

「愚問だな。その点について、俺が弁えているに決まっている」

 

「ならば、問題ありません。楽しみにしていますよ」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「昨日話した問題の件だが、Dクラスの生徒とCクラスの生徒とのトラブル。言ってしまえば喧嘩が起きた。それによって、少々両者の意見の食い違いがあり、結論が出ない状況だ。最終的な結論は来週の火曜日に出るため、ポイントが支給されるのは翌日の水曜日となる」

 

翌日のHRにて真嶋先生からの新情報である。

ふむ、なるほど…そうなっていたか。

 

クラス内で中々にDクラス、Cクラスに対する反感の声がチラホラと聞こえる。

まあ、当然の帰結であろうな。

 

そして、俺は、その日の昼休みにCクラスの教室前にいた。

 

教室室内からこちらを伺う生徒が何人か。警戒している生徒もいる。そんな中で、1人の生徒がこちらに向かってくる。龍園に忠誠を誓っている石崎だ。

 

「おい、烏丸!なにそんな所でつったてんだ?!うちの偵察か?」

 

「ふむ、いや何、偵察などという訳では無い。どうやらトラブルが起きているようであるからな、心配で来ただけだ」

 

「心配だと?お前がそんな風な奴には見えねぇな」

 

「流石にそれは傷つくぞ?それこそ、石崎。お前のその顔の痣…それがトラブルによって起こったものだろう?」

 

「…だったら何だよ」

 

「何、折角お友達がいるクラスだ。少しは手を貸してやらないことも無いと言いに来たのだが」

 

「お友達?」

 

「ああ、龍園がそうだが?」

 

「はぁ?龍園さんがお前みたいな奴と友達な訳無いだろ」

 

石崎が俺の言葉を軽く鼻で笑った後、教室の中から声が響く。

 

「おい、石崎!いつまでそんな所でくっちゃべってんだ!」

 

その声に石崎は肩をビクつかせる。

 

「りゅ、龍園さん!しかし、烏丸が!」

 

「あ?烏丸だと?

…くく、よし連れてこい」

 

「え?!で、でも良いんですか?こんな奴」

 

ふむ、こんな奴呼ばわりは酷いな。

 

「良いんだよ。良いから早く連れてこい」

 

そう言われて、石崎は渋々俺をCクラスの教室へと連れて行く。中に入ると案の定警戒している。

そして、俺は龍園の前へ。

 

「よぉ、烏丸。何の用だよ」

 

「ふむ、まあ、先も言った通り心配でな。トラブルが起きたようなので、様子を見に来た」

 

「はっ、こんなもん別にトラブルでも何でもねぇ、それに、仕掛けてきたのはあっちだ。俺らは被害者。こっちに大きなマイナスはねぇだろうぜ」

 

「そうか、それは何よりだが…」

 

「にしても、随分と警戒心が薄い様だなぁ、こんな敵地ど真ん中でよぉ」

 

「その点に関しては心配はしていない」

 

「あぁ?」

 

「お前とて、このような監視の厳しい教室で、暴力行為などは絶対に行わない。理由としては、その暴力行為でどれ程までのマイナスが来るか分からぬからな」

 

そして、俺は龍園の方へ少し近づき、龍園にだけ聞こえる小声で放つ。

 

「此度は、それを調べる目的も含まれているのだろう?」

 

そして、再度俺は龍園から少し距離を取る。

そんな龍園は怪訝そうな表情を浮かべる。

 

「てめぇ…何が目的だ?まさか、恩を売ってやろうなんて考えじゃねぇんだろうなぁ?」

 

「何を言うかと思えば、そのような事は思ってはいない。何、お友達が心配なだけだ。他意は無いぞ?」

 

「けっ…そうかよ。だが、さっきも言ったろ、何も心配は要らねぇ。あんなDクラス見てぇな雑魚相手には特にな。

くくく、まあ、そんなに急かさなくても他のところ潰した後は、お前らAクラスを潰してやるよ。特に、てめぇは、その仮面みてぇな無表情を恐怖で歪めさせるほど念入りになぁ」

 

「ふむ、そうだな。その時は俺も全力で相手をしてやろう。楽しみにしている」

 

そう言って俺はCクラスの教室を出た。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「ちっ…クソが」

 

近場の机を蹴り飛ばす龍園。

 

「ど、どうしたんですか?龍園さん」

 

「あの鉄仮面野郎…どこまで知ってやがる」

 

「ど、どういう事ですか?烏丸が何か?」

 

「あいつは全部知ってやがる。今回の事なんざなぁ」

 

「じゃ、じゃあヤバいんじゃ…」

 

「…いや、それはねぇ。あいつはそんなたまじゃねぇ。だから、わざわざ来やがったんだ

…くく、まあいい。そんだけ、あいつらを潰した時に楽しめばいい」




実はちょっとやりたかった話なんですよね。今回のは

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