東方繰返幻想   作:北風北

10 / 15
今回は多くなりました(笑)


にゃんにゃん

「···はぁ」

 

宛もなくさまよいつづける事ほど不安な事はない。

平安時代辺り? とか言ってた気がするけど、今一信憑性にかける。

今歩いているのは山道のような所で、まだ建物を一つも見ていないのだ。

まぁ、見たからといって○○年ごろのの建物だ、何て分かるわけでもないけど···

 

 

もう随分歩いているような気がする。

最初に目が覚めたのはこの山だ。正確に言うとこの山の中にある、小さな祠のすぐそばに倒れていたのだ。

そして歩き続けて今に至るというわけだ。 

 

とりあえず寝床を探さないと。

実は念のために眠ることが出来そうな場所を見つけておいたのだ。

道も覚えてる。

その場所は、一般的にいう洞窟なんだけど···嫌な予感がするのは気のせいだろうか。

 

まだ夜には程遠いけど、一応なかの様子を見ておこう。

洞窟までの道のりは遠くなかったので、以外と早くついた。

 

 

「···おじゃましまーす···」

 

少し中に入ると何か音が聞こえてきた。

 

ピチャッ、ピチャッと何か水音? のような音が···

水でも繋がっているのだろうか···それんらありがたいが···

···さっきから嫌な予感がするが···気のせいだろう。

 

 

もう少し進んだところで、それは目に入ってきた。

自分よりも一回り大きいくらいの···狼? だろうか犬型の生物が、僕の目をじっと見ている。

その犬型の口は真っ赤に濡れていた。お食事中のようだ。

普通の犬くらいの何か···辺りに血を散らしながら。

 

いや、自分でもおかしいとは思っていた。まずこの洞窟は臭いからしておかしかったから。

 

それに今こいつの機嫌を損ねたら僕が殺られて終わりじゃないか。

せっかく変な神様から昔の時代まで飛ばしてもらったのに。

奴の機嫌を損ねないように少しずつ後退······

 

「ガァァァアアア ! ゴボッ、ガァァァアアアアア ! ! 」

 

れなかったー !

 

全力で後ろに駆け出そうにも遅すぎた。

···しかもこいつ何か咳こんでない? 飯が増えたからって興奮してるのだろうか。

それともなんだ? そう聞こえたのか?

······ダメだ、頭が上手くまわらない。

 

上から大きく噛みつかれる。

首と肩の中心ぐらいから奴の大きな口が鳩尾まで···全てえぐりとるように。

と言うか、とられた。痛みなんて殆んど、ない。

······あったのは、衝撃、だけだ···。

 

 

 

 

 

 

 

     ――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

············

 

意識はある。

僕は、犬型の化け物に喰われたはずじゃあ······

眠っているかのような感覚だ。

 

「············いい······わよ」

 

誰か起こしてくれているのだろうか。

少しだけ目を開けると、狼(奴)の顔を見た気がした。

 

「ギャャャァァァアアア ! ! 」

 

寝ている状態から跳ね起きたのだから、覗きこんでいる相手の顔があればすごい勢いでぶつかるだろう。

まさにそんな状態。

 

今さっき喰われた箇所を見てみると、少しの傷すら付いていなかった。

ちゃんと生きてる。

周りを見渡すと小さな祠がそこにあった。

 

「············」

 

なるほど。

KAMIが言ってた死なないっていうのはこういう意味か。

殺された場合、または何らかの原因で死んでしまった場合は、この場所に戻ってくるのかな。······日の傾きも戻っている辺り時間も一緒に戻るのかもしれない。

···狼の顔や洞窟までの道のりを覚えているし、自分の記憶は消えないのだろう。

 

「あなた、突き飛ばした私のことを無視して何を考えているのかしら」

 

そういえば、この人に頭突きをしてしまったのか···

 

ん······? 時間も一緒に戻っているのは分かるけど、KAMIと別れた後ここに初めて来たときはこの人はここには居なかった···

もしかしたら自分の行動によって後々の世界に影響が出るのかも知れない。

まぁ、考えても仕方ないか。

 

「す、すみません、僕は大丈夫ですが···貴女は大丈夫ですか? 」

 

相手は女性だった。

見た目は自分よりも二つくらい上だろうか。

青を基調とした服に、青い髪色、青い目と青ずくし。

今の時代はこんな服が流行っているのか······? 。

 

「い、いや、私は結構効いたわよ。

 それにしても、いきなり叫びながら頭突きしてくるなんて驚いたわ」

 

何だか本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

頭突きしたこともそうだが、相手の女性が凄い美人だから尚更だ。

 

「す、すみません ! 」

 

「うふふ、良いわよ別に。この山は力の強い妖が多いから一人で寝てる貴方を起こそうと思っていただけなの」

 

 

あっ、そういえば。

 

「すみません、今って何年でしたっけ? 」

 

一応、これを聞きたかった。

 

「···今? おかしなことを聞くわね。私も正確ではないけれど確か···580年頃だったとおもうわよ」

 

···580年ってずれてない神様 ! ?

 

「············」

 

まぁ、いいか。何か変化があるわけでもないし。

······ん?

この人、この道を歩いてるってことはこの山をでる道を知ってるかも知れない。

 

···でも頭突きしておいてそこまでは流石に頼りすぎだと思う。

 

「色々とありがとうございます。···僕はこの辺で」

 

とにかくこの山から早く出たい。

しかし、目の前の女性は僕の前に回り込むと

 

「私の名前は霍 青娥っていうの。貴方の名前を教えてくれる? 」

 

何てことを言ってきたのだ。

え? これ、会話続けるパターン···?

 

「は、はい、僕は木下 浬って言いますけど···」

 

とりあえず答えた。

 

「浬っていうのね。私のことは青娥師匠とでもよんでね。

 さっ、行きましょう」

 

師匠··················?

いや、え? 訳が分からない。

 

そう思う一方、この山から出られるのならそれも気にしないことにした。

 

 

 

 

 

 

     青娥side

 

 

 

 

 

私の名前は霍 青娥。

私は父の影響で道士や仙人に憧れていた。

結婚はしていたのだが、家族とはあまり口を利くこともなく、独学で仙術を学んでいた。

その8年後、学んだ仙術で家族を欺き、その場を離れ、仙人になるために修行した。

その後、仙人になった私はこうしてこの国にきたのだ。

 

 

元々私はこの国に産まれた訳ではない。

他の国から来たのだ。

 

 

この国に来たのは道教を広めるため······

······と言うのは建前で、私は単に仙人のいないこの国で力を見せびらかしたかった。

 

 

そんな訳で今の私は何か変化が欲しかった。

この国に来たのはいいがまだ何か物足りない。

一応、道場を作っているが、それだけである。

 

「はぁ、何か面白い物でも落ちていないかしら」

 

 

ため息をつきながら山中を歩く。都の視察の帰りである。

この道は、というか、この山は強い力を持った妖怪がたくさんでる。

面白い妖でもでないものか。などと考えていたそのやさき。

 

「············」

 

眠っている一人の青年を見つけた。

こんな所で眠っているなんて危ない、そう思い起こしてあげようと近くによる。

近寄って分かったが、この青年、本当になんの力もないただの人間だ。

 

「ねぇ、そこの貴方、起きたほうがいいと思うわよ」

 

そう言いながら顔を覗き混む。

 

「···············っ! ギャャャァァァアアア ! 」

 

初めは反応がないし、起きないかな、何て思っていたが、途中ビクッとしながら大声で頭突きをしてきたときには驚いた。

油断していたからかもしれないが少しくらくらする。

 

 

相手の青年は私のことを気にする様子もなく、キョロキョロと辺りを見渡していた。

 

「············」

 

すると今度は何か考え始めた。

せっかく起こしてやったのに、私を無視して考え事をしている様子に少しだけムッと来た。

 

「あなた、突き飛ばした私のことを無視して何を考えているのかしら」

 

そう言うと思い出したようにこちらを見た後、頭を下げてきた。

 

「す、すみません、僕は大丈夫ですが···貴女は大丈夫ですか? 」

 

·········え? 今、僕は大丈夫っていった?

仙人の私ですら頭に響く頭突きだったのに。

私は目の前の青年に興味がわいてきた。

 

私はその後青年を起こした理由、要するに強い妖がいるから危ない、と言うことを説明した。

彼は申し訳なさそうな顔をした後、こうきいてきた。

 

「すみません、今は何年でしたっけ」

 

『いやいや、ここは貴方の母国でしょう』と言いたくなったが、笑いを堪える。

やめておこう。

この山の妖力が強いということもあるのかもしれないが、頭をうって少し混乱しているのかもしれないし。

 

質問する彼の様子は、右も左も分からない産まれたての子犬のようだ。

少しかわいい。

 

しかし、何年かと聞かれても他の国から渡ってきた私も、よくはしらない。

なので確か580年頃だと言うことを伝えたおいた。

 

変な質問だったが、ここに来て余り人との交流がなかった私もっとこの青年と話したい、と思うようになった。

 

「············」

 

少し黙った後彼は

 

「···色々とありがとうございます。僕はこの辺で」

 

そういって去ろうとする。

待って、何て言えなかった私は無理矢理前に回り込むと、自己紹介をした後、彼の名前を聞くことにした。

彼は···何で? という反応をしていた。···可愛い。

あっ、いいこと思い付いた。

彼はただの人間。弟子にして育てるのも面白そうだ。

 

「は、はい、僕は木下 浬って言いますけど···」

 

···浬、浬っていうのね、面白い名前。

私のことは青娥師匠とでもよんでもらいましょうか。

 

私は浬の手をとると、道場までの道を歩き出した。

 

 




次も頑張ります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。